文芸誌『小説BOC』創刊号~10号(2016年4月~2018年7月)に連載され、加筆・修正を加えて、2019年6月に単行本が刊行された。本書も「螺旋プロジェクト」の一冊。 螺旋年表では、昭和前期を取り扱う位置づけになっている。 この小説は、昭和19年(1944)の夏の盛りを過ぎた時点から始まり、昭和20年(1945)の東京大空襲により東京が焦土と化した3月10日までを時代背景とする。 主人公の一人は、東京の国民学校6年生の浜野清子。学校単位での集団疎開に組み込まれた一人として列車で宮城県に出発する場面からストーリーが始まる。清子は妖怪、米英の間諜などと言われ周囲の子どもたちからは忌み嫌われる存…