手許にある高校生向け学習参考書『クリアカラー国語便覧』(数研出版・第4版)を見ると、「樋口一葉」についてまとめた1ページに、樋口一葉が明治19年(1888)14歳で歌塾「萩の舍」に入門したという記述がある。一方、「近現代文学の流れ」というチャート図に、短歌の欄がある。そこには、「旧派(桂園派)高崎正風」という項は記載されているが、その後は「浅香社 落合直文」から始まっている。歌塾「萩の舍」も設立者中島歌子の名前も出て来ない。 この小説は、東京・小石川区の安藤坂に歌塾「萩の舍」を設立した中島歌子について書かれた自伝風歴史時代小説である。 本書はサンドイッチ型の面白い構成に仕立てられている。序章と…