JR三輪駅を降りて、日本最古の神社・大神神社へ向かう参道に、青い暖簾が風に揺れている。「栄すし」。その文字の白さが、古い木の壁に映えていた。 隣は三輪の銘菓「みむろ最中」、向かいは「万直し」。亡くなった祖父が幼少の頃から、この並びはほとんど変わっていない。駅前には今西酒造の「三輪座カフェ」ができたが、この寿司屋は時間の流れを拒むように、同じ場所で同じ空気で暖簾を上げている。 創業は百年をゆうに超える。大正か、それとも明治か。そんな昔から大神神社の参道商店街で、変わらず朝の9時に暖簾を出し、夕方5時に仕舞う。参拝客とともに店が始まり、参拝客とともに店が眠る。その律儀さに、栄寿司の呼吸がある。 戸…