端末に残る「体温不足」という診断名 年の瀬の朝、私が掴んだ最初の異常は、事件というより診断書の走り書きであった。彼は、記憶の断片を切り出す仕事に手応えを覚えながら、次の瞬間には冷たく首を振っている。 「Obsidianノートの切り取りはおもしろいが、読ませる文章にはなかなかならないね。体温が足りないのかな?」──その言い回しは、文章に温度を求める者の率直さであり、同時に、自分の作法に容赦のない医師のそれでもあった。 彼がさらに「インフォグラフィックを作ってもらおうと思ったがむずかしかった」と添えたのは、見せ方の工夫に助けを借りようとして、手が滑った者の記録である。 だが、私が気にしたのは「難し…