階上の台所のガスレンジで、なにかが火を噴いた。 さかんに炎を挙げているものを火箸で挟んで、窓から放り出し、レンジの残り火を雑巾で叩いて消した。窓から覗くと、燃えているものは地上まで落下せず、一階の庇に留まってまだ炎を揺らめかせている。洗い桶に水道水を張って、窓から庇へとぶっかけた。ヒャーッと声がした。台所の真下にあたる地上の玄関脇で、ナニスンノォと母が頭に手をやって、こちらを視あげていた。 明けがた、眼醒める直前に観た夢である。両親が夢に登場することはめったにないから、珍しいことだ。燃えたものがなんだったか、なぜ火を噴いたんだったか、夢のなかでは承知していたようだった。眼醒めて、トイレで小用を…