ホン・サンス監督、キム・ミニ主演の韓国映画『小川のほとり』を解説。大学講師ジョニムの日常に潜む感情の揺らぎと、観る者の想像力を喚起する演出を丁寧に読み解く。 ホン・サンス監督の映画『小川のほとり』は、一見すると穏やかで何事も起こらない作品だ。だが、その静けさの内側には、いつ表に出てもおかしくない感情の揺らぎが、かすかな緊張として流れている。 キム・ミニが演じる大学講師ジョニムは、仕事も人間関係も順調に見える人物だ。しかし物語が進むにつれ、彼女の表情や振る舞いの端々から、説明しきれない違和感が立ち上がってくる。本作は、見える出来事よりも、見えない感情を観る者に想像させる作品と言えるだろう。 目次…