まただ。 また、俺はシャワーの後、排水溝にたまった“黒い絶望”を、見て見ぬフリをしながら拾い上げている。 一本、また一本と、俺の頭から旅立っていく、かつての戦友たち。枕についた数本の抜け毛に、朝から動悸がする。夕方になると、頭皮はベタつき、自分でも分かる、あの“オヤジの匂い”がする。 「まだ、大丈夫だ…」 そう、鏡の中の自分に言い聞かせる。だが、俺の頭皮は、俺の身体は、もう限界だと悲鳴を上げているんだ。 そんな、見て見ぬフリも限界に達した夜、Amazonのレビューの海で、一つの“処方箋”のようなボトルが、俺の目に飛び込んできた。「バイタリズム(VITALISM) スカルプケア シャンプー」そし…