これは、日記という名を借りた私の記憶。 某月某日 朝、7時20分。ここあん鉄道の、あまり人の乗り降りのない駅のホーム。巡回ルートの確認のために少し早く家を出すぎた。湿った空気が肌にまとわりつく。ホームの端、コンクリートの割れ目から顔を出したピンク色の花が、けだるい朝の中でやけに鮮やかだった。 隣に腰掛けたおばあちゃんが、独り言のように呟いた。初めて見る顔だった。 「なでしこの花だねえ」 相槌を打つと、おばあちゃんは遠くを見るような目をして続けた。 「なでしこっていうと、わたしらのころはカワラナデシコだったけどなあ。今のはずいぶん、華やかだねえ」 その瞬間、私の頭の中の索引が自動で動き出す。 『…