1.問いの提示 「シオンの議定書が偽書なら、旧約聖書も偽書ではないのか?」 この問いを口にすれば、多くの人は眉をひそめるだろう。しかし、それは信仰の否定ではなく、思考の出発点としての挑発である。そもそも「偽書」とは何か。なにをもって「偽」とし、なにを「正」と呼ぶのか。それを問わずして、われわれはいつまでも「誰かが与えた物語」の中を歩くことになる。 本稿では、 「偽書」という言葉の意味の再確認 『シオンの議定書』が“偽書”とされる理由 旧約聖書が受け継いだ神話的系譜 そして「真と偽」ではなく「信と偽」という次元での再考 を通じて、思想的な三角測量を試みたい。 2.「偽書」という言葉の再確認 「偽…