昔、私が子供だった頃の話。 家にたくさんの、みかんが入った大きなダンボール箱があった。 産地は忘れたが、箱の外側には「L」とか、「M」とか書いてあったのを覚えている。 うちは、父親が大変な倹約家であったのに、不思議なことに何故か、みかんや正月の餅は、大盤振る舞いだった。 それはたぶん、若い頃にひもじい思いをした父親が、たまには美味しい思いをしたかったのと、食べ盛りの3人の子供達に食べさせるつもりで、大箱で買ったのだろう。 3人兄妹が、みかんの箱に群がって、母親が開けるのを待っている。 箱が開くと、みかんの良い香りがぷわ~んと広がる。 私達兄妹は、競り合うようにして、みかんを手に取り、頬張った。…