カガミさんは、世の中の「ちょうどいいこと」が、あんまり好きじゃありませんでした。 テレビのドラマで、曲がり角でぶつかった二人が恋に落ちたり、困っていると必ず誰かが助けに来てくれたりするのを見ると、いつも少しだけ眉間にしわを寄せて、こう言うのです。 「まったく、なんてご都合主義なんだ。そんな偶然、あるものか」 誰かが「わかるよ」と慰め合っているのを見ても、同じでした。 「傷のなめ合いだ。そんなことで、何かが解決するわけじゃないのに」 カガミさんにとっては、世界はもっとキッチリと、理由のあることだけで動くべきだったのです。 ある日の午後、カガミさんが知らない道を歩いていると、古びたレンガでできた、…