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プロダクト組織のAI活用推進をデータと事例で振り返る

こんにちは。 プロダクトマネジメントグループでデータアナリスト兼アナリティクスエンジニアをしていますタダケンです。

先日、CTOのたなやんさんから「開発組織のAI活用は、どうあるべきか模索していた話 ~ Claude Codeを導入した背景 ~」という話を紹介しました。

今回は社内で実施した「開発業務におけるAI利用状況アンケート」と実際に私たちがAI開発推進にどのように取り組んできたのか、具体的な事例を持って、紹介したいと思います。

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まだまだ、道半ばでチャレンジ中な部分もありますが、開発組織において、AI推進をされている方の参考になればと思っています。

AI活用の目的

「プロダクト組織におけるAI活用を推し進めて、開発生産性を高め、プロダクト戦略目標の達成に貢献する」という目的を念頭において活動しています。

当たり前といえば当たり前ですが、あくまでも、達成すべきはプロダクト戦略目標であり、そのためにAI活用をするというの明文化することで、ここに立ち帰れるようにしています。

AIまわりは進化も早いので、そのあたり振り回されすぎず、一方で、慎重になりすぎて、キャッチアップが遅れないようにというの意識しています。

「Chatwork」のプロダクト組織におけるClaude Codeの利用状況

アンケート結果を見ていって最初に驚いたのがClaude Codeの利用率です。「毎日利用」が47%、「週に数回利用」が31%と合わせて、78%の方が利用しています。

*「利用しない」が13%いるのは、PdMやQA、デザイナーなどのClaude Codeを利用しない方の回答が含まれるからです。

また、1日あたりの利用時間を見てみても、「2時間以上」が36%、 「1-2時間」が25%と、ガッツリと利用しています。

*「利用しない」が13%いるのは、PdMやQA、デザイナーなどのClaude Codeを利用しない方の回答が含まれるからです。

*Claude Code以外のAIツールの利用状況も聴取しています。kubellでは、Claude Codeを開発者全員に配布しています。他にも、Cursor、v0、Devinなども利用可能です。

AI活用の効果

AI導入前後で、「開発速度」「既存コードのキャッチアップ」「コードの品質」「仕事の満足度」が変化したかどうか確認しました。こちらについては、「開発速度」「既存コードのキャッチアップ」「仕事の満足度」が向上したとの回答が多いです。

既存コードのキャッチアップは、半数以上の方が「大幅に向上した」と回答されており、10年以上サービスが続いており、コードベースが非常に大きいChatworkにおいては、強力な武器になっています。

「過去の経緯を人に聞くというアクションは心理的負荷がゼロではないので、まずAIに聞くというアクションを取れるようになったことでかなり楽になりました。(一部抜粋)」といったコメントもありました。

また、生産性だけでなく、「仕事への満足度」が向上したという回答も多く見られました。人に質問する前の「一次相談相手」としてAIを使うことで、心理的な負担が減ったり、新しい技術の学習がスムーズに進んだりすることが、開発業務そのものをよりクリエイティブで楽しいものにしているようです。

AI推進の取り組み事例

もちろん、ただツールを導入しただけで、このような成果が出たわけではありません。そこには、トップダウンとボトムアップの両輪で進めてきた、いくつかの施策があります。狙ったわけではないですが、いろいろ試行錯誤した結果がアンケートにあらわれているのかなと思っています。

1.CTO自らのAI開発の重要性を発信

一番大きいのは、CTOのたなやんさんが全社に向けて「AIを本気で活用していくぞ!」と音頭を取ったことでした。経営層が明確な方針を示したことで、「プロダクト組織において、AI活用はどんどんやっていいんだ」という安心感が全社に広がりました。

全社導入時の動画

もちろん、事前に各ツールのセキュリティチェックをする体制や申請フロー、予算まわりの準備などはありましたが、やはりトップダウンでの発信があるのとないのとは大違いです。各社の事例などもみていても、生成AIの導入活用で順調な会社は、どこも偉い人が覚悟決めてます。

kubellでは、CTOのたなやんさん、ご本人がClaude Codeの技術検証をしています。

CTOたなやん みずから手を動かす

2.ボトムアップでの活用事例の共有 ~ 社内LTで旗振り ~

私たちのプロダクト組織では、月に1回、プロダクト組織のメンバーが一堂に集まる「Product Unit Day」というイベントがあります。

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このイベントの中で、Beer Bashという取り組みがあります。

Beer Bash(ビアバッシュ)とは、懇親会の一種としてビールやピザを食べながら語らう形のイベントで、シリコンバレーなどでよく開催されています。チーム(部署、フィーチャーチーム、etc…)や個人での取り組みや成果、今後の計画などをLTをして共有する場です。

このBeer Bashの中で、「分析基盤開発における ~AI活用の現在時点とこれから~」という内容を発表しました。分析基盤の開発では、24年11月から、Cursorを導入していましたので、効果やTipsを社内で共有しました。

Cursor導入の効果を紹介

この中でも、AIをどんどん使っていんだよっていうメッセージを発信したりしていきました。

社内でアピール

ちなみに、このために自分でも一切コードを書かずにiOSアプリをリリースするということにもチャレンジしました。

プロンプト力を高めるためにアプリを作る

3.みんなのおすすめプロンプトを共有するリポジトリ

ほかにも、ファサード開発グループのすだめさんが主導してくれて、「社内のイチオシAI指示書(プロンプト)が集まる不思議なリポジトリ」などがあったりします。

AI活用でキーとなるのはAIへの指示書です。Cursor, Claude, Copilot はそれぞれカスタムのルールや指示を定義する方法があります。

一方でこれらの指示書は個人に閉じた "秘伝のタレ" になりやすく、知見が共有されづらいです。チャットで共有しようにも、1つの指示書がそれなりの分量にもなることから難しい面もあります。

このリポジトリは「ストック情報としてそれらの指示書を集め、より良いAIとの付き合い方を共有しよう!」という趣旨のリポジトリです。

このリポジトリは誰でも、指示書の追加することができます。このような形でそれぞれの知見を共有しています。

ほかにも、AIの知見を共有するグループチャットもあって、そこで、それぞれ試したことやTipsを共有して、ワイワイやっています!

まとめ

今回のアンケートとこれまでの取り組みを振り返ってみました。私たちが学んだ最も重要なことは、AI活用の成功は「ツール × 文化」で決まるということです。優れたツールを導入することはもちろん重要ですが、それだけでは不十分です。

  1. トップが熱量を持って旗を振る
  2. 現場の事例を共有し、称賛する場がある
  3. 個人の知見を組織の資産に変える仕組みがある

この3つが揃って初めて、AIが、開発者の「相棒」となり、開発をより速く、よりクリエイティブで、より楽しいものへと変えてくれるのだと確信しています。もちろん、私たちもまだまだ、道半ばで、むしろ試行錯誤しながら、チャレンジ中ですので、応援いただけると嬉しいです。

私たちの取り組みが、これからAI活用を進めようとしている方々の、少しでもヒントになれば幸いです。はてブやSNSでのシェアもお願いします。

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