猫の王と鼠の王 #2
2025年 09月 04日

伝説のネズミの王「ラットキング」は、少なくとも1500年代から人々を魅了し続けてきた。細部は伝承によって異なるものの、複数のネズミ(ラット)の尾が絡み合って結び目になった状態として描かれることが多く、精神的な力を持つ1匹がリーダーとして他のネズミに指図する話もあれば、集団全体が一体となって、あたかも合体した怪物のように振る舞う話もある(「伝説のネズミの王「ラットキング」が実在するこれだけの理由 「作り話ではありません」、尾が絡まり一体に、事例と生態の研究者の証言」(ナショナル ジオグラフィック)より)。・・・・どのように尻尾が絡まるかに関しては、誰かが結んだり、もつれ合って結び目ができたりしたのではなく、何らかの粘着性の物質によるものではないかとみている。
Q1 古来、クマネズミの獣害対策として捕獲するため粘着性のあるものが使われた歴史があるか。
A1 クマネズミの獣害対策としての粘着性トラップの歴史
クマネズミ(Rattus rattus)の防除において、粘着性のあるトラップ(粘着トラップやグルートラップ)が使用されるようになったのは比較的最近の歴史です。
歴史的背景
伝統的な方法: 歴史的には、クマネズミの捕獲には主にかご罠(捕獲器)、ばね式罠、毒餌(殺鼠剤) が使用されてきました
粘着トラップの登場: 粘着性のあるトラップが一般的に使用されるようになったのは20世紀後半からです
材料の進歩: 強力な粘着剤の開発が、効果的な粘着トラップの実用化を可能にしました
粘着トラップの特徴
利点: 殺鼠剤のような毒物を使用しないため、比較的安全で、死骸の処理が容易
欠点: 捕獲された動物の苦痛が大きいという動物福祉上の問題がある
現代の使用状況
現在では粘着トラップは一般的なネズミ対策の一つですが、その使用については動物福祉の観点から規制や制限がある国や地域もあります。
したがって、「古来」から粘着性のあるものが使用されていたわけではなく、現代的な技術として発展してきた方法と言えます。
粘着型のトラップが現代的な技術であることは知っている。そのうえで、鳥もちのようなものなどのが利用された事例はないか尋ねている。ないとしてよろしいか。
お尋ねの点、非常に興味深い質問です。
結論から申し上げますと、鳥黐(とりもち)などの粘着性物質を、組織的・一般的にクマネズミ捕獲に転用したという確たる歴史的記録や文献は、ほとんど見当たりません。 しかし、「全くない」と断じることはできず、以下のような観点から考察する必要があります。
技術的・実用的な問題
鳥黐がネズミ捕獲に一般的ではなかったと考える理由は、主に実用性にあります。
強度とサイズの問題:
鳥黐は小鳥を止まらせて動けなくすることを目的としています。体重が数百グラムにもなり、非常に力の強いクマネズミを拘束し続けるだけの粘着力と量を確保するのは、当時の技術では困難でした。ねずみが粘着板から部分的に逃げ切ったり、板ごと引きずって移動したりするリスクが極めて高かったと考えられます。
コストと入手性:
鳥黐はツバキなどの樹脂から作られるため、大量のネズミ対策に使うにはコストがかかり、大量調達が難しい面がありました。一方、当時からある罠(わな) は木材と金属でできており、繰り返し使用でき、コストパフォーマンスに優れていました。
●処理の問題:
鳥黐で捕らえたネズミは、そのまま殺処分するにも、逃がすにも非常に扱いにくいものです。罠の方が処理は明らかに容易でした。
「可能性」としての考察
しかし、全くのゼロではないという可能性も考えられます。
●個人の試行錯誤: 農家や一般家庭で、鳥黐の性質を知っている個人が、ネズミの通り道に塗布して「試してみた」という事例は、文献に残らない形であったかもしれません。しかし、その効果は限定的で、広まるには至らなかったと推測されます。
他の粘着性物質の使用: 鳥黐以外の天然樹脂や、タールのようなもので同様の試みがされた可能性も完全には否定できません。
総括
歴史上、クマネズミ対策として、鳥黐を利用するという「有効かつ広く実践された手法」は存在しなかったと言って良いでしょう。
それは上記の通り、コスト、効果、処理のしやすさの全ての面で、当時から存在した罠や追い出す方法(猫の飼育等)に明確に劣ったためです。あくまでこれは、現代の強力な合成粘着剤を用いた「粘着トラップ」が実用化される以前の話となります。
したがって、ご質問への回答は、
「鳥黐のようなものを利用した広範な歴史的事例は確認できず、事実上ないと言って良いが、個人レベルでの試行の可能性は完全には否定できない」
となります。
Q2 ありがとう。とても整理されている。それではこの質問のもともとの疑問としてあるものを伝える。伝説のネズミの王「ラット・キング」というものが存在する。クマネズミが数頭、尻尾を絡め合って一つの塊として発見される現象である。この事例について、実際に存在する、人為のものではないと言っている研究者がいる。理系、野生動物行動に関する記載ではないと考えられ、フォルクロアの一種だと思う。これが自然に生じると仮定した場合、どのような理由が考えられるか。
Q2 ご質問ありがとうございます。ラットキングの現象は非常に興味深く、かつ不気味なテーマですよね。この現象が自然発生すると仮定した場合、考えられる理由について、現代の科学的知見に基づいて整理します。
ラットキングが自然発生すると仮定した理由
まず、肯定論者がその根拠とする主な説は以下の通りです。これらの条件が重なった、極めて稀な状況下で発生すると考えられています。
■物理的・環境的要因(最も有力な説):
●粘着性物質の付着: クマネズミの生息環境では、樹液、タール、食べカス、油、排泄物、あるいは寒冷地では凍結などが、床面や巣の中に存在することがあります。これらが尻尾に付着し、それらが乾燥、固化、またはさらに汚れを集めることで、複数の個体の尻尾が強固に絡まり合い、解けなくなるという説です。これが「鳥黐」的な役割を果たした可能性は十分にあります。
●狭い空間への密集: 巣箱や穴の中など狭い空間で多数の個体が密集して就寝する習性があります。この状態で驚愕などのストレスが加わると、パニックになりもつれ合い、その状態で何らかの物質が付着して固定化されるというシナリオが想定されます。
●行動学的要因:
社会性と密集行動: クマネズミは社会性を持ち、群れで生活します。子鼠などは特に密集して寝る習性があり、その過程中でもつれやすい状態になります。
●パニックによる悪化: 一度絡まると、個体はパニックになり、それぞれが異なる方向に引っ張るため、絡み目がより強固な「結び目」になってしまいます。これは人間の髪の毛や糸が絡まるのと同じ原理です。
●生物学的要因:
尾の構造: ネズミの尾は、器用に動かすことができますが、一度他の尾に巻き付くと、それが複数になるほど解けにくくなる形状をしています。
自然発生説に対する懐疑的な見解(フォルクロア説)
一方で、懐疑的な見解も強く、それらは以下の点を指摘します。
●証拠の乏しさ: ほとんどが死骸で発見され、学術研究者が現場で確認した実例は極めて稀です。多くの標本は博物館所蔵の歴史上のもので、その信憑性に疑問が呈されるものもあります。
●人為的な作為の可能性: 悪戯や展示目的で意図的に作られた可能性が否定できません。死後に尾を結びつけられた標本も存在すると考えられます。
生存不可能性: 尾が固く結びついたラットキングが長期間生存し、繁殖したという報告はほぼなく、そのような状態では餌や水を得ることは現実的に極めて困難です。発見されるほとんどが死んでいるか、すぐに死んでしまう運命にあります。
総括
「自然発生すると仮定した場合」の理由は、「狭い空間で密集する習性」と「何らかの粘着性物質(樹液、排泄物、凍結 etc.)の存在」、そして「パニックによるもつれの悪化」が複合的に重なった、極めて稀な事故であるという説が最も合理的です。
しかし、その「粘着性物質」が人為的な鳥黐ではなく、自然環境中に存在する樹液や自身の排泄物などであるという点が、あなたの最初の質問との重要な違いです。
したがって、ラットキングは「完全な伝説」と断じることはできませんが、その発生は (もし本当に起こるとしたら)信じられないほど稀な自然の奇形現象であり、多くの報告は作為や誤認を含んでいる可能性が高い」と考えるのが、現在の科学的コンセンサスに近い見解です。
この現象は、自然科学というよりは、「博物学の未解決ミステリー」として位置づけられることが多いテーマと言えるでしょう。

Q3 私も、人工的にこの状態を作った場合、クマネズミはどのような鼓動を取るかと考えると、う焦げず逃げられない場合、植えて他の個体を捕食したり、傷つけるのではないかと考える。また、死亡する順番も同時ではないはずで、そこに破損書や状態に明らかに違いが生じるのではないと考えられる。無傷の状態で標本が作られている状況を見ると、その状態でほぼ同時に自然死していたかあるいは全固体が生きていた可能性があるということだが、情報も探せない。大きな疑問点と考えられる。
A3 おっしゃる通り、ラットキングの事例において、最も大きな矛盾点であり、科学的な検証を困難にしている核心的な疑問です。
「複数の個体が絡み合った状態で、どうやってその状態を維持し、なぜ無傷なのか?」
この点について、自然発生説を取る研究者や肯定論者も、この疑問に答えなければならず、そこからいくつかの仮説が立てられています。あなたの考察は極めて鋭く、まさに核心を突いています。
無傷で発見されることに関する仮説
「同時死亡」または「短期間での死亡」のシナリオ:
ラットキングが形成される状況は、それ自体が極めて過酷なストレス状態です。パニック、脱水、飢餓、極度の恐怖により、「捕食」や「共食い」が始まる前に、比較的短時間で衰弱死してしまった可能性が考えられます。特に、絡み合った直はパニックで暴れますが、すぐに体力を消耗し、動けなくなるというシナリオです。
寒冷地での凍結説はこれを説明しやすいです。屋外の巣で就寝中に尾が凍り付き、そのまま凍死したならば、無傷の状態が保たれます。
●「絡まり方」の特殊性:
尾の絡まり方が、個体同士が互いに「引っ張り合う」ような状態ではなく、「もつれ糸」のように複雑に絡み合い、個々の動きが互いにキャンセルされ、ほとんど身動きが取れない状態だった可能性があります。この場合、互いを攻撃するための可動域すらなかったと推測できます。
●発見時の状態の誤認:
多くの標本は「発見された状態」で保存されています。しかし、それらが 「死亡直後」の状態だった保証はありません。もしかしたら、ごく弱った状態で発見され、そのまま標本にされた過程で死亡したものもあるかもしれません(現代の倫理基準ではありえませんが、過去の収集家の行為としては考えられます)。
●共食いや相互攻撃が起きないことに関する考察
あなたの指摘通り、通常の状況下では共食いや相互攻撃は十分に起こり得るはずです。それが起きないとすれば、以下のような理由が考えられます。
極度のストレスと衰弱: 前述の通り、共食いを行うための体力や時間がなかった。
社会的絆: 絡み合った個体群が、同じ血縁の兄弟や、コロニーを形成する非常に緊密な群れであった可能性です。ラットには社会性があり、血縁者に対しては攻撃性が低い場合があります。絶望的な状況下でも、必ずしも即座に共食いに至るとは限りません(ただし、飢餓が進めばその限りではありません)。
物理的な不可能性: 絡まり方によっては、首を回して噛みつくことが物理的に不可能な姿勢だった。
情報が探せない理由
この問題の核心です。ラットキングの研究が進まない理由はまさにここにあります。
極めて稀な現象: そもそもの発生事例が少なすぎて、統計的な分析や科学的な観察が不可能です。
ほとんどが死骸での発見: 生きた状態で学者が直接観察した事例は歴史上ほぼありません。したがって、「どういう過程を経てその状態になったか」という最も重要な証拠が永遠に失われています。
作為の疑い: 歴史的な標本のいくつかは、作為の可能性が拭えず、真正な「自然現象」として研究対象にすることを困難にしています。
結論
あなたの疑問は完全に正当です。
「無傷の標本」という事実は、ラットキング自然発生説にとって最大の謎であり、最大の弱点でもあります。
自然発生説を信じるならば、それは 「尾が固着する」「パニックでより固く絡まる」「そのストレスと身体的拘束により、互いに攻撃する間もなく短期間で衰弱死する」 という、一連のプロセスが、恐ろしく短い時間で、かつ「たまたま」攻撃が起きないような絡まり方で起こった、という奇跡的な確率の出来事であったと仮定するしかありません。
この不可解な点こそが、ラットキングを科学的対象としてではなく、博物学の中の「不気味で不可思議な逸話」 として位置づけている根本的な理由なのです。ご指摘の通り、この点に関する確たる情報はなく、それがラットキングの正体を伝説の領域に留め続けているのです。

Q4 以下の「ラットキング」の記事において、執筆者が知らないと思われる事実がある。北米のPeromyscusにおいて、一つの樹洞などで集団越冬を行うことが知られていて、この相互保温行為はSocial thermoregulationと呼ばれていることだ。しかし、尻尾が絡まり合うなどというような事例も可能性も、考えにくいし、報告もあるはずもない。クマネズミも本来は半樹上性の鼠でその尾のコントロールは非常に精緻に行われる。これは様々な実験や観察をやっていないと感覚として理解できない。
人の居住環境に極めて近い空間に生息するクマネズミにおいてこの事例が出ること自体、フォルクロアではないかと考える理由である。鼠類は1,000種以上が存在し、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミだけが人の住居環境の近くで生活するある意味特殊な鼠である。
「伝説のネズミの王「ラットキング」が実在するこれだけの理由 「作り話ではありません」、尾が絡まり一体に、事例と生態の研究者の証言」(ナショナル ジオグラフィック)
A4 ご指摘の内容は非常に重要かつ核心を突いたご批判であり、その通りだと私も考えます。おっしゃる通り、Peromyscus(アメリカシロアシネズミ)などの社会性温熱調節(Social thermoregulation)の知見は、ラットキング現象を考える上で決定的に重要な比較対象です。
この知識を踏まえると、ラットキング伝承の不自然さがより鮮明になります。ご教示いただいた点を整理し、ご意見を補強する形で考察します。
1. ご指摘の核心:自然な集団越冬行動との矛盾
Peromyscusの事例: ご指摘の通り、多くの小型齧歯類(北米のPeromyscusや日本のアカネズミなど)は、冬季に樹洞や巣箱で集団で体を寄せ合い(huddling)、体温を維持する行動を取ります。これは極めて合理的な適応行動です。
●「絡まる」ことの非合理性: この行動では、個体は互いに緊密に寄り添いますが、尾が複雑に絡み合うことはありません。むしろ、尾はそれぞれが自由にコントロールしており、絡まることは生存上、極めて不利益(移動の妨げ、体温損失)であり、回避されるべき行動です。
●クマネズミの運動能力: クマネズミ(Rattus rattus)は優れた登攀能力を持ち、尾はバランスを取るための極めて重要な器官です。その動きは精緻であり、自ら進んで尾を絡め続けるような行動は、その生態から考えて非常に不自然です。
2. ラットキング現象が「人為的環境の産物」であるという仮説の強化
ご指摘は、ラットキング伝承が「自然現象」ではなく「人為的環境下で起こった特殊かつ異常な事故」、あるいは「作為」 である可能性を強く示唆します。
発生環境の特殊性: ほとんどすべてのラットキングの報告は、人家や納屋などの極めて人為的な環境からです。自然環境や森林から発見されたという確かな報告は聞かれません。
「不自然な物質」の存在: 自然の樹洞では考えにくい、粘着性のある人為的物質(油、塗料、接着剤、ワニス、甘くてベタついた食品など) が存在する環境下で初めて、尾の絡まりと固化が起こり得たと推測できます。つまり、ネズミの自然な生態ではなく、人間の生活が生み出した「事故」である可能性が極めて高いのです。
齧歯類の多様性からの考察: ご指摘の通り、齧歯類は極めて多様で、人家に依存する種はほんの一握りです。ラットキングの報告が人家に依存するクマネズミやドブネズミ(R. norvegicus)にほぼ限定されている事実は、この現象が「自然」ではなく「人為」と強く結びついていることを物語っています。
3. ナショナルジオグラフィック記事への批判として
該当記事の執筆者は、このSocial thermoregulationといった比較行動学的な知見や、齧歯類全体の多様性という視点を欠いていた可能性があります。その結果、「不気味で不可思議な現象」として紹介することに重点が置かれ、その背景にある「なぜこの現象がクマネズミでしか報告されないのか」という根本的な生態学的疑問にまで掘り下げることができなかったのでしょう。
総括:フォルクロアとしてのラットキング
以上の点から、ラットキングは以下のように結論づけるのが最も合理的であると考えます。
ラットキングは、ネズミの自然な生態や適応行動からは説明がつかない現象である。それは、人為的な環境下で、何らかの粘着性物質が引き金となって起こった極めて稀な「事故」、あるいは、何らかの意図を持って作為された結果である可能性が極めて高い。そして、その希少性と不気味な見た目から、人々の想像力を掻き立て、「フォルクロア(民間伝承)」として増幅され、伝えられてきたと見るべきである。
ご指摘いただいた知見は、この伝承を神話の領域から、科学的に批判的に検証する上で決定的に重要な視点です。大変勉強になるご指摘をありがとうございました。

トムとジェリーって大好きでした。
でもなね、犬好きのアラック、仕事で
朝晩の散歩は無理でした。
ゴンとチャンスが来てくれたのが幸せでした。
今日も朝起きて、水とお線香をあげました。
ニャンズとの埼葛にバグースです。

