なぜこれを引っ張り出してきたかというと、今時は、OEM品も含め1,000円以下で買えるにもかかわらず、その独特の設計により、オープンエア型のヘッドフォンのように、低音が豊かに聞こえるから、久しぶりに視聴してみたくなったのだ。
スペックは以下の通り。
■基本仕様
・イヤホンタイプ: 有線(Lightning接続)
・ドライバー: ダイナミック型
・周波数特性: 5Hz~21,000Hz
・インピーダンス: 32Ω(スマホでの駆動に最適化)
・感度: 109dB SPL/mW(能率よい。十分な音量出力)
・ケーブル長: 約1.2m(巻き取り防止ストレートケーブル)
・マイク: 内蔵(リモコン部にボタン&マイク搭載)
・コネクタ: Lightning(3.5mmジャック非対応、USB-Cも非対応だが、Lightning→USB-C変換アダプタで対応可)
・airPodsと付属Lightning→3.5 mmアダプタには、DACチップ「338S00140」(おそらく「A0QK1623」「A0MU1621」などのバリエーション)が搭載(Appleが長年採用している米・Cirrus Logic製DACラインナップに該当する可能性が高い)
特徴としては:16bit/48 kHzサンプリング対応のDAC、小型封止パッケージに金属シールド付き、DAC+アンプ構成(デジタル入力→アナログ出力ドライバを内蔵)ということで、今では平凡なスペックなのだが、やはりインナーイヤー型という小型オープンエア方式のバスレフ効果を持つ設計が、他の製品にはないものだ。
■主な機能
✔ リモコン機能(音量調整、再生/停止、Siri起動)
✔ ハンズフリー通話(マイクで通話可能)
✔ 軽量デザイン(快適な装着感)
✔ Appleデバイス最適化(iPhone/iPadでシームレスに利用可能)
✔ 試聴すると、カナル型より重低音を感じやすい。これは周波数特性から見ると、20Hzで切っている多くの製品と違うところかもしれない。
✔ ベーシックなサウンド品質で、ノイズキャンセリング等は非対応だが、必ずしも高音質志向には不向きという意味ではない。
私がApple EarPodsの方が「はるかに低音を豊かに感じる」理由は、おそらく以下の理由による。
• EarPodsがもともと低音が豊かに聞こえるように設計されている
ハウジングの特殊設計→ 開放型に近い音響構造だが、低音が逃げにくい形状にデザインされている(ポートの位置、通気孔のチューニング)。
• 低音を補強するポート設計
空気の流れとイヤホンの共鳴を巧妙に利用して、物理的には密閉されていなくてもしっかり低音が出るようにしている(これはApple独自のバスレフ設計に近いもの)。
• 低音が強く感じられるよう人間の聴覚特性(ラウドネス曲線)に合わせて意図的にブーストされている。
• Appleは「誰が使っても(耳の形が違っても)ある程度の低音を感じられるように」設計しており、カナル型のように密閉が完璧でなくても低音を出しやすい音響設計を採用している。
• 心理的にもEarPodsの開放感があるバスレフメカによる低音の響きを、より強調して感じている可能性がある。オープンエアー型のヘッドフォン的なんだと感じる。
それで、実際に周波数特性を図ってみると、こんな感じである。今時のカナル型のそれとはちょっと特性が異なる。Appleはオーディオメーカーではないし、それゆえなのか、これはこれでとてもユニークな存在かもしれないなと改めて思った。
ホワイトノイズと、ピンクノイズそれぞれで測ったEarPodsの周波数特性。
ホワイトノイズによるEarPods の周波数特性ウォーターフォール
EarPods の周波数特性のAudacityによる表現。
今は、多分これらと一緒に購入する必要がある。
USB type-A →Lightning 変換アダプターもUSB type-C →Lightning変換アダプターも、安価で確実な商品というのを見つけるのは結構難しい。大抵博打になる
USB Type-C→Lighting変換アダプターでは、安価なものは、データ転送とか書いてあっても全滅だった。このアダプターは当たり前のように使えて、発売当時の今ではこれしかない特殊な形状の16bit/ 48kHzのイヤフォンの音を確認できた。 バッタものが購入できる金額だが、無駄にしないし、マイク付きのイヤフォンはそれなりに貴重なので。性能は悪くない。
久しぶりに視聴したのだが、重低音が開放型ヘッドフォンみたいな出方をしてカナル型イヤーフォンに慣れてしまった耳には新鮮だ。SE2の時代の製品ゆえ、防水仕様ではない。iPhone SE2の付属品(初期パッケージ内容)としてEarPods with Lightning Connector ×1が同梱されていたが、その後、イヤーフォン製品はたくさんあって、ユーザーの選択もあるし、使いたい人間だけ別売りで購入してもらう方がエコロジカルだ、みたいな理由?で外されたようだ。 「Appleは環境対策のため、2020年以降のiPhone(iPhone 12~)からEarPodsの同梱を廃止した。」とある。
そのため、別売り(税抜¥2,800~)で購入可能となっているが、OEMかバッタもんか、今はかなり安いものが出ている。周波数特性を出してくれると、類似製品かどうか検討が着くが、純正と同じかどうかはわからない。
Blueetoothでもなくノイズキャンセラーなども付いていない、素のタイプは、手振れ低減機構のないデジカメみたいなものかもしれないが、試聴環境や目的が合えば、その方が良いと思っている。ある意味、もう何周も遅れて誰も使っていないかもしれない製品だが、あらためて、今使うとユニークなオーディオ装置だと感じる。しかも安価だ。
• いくつか使ってきたカナル型のイヤフォン(TRN ORCA、TRN MT5、KZ ZSN Pro X)はどれも、モニター型あるいは高音部の解像度重視タイプのものばかりだった。
KZ ZSN Pro X安いイヤフォンばかり使っているが、その中でも一番解像感、音質とも高い。
KZ EDX Liteやや低音強調型。
ただし、KZ EDX Liteは手持ちの中では低音が好みで、比較的自分には好みのバランスと感じた。それに加えて、以下の問題がある。
• インナーイヤー型は装着時による耳の形による聞こえ方の個人差が少なく、Appleの設計意図通りのスペックが出ている。
• 逆に、耳の形状からカナル型が完全にフィットできていない、或いは低音が逃げやすい形状になっている可能性がある。
私の場合は、密閉していても低音が抜けるパターンというやつで、イヤーチップを一番小さなサイズにしたら、相当低音の音圧が改善した。密着感があると思っていたのだが、音ぬけしていたようだ。以下の通り。
• イヤーチップが完全にフィットしていない(サイズが微妙に合っていない)
• 装着が浅い(本人はしっかり入れているつもりでも、わずかな隙間で低音が抜ける)
• カナル型のチューニングがフラット寄りで、そもそもラウドネス効果が少ないのがデフォで、低音の音圧が必ずしも強くない。
それでも、EarPods with Lightning Connectorの試聴感は、独特だったのだなと改めて確認できた。
今回試聴用音楽は、超が着く天才バイオリニスト。バイオリンはクラシック音楽の中ではピアノほど好んで試聴してこなかったが、この人の演奏には、度肝を抜かれて、以来、ファンである。とてつもなく気持ちの良い音だけが、自分に向かってまっすぐに響いてくる。こんなことがあるのかって思う。これを今は、騒がれることもないような平凡なインナーイヤーイヤフォンで聴いてみた。音漏れがしてしまうから、遠征中の宿やキャンプサイトなどでも、使わないようにしてきたが、とても彼女の世界に浸れた。バイオリニストとなると、ダビッド・オイストラフなども、好きだったことを思い出して再び試聴を始めた。
Windowsのメディアプレーヤーには、グラフィックイコライザーが内蔵されていて、とてもありがたい。そうでない場合は、デジタル音源→アナログ変換→アナログアンプでBass、Trebleコントロールできるし、ヘッドフォン出力も、金がかかっているから、カナル式でも視聴はそんなに問題ない。
Windowsの場合、メディアプレーヤーでCD音源などはPCを使ってデジタル音源として出す場合、内臓グラフィック・イコライザー機能が使えるので便利だ。 このアプリは、自動でCD蛮行に該当するアーティストの画像やアルバムのサムネイルが全く表示されない場合が多々あって、そうなるとぶよーんって何も表示されない画面が広がるいわゆるWindowsの昔からのソフトだねぇみたいな見てくれになるのが、少し玉に瑕。
また、アーティストのポートレイトなども、活動最後期のものを拾ってくることも少なくないので、活動が長いアーティストは、人気でも実力でも最強時代のアイコンでは表示されなかったりする。
画像サンプルはCamelの最強時代。大ヒットSnow Gooseをも丸ごと収めたライブ盤で、一曲目のNever Let Goから、震えた。インストルメンタル中心のプログレバンドだが、Never Let Goには夢の中を疾走するようななボーカル・パートがある。結果的にLPとCDの両方を手に入れている。邦題が『ライブ・ファンタジア』と銘打たれているのも、まったくその通りのアルバム。