
こんにちは。ココです。
注意欠如多動症(ADHD)で自閉スペクトラム症な息子の行動と会話から何かのヒントを綴っていく当ブログへようこそ。
夏の終わりのある日、とうとう私は「プチ家出」をしてしまいました。
誰だって傷つく
カウンセリングの場面では、よくこんな言葉を聞きます。
「子どもの暴言が耐えられない」
「何もかも捨てて、逃げ出したくなるんです…」
そんな時、私は「ああ、わかるよ~!!」なんて心の中で思いながら、
「それは当然の感情ですよ。親であっても人間です。まずはあなた自身の心を守ってくださいね」と答えています。
あるお母さんは、「息子に『お前なんかいなくなれ』って言われたんです」
と泣き出したりしました。
「そんな時はカウンセラーさんはどうするんですか?瞑想したりとか、こーいう職業の人って傷つかない手法を持っているんですよね?」
傷つかない手法なんてあったら私が知りたいくらいです。第一瞑想なんて、そんななまっちょろいもので回復するほど、発達障害児の育児は甘くありません。
「私だって母親です。家ではティッシュ抱えて布団にくるまっていますよ」
なんて笑って答える私。
いや、これはホント。ティッシュと飼っているうさぎちゃんを抱えて、布団をかぶっています。(うさぎちゃんは黙って撫でられながら、時々ペロペロしてくれます。)
でもこれで別に回復するわけではないんです。
ただ、時間が過ぎていくのを待っているだけ。ただ、泣きながら息をしているだけです。

時間を止めた、息子の一言
息子はただいま高校生。急に高度になった勉強に必死についていきながら、慣れない高校生活を頑張っている最中です。
小学校の中盤から中学校まで、支援級に在籍していた彼にとっては、「普通クラスの皆と足並み揃えて学校生活を送る」ことそれ自体がハードなのでしょう。
中学校3年生頃から遅ればせの反抗期にも入って、今まで鳴りを潜めていた暴言が時々出てくるようになっていた息子。
そんな彼が、その日も些細な事でかんしゃくを爆発させました。そして口調が強くなり、最後には、
「は?SHI ね!」
そう私に吐き捨てました。
胸の奥に沈んでいく言葉
その一瞬、私は時間が止まったように感じました。
怒りよりも、悲しみが先に来た。 そんな感じ。
それは小学校の暴言・自傷行為が激しかった頃に何度も何度も聞いていた言葉でしたが。
幼い気持ちでHELPを叫ぶように言っていた言葉と、高校生になってからのそれは、まるで響きが違って聞こえたように感じました。
本当に、もういなくなってもいいのかもしれない…。
そんな思いが、静かに胸の奥に沈んでいくようでした。
高校受験はどうにか乗り切ったのだし、息子は今、スマホも、2000円ほど入っている電子マネーも、時々学食で使えるようにと渡しておいた現金も持っている。
夫は今日は早く帰ると言っていたよね。8時頃には帰ってくるだろうし、明日は日曜日。夕飯は夫と一緒にどこかで食べてくることだってできる。
私は財布とスマホだけが入ったバッグをひっつかみ、もうそれ以上何も考えられなくなって、衝動的に家を出ました。
そして車に乗り込んで、海の方へと走り出したのです。

痛いものは痛い
運転している間ずっと、涙がぼろぼろと、とめどなく流れていきました。
はじめはスタバにでも行こうかと思っていましたが、もうなんだかそんな気にもなれず…。
海が見える公園の駐車場に車をとめると、泣いているのが見えないように後部座席へと移り、ひざ掛けを頭からかぶってまた泣き出しました。
外は小雨が降りだしていました。
カウンセラーとしての知識は、こんなとき、何の役にも立ちません。
「これは彼の特性によるもの」
「感情のコントロールが難しい時期」
そんな分析は、頭の片隅にあったけれど。心はただ、折れていました。
分析なんか、本当に意味がないよね…。
折れたら痛いんだよ。いくら母親だって、痛いものは痛いんだよ…。
雨音を聞くだけの時間
そんなとき、スマホの着信音がなりました。夫からのメールでした。
「大丈夫ですか?気の済むまで出かけてもいても良いですが、状況が分からず心配しています。私の落ち度もあるので、ごめんなさい」
本当はこのままどこかビジネスホテルにでも一泊しようかと思っていたのですが。(漫画喫茶のような賑やかな場所には居たくありませんでした。静かな場所で、ただベッドで横になってずっと泣いていたかったのです。)
夫の「私の落ち度もある」という言葉に、思い直しました。
別に夫の落ち度と言われる事はなかったのですが。
きっと最近の息子の態度に「ちょっとこれは…」と思っていたけれども、しっかりと諭すことを怠っていた。ということだろうと思います。
ココロは折れちゃったけど。痛いものは痛いけど。
「もう少し、雨音を聞いてから帰ります。うさぎちゃんにはごはんを2杯あげてください」
そうメールすると、私は後部座席に横になりました。目を閉じて、泣いて、鼻をかみながら(ここが美しくない…。。。)、夏の終わりの雨音をじっと聞いていました。

自閉症児は謝ることが難しいので…
夜も10時を過ぎたころ。家に戻ると、息子は不機嫌そうな顔のまま、ベッドで寝ていました。
謝ることもなく、心配してラインを送ってくるでもなく。いい気にいびきまでかいています。
帰って来た私を見て、夫は黙って抱っこしてくれました。息子が生まれてからは、あまりスキンシップのない私たちでしたが。
抱っこされたときに、ふと結婚式を思い出しました。若くて、笑い転げてばかりいたあの頃を想い出して…。
何だか急に「ま、こんな日もあるよね」なんて思えるようになって。気持ちを切り替えることができたのです。
それ以降も、謝罪の苦手な自閉症息子が謝ることはありませんでした。
それなのに都合のいい時だけは、甘えてくるのです。
「雨降ってるから車で学校まで送って」「お腹すいた」「Wi-Fi遅い」
まるで何事もなかったように。
まったく、高校生になっても学習しない生き物です、発達障害児って。
(ちなみにWi-Fiは私のせいじゃない。)
それでも空を見上げて
発達障害児の育児は、こんな風に何度も何度も心をくじかれます。
カウンセラーである私だって、例外じゃありません。
知識があっても、経験があっても。「母」としての私には、ただの「痛み」としてそれは降りかかってくるのです。
だから時々、現実逃避でアウトレットへ出向き、ショップの紙袋を3つも4つも抱えて帰ってきます。うさぎちゃんとベッドで冬眠ごっこをすることも(笑)。
そうやってまた、立ち上がっては空を見上げています。
だってそれしか、できないから。
今も、息子は時々暴言を吐きます。でもそれは、彼が一生懸命に生きている証拠。
また心が折れたら、今度こそビジネスホテルで一泊してやる。そう思いながら対処しています。
親も人間。完璧じゃなくていい。
少し離れて、少し戻って、また少し近づく。
そんな距離感で、これからも付き合っていこうと思っています。

まとめ
もし、今あなたの心が折れそうになっているのなら、どうか責めないでくださいね。
それはあなたが弱いのではなく、それだけ深く、あなたが子供と向き合っている証です。
逃げてもいい。泣いてもいい。私のように車の中で雨音を聞いてもいい。
そうしてまた、戻ってくればいいのです。
ティッシュをひと箱抱えながらアウトレットに出向いたり、Amazonのカートをパンパンにしながらでも。
プチ家出。それはそれで、立派なココロの処方箋なのですから。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
