
「一楽」と「獅門酒楼」は姉妹店ではないのだが、ランチメニューが微妙に似通うときがある。
たとえば今年9月のメニュー。
「獅門酒楼」で“穴子とセロリの辛し炒め”が出た翌週、「一楽」で“穴子のフリッター 薬味ソースがけ”が登場している。
逆に「一楽」で“真鯛とキノコの豆鼓蒸し”が出た同じ週に、今度は「獅門酒楼」で“宇和島産真鯛と春雨の四川蒸し”が出た。
そして先々週は、「一楽」の“アンコウの唐揚げ 薬味ソースがけ”に対し、「獅門酒楼」は“鮟鱇と白菜、春雨の炒め煮”だ。
さらにカレーの競演というのもあった。
「一楽」の週替わりランチに“豚バラ肉の中華風カレー丼”が出たら、「獅門酒楼」では食べることができなかったのだが、ミステリーランチに“カレー”が登場していたのだ。
さらに今週は“牡蠣”を使った日替わりランチが予定されている。
両店とも旬の素材を使っていたりするから、結果的に同じ食材が使われる可能性が高いのだろう。
さて、今日の話は“似たもの同士”がテーマではなく、“カレー”である。
先週の月曜日のことだ。
これが「一楽」の週替わりランチで出ていた“豚バラ肉の中華風カレー丼”。
分かりやすい料理なので想像していたとおりの姿であるが、ただご飯の白い部分が少し見えているのが気になった。
カレーライスの場合だと、お皿の深さがそれほどあるわけではないので、ご飯のおおよその分量はなんとなく把握できる。
したがって、上にかかっているカレーと、その下に隠れているライスの比率を考えながら、計画的に食べていくことができる。
そのカレーライスに対して、カレー丼は使っている容器が、底の深いドンブリ。
縁に近いところでは、ご飯の層が薄く、中心部に向かうにしたがい、その層は厚くなっていく。
見ただけではライスの分量が想像できないのである。
しかも、ご飯を覆うカレーも、その層の厚さは不明だ。
だからカレー丼の食べ方は難しい。
端の方から少しずつカレーとご飯を崩しながら食べていく。
こうして周辺部を完了した段階で、ご飯とカレーのおおよその残量を把握する。
当然、真ん中に近づくほど、カレーに対するご飯の分量が多くなり、ここからカレー丼の遣り繰り算段が始まるのだ。
ドンブリの中心部地下に隠れているご飯を発掘し、周辺のカレー&ライスと混ぜ合わせて食べる。
こうしてカレーを節約しながら後半戦に突入していくと、このあたりでご飯の残量に対しカレーが少ないという事態に気づく。
しかし、時すでに遅し、だ。
途中、漬物やスープでご飯を食べるなんていう、まるで「弾丸の足りなくなった日本軍が銃剣を構えて敵陣に突っ込む」ような戦法をとらざるを得ない。
最後は残った白飯を、ドンブリの肌にへばり付いているカレー汁の残滓で味わって完了……
カレー丼には、そんなイメージがある。
以上はカレー丼に対する一般論だが、ここからは今回わたしが「一楽」で食べた豚バラ肉の中華風カレー丼の話だ。
いつものようにドンブリの縁に近い部分から食べ始め、途中、ご飯の残量などを確認していると、社長&奥方から「カレー、足りますか?」と訊かれた。
この日は月曜日。新しい週替わりランチが初めて登場する日だ。しかも、あとで聞いたら私が初日の注文客第1号だったらしい。
そのためお店の方でもカレールーとご飯の比率を気にしていたのかもしれない。
「う~ん、ちょっとカレーが足りないかな……」。
そうなんです、あとスプーンに5,6杯分のカレーがあれば、その比率は完璧になったのだ。
すると女将さんが「じゃあ、もう少しカレーを貰ってきましょう」といって厨房に声をかけてくれた。
しばらくして運ばれてきたカレーを見てビックリ!
ドンブリになみなみとカレーが注がれているのであった。
これでは今度はご飯が足りなくなる。それを見ていた社長が、
「ご飯、入れる?」
これじゃあ、2食分になってしまうよ。減量中の身ゆえライスの追加は遠慮して、最後はカレーの比率の多すぎるカレー丼として〆させていただいた。
ありがとうございました。
先ほども書いたように、私は週替わり初日の注文第1号客となったわけであるが、こうして最初のお客さんの反応を見ながら金曜日にかけて微妙に調整していくのが、週替わりランチの利点というか、特色なのだ。
ピリ辛料理も同じ。常連客が「辛くねぇ~」なんて言っていると、翌日はもう少し辛くなっていたりする。
そうして金曜日には激辛になっていたり……そこまでは変化しないか。
つまり、だんだん進化する週替わりランチというわけだ。
さて、「一楽」でカレー丼を食べたあと、中華街パーキングでトイレを借りて用を済ませ、同發の菓子工場前まで来たとき、ふと、カレーライス食べ放題のことを思い出した。
トイレで出した物からの連想ではなく、この菓子工場の前にサテライトホテルというのがあったなぁ……そうそう、ここでよくランチを食べたっけ、という記憶の流れから思い出したのだ。
1階にレストランがあり、昼どきには「お代わり自由のカレーランチ」というのをやっていた。
カレーは確か2種類ぐらいだったかな、ズンドウに入っていてかけ放題だったので、ご飯とカレーの比率を気にすることなく食べることができた。
まだ若かった私たちは、いつも2皿分は食べていた。当然、翌日からしばらくは、もうカレーを見るのもいや、という状態になるのだが、それでも毎月、3回くらいは食べに行っていた。
このホテルは阪神タイガースや中日ドラゴンズの常宿で、運が良ければ有名選手を間近に見ることができた。
そんなホテルだったのだが10数年前に廃業。今は高層マンションになっている。
そういえば、ここから山下橋を渡って新山下の方に行った住宅街の中に、彼らの御用達のクリーニング店も。こちらは今でも健在だ。
そして、広島カープの選手たちがよく飲み食いしに行っていたのが、中華街にあった広島焼きの「いしばし」だ。残念ながらこっちは閉店してしまった。
そんなこんなで、カレー丼からいろいろなことを思い出した次第。