優しいおばさんのいる「新楽」にて五目ソバを啜る

 西門通りにある「福養軒」のおばさんと1,2を争う愛想の良さ。

 それが、ここ「新楽」の特徴だ。

 いつ行っても、誰が行っても、にこやかに優しい応対をしてくれるので、近隣の会社員や現場作業者などの御用達になっている気がする。
 地味な店頭だし、派手な宣伝はしないし、呼び込みもしないから、観光客は滅多に訪れないのではないだろうか。
 ま、私は休日の様子をあまり見たことがないので、その辺は不確かであるがね…

 先月の末、久々に「新楽」を訪ねた。
 注文したのは五目ソバだ。ここでは初めて食べるメニューかもしれない。

 ざっと見ただけで、いろいろな具材が入っていることが分かる。
 白菜、ニンジン、キクラゲ、小松菜、豚肉、タケノコ、ネギ……

 あれ? 海鮮系が見当たらない……



 と思ったら、下の方からさらにエビとイカが出てきた。

 具材はちょうどいい感じに炒められているし、なんといってもスープがウマイ!


 使用しているのはストレートの細麺。
 もしかしたら「東成軒」のものだろうか。

 全体的に良質な五目ソバであったが、食後の満足感は、なんといってもおばさんの接客の良さによる部分が大きい。
 サービスランチはやっていないのだが、ときどき行きたくなる店である。


 ところで、これは20年前の1995年に発行された『横浜中華街 満腹ガイド』という本。

 その109ページに、こんなことが書かれている。

 最近、≪食べ放題の店≫を看板にする店が横浜中華街にもちらほらと目立ってきた…

 この頃から出てきたんだねぇ。今や大通りにも、横丁の路地にも、あちこちで食べ放題店を見ることができ、隔世の感がある。
 それだけ横浜中華街は変ってきたのだが……


 ほとんど変化のない店もある。
 それが「新楽」だ。

 20年前、名物の高菜ソバは700円だったのだが、なんとそれが今でも同じ値段で出ている!!
 
 すごいことだよね、これって。

 以前、関内桜通りに、婆さんが一人で切り盛りしている「福三」というお店があった。
 ランチメニューは刺身定食のみ。
 その姿はというと、マグロの刺身に大根の漬けもの、そして木のお椀に入った味噌汁。さらに、マグロの血合いを煮たのが壺に入っていて、これは皆で自由に食べられるというものだった。

 そうそう、ご飯は麦入り!
 これで500円だったのだが、すごいのは消費税導入前から閉店するまで、ずっとこの値段でやってきたことだ。
 気概のあるお婆さんで、「消費税導入には反対。だからずっとこの値段でやっていくの」とおっしゃっていたのが印象的だった。

 頻繁に中華街ランチに行くようになる前の時代だったので、私は週2回は通っていた。そうするとお婆さんとも親しくなり、時には夜のメニューとなる野菜の煮物とかをサービスでいただくようになった。

 あれも美味しかったなぁ。

 こういう店がだんだん消えていくのかな…… 


 最後に「新楽」で食べたものを少しだけ

 高菜そば(2007.5.21)
 炒め餅(2012.1.7)
 ネンガオ(2013.2.13)
 冷やし中華(2013.8.21)