fc2ブログ

choroねえさんの「シネマ&ステージノート」

映画と観劇感想中心のメモブログです♪Yahoo時代の過去記事で勝手に文章がおかしくなっているところとリンクが切れているところがあります

TOP >  2024~2025年 公開映画 >  映画「ピアノフォルテ」(2023)

映画「ピアノフォルテ」(2023)

ピアノフォルテ


11月は何だかバタバタと忙しく全くブログに向き合う余裕がありませんでした。

あっという間に師走になり、今年も残すところ1か月ですが、映画は本作以来劇場では観られていないものの、舞台の方は数本観ているので、また後日感想を書きたいと思います。

 

さて、秋に観たこちらの映画もちょっとマニャックなドキュメンタリーですが、クラシックピアノが好きな方なら注目の5年ごとのショパンコンクールが今年の秋にありました。

このドキュメンタリーは前回2021年「第18回ショパン国際ピアノコンクール」のルポですが、前回はコロナ禍で1年延びたんですよね。従って今年のコンクールはいつもより一年短いスパンで開催されたので、準備をする方は大変だったと思います。

 

本映画は、ポーランド本国では2023年の公開だったようですが、日本ではコンクールに合わせた今年の秋の公開となりました。

 

ピアノコンクールの映画というと、ドキュメンタリーではなく小説原作ですが「蜜蜂と遠雷」を思い出します。こちらは日本のコンクールで主に日本人が主要人物になっていますが、やはりそれぞれの環境、立場の違いによる苦悩などに加え、コンクールというものの過酷な精神力が痛いほど伝わってきました。

ピアニストに限らず、スポーツやほかの芸術などどのジャンルでも本当に一流の方の努力や苦悩などは我々凡人には計り知れないものがありますが、あらためて本作のようなドキュメンタリーとして伝えられるとただただ尊敬の念しかありません。

 

2021年のコロナ禍でのコンクールから全世界に予選から本選まですべての演奏が生配信されるようになり、一気に注目度が増したように思います。それまでは、私も毎回気になりつつも、生配信などありませんでしたから、結果だけ聞いて、気になる入賞者の来日公演だけ時折足を運ぶくらいでしたが、2021年は在宅時間が長かったこともあり、ほぼ全部配信を観たような・・・(笑)

ショパンは大好きなので飽きることなく、家に居ながらにして全ての演奏が聴けるという贅沢さは現代ならではだなぁと思います。

 

そんな前回のコンテスタントの中から、主に6名に絞ってコンクール前から各国の自宅にまでカメラが入り、コンクール中もずっと追っているのには驚きました。

この映画を観て何より感じたのは「お国柄」!

同じコンクールを受けているのに、ここまで環境やそれぞれの国の性格とかが違うのかと思うと、それはわかっていたつもりでしたが新たな発見も多かったです。演奏中以外のオフでの過ごし方や先生たちの接し方なども全く違って、ちょっと衝撃的でした。

 

ルポされている6名の中に日本人はいませんでしたが、母国の内訳は

イタリア人3名、ロシア人1名、中国人1名、ポーランド人1名

でした。

 

同じコンクール中でもとにかく過ごし方がそれぞれ全く違って、やはりイタリアの方は陽気?(笑)

夜はワインを飲んでストレスを緩和させ、仲間でわいわいととても楽しそう。比較的年代もコンテスタントの中では平均より上の方が多いせいもあり、落ち着いているというか(もちろんご本人の内面はわかりませんが)いかにも太陽の国の人々だなと思いました。

 

真逆に感じたのが、ロシアのまだ10代の少女エヴァ・ゲヴォルギャン。まずは先生が怖い!(笑) 相当な精神力の持ち主でないと着いていけないのではと思えるほど厳しい先生でしたが、それは愛があってのことというのはラストにわかりました。ロシアや中国など共産圏の国はオリンピックでもそうですが国を背負って参加している感じなので、我々民主主義国家の者にはわからない、ものすごいプレッシャーがあるのは想像できます。昔からそうでしたものね。

 

プレッシャーと言えば、この「ショパンコンクール」に関してはポーランドのコンテスタントも同じように思います。私が若い頃に優勝したツィメルマンは当時(1975年)20年ぶりの優勝だったそうですが、次に優勝したポーランド人ピアニストは30年後(2005年)のブレハッチ。またそれから20年経っているんですよね。

 

国際コンクールですからもちろんショパンだからと言ってポーランド人ばかりが優勝することはないわけですが、もし日本で日本人作曲家を演奏するコンクールがあり、なかなか日本人が優勝できなかったら、やはりそれはそれで悔しいというか、複雑な思いを感じると思うので、このコンクールへのポーランド人ピアニストの思い入れやプレッシャーは容易にわかるような気がします。

 

この映画に出ているポーランド人のマルティン・ヴィエチョレクも体調を崩し2次を棄権することになり本当に残念でしたが、やはりそのプレッシャーの強さはほかの人にはないものを感じました。

 

今年の第19回コンクールでは最初の第1次予選から半数くらいが中国系というものすごい勢いを感じた中国勢でしたが、映画では今年も参加したラオ・ハオという若い青年がルポされています。彼の中国の実家の映像もありましたが、団地のようなところでピアノはアップライトというのも驚きでした。彼自身もとても優秀で普通の学校の難しい試験を受けながら練習したり、あの広い中国を感じさせられたのはレッスンに何時間もかけて列車を乗り継いで行くとか、女性の先生が母親のごとくつきっきりで指導や世話を焼くのにも驚きました。本当に先生と生徒の二人三脚なんですね。

この前回のコンクールではファイナルまで残りますし、やはり人口があれだけの国ですから、若い才能もたくさん溢れているのでしょう。ラオは今年のコンクールでは残念ながら2次で去ってしまいましたが、まだ現在21歳という若さなので、この映画の時は18歳!ロシアのエヴァと共に恐るべし若者でした。

 

ルポされている6人のうち、4人がファイナルに進出していますが、最初からこの6人だけをルポしていたのかもう少し多くの人を撮って最終的に選んだのかはわかりません。私個人的には反田恭平と共に2位になったアレクサンダー・ガジェヴ1次予選の時から音が好きで注目していたので、コンクール直後の日本でのリサイタルにも足を運んで聴いています。映画の中で肩の力を抜いて友人らと陽気にワインを楽しむ姿は、彼の繊細な音作りの演奏からするとちょっと意外な感じがしましたが、上手く精神的なバランスが取れる方なのかなと思いました。

 

この映画はあえて、優勝者のブルース・リー(少し出てきますが)やほかの本選入賞者だけにスポットを当てるのではなく、いろいろな視点から選んだコンテスタントの実像を撮っているのはすごいですね。あの過酷なコンクール中にカメラを回すのは大変なことだったと思いますし、また登場するピアニストたちも本当に大変だったと思いますが、よくぞドキュメンタリー映画としてまとめられていると思いました。

 

日本人ピアニストが入っていないのは返って自分的にはよかったかもしれません。やはり日本人には肩入れしたくなりますから(笑)あまり辛そうな姿や裏側は見たくないと言えばそうなのかも。

 

毎回、特にショパンコンクールに関してはいろいろと報道もされますし、本編にも出てきたピアノメーカーの闘いとか、裏方さんやピアニストの周りの人の闘いも含めて、人間の素晴らしさを改めて感じさせてくれる一作でした。

スポーツの話もよくありますが、私にとってはピアノに関する話は最も興味を惹かれるものなので、劇場で観られてよかったです。

 

今年の第19回コンクールは当然ながら記憶に新しく、私も1月のガラコンサートには足を運ぶ予定ですが、今回は日本人は4位に桑原志織さんが入られ、優勝は中国系アメリカ人のエリック・ルーさん、ほか、8名の入賞者のうち、中国人が2名、そのほか中国系の方が大半を占めるという驚きの結果でした。

別にピアノコンクールはショパンだけではないので、特別どうこうとは思いませんが、やはり全世界生配信の影響力は大きいような気がします。

ほかのコンクールもせめて本選だけでも配信してくれると、もっと面白くなるのではと思いますが、なかなか難しそうですね。

 

原題:PIANOFORTE
ジャンル:ドキュメンタリー/音楽
製作国:ポーランド  
Color  89
初公開日: 2025/09/26  
公開情報:コピアポア・フィルム  
映倫:G
  
監督:ヤクブ・ピョンテク
製作:マチェイ・クビツキ
 
出演:
アレクサンダー・ガジェヴ(イタリア/スロねヴェニア)
レオノーラ・アルメリーニ(イタリア)
エヴァ・ゲヴォルギャン(ロシア/アルメニア)
ラオ・ハオ(中国)
ミシェル・カンドッティ(イタリア)
マルチン・ヴィエチョレク(ポーランド)
 
【解説】
多くの世界的ピアニストを輩出してきた、世界最古かつ最高峰の舞台であるショパン国際ピアノコンクールに挑む若きピアニストたちに迫ったドキュメンタリー。
ショパンの出身国であるポーランドの首都ワルシャワで、5年に1度開催されているショパン国際ピアノコンクール。出場するだけで名誉なことで、入賞すればその後の成功が約束されるとあり、世界中の若きピアニストたちがその頂点を目指し切磋琢磨している。
本作では、反田恭平さんと小林愛実さんという2人の日本人が入賞を果たした2021年・第18回大会の舞台裏を追い、コロナ禍で1年延期となった大会に臨む6人の出場者を取材。審査は1次から本選まで全4回、21日間にわたって行われる。ポーランド、ロシア、中国、イタリアなど国籍も育った環境も異なる6人が、それぞれ葛藤や苦悩を抱えながらも全身全霊をかけて競技に挑む姿を、臨場感たっぷりに映し出す。
(以上解説は 映画.comより)
関連記事

コメント






管理者にだけ表示を許可