【第23回】アーレントが教えてくれる「悪の凡庸さ」 -なぜ普通の人が悪に加担してしまうのか-
SNSで炎上騒ぎが起きたとき、「みんながやってるから」と批判の輪に加わってしまったことはありませんか。学校で誰かがいじめられているとき、止められずに見て見ぬふりをしてしまったことはありませんか。
私たちは普段、自分を「悪い人間」だとは思っていません。でも時として、結果的に誰かを深く傷つけてしまうことがあります。なぜ「普通の人」が「悪い結果」を生んでしまうのでしょうか。
この疑問に深い洞察を与えてくれるのが、20世紀の政治哲学者ハンナ・アーレント(1906年-1975年)が提唱した「悪の凡庸さ」という概念です。
この記事では、アーレントの人生と思想を紹介し、「悪の凡庸さ」とは何かを分かりやすく解説します。そして身近な思考実験を通して、この概念が現代の私たちにどのような意味を持つのかを一緒に考えていきましょう。内容は以下の通りです。
[内容]
■激動の時代を生きた哲学者アーレント
■アイヒマン裁判が明かした「悪の凡庸さ」
■現代に問いかける物語ー思考停止の危険性ー
■思考することの責任ー悪に抗うためにー
【第22回】生まれる前に社会のルールを決められるとしたら? - ロールズと「無知のヴェール」
突然ですが、こんなことを考えたことはありませんか?
なんで世の中ってこんなに不公平なんだろう。
生まれた家庭によって教育の機会が違ったり、才能や容姿によって人生が大きく左右されたりします。学校でも「あの子はお金持ちの家の子だからいいよね」とか「運動神経がいい人ばっかり優遇されて不公平だ」なんて思ったことがあるのではないでしょうか。
しかし、もしもみなさんが「これから生まれてくる社会のルール」を決める権限を与えられたとしたら、どんな社会を作りますか。ただし、1つだけ条件があります。
みなさん自身が、その社会でどんな立場に生まれるかは分からないということです。お金持ちの家かもしれませんし、貧しい家かもしれません。天才かもしれませんし、勉強が苦手かもしれません。健康かもしれませんし、何らかの障害があるかもしれません。
この思考実験こそが、20世紀最大の政治哲学者のひとり、ジョン・ロールズ(1921年-2002年)が考えた「無知のヴェール」です。内容は以下の通りです。
[内容]
■正義を追求した哲学者ロールズ
■「無知のヴェール」で見つける本当の公正さ
■新しい高校の校則を決める日
■あなたも「公正な社会」の設計者になれる
【第21回】「本当に役立つの?」から始まる哲学 - 「プラグマティズム」と私たちの生活
理論は美しいけど、実際はどうなの?それって本当に意味があるの?そんな疑問を抱いたことはありませんか。
私たちは日々、無数の選択肢に囲まれています。どの勉強法が効果的なのか、どのアプリが本当に便利なのか、どの考え方が自分の人生を豊かにしてくれるのか。そんなとき、頭の中で響くのは「それって実際に使えるのか」という声ではないでしょうか。
実は、この素朴な疑問こそが、150年以上前にアメリカで生まれた哲学「プラグマティズム」の核心なのです。複雑な理論や抽象的な議論よりも、「実際に効果があるかどうか」を何よりも重視する。この考え方が、なぜ今の時代にこそ必要なのか、そしてどのように私たちの人生を変えてくれるのかを探ってみましょう。
この考え方は実際に役立つのか。 日常でよく使うこの問いかけが、実は深い哲学の核心だったりします。「プラグマティズム」は、複雑な理論よりも「実際に効果があるかどうか」を重視するアメリカ生まれの哲学です。
この記事では、私たちの日常感覚に近いこの哲学と、それを築いた3人の思想家の考え方を紹介します。内容は以下の通りです。
[内容]
■「プラグマティズム」とは何か - 「役に立つ」を重視する哲学-
■ジェームズ - 実用的真理を提唱した心理学者-
■デューイ - 体験学習を重視した教育者-
■日常生活に活かす科学的思考法 - 仮説・実験・検証のサイクル-
■「プラグマティズム」と現代の私たち
【第20回】「選ばないという選択」も責任が伴う?-サルトルに学ぶ自由の本当の意味
スマートフォンを開けば、無数の選択肢が私たちを待っています。どの投稿に「いいね!」を押すか、どんな写真をアップするか、どのインフルエンサーをフォローするか。便利で楽しいSNSの世界ですが、実は私たちは「みんなと同じ」を選ぶことで、本当の選択から逃げているのかもしれません。
「バズる投稿をしたい」や「フォロワー数を増やしたい」などの気持ちで選択していると、いつの間にか「自分らしさ」を見失ってしまうことはないでしょうか。戦後のフランスで「自分で選び、責任を持つ」ことの重要性を説いたフランスの哲学者サルトル(1905年-1980年)の思想は、情報にあふれる現代だからこそ、私たちにとって大切なヒントになるはずです。
選択しないことを選ぶことも、ひとつの選択である。友だちに流されて決めた進路、周りと同じだから選んだ部活、そんな経験はありませんか。サルトルは「人間は自由だ」と言いました。
しかし彼の言う自由は楽しいものではなく、むしろ「刑罰」のようなものです。なぜなら、私たちは常に選択を迫られ、その責任を背負わなければならないからです。将来の選択に悩むみなさんにとって、サルトルの考え方は自分の生き方を見つめ直すヒントになるかもしれません。内容は以下の通りです。
[内容]
■人生に正解なんてない!サルトルってどんな人?
■自由って実は重い?毎日が選択の連続
■「誰かが決めて」は通用しない!選択から逃げられない理由
■SNSに流されてない?本当の「自分らしさ」を見つける方法
【第19回】「いいね」に縛られない生き方って?-ニーチェが教える「本物の自分」の見つけ方-
現代社会では、SNSの「いいね」の数に一喜一憂し、周囲の期待に応えることに疲れ、「本当の自分って何だろう」と悩む人が少なくありません。就職活動では「自分らしさをアピールして」と言われるものの、その「自分らしさ」が何なのか分からない。そんな迷いの中で生きる私たちに、19世紀の哲学者ニーチェ(1844年-1900年)の思想が新たな視点を提供してくれます。
他人の価値観に振り回されることなく、自分だけの人生の意味を見つけ出す。それこそが真の「自分らしさ」なのではないでしょうか。
「自分らしく生きる」とよく言われますが、それって本当はどういうことなのでしょうか。誰かの期待に応えるのではなく、自分だけの価値観を創り出せる人、それがニーチェの言う「超人」なのかもしれません。
19世紀の哲学者が語った「超人思想」は、SNSや評価に振り回される現代にこそ、新しい生き方のヒントを与えてくれます。内容は以下の通りです。
[内容]
■「神は死んだ」と宣言した哲学者ー「みんなと同じ」に疑問を持ったニーチェの生き方-
■「超人」って何?ー 他人に合わせない、自分だけの生き方-
■あなたならどうする?- 能力アップと友情、どちらを選ぶか-
■SNSに疲れた現代人へーニーチェが教える「本当の自分」の見つけ方-
【第18回】何でも売買できる社会って本当に自由? - マルクスが教える経済のしくみ-
私たちは毎日、当たり前のように「買い物」をしています。コンビニで飲み物を買い、ネットで服を注文し、音楽や動画を月額料金で楽しむ。しかし、考えてみてください。昔の人たちは、こんなふうに何でもお金で買えるような生活をしていたでしょうか。実は、今の「何でもお金で買える」社会は、人類の長い歴史の中でも珍しい社会なのです。
現代では、モノだけでなく、サービスも、情報も、時には人とのつながりまでもが「商品」として売り買いされています。SNSでは「いいね」の数で人気が決まり、マッチングアプリでは恋人探しもお金を払って利用するサービスになっています。こんな社会で、私たちは本当に「自由」に生きていると言えるのでしょうか。
スマホの価格は約10万円です。でも、実際に作った人の賃金はいくらでしょうか。残りのお金はどこへ行くのでしょうか。友人関係でさえ「フォロワー数」で測られる現代社会。あなたの周りで「お金で買えないもの」はありますか。
19世紀の思想家カマルクス(1818年-1883年)は、資本主義社会を「すべてのものが商品になる社会」と分析しました。彼の「労働価値説」は、現代の経済格差やAI時代の労働問題を考える上でも重要な視点を提供します。
この記事では、マルクスの思想の核心に迫り、私たちの生きる社会のしくみを新たな視点から見つめ直します。内容は以下の通りです。
[内容]
■マルクス-資本主義を批判した思想家-
■「労働価値説」-商品の価値は労働で決まる-
■思考実験ー何でも売買していいの?-
■「何でも商品」の社会を超えて
【第17回】「最大多数の最大幸福」を目指せ!-「功利主義」で考える正しい選択とは?-
もしあなたが医師で、特効薬が3つしかないのに患者が10人いたら、誰を救いますか。実際にコロナが流行したとき、病院では人工呼吸器が足りなくなって、医師たちがこんな辛い選択をしなければいけませんでした。また、将来実用化される自動運転車では、事故が起きそうなとき「歩行者を守るか、運転手を守るか」をコンピューターが瞬時に判断する必要があります。こうした「誰を優先すべきか」という問題は、現代社会でますます重要になっています。
このような難しい選択をするとき、役に立つ考え方のひとつが「功利主義」です。これは約250年前に生まれた考え方ですが、今でも病院での治療方針や政府の政策を決めるときに使われています。最近では、AIやロボットが人間の代わりに判断する場面が増えているため、「最大多数の最大幸福」という「功利主義」の考え方を知ることがとても大切になってきました。
これは正しいことだろうか。どうすれば1番よい結果になるだろうか。私たちは日々、様々な選択に直面します。そんなとき、最も多くの人が幸せになる選択が最善であると考えるのが「功利主義」の立場です。
シンプルながらも奥深い「功利主義」の考え方は、現代社会の多くの場面で活用されています。ベンサム(1748年-1832年)からJ.S.ミル(1806年-1873年)へと発展した思想の歴史をたどりながら、「幸福の最大化」について一緒に考えてみましょう。内容は以下の通りです。
[内容]
■「功利主義」って何?-最大多数の最大幸福を目指す考え方-
■ベンサム -「快楽計算」で幸福を数値化した哲学者-
■J.S.ミル -量より質を重視した功利主義の発展-
■特効薬と10人の患者-誰を救うべきか?-
■現代社会で活かす「功利主義」-私たちの選択が世界を変える-






