グッドパッチの未来
- 更新日
- 2025.12.19
- 読了時間の目安
- 約 7 分
※この記事は代表・土屋のメッセージをそのまま掲載しています。
採用のウェブサイトを作るにあたって、人事から「グッドパッチの未来」というコンテンツを作りたいと言われた。
最初はAIで文章を生成してみたが、どうもしっくりこず、やはりこういうページは、社長が直接書いた方が良いだろうということで結局この文章は私、土屋が書いている。
社内でもかなり大量の文章を書いてきているが、平日には書く時間が取れないので、大体日曜の夜中にこうして文章を書くはめになる。
こんな生活を、起業した28歳の頃から10年以上続けている。
未来は予測できない。だからこそ、行動で近づけるしかない
未来について語るとき、いつも時間軸に迷う。
求職者の方からも、面接でよく「会社の未来」について聞かれるが、私はまず「10年先のことは分からない」と答えている。
今の時代に、10年先の未来を正確に予測できる人などいない。
10年前を振り返っても、まさかコロナが世界を一変させるとは誰も予測していなかったし、AIがこれほどのスピードで社会や仕事を変えていくことも、現実的には想像できていなかった。
……いや、AIについては、正直に言えば「予測できたかもしれない」。
10年前に、もっと真剣に向き合っておけばよかったとも思っている。
私は性格上、見えてもいない未来を断定的に語るのは無責任だと感じてしまう。
だからこれまで、大きな絵空事のような未来像を語ってきたことはほとんどない。
しかも現代は、数カ月でサービスやスキルの価値が、LLMのアップデートによって一気に無価値になることすらある、非常に厳しい時代だ。
未来予測は、ますます難しくなっている。
だからといって、未来について何も語らないわけにもいかない。
経営者である以上、メンバーや求職者に不安を与えない程度に、自分が今、どんな視界を見ているのかは、正直に伝えるようにしている。

グッドパッチが向き合っている、時代の変化
今、私たちの目の前で起きている変化は、おそらく未来から振り返ったとき、産業の歴史に残るような大きな転換点になるだろう。
私が生きてきた約40年の中でも、パソコンの普及、インターネットの普及、スマートフォンの普及といった大きな波があった。
その次に来るインパクトが、AI(LLM)の普及だと思っている。
これは一部の仕事が変わるという話ではない。
あらゆるホワイトカラーの仕事のあり方が変わる可能性がある。
当然、私たちがいるデザイン業界、そしてデザイナーの仕事も例外ではない。
「作る」という行為のハードルは明らかに下がり、一般的なデザイナーという仕事の定義そのものが変わっていくだろう。
少し前に、LLMの性能が明らかにティッピング・ポイントを超えそうだと感じたとき、 私は社内にこう伝えた。
「我々グッドパッチは、常に変化の最前線にいよう。変化を楽しもう。」
様子見をしたり、変化に及び腰になるのではなく、少なくともデザイン業界の中では、誰よりも早く変化に向き合う組織でありたい。
それが、私がメンバーに伝えたメッセージだ。

デザイン市場のリーダーとして、次の挑戦へ
FY2026に入るにあたり、私たちは「AI Driven Design Company」というポジションを戦略的に掲げた。
まだデザイン業界の中で、AIに対する明確な方針を打ち出している会社は多くない。
だからこそ、変化に前向きに取り組み、AI×デザインで、経営や事業に本質的なインパクトを出すことに、先陣を切って挑戦したい。
その一つの取り組みとして、AIデザインツール「Layermate」を買収した。
これからAI×デザインで新しい体験価値をつくっていく。
グッドパッチは、日本では珍しい上場しているデザイン会社であり、組織規模も、デザイン業界の中では最大級の部類に入る。だからこそ、自社の成長だけでなく、デザイン産業全体の価値をどう前に進めるかという問いから逃げずにいたい。
デザイン会社の枠を超えていく
ここからの未来において、グッドパッチはこれまで以上に、デザイン以外のビジネスにも確実に挑戦していく。
クライアントワーク型のビジネスモデルは、グッドパッチの重要な基盤であり、今後も中核であり続ける。
一方で、そのモデルだけに依存し続けることが、未来に対して最適な選択だとも思っていない。
だからこそ私たちは、クライアントワークからの拡張を常に模索している。
デザインという強みを起点に、別の事業領域で新たな事業をつくる。
ときにはM&Aによって、領域そのものを広げていく。
それは「デザインを捨てる」という話ではない。
デザインを、より大きな文脈で使うという選択だ。
その結果として、これからのグッドパッチでは、デザイナー以外の人材が、今まで以上に必要になる。
今回の採用サイトを、デザイナーだけに届くような作りにしていないのは、まさにその意思の表れでもある。
他社がしないことを選び続けてきた
こうした選択は、突然始まったものではない。
15年のグッドパッチの歴史を振り返ると、私たちは一貫して「他社がやらないこと」「業界の常識から外れること」を選んできた。
それは、時代が変わっても変わらない、グッドパッチの特性だと思っている。
例えば、
- 多くのデザイン会社が広告やグラフィック、ウェブサイトに力を入れていた時代に、スマートフォンアプリのUIにフォーカスする
- 資金潤沢ではなかったスタートアップ企業を、重要な支援対象の一つにする
- デザイン会社でありながらVCから出資を受け、規模の大きなビジネスを志向する
- デザイン会社でありながら新規事業を開発し、自らプロダクトやサービスを運営する
- 日本初のデザイン会社としての上場を実現する
- デザイン会社でありながらビジネス人材を積極的に登用し、アウトカムに拘ったサービスを提供する
どれも当時の日本のデザイン業界の常識からすれば、デザイン会社が取らない選択肢ばかりを取ってきた。
私はピーター・ティール氏が言っていた
「多くの人が見落としていて自分だけが見えている隠れた真実は何か」
という問いが好きだ。デザイン業界で他社がやらないことにこそ、真実があると思いやってきた。
一見すると不合理に見える挑戦こそが、 長期的な競争優位を生む。
この姿勢は、今後も変わらない。
その延長線上に、今の選択がある。
グッドパッチで育てたいHumanity(人間性/人間力)
AIによってあらゆるスキルが陳腐化していく時代に、グッドパッチのメンバーが長期的に磨くべきものは、Humanity(人間性/人間力)だと伝えている。
そして、時代が変わっても残る、デザイナーの本質的な価値として、以下の5つを社内で共有している。


Humanityがなければ、どれも成立しない。
だからこそ、これらの力を育てる環境と機会を、これからも提供し続けたいと思っている。
グッドパッチの未来は、完成していない
大前提として、私たちが求めているのは「出来上がった船に乗る人」ではなく、「前進するために船のオールを一緒に漕ぐ人」だ。
グッドパッチの未来は、まだ完成していない。
むしろ、意図的に完成させていない。
正解の未来をあらかじめ用意するよりも、変化が起きたときに、問い直し、考え直し、選び直せる組織でありたい。
グッドパッチは、誰かが決めた未来をなぞる会社ではない。
まだ名前のない価値を、ゼロから考え続ける会社でありたい。
変化を不安としてではなく、「面白い」と前向きに捉えられる人と、この先の航海を一緒にしたい。グッドパッチは、完成された場所ではない。
だからこそ、関わる一人ひとりの意思によって、未来の形が少しずつ変わっていく。