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20年間のナレッジが蓄積された法律相談データベースの活用法とは?|東急不動産株式会社

さまざまな事業活動を通じて持続可能な社会の実現と環境課題に取り組んでいる東急不動産ホールディングス。その中核企業である東急不動産は、1953年に設立以降、理想のまちづくりを目指して住宅、都市、インフラ、ウェルネス、海外など多種多様な事業を展開しています。

東急不動産ホールディングスでは、長期経営方針「GROUP VISION2030」において「環境経営」と「DX」を全社方針として掲げ、事業活動を通じて社会課題を解決し、ステークホルダーとともにサステナブルな社会と成長をめざしており、当該方針に則り東急不動産でも不動産業の枠を超えた挑戦を続けています。そんな東急不動産を支える法務部は一体どんなところなのか。法務部法務グループの土手弥生さん、杉山侑惟さん、小笠原廉さんにお話を伺いました。

土手 弥生 氏
法務部法務グループB グループリーダー 2010年弁護士登録(63期)。法律事務所での勤務を経て、2013年5月に東急不動産株式会社に入社。グループ各社および当社内の法律相談、規制法関連対応、訴訟支援、国内M&A支援、社内研修の企画・運営等を行っており、2021年4月からグループリーダー職を担当。

杉山 侑惟 氏
法務部法務グループB 2017年弁護士登録(70期)。法律事務所での勤務を経て、2020年10月に東急不動産株式会社に入社。グループ各社および当社内の法律相談、金商法、個人情報保護法、下請法対応、株主総会・取締役会対応等を担当。

小笠原 廉 氏
法務部法務グループB IT系企業での法務部の勤務を経て、2022年11月に東急不動産株式会社に入社。グループ各社および当社内の法律相談、訴訟支援、株主総会対応、部内DX推進等を担当。

弁護士8名を含む法務部

——東急不動産の社風についてお聞かせください。

土手氏:当社では、企業理念に「挑戦するDNA」を掲げており、当社が目指す社員像を、高い視座と広い視野を持ち、自ら挑戦する「事業プロデューサー」としています。また、「事業プロデューサー」としての社員の育成を支えるため、OJTや1on1の実施、研修プログラムの提供を行うともに、社員が自らの意思で参加できる「Green Flag Project」という社内のコミュニティを設立し、多様な人材が活躍できる風土醸成を行っています。そのため、若い方からも声が上がる風通しが良い会社であり、若手社員やキャリア採用の方が働きやすい環境だと思います。

——法務部はどのような体制なのでしょうか?

土手氏:以前は総務部内の1つのグループとして、法務・コンプライアンスグループという部署でしたが、2017年に法務部として独立しました。その後、会社の事業や法務での取扱領域が広がったことに伴い、2021年度から、法務グループを2グループ(Aグループ、Bグループ)とし、コンプライアンスグループと合わせて3グループとなり、社内弁護士8名を含む計18名が法務部に在籍しております(なお、東急不動産株式会社法務部所属の社員は、東急不動産ホールディングス株式会社 グループ法務部を兼務しております)。

法務グループは、所管する事業ユニットに応じて2グループとなっていますが、もともとは1つのグループでしたので、現在でも、法務グループAB共通で週2回ミーティングを一緒に行ったり、事業ユニットにかかわらず共通する論点もあるため日々の相談案件を所属のグループを問わず一緒に検討することもよくあり、両グループで協力しながら一体感を持った体制になっています。

また、法務グループメンバーが担当する業務内容は、弁護士資格の有無による業務の切り分けは行っておらず、メンバー個々人の経験や能力、希望等に応じて業務を担っており、資格の有無を問わず活躍する機会があります。

キャリア採用が始まる以前から、当社法務部門は事業部からの信頼が厚く社内から頼られる部署でしたし、その後もキャリア採用のメンバーが増えて活躍の場が広がったことで年々法律相談件数が増加し当社内でもさらに信頼される存在になっていると感じています。

——業務の比重についてお聞かせください。

土手氏:法務グループの全体像としては、契約書のレビュー、事業スキームの法的な検証、各種トラブル対応などの社内法律相談対応がメインです。その他は個人によって変わってきますが、M&Aや組織再編支援、訴訟支援、規制法関連対応、社内規程やルールの整備支援、自社書式の策定、社内研修の実施といった業務や、コンプライアンス部門のリーガルサポートなども担っています。また他部署との兼務や、グループ会社の法務担当者を兼務するケースもあり、幅広い業務経験を積み、視野を広げる機会があります。

小笠原氏:私の場合は、社内法律相談対応の他に、契約書の雛形作成・改訂、株主総会の対応、リーガルテックの推進なども行っております。他にも、当社には関西支店があり、2ヶ月に一度ほど法律相談会をするために出張しています。もちろん不動産周りの法律問題についての質問が中心ですが、システム開発や広告についての相談も少なくありませんので、知識は幅広く必要です。

杉山氏:私は、メイン業務である社内法律相談対応に加え、金商法関連の規制対応、社内ルールの整備、社内向け研修の講師など、社員に向けて知っておいてほしいことを伝える業務も担当しています。今年度から総務部の株式や取締役会事務局を所轄するグループも兼任しているので、そちらの対応もしています。

独自の社内法律相談データベース

——独自の社内法律相談システムがあると伺いました。

小笠原氏:社内の相談、レビュー対象の契約書、法的な問題点など、さまざまなナレッジが蓄積された法律相談データベースを、自社独自に運営しています。過去案件を遡ればさまざまなことがわかるので非常に重宝しています。

以前、大手他社の法務の方とお話する機会があったのですが、このデータベースの存在には大変感心していただけました。この規模の企業の20年の蓄積は、なかなか真似できないものだと思います。

杉山氏:キャリア採用で入社した私としても本当に助かりました。類似の案件を検索できるので参考にしやすいですし、案件の担当者決めにも活用しますので、役立つ場面はとても多いです。

——他に独自で行っている取り組みはございますか?

小笠原氏:ナレッジの共有には力を入れています。法務グループ内でももちろんですが、事業部に向けては社内のポータルサイトで、よくある相談事例などを掲載しています。また、社内法律講座や事業部向けの勉強会を実施し、動画化して公開もしています。

土手氏:2022年から法務グループで数名増員を行う計画であったため、それを見越して、キャリア採用で入社した法務メンバーが早期に当社法務業務に馴染めるように、当社の基幹事業である不動産事業や不動産取引に関わる自社の定型書式(自社ひな形)の解説動画を作成し、不動産取引を行う際の当社の基本スタンスと考え方の全体像を理解してもらっています。また、動画にすることで、視聴したメンバーの知識の平準化をすることができ、OJTの負担も大幅に削減することができました。また、OJT担当者にて、入社1年間で身に着けてほしい業務や知識に関するロードマップを作成・共有することで、キャリア入社後の見通しを持ちながら当社業務に馴染んでいただけるよう工夫をしています。

——働き方についてもお伺いしてもよろしいでしょうか?

杉山氏:現在はフレックス制度と週に2回までのフルリモートを導入しています。私には小さい子供がいるのですが、保育園の急遽のお迎えにも対応できています。法律相談のデータベースには自宅からもアクセスできるので、類似案件を探し、当時の担当者にスムーズに相談することも出来るので在宅でも効率よく業務を行うことができます。あとは数年前からオンラインの書籍閲覧サービスを導入していてこちらも活用しています。

新規事業が多数立ち上げ「新鮮な気持ちで仕事ができる」

——東急不動産の法務部で働く魅力をお伺いしても良いでしょうか?

杉山氏:当社の不動産事業は、住宅、ホテル、オフィス、商業、物流、シニア、再生可能エネルギーなど用途は多岐にわたり、国内だけなく、海外事業も積極的に取り組んでいます。それに加えて東急不動産ホールディングスのグループ法務部としてグループ会社を含めた幅広い事業に関わる機会があります。また、社内ベンチャーの制度があるとともに、事業部でも新規事業の取り組みに関する相談がどんどん法務部に上がってきます。

最近で言うと、渋谷のオフィスワーカーに向けたビジネスマッチングアプリの案件がありまして、ほとんど関わったことのないような法令に触れることができました。知識を増やせるだけでなく、いつも新鮮な気持ちでモチベーションを保てることが最大の魅力だと感じています。

小笠原氏:入社前は伝統的で日本の古い企業かと思っていましたが、全くそんなことはなく、若い方がどんどん手を挙げていく勢いのある会社だと知りました。入社してから印象的だったのは、訴訟管理の方法について、これまでのエクセルでの管理方法を変更しグループウェアを導入してみないかと提案すると、積極的に検討しすぐに切り替わるなど、組織としての柔軟性・風通しの良さを実感できたことです。また、周りの方のレベルが非常に高いので成長するきっかけや刺激はたくさんあると思います。

土手氏:不動産総合デベロッパーとして、用地取得のための事前交渉段階、用地買収、建築計画、工事発注、建物竣工、施設開業や一般分譲、その後の施設運営やアフター対応など、不動産取引及び運営にまつわる一連の事業に、法務として関与することができ、不動産取引のダイナミズムを体感することができることは大きな魅力であり、実際に自分が関わった施設の開業や物件の完成時は、法務として陰ながら当社事業に貢献できたことに達成感とともに喜びを感じます。

また、弁護士資格の有無に関わらず、それぞれの経験、能力に応じて業務を担当しますので、「当社事業により積極的に関わっていきたい」という前向きな気持ちがあれば、当社における法務業務はもちろんのこと、他部署との兼務やグループ会社との兼務等の機会を通じて幅広い業務経験を積むことができます。

当社では、メンバーの成長を支えるため上長とメンバーとの間で定期的な1on1を実施していますので、成長目標を確認しながら自身のキャリアを伸ばすことができる環境がありますし、キャリア入社した法務人材が法務部長やグループリーダーを担っているため、今後当社にキャリア入社する場合、キャリアパスがイメージしやすいと思います。

東急不動産法務部で働く上で必須のスキルとは?

——東急不動産の法務部で働く上で必要なものはなんでしょうか?

小笠原氏:法的な知識は前提として、コミュニケーション能力は必要だと思います。相談者が必ずしも法的なスキームを理解しているとは限らないので、わかりやすいように要点をピックアップして伝えるなど工夫が求められます。

前職に比べ、相談の割合も多くなり事業部向けに勉強会の講師をするなど、人と接する機会が多くなりました。どうやって話せば伝わるのか?どうやって資料を作ればわかりやすいのか?を深く考えるようになり、私自身すごく成長を感じています。

また、自身の強みを作ることも必要です。特定の分野の専門性を強めたり、法律以外にも何か得意分野を持っていたりすると必ず役に立ちます。

杉山氏:コミュニケーション能力に関しては私も必要性を強く感じています。法律事務所からの転職だったため、入社当時は社内相談でもクライアントとの関係のような距離感を取ってしまっていました。そこを先輩に指摘され、もっと距離を縮め、事業部に必要な判断材料を提供し、リスクを踏まえた判断をできるところまで分かりやすく伝えていくことを学びました。

あとは好奇心も大事ですね。好奇心を持って接することで、新しい分野も吸収しやすくなりますし、相談相手についてもより深く知ることができます。相談者が重要と認識していない事実の確認や問題発見にもつながると思います。

——今抱えている問題や、目指していきたいものはございますか?

土手氏:当社では、「環境経営」「DX」を軸に新たな事業へ挑戦しており、これに伴い法的課題も高度化、複雑化しており、課題解決のためにはグループ会社をまたいだ情報の共有や連携が必要になる場面が増えていますので、柔軟に対応するための仕組み作り等に力を入れています。グループ各社との人材交流は、今後も強化していく予定です。

また、法務グループメンバーのうち、特にキャリア採用の方は、各個人が当社事業への理解を深めて経験を積み重ね、事業の現場を知ることが大切です。事業部の方からの相談に耳を傾けながら、事業の現場を具体的に想起できるようになれば、より事業部に寄り添った、社内の法務人材だからこそできる現場を踏まえた現実的なアドバイスや解決策を提供できるようになると思います。

法務メンバーひとりひとりが、そういった形で「事業部の伴走者」として幅広く活躍できるように今後も支援していき、また当社事業の成長スピードに合わせて法務グループも成長することにより、より良いリーガルサービスを提供し続けていきたいと考えています。

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