
BlackRock(ブラックロック)は、1988年にラリー・フィンクによって設立された世界最大の資産運用会社として、運用資産総額約10兆ドルを誇る業界のリーディングカンパニーです。同社は2009年にバークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)を買収することにより、ETF事業の先駆者であるiSharesブランドを傘下に収め、現在では世界最大のETF運用会社としての地位を確立しています。
iSharesブランドは1996年の設立以来、インデックス投資の民主化を推進し、機関投資家と個人投資家の両方に低コストで透明性の高い投資商品を提供し続けています。同ブランドの特徴は、MSCI、FTSE、S&P等の主要インデックスプロバイダーとの緊密なパートナーシップにより、幅広い資産クラス、地域、セクター、投資テーマをカバーする包括的なETFラインナップを展開している点にあります。
パフォーマンス分析:13年間一貫したアンダーパフォーム
期間別パフォーマンス(2025年11月30日時点)
累積・年率リターン
| 期間 | ファンド (%) | ベンチマーク (%) | 差異 (%) | 劣後率 |
|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | -1.96 | -1.93 | -0.03 | 1.6% |
| 3ヶ月 | -2.49 | -2.37 | -0.12 | 5.1% |
| 6ヶ月 | +6.40 | +6.69 | -0.29 | 4.3% |
| YTD(年初来) | +16.86 | +17.50 | -0.64 | 3.7% |
| 1年 | +10.26 | +10.93 | -0.67 | 6.1% |
| 3年(年率) | +8.94 | +9.50 | -0.56 | 5.9% |
| 5年(年率) | +5.71 | +6.27 | -0.56 | 8.9% |
| 設定来(年率) | +4.75 | +5.36 | -0.61 | 11.4% |
深刻な事実:全期間でアンダーパフォーム
重要な問題
このファンドは、測定可能な全ての期間でベンチマークをアンダーパフォームしています:
- 1ヶ月:-0.03%
- 3ヶ月:-0.12%
- 6ヶ月:-0.29%
- YTD:-0.64%
- 1年:-0.67%
- 3年(年率):-0.56%
- 5年(年率):-0.56%
- 設定来(年率):-0.61%
パッシブファンドの存在意義
パッシブファンドは:
- ベンチマークを追跡する
- 経費分(約-0.5~-0.6%)のアンダーパフォームは許容範囲
- しかし、それ以上のアンダーパフォームは問題
このファンドのトラッキングエラーは、ほぼ経費率と一致しています:
- 経費率:0.54%
- 設定来アンダーパフォーム:-0.61%
- 差:-0.07%
これは、経費以外のコストがほぼゼロであることを示しています(優秀)。
しかし、問題は経費率0.54%自体が高すぎること
設定来年率+4.75%の評価
約13年間(2012年10月~2025年11月)の投資シミュレーション
2012年10月に100万円を投資した場合:
ファンド
- 年率:+4.75%
- 約13年後:約181万円
- 利益:約81万円
ベンチマーク
- 年率:+5.36%
- 約13年後:約194万円
- 利益:約94万円
差額:約-13万円(ファンド不利)
13年間で約13万円の機会損失です。
経費率差で説明できる
- 年率差:-0.61%
- 13年累積:約-7.6%
- 100万円の投資で:約-14万円
- 実際の損失とほぼ一致
5年年率+5.71%:低リターン
2020年11月~2025年11月の5年間
- ファンド:年率+5.71%
- ベンチマーク:年率+6.27%
- 差:-0.56%
5年累積リターン
年率+5.71%を5年間複利計算すると:
- (1 + 0.0571)^5 - 1 ≈ +32.2%
- 100万円 → 約132万円
- 利益:約32万円
ベンチマークとの差
- ベンチマーク:(1 + 0.0627)^5 - 1 ≈ +35.7%
- 差:約-3.5万円(100万円投資で)
年次パフォーマンス:2017年のピークから低迷
カレンダーイヤー・リターン(2015年~2024年)
過去10年間の年次リターン
| 年 | ファンド (%) | ベンチマーク (%) | 差異 (%) |
|---|---|---|---|
| 2024 | +4.28 | +4.81 | -0.53 |
| 2023 | +5.70 | +6.18 | -0.48 |
| 2022 | -6.27 | -5.73 | -0.54 |
| 2021 | +3.95 | +4.45 | -0.50 |
| 2020 | +6.07 | +6.75 | -0.68 |
| 2019 | +17.61 | +18.24 | -0.63 |
| 2018 | -10.74 | -10.22 | -0.52 |
| 2017 | +25.46 | +25.96 | -0.50 |
| 2016 | +6.56 | +7.32 | -0.76 |
| 2015 | -9.07 | -8.06 | -1.01 |
重要な観察
1. 毎年アンダーパフォーム
- 全10年間で、一度もベンチマークをアウトパフォームしていない
- アンダーパフォーム幅:-0.48%~-1.01%
- 平均:約-0.6%(経費率0.54%とほぼ一致)
2. 2017年がピーク(+25.46%)
- 過去10年で最高のリターン
- しかし、ベンチマーク(+25.96%)には負けている
3. 2015年、2018年、2022年の下落
- 2015年:-9.07%(中国経済減速)
- 2018年:-10.74%(米中貿易戦争)
- 2022年:-6.27%(金利上昇)
4. 2019年の回復(+17.61%)
- 米中貿易戦争の緩和
- しかし、ベンチマーク(+18.24%)には劣後
経費率0.54%の影響:13年間で約13万円の損失
Vanguard Pacific(経費率0.10%)との比較
仮想シミュレーション
2012年10月に100万円を投資し、13年間保有した場合:
iShares Pacific ex Japan(経費率0.54%)
- グロスリターン(経費控除前):年率約+5.29%(推定)
- ネットリターン(経費控除後):年率+4.75%
- 13年後:約181万円
- 累積経費:約-13万円(推定)
Vanguard Pacific(経費率0.10%、仮想)
- グロスリターン(経費控除前):年率約+5.29%(同じと仮定)
- ネットリターン(経費控除後):年率+5.19%
- 13年後:約193万円
- 累積経費:約-3万円(推定)
- 差額:約+12万円(Vanguard有利)
経費率差0.44%の重大性
- 年率0.44%の差
- 13年累積で約-10~-12万円
- 投資家にとって大きな損失
なぜ低コストのETFに乗り換えないのか
iShares Pacific ex Japanを保有し続ける理由はない
投資家は:
- このファンドを売却
- Vanguard Pacific ETF等の低コストETFに乗り換え
- 年間約4,400円(100万円投資で)のコスト削減
スイッチングコスト
しかし、乗り換えには:
- 売却時の税金(キャピタルゲイン課税)
- 買い替えの手数料
- これらを考慮しても、長期的には低コストETFが有利
オーストラリア経済リスク:中国依存と資源価格変動
オーストラリア経済の構造
主要輸出品(2024年推定)
| 品目 | 比率 |
|---|---|
| 鉄鉱石 | 約30% |
| 石炭 | 約15% |
| 天然ガス(LNG) | 約10% |
| 金 | 約5% |
| その他鉱物資源 | 約10% |
| 資源合計 | 約70% |
中国への輸出依存
- オーストラリアの最大輸出先:中国(約40%)
- 中国の経済成長がオーストラリア経済を左右
- 中国リスク = オーストラリアリスク
中国経済減速のリスク
2015年と2018年の下落
- 2015年:-9.07%(中国株式市場暴落)
- 2018年:-10.74%(米中貿易戦争)
どちらも:
- 中国経済の減速懸念
- 資源価格の下落
- オーストラリア株式の下落
2025年以降のリスク
中国経済は:
- 不動産バブルの崩壊
- 地方政府債務問題
- 少子高齢化
- 米中対立
これらが:
- 中国のインフラ投資減少
- 鉄鉱石・石炭需要減少
- オーストラリア経済・株式市場に打撃
オーストラリア4大銀行のリスク
不動産バブルの懸念
オーストラリアの住宅価格は:
- シドニー、メルボルンで中央値$100万超(約1.5億円)
- 世界で最も高い住宅価格/所得比率
- 住宅ローンが4大銀行の主力
もし不動産バブルが崩壊すれば:
- 4大銀行の不良債権増加
- 株価下落
- このファンドへの大打撃(4大銀行で19.50%)
香港・シンガポールリスク
香港(20.03%):政治リスク
2019年以降の政治不安
- 2019年:香港民主化デモ
- 2020年:国家安全維持法施行
- 中国政府の影響力増大
投資家の懸念
- 香港の金融センターとしての地位低下
- 資金流出
- 株式市場の低迷
AIA Group(5.30%)
- 香港最大の保険会社
- 政治リスクに影響される可能性
シンガポール(16.77%):競争激化
金融センターとしての地位
シンガポールは:
- アジアの金融ハブ
- しかし、香港との競争激化
- 中国経済の影響も受ける
DBS Group Holdings(4.34%)
- シンガポール最大の銀行
- 中国・香港への貸付が多い
- 中国リスクに晒される
この記事は投資に関する情報提供を目的としており、個別の投資助言ではありません。投資決定は各自の判断と責任において行ってください。過去のパフォーマンスは将来の運用成果を保証するものではありません。






金融商品のローコスト革命児ともいえる、1975年にペンシルベニア州のバレー・フォージで創業したヴァンガード
1792年にユニオンバンクとして創業した米上場大手運用会社ステート・ストリート、