復活の日(1980)

原作は小松左京が1964年に発表した同名小説

2019年以降の新型コロナウイルスの世界的流行で

再評価、再注目されたそうです

先見の明と言えば、冒頭からイギリスの原子力潜水艦から発射された

無人ヘリがまさに現在のドローン

搭載されたカメラが廃墟となった東京と白骨化した死体の山を写し

ラトゥール博士は空気サンプルを持ち帰りたいと

クラウド艦長(チャック・コナーズ) に訴えます

地震研究者で南極日本隊の吉住(草刈正雄)は別れた恋人で

妊娠中だった則子(多岐川裕美)のことを思い出していました

アイディアは逸品

ストーリーそのものは面白かったです

問題は演技もヘタさと、演出のまずさ(笑)

任侠モノや時代劇なら大げさなセリフやリアクションも気になりませんが

科学者が軍人が人類滅亡の危機に立ち向かうというテーマに

あまりに理性のない行動がわざとらしすぎる

多岐川裕美が幼い男の子を抱えボートで沖に出て行ったり

(瀕死の状態でどうやって海に行った、しかも誰のボート 笑)

渡瀬恒彦が南極の吹雪の中消えていくシーンとか、まるまるいらない(笑)

こうやったら観客が喜ぶだろうという魂胆が

かえって白けさせてしまったという悪い例ですね

海外で失敗したのは、今なら専門家の監修も入るのでしょうが

日本人俳優の英語の下手さもあったそうです

ただこれが80年代の邦画だといえば、懐かしいものもあります(笑)

1982年冬、東ドイツのクラウゼ博士はアメリカで開発されたMM-88を盗み出すと

(火星の殺人者の「Martian Murderer」と、88は継代改良した菌種の意)

ウイルス学の権威にワクチン開発を頼むため仲介人にサンプルを託します

博士は逮捕しにやって来た兵士に撃たれて死亡

仲介人たちはセスナ機に乗って逃亡しますが、彼らの正体は米陸軍の工作員でした

しかし東側のレーダーに捕らえられないよう低飛行していたため

猛吹雪の中アルプスの山中に墜落、サンプルは空気中に散乱してしまいます

MM-88の開発にもかかわった細菌学者のマイヤー博士は

工作員たちの消息不明を知り、MM-88は極低温下では活動を休止しているが

気温が上がると爆発的に増殖し、人間だけでなく全ての脊椎動物を死滅させるうえ

効果的なワクチンも治療薬もないことを説明し

米陸軍がBC兵器(化学物質を使用して人や動物を殺傷する兵器)として

作らせたことを告発するとランキン大佐に訴えると

ランキン大佐はマイヤー博士を捕らえ

精神病院の隔離病棟に閉じ込めてしまいます

1983年になり雪が解け春がやってくると

最初にカザフスタンで放牧中の牛が大量死しているのが発見されます

やがてイタリアを中心に風邪に似た症状からの感染死が広まり

「イタリア風邪」と呼ばれるようになったそのウィルスは猛威を振るい

世界中が大パニック

ウガンダでは(風邪にかかった事例のない)象まで死んでいることが報告されます

日本でも多くの患者が病院に押し入り

看護師をしている則子は激務で倒れてしまい

南極観測隊として旅だった吉住(草刈正雄)の子を流産してしまいます

息子の旭のイタリア風邪で病院に来ていた則子の友人で

吉住の同僚の辰野(渡瀬恒彦)の妻好子(丘みつ子)が

則子が気がつくと付き添ってくれていました

やがて医師の土屋教授(緒形拳)や助手(野口貴史小林稔侍 )や看護師たち

病院スタッフも次々倒れていき、好子の家に向かう則子

則子はすでに死んでいて、好子は南極に向かうため?

旭とボートに乗り込むと「お父さんに叫ぶのよ!」と旭に命じます

その時昭和基地にいる辰野は旭の声を聞き、妻子の写真を抱えると

止める吉住を振り切り南極の大地に姿を消したのでした

ホワイトハウスではリチャードソン大統領(グレン・フォード)と

バークレイ上院議員ロバート・ボーン)に

ガーランド統合参謀本部議長(=アメリカ陸軍将軍)(ヘンリー・シルバ )が

イタリア風邪によるパンデミックソ連の仕業に違いない

ARSを作動させるべきだと主張しますが

その時ソ連の書記長が感染により死んだと知らせが入ります

さらにバークレイ上院議員が目の前で死亡

大統領にも妻が感染したという知らせが入ります

南極越冬隊に人類の生き残りを賭けた大統領は、最後の大統領令として

パーマー基地にいるコンウェイ提督(ジョージ・ケネディ)に

各国の観測所に無線を通じて、南極から出てはいけないことと

外部からの侵入者を許してはいけないことを知らせるよう命じるのでした

大統領の死を見届けたガーランド将軍は

独断でホワイトハウスの地下にある司令センターに向かい

核のARS(Automatic Reaction System=全自動報復装置 )のボタンを押し

そのまま息絶えてしまいます

パーマー基地から連絡を受けた昭和基地の中西隊長(夏木勲)は

南極会議に出席するため吉住とともにパーマー基地を目指します

しかし途中で雪上車が動かなくなり、近くのノルウェー基地に助けを求めに行くと

パニックによる銃撃戦で隊員たちは全滅していました

(「遊星からの物体X」(1982)は少なからずここから着想を得た? 笑)

生き残っていたのは臨月の女性隊員マリト(オリビア・ハッセー)だけでした

中西隊長はマリトが無事出産するまで吉住に付き添うよう頼み

ひとりパーマー基地に向かいます

南極会議ではアメリカ隊のコンウェイ提督と

ソ連隊のボロジノフ博士が議長を勤め、南極政府を立ち上げます

中西隊長にマリトが無事女の子を出産したと報告が入り

名前はグリー(Gry)、ノルウェー語で「日の出」という意味

世界各国の隊員たちは新しい命の誕生に喜びますが

一方で女性隊員がレイプされる事件が起き、女性たちが抗議

800人の越冬隊に女性はわずか8人

南極政府に身を守ってほしいと要求します

政府は女性は人類を残すための貴重な資源であることから

性交渉は政府が管理するが決定されます

くじで当選した男性が女性との性交渉の権利を得るというもの

(どちらも相手は選べない)

逆に女性800人男性8人の場合でも同じことが起こると思うんですけど

いつの時代も少数派だけが被害を被るのは

民主主義(多数決)最大の欠点

ソ連原子力潜水艦T-232が救助を求めてやってくると

艦内に感染者がいることから寄港を許可できないとボロジノフ博士

乗組員を助けようと上陸を強行するスミノルフ少尉

そこにご都合よく現れた(冒頭に登場した)英国のネレイド号がT-232を撃沈

そのまま去ろうとするマクラウド艦長に

ネレイド号が航海にでたのがパンデミック前で感染者がいないことから

政府は南極上陸を許可するのでした

1983年12月、ネレイド号が東京での調査から帰還し

クリスマスパーティが行われます

マリトと再会した吉住は彼女に好意を抱きますが

マリトはクジで選ばれた男性と過ごさなければなりません

その夜マリトが窓から見たのは、雪で地蔵を作る吉住の姿でした

北米で巨大地震が起こり、ワシントンのARSが核攻撃と誤認

作動したことをマクラウド艦長が確認

アメリカから複数のICBMが発射されてしまい

それに反応して今度はソ連のARSも作動

しかもソ連ICBMは南極のパーマー基地も照準にしているため

ICBM発射を阻止するためにはワシントンまで行き

ARSを解除しなければならないことを報告します

汚染されたワシントン行きを志願したカーター少佐(ボー・スベンソン)に

同行することにする吉住

その夜(くじを引いた)隊員たちの計らいにより

吉住はマリトとベッドを共にするのでした

カーターと吉住はラトゥール博士が開発した試作品のワクチンを接種

(ウイルスが放射線により死滅することがわかった)

ネレイド号で大西洋からポトマック川をさかのぼ

ホワイトハウスに潜入

その間に女性を中心に隊員たちは砕氷船でチリに避難します

ワシントンでは未だに激しい地震が続いていて

カーターが揺れで重傷を負ってしまい

(マクラウド艦長もだけど、無駄に昔のハードボイルド調 笑)

ひとりARS司令センターに向かうことになる吉住でしたが

ガーランド将軍の死骸がパネルを覆い解除の邪魔をしたせいでICBMが発射

同時にソ連のARSICBMを発射

全世界に核が降り注ぎパーマー基地も例外ではありませんでした

同時にウィルスも放射線により死滅したということでしょうか

(トランプみたいな奴らの言う、原爆投下が戦争を終わらせた的な)

つまり核攻撃はウィルスや戦争より人間に被害が少ないという解釈?

そこからマリトのいるチリまで歩いて南に向かう吉住

ウィルスで死滅し核汚染された世界で

もちろん砂漠やジャングルも横断しないといけないわけで

どうやって生き延びたのか

南米の教会で疲れ果てた吉住がドクロと会話するのは何気に良いシーン

「むださ 誰も生き残っちゃいないよ」
「いいんです それでも私は行くんです」

だけど無用なマチュピチュは訪れる(笑)

原作では一部の動物には影響がなく生き延びたそうで

吉住も虫でも爬虫類でもいいから食べるとか

湧き水なら飲んでも大丈夫だとか

そういうサバイバルシーンのひとつくらいは欲しかったですね

それから何年経ったのか

チリ南端にある湖畔では、南極から逃れた隊員たちが集落を作っていました

女性たちはそれぞれに赤ちゃんを抱え

ひとりの男性は俺に似ているからきっと俺の子だと同僚に話しています

そこに陽炎のように現れた男の影

それが吉住だと気付いたマリトは彼に駆け寄り

ふたりはきつく抱き合ったのでした

 

 

【解説】映画.COMより

恐怖の細菌兵器のために人類はほとんど絶滅、南極に残されたわずかな人々の生きのびる姿を描く。小松左京の同名の小説の映画化で、脚本は「日本の黒幕」の高田宏治とグレゴリー・ナップ、「赤穂城断絶」の深作欣二の共同執筆、監督も同作の深作欣二、撮影は「金田一耕助の冒険」の木村大作がそれぞれ担当。

1980年製作/156分/日本
原題または英題:Virus
配給:東宝