ベネチア国際映画祭受賞作品

人間の境界(2023)

原題の「Zielona Granica」とは”緑(森林、草地、茂み)の境界線”という意味で ここではポーランド・ベラルーシ間の森林地帯にある国境線のこと 久々に頭をガツンと殴られるような映画に出会いました 難民問題を看過、黙認している政府やUNHCR(国連難民高等…

恋の秋(1998)

原題は「Conte d'automne」(秋の物語) エリック・ロメールの「四季物語」の第4部であり最終作 (「冬物語」は来年におあずけ 笑) メインのあらすじは、夫に先立たれ子どもたちも独立 ひとりワイン農場を営むアラフィフの女性マガリ(ベアトリス・ロマン)…

紅夢(こうむ)(1991)

原題は「大紅燈籠高高掛」(大きな紅い灯篭を高く吊るす) 原作は蘇童(スー・トン)の小説「妻妾成群 紅夢 」(妻と妾の群れ 紅夢) 父親を亡くし生活に困窮したため大学を中退した19歳のヒロインが 継母によって富豪の4番目の夫人として嫁がされます その…

冬の旅(1985)

原題は「Sans toit ni loi」(屋根も法もない=バガボンド) 冬のブドウ畑で身元不明の若い女性の凍死体が見つかった、という実話を基に インタビュー形式を織り交ぜたドラマ作品 これから何者にでも成り得ることのできるはずの若者が なぜ世捨て人となり旅を…

アイム・スティル・ヒア(2024)

原題は「Ainda Estou Aqui」(私はまだここにいる) ブラジル軍事独裁政権中に行方不明になった人々とその家族のため また先住民族の人権(不当な暴力や土地を奪われている)のため行動し ブラジル連邦政府、世界銀行、国連の顧問を務めた弁護士 エウニセ・…

シベールの日曜日(1962)

ALWAYS四丁目 ギドラのお城 の ギドラ伯爵より 映画史に残る貴重な名作DVDをいただきました 「シベールの日曜日」「鏡」「ストーカー」の3本 中でも「シベールの日曜日」は日本語字幕付きソフトが廃版で配信もなく 今や特に見るのが難しい1本(フラ…

黒猫・白猫(1998)

原題の「Црна мачка, бели мачор (セルビア語)」(黒猫・白猫)は 劇中で時おり姿を見せるつがいのオス猫とメス猫のこと 舞台はブルガリア国境近くのセルビア東部 ドナウ川沿いにあるロマ族(ジプシー)の集落 どいつもこいつもアホばかりで、顔までコメデ…

伯爵(2023)

原題は「El Conde」(伯爵) 1973年から1990年までチリの大統領の座に就き 2006年に91歳で没したアウグスト・ピノチェトの死は自らの偽装で 250年前から生きている不死身の吸血鬼だった、という しかも "鉄の女" と呼ばれた元イギリス首相マーガレット・サッ…

哀れなるものたち(2023)

原題は「Poor thing」(かわいそうなもの) 原作はスコットランドの小説家アラスター・グレイの1992年に発表した代表作で 自ら命を絶った妊婦に、胎児の脳を移植して生き返らせ 理想の女性に育てあげようとした天才外科医の物語 原作はもちろん未読ですが 映…

ノマドランド(2021)

「家」は心の中にある 原題は「Nomadland」 ノマドとは英語で「遊牧民」転じて放浪者のことで 原作はジェシカ・ブルーダーが2017年に発表した ノンフィクション「ノマド: 漂流する高齢労働者たち」 国際的にも高い評価を受けた映画で ひさびさに凄い才能を見…

現金(げんなま)に手を出すな(1954)

原題は「Touchez pas au Grisbi」(現金に触るな) 原作はギャング出身のアルベール・シモナンの同名ベストセラー小説 老いを迎え引退を考えている昔気質のギャングと 目的のためには手段を選ばない新興ギャングとの 金塊にまつわる抗争をメインに ギャング…

昼顔(1967)

原題は「Belle de Jour」(三色朝顔のことで”昼間の美人”という意味) 原作はフランスの作家ジョゼフ・ケッセルが1928年に発表した同名小説 スペインからフランスへ拠点を移したブニュエルに プロデューサーのアキム兄弟が(何人もの監督に断られた)この企…

去年マリエンバートで(1961)

原題は「L'Année dernière à Marienbad」 またレヴューの難しい作品を選んでしまいました(笑) 雰囲気は同じくアラン・レネによる 「二十四時間の情事」(ヒロシマ・モナムール 1959)と似ています 不倫という報われない恋 登場人物が生きているか、死んで…

TAR/ター(2022)

原題も「Tar」(主人公の名前) 突然エンドクレジットから始まるこの映画 アメリカ映画は組合の要請で キャストリストの他に(わずかでも)映画にかかわったスタッフや 企業の名前を全部出すという決まりがあるそうです だからやたらと長いんですね なのでエ…

ボーンズ アンド オール(2022)

原題も「Bones and All」(骨とすべて) 最初から「カニバリズム」(食人、食人俗、人肉嗜食) の 若者の恋愛映画であるという映画広告のネタばらし(笑) マイノリティの恋愛ロードムービと思って見るのには 耐久が必要ですし(笑) 目玉グリグリ、腹を切り開…

イニシェリン島の精霊(2022)

原題は「The Banshees of Inisherin」(イニシェリンのバンシー) バンシーとは、アイルランドに伝わる(古墳や塚に住む)妖精で 家族の死を告げにやってくる女性のこと 監督のマーティン・マクドナーは英国とアイルランドの二重国籍で 劇作家の中でもアイル…

風が吹くまま(1999)

「美しいかもしれない天国や 響きのいい約束よりも 目の前の葡萄酒」 原題は「باد ما را خواهد برد,」(風が私たちを運んでくれる) これもまたアッバス・キアロスタミの意地悪な映画 でもこの巧みな展開には唸ります、うますぎる(笑) テヘランから約700キ…

バスターのバラード(2018)

「The Ballad of Buster Scruggs 」(バスター・スクラッグスのバラード) 全6話 1話約20分程度のオムニバス西部劇集 アメリカでしか作れないブラックユーモア映画 テーマは死にまつわる古いアンソロジー(詩文の美しいものを選び集めた本) 舞台は19世…

ロスト・ドーター(2021)

原題も「The Lost Daughter」(失われた娘) これは手強い映画でした 単に酷い母親を描いているようだけど一筋縄にいかない 女性監督が女性の「裏側」にメスを入れます 英国からギリシャへ避暑のためバカンスにやって来た 自称「文学を教える教授」のレダ(…

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021)

原題も「The Power of the Dog」(犬の力) 海外の批評家からは絶賛され 第79回ゴールデン・グローブ賞では3冠に輝きましたが これは手強い、見る人を選ぶ作品でした LGBTQ(性的マイノリティ) ギフテッド(IQ130以上の発達障害) 身分の差や、アルコール依…

満月の夜(1984)

エリック・ロメールの「喜劇と格言劇」シリーズ第4作目 原題も「Les nuits de la pleine lune」(満月の夜) 副題は「Qui a deux femmes perd son âme, qui a deux maisons perd sa raison」 (ふたりの妻を持つ者は心をなくし、二つの家を持つ者は分別をな…

ともしび(2017)

原題は「Hannah」(主人公の名前) これは難解、というよりかなり手強い(笑) まるで観客の映画を見る目を試すように ポーカーの如く手の内を見せようとしません 一方で残酷に老いを見せつける 若かったらやり直せるでしょう もう一勝負もできるでしょう で…

魔術師(1958)

「見るものは 見た」「知るものは 知った」 原題は「Ansiktet」(顔)原作は英ミステリー作家のG・K・チェスタトン「魔術-ある幻想的な喜劇」旅芸人の魔術師の一座と、科学主義者たちの科学と魔法の対立を喜劇にして描いた必見の傑作ベルイマンのなかでは宗教…

クスクス粒の秘密(2007)

原題 は「LA GRAINE ET LE MULET」(穀物の”種”、魚の”ボラ”) クスクスとはデュラム小麦粉に水を含ませ1mm大のそぼろ状にしたもの 発祥地の北アフリカから、中東、ヨーロッパ、南米までパンやお米とと同じくらい食べられている食材で日本のご飯や、サフラン…

羅生門(1950)

「てめえ勝手なやつばっかりだ」 「そういうてめえは違うとでも?」 戦後、敗戦にうちひしがれた日本人 そんな敗戦5年後、国内では不評だったものの 日本初の国際映画祭グランプリを受賞した本作 それは物凄い衝撃的な出来事で 「羅生門のおかげで世界に胸が…

スリー・ビルボード(2017)

「ビルボード」とはアメリカの道路沿いに 自動車で通りすぎる人のために立っている広告看板のこと ある日ミズーリ州の田舎町の街道沿いに 3枚の大きな看板が立てられます そこに書いてあるのは RAPEDO WHILE DYING 「レイプされて死亡」 AND STILL NOARRES …