(サンタ・クルスの続き)
長くなるから、もう書くのは止めようかと思ったが、もう少しサンタ・クルスの話を。
中心部は、コロニアル風(スペイン風)の街があり、なかなか瀟洒であるとも言える。しかし、市場(メルカド)周辺の、アジア的とも言えるような街が、私の好みである。フィリピンとか、タイなどにありそうな街が、ボリビアにはあったのだ。懐かしさに体が震える。「海外で感じた日本」に震えるように、「海外で感じた東南アジア」に震えた。
これを書いていて唐突に思い出したのが、中国を旅行中に聴いた「北国の春」である。それは、中国語で歌われていて、鄧麗君(テレサ・テン)なのか、他の人がカバーしているのか、私には分からなかったが、それを中国で唐突に聴いた時に感じた驚き。そのときは、日本を出てから3年になろうとしていたときで、ボリビアで聴いた演歌を思い出したのだった。
オキナワ移住地やサンファン移住地、そして民宿の日本人、日系人。
旅をして2年になる私は、移民にもなれないし、もはや日本人でもないのかもしれない。(普通の日本人であれば、味噌ラーメンを食べて、泣き崩れるだろうか?)
実はスペイン語ばかり話していて、日本語をたまに話すと、違和感があった。かといって、スペイン語が、それほどできるとは限らない(カタコトレベルしかできない)。移民でもなく、日本人でもない。この中途半端な自分は何だ?
そんなことを毎日毎日考え続けて、はっと思い出したのは、トーマスマンの「トニオ・クレーゲル(トニオ・クレーガー)」である。芸実家にもなれず、一般人にもなれないといって悩む、主人公の話(という「理解」が正しいのか自信はない)。そうだ、何にもなれずに、私はこれからも生きていくのだ。旅をするしかないのだ。そしてどこかで納得させて、日本に帰り、日本人として生きていく。「もう戻れない旅」をしてきた日本人として生きていくのだ。そしてまた、こうも考えた。もしかしたら、誰もが「もう戻れない旅」をしているのかもしれない。日常に埋没して気が付いていないだけで、戻れない旅を。
味噌ラーメンを食べると涙が勝手に出てくる自分に驚きながら、そんなことを考えていた日々だった。


