名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

話題になると我も、我もと開帳か

天保2年。
1月10日、夜五時(午後8時)に中程度の地震がある。
同夜八半時(午前3時)過ぎ、同様。
同13日、昼九半時(午後1時)小さな地震がある。

1月、秋葉山麓で石塔を磨く。

2月17日から4月7日まで、濃州武儀郡保谷高沢大日山日龍峰寺で本尊千手観音を開帳する。

2月21から3月11日まで、木か崎長母寺で本尊観世音ならびに御同作(同じ作者による)海西郡東条村遍照院弘法大師を弘通する。
津島天王社僧明星院で宝物を弘通する。

2月20日、新馬場で牛が死に、3月14日、枇杷島舌で信州の者が死ぬ。

2月23日、下飯田村で火が出る。
同27日、竹ケ鼻で大きな火事がある。

志州に波切嶋というところがあり、鳥羽領である。
この島で公儀御城米(天領からの年貢米)の船が風待ちをしていたが、この地の者と船頭が共謀して米を盗むことがあったと。
それを陣屋役人に成りすましてゆすりに来た者があったと。
この度も島の者と船頭に不正があり、信楽から役人がやって来て調べたところ、ゆすられていると勘違いし、役人を殺害したので大騒動になり、なかなか難しい問題であったが、かなりの金銀を使って穏便に済ませ、張本人数人は御仕置(死刑)となると。
殺害した際に怪我人が双方でたくさん出たと。
名古屋へも治療に来た者があると。

3月25日から4月15日まで、海東郡安松村福泉寺で
二条殿御祈願所信州二十四輩枕石山願法寺役者大祖聖人木像、その他宝物を弘通する。枕石尊を借り受けると。

この開帳は5月1日から14日まで、上宿五平蔵興西寺で行われる。
大賑わいで、水からくりやチョンガレ(ちょぼくれ)などが行われる。
同21日まで延長し、貴賤が群れをなす。
6月15日から28日まで、日置教円寺でまたまた開帳し、これも7月2日まで延長し、これまた大賑わいとなる。
その他近隣でも開帳すると。

(3-p55~p56)