読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

珈琲怪談 恩田陸著 幻冬舎 2025年

 連作短編集。

 珈琲怪談Ⅰ
 男四人で、あちこちの喫茶店をまわる。メンバーは作曲家兼スタジオミュージシャンの尾上、外科医の水島、検事の黒田と音楽プロデューサーの塚崎多聞。語るのは怪談、オチのない怖い話。
 京都にて。
 ターコイズを背負った熊のアクセサリーの話、昆虫採集に夢中になっている間に迷い込んだ家の話、学生時代 友人の家で見た軍人の夢の話、キャンプでの就寝中、何かに腕を触られた話、亡くなった叔父のスマホ歩数計の話。多聞が上品な老婦人を見かけた後、尾上の祖母が亡くなったと連絡が入る。

 珈琲怪談Ⅱ
 横浜にて。
 知人の奥さんの突然死の様子、マラソンランナーの肩に顔が見えた話、皇居ランナーに憑く幽霊。そしてその夜 多聞は、遅れてきた黒田がホテルのクローゼットに倒れ込んだ上、顔が歪むという夢を見る。それは、検事という仕事に就いている黒田にとって何かヒントになったらしい。

 珈琲怪談Ⅲ
 東京にて。
 絶対に見た覚えがあるのに存在しない漫画のラストシーン、中古の楽譜『悲劇的スコア』、父親とチェスをしていたら必ず現れる老人、自殺をした飼い主の元に案内した犬、中古レコードのリフレイン、とある小劇場に棲む何か、焼夷弾やナパーム弾の目的。そして、多聞にかかってきた電話。

 珈琲怪談Ⅳ
 神戸にて。
 深夜のタクシーから見かけた男の話、必ず手元に戻ってくる折り畳み傘、『幸運の像』の思いがけないご利益、亡くなった父親の遺品の木刀の行方、自分だけに聞こえる「空耳」の正体。黒田は、菓子を買いながらもそれを食べない女の解答らしきものを得、多聞はまた古びた折り畳み傘を見つける。

 珈琲怪談Ⅴ
 大阪にて。
 「見える」妹から離婚した兄への忠告、黒いゴミ袋でいっぱいのOLの部屋、大きな人形を抱きかかえて電車に乗っている女性、赤い紐がぶら下がっていたエレベーター、母の死と同時に落ちたブレーカー。作曲家兼スタジオミュージシャンの尾上は、自分にドッペルゲンガーがいるらしいと話す。その分身は、忙しい自分が行きたくても行けない所を訪れているようだ。

 珈琲怪談Ⅵ
 再び京都にて。
 通学路の途中で消えてしまった女の人の話、坪庭に指が生えていたという目撃談、駐車場にぽつんと残されていたスーツケース。実家にある赤絵の鉢は、料理を盛って出すと何故か誰か具合が悪くなる。二人同時に感じたデジャ・ビュ、あるホテルのロビーに飾ってある 現代アートを模したお札、誰も通っていないのに開く自動ドア。その屋の猫は時折そのドアの開閉に反応していた。
 そしてまた、多聞は小さな男の子を見かける。あれは多分…。

 ああ、好きだなぁ。そうそう、恩田さんのこういう会話劇、大好きなんだよ。
 怪談は勿論なんですが、間に挟まる「そうそう、あるある!」な感じの日常会話、それに豆知識。横浜が無理やり拓けた居留地だったなんて初めて知りました。なるほど、そりゃ神戸の中華街が小さい筈だわ。「左向きの顔が描き易い」「裏から見る」とか、懐かしすぎて…!
 そしてちゃんとオチらしきものが着く。何て素敵!(笑)
 登場する喫茶店も魅力的で、行ってみたくなりましたねぇ。大阪梅田で最初に出てきた喫茶店はかなりの有名店で、難波から黒門市場の方まで行ってる…となると、「一日でこの距離を??」とちょっとびっくりしましたっけ。神戸の店は特定できませんでしたが、それでもかなりの距離を移動してるのは分かりましたので、きっと横浜や東京の喫茶店もかなり離れてるんだろうなぁ。贅沢な時間の使い方だ(笑)。
 シリーズ前作『不連続の世界』は正直、すっかり忘れてまして(←おい:)かろうじて多聞さんの名前を憶えていた程度なのですが、もう一度読み返そうと思いました。