読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

アンスピリチュアル 高野史緒著 早川書房 2025年

 巣鴨の治療院で受付のパートをする主婦の祝子は、人のオーラが「視える」からこそ巷に流布するスピリチュアルの類を信じていない。いんちきだとわかってしまうからだ。しかし夫 信二の不貞行為に気付いた日、歌舞伎町のある占い師に自身の能力を見抜かれ驚く。さらには祝子にもオーラを視ることのできない年下の理学療法士・月島優との出会いをきっかけに、運命は足元から崩れてゆく。
 優は優秀な療法士だった。やがて優を巡って患者の間で指名争いが起き、同僚に一方的に敵視され、歌舞伎町の分院に追いやられるほどに。優はそこから人気ヨガ講師ジョゼ中山に引き抜かれ、どんどんカリスマ的な人気を得ていく。ジョゼ中山は、新興宗教『真の宮』の元信者だった。優の死んだ両親も、『真の宮』の信者だったらしい。両親共々交通事故にあって、優はかろうじて命を取り留めたのだとか。
 祝子は夫の元を出て、オーラ鑑定士として働き始めた。怪しげなメイクと衣装、だが実情を視る目は精確で、たちまち人気鑑定士に。クライアントには夫の浮気相手 片岡多美や、その弟で『真の宮』にかぶれている片岡一平も来た。
 待ち合わせ場所、時間を指定するわけでもないのに、優とはちゃんと会えた。お互いが特別だとそのたびに心癒された。祝子は自分のルーツを確認し、『真の宮』に乗り込む。そこで祝子は優の正体を聞かされる。
 優の言動は怪しいものになって行く。秋分の日、開かれたイベントに祝子は向かう。そこには『真の宮』教祖を敬愛し、優を一方的に敵視する片岡一平も向かっていた。…     (表紙折り返しの紹介文に付け足しました)

 出だし、祝子の境遇が結構辛くて、なかなか読むスピードが上がりませんでした。何だなんだオカルト系か?と思ってたら、最後きっちりサイバーパンクでした。…そう、伏線ちゃんと敷かれてたのよね、オーラの色とか幼馴染についての言及とか。
 祝子の境遇の辛さについては中盤でも後半でもあまり変わらず(…;)、読んでてやっぱり息苦しいのですが、最後には覚悟が決まります。こちらも相手を容赦なく利用してやろう、優先順位を決めた彼女は凛々しい。背筋がぴんと伸びた彼女が見える気がしました。でも祝子はこれから誰も信じられないんだろうな。あんな目にあっちゃなぁ。
 読後感は清々しくはあったんですが、何だかやるせなくもなりました。

初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記 西條奈加著 文藝春秋 2025年

 シリーズ2作目。連作短編集。

 祭りぎらい
 笛師の近次が、女房 お宗の父親 弥兵衛から離縁を申し渡され、困っているという。近次は笛の作り手としてだけではなく吹き手としても一流で、祭りの囃子方にと引っ張りだこ。忙しく駆け回っているうちにお宗が流産し、それが弥兵衛の逆鱗に触れた。だがお宗の心は近次に寄り添ったまま、別れたくないと言う。弥兵衛には祭りに関わる嫌な思い出があった。

 三見の三義人
 狸穴屋には今、播州加古郡三見村から来た客が三人滞在している。申し立てをして半年以上経つが、まだ奉行から音沙汰はない。二百年以上に渡る漁場争いの件で、今回もまた先行きは暗い。三人は老中への直訴を考えていた。

 身代わり
 評定所留役 浅生南堂の養子 集堂が、義父を訴えた。南堂が集堂を離縁したのを、不服に思っての行動で、話を聞くと確かに南堂の行動は腑に落ちない。何か理由があるのではないか、近頃 南堂の家から子供の声がするようになったらしい。

 夏椿
 道具屋 鶴勢屋の大内儀お越が、夫 萱兵衛への離婚を申し立てた。卒中で倒れて以来親身に世話をしてきたが、罵詈雑言を浴びせられ、しまいには趣味のちりめん細工も禁じられ、愛想が尽きたという。夫はへそを曲げて三行半に応じない。女将の桐は萱兵衛に新たな世話人を手配する。

 初瀬屋の客
 かつて公事屋の娘だったお笠が、桐を訪ねて狸穴屋にやって来た。今は旅籠の女将を勤めるお笠、気になる客がいるという。その客と、前の亭主 日賀蔵が会っている気配があるのだとか。日賀蔵は以前、奢侈を咎められ所払いを食らった、しかし腕のいい公事師だった。

 証しの騙し絵
 お笠の宿の客は、評判の悪い公事屋に騙され、江戸支店の独立を認めさせられた被害者だった。今更ついた決着を引っくり返せるのか、手代二人は内々のやりとりをこっそり書き留めていたという。それも日賀蔵の助言に従って。日賀蔵の真意はどこにあるのか。…

 そうか、前作の印象では離縁専門に見えましたが、公事師って江戸時代の弁護士だったり司法書士だったり、って職業だったんだな。
 今回随分 取り扱う訴訟内容が増えました。書類が八通も写しがいるとか、いつの時代も煩わしさは変わらないのね~、しかもこの時代全部手書きの一発勝負だし;
 見本の文書を見ながら…とか、覚えがありすぎてこっそり笑ってしまいましたよ。
 今の価値観からすると、「そこまで悪いことか?」と思う訴えもあったりしたんですが、これは私が情が薄いせいですかね(苦笑;)。
 色々話は広がりそうです。 

後宮の烏 3 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2019年

 シリーズ3冊目。

 雨夜の訪い
 鶴妃の侍女 泉女の元に、雨の夜、幽鬼が訪れてくると言う。寿雪が調べた所、幽鬼は泉女の婚約者 巴秀だった。盗賊から泉女を守って死んだ巴秀。泉女と巴秀の実家とは今でも交友があると聞いて、寿雪は眉を潜める。泉女の地元 賀州では八真教という新興宗教が流行っていた。

 亀の王
 内廷に、老僕の幽鬼が出るという。亀の甲羅の形をした器を持って、うろついているのだとか。同じ器が宝物庫にあると聞いて、寿雪は凝光殿を訪ねた。宝物庫の番人 羽衣は、それは1800年も前の杼王朝の器で、延命の薬が入っていた、器を壊せば幽鬼も消えるという。どうやらその昔、病弱な主人のために強い薬を手に入れた僕が、未だ彷徨っているようだ。

 袖を引く手 
 賀州から中央に来た官吏 令狐之季は、地元の有力貴族である鶴妃の実家沙那賣(サナメ)家と折が合わなかったらしい。沙那賣家の支持する八真教は、之季の妹分 小明を死に追いやった経緯を持つ。八真教に復讐の念を持つ之季。だが、小明の霊魂は、それを引き止めるように之季の袖を引いていた。
 一方、高峻付きの宦官 衛青は、前王朝の巫術師 封一行が身を隠していた花街で、寿雪が自分の腹違いの妹であることを知る。

 黄昏宝珠
 鶴妃 晩霞に招かれ、沙那賣の祟りを知る寿雪。沙那賣は蝦蟇の神殺しの咎で、代々末娘は15歳で死ぬ運命にあるという。晩霞がそれを免れたのは、父親 朝陽が身代わりの養女を迎えたからなのだとか。
 数日後、晩霞が倒れた。寿雪に向けられた呪詛を代わりに受けたと知って、寿雪は星烏の力を借りて呪詛返しを行う。呪詛は八真教の教主 白雷が仕掛けたものだった。…

 表紙をめくって驚きました。これ、サイン本じゃん…! どういう経緯で図書館に来たのやら。(普通に本屋さんから来た気がするけど)
 母親を犠牲にして生きている自分を、同じく誰かを身代わりにして生きている人たちに声を掛けることによって、肯定していく寿雪。仲間も増えていきますね、護衛の淡海、文官の之季。八真教の白雷と共にいる少女 阿愈拉(アユラ)は、衣斯哈(イシハ)の幼馴染らしいし。
 高峻は梟と通じ、寿雪を烏から解放する方法を探すようです。高峻と寿雪の関係が、友情として続いてくれたらいいなぁ、と私なんかは思ってしまうんですが、恋愛感情に行くのかなぁ。
 次巻に続きます。

劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来 公開御礼舞台挨拶・鴉』劇場中継見ました。

 ネタバレあります、すみません;

 9月6日(土)、劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来 公開御礼舞台挨拶・鴉』劇場中継に行って来ました。

 映画自体を見るのは三回目、一回目は花江夏樹さん、櫻井孝宏さん、石田彰さんの舞台挨拶中継、二回目は石田彰さん、中村悠一さん、Lynnさんの舞台挨拶中継の回で視聴。…ということで公式さんの思惑にまんまと乗っての鑑賞を繰り返しています(苦笑;)。
 今回は鎹鴉役の声優さんたちの登壇ということで、台詞が一言二言しかない人もいるのに何を語るんだ??と首を傾げつつ。直前まで行くかどうか悩んだのですが、こう言う回が面白かったりすると後で悔しい思いするんだよな、と参加を決意。映画館の座席が埋まっていなかったことにも背中を押されました。…また似たようなイベントがあった時に、最寄りの映画館には企画に参加してもらわないとだし。

 まず登場されたのは司会の高橋さん、「今回 公式攻めたな、と思われたことでしょう!」 …はい、思いました(笑)。
 前々から、是非 カラスの日である9月6日に鎹鴉揃っての舞台挨拶!ということを目論んでらっしゃったそうで、観客に対し「ここにいる皆さんは手練れだと信じています!」「盛り上げて下さい!」。…よっぽどチケットの動き悪かったのかしら; 
 「キャストの皆さん登壇して一言 科白を言って下さいます!」と段取りを説明、「合計14回の拍手をお願いします!」と指定までする徹底ぶり(笑)、そして舞台挨拶は始まりました。

 黒のスーツ姿の山崎たくみさん、「鎹鴉、新宿に集まれ~!」と声を上げながら登場されました。「鬼狩りとして最初の任務である」の科白も言って下さいましたね。「恋雪ちゃんでうるうるしてるかもしれないけど、ここからは楽しんでいきましょう」
 石見舞菜香さんは袖が白のレースのブラウスに茶のロングスカート、オーガンジーを重ねたふわふわした衣装。科白はやっぱり「ちゅん! ちゅん!」(笑)。
 中尾隆聖さんは白黒ざっくりしたシャツで登場、台詞は「お前がな!」のみ。…そりゃそうでしょう(苦笑;)
 釘宮理恵さん、全身黒で銀のアクセサリー、艶の入ったロングプリーツスカートがいかにも鴉らしい。科白は「無一郎はアンタなんかよりもっと凄いんだから!」。
 堀江由衣さんも白いレース襟が付いた黒のワンピースで登場。Aラインがお嬢様っぽくて似合ってらっしゃいましたね~、科白は「里へ急いで、里へ急いで!」
 堀内賢雄さんも当然 黒の上下、台詞は勿論「緊急収集! 産屋敷邸襲撃!」
 最後に速水奨さん、ぞろりとした皮(多分)のハーフコート姿でしたね、台詞は「こんばんは、今夜は月が綺麗ですね」。…ここは「ただの烏です」をチョイスしてほしかったなぁ、公式さん…!
 登場時に、後ろのスクリーンにそれぞれの鎹鴉の映像が流れたのが分かり易くて有難かったです。皆さん、台詞の書いてあったカードをスタッフにお渡しした後、席に着かれました。

 感想を聞かれた山崎さん、「僕が一番驚いています」。…そうでしょうね。
「令和こそこそ話なんですけど」と前置きして、第一話の頃は「オーディションに受かった!」ときゃらきゃらしている主要メンバーの中にぽつんといて、スタッフから「カラスの役です」って言われて、「他にも鴉たくさん出てきますんで、宜しくお願いしますね」「分かりました!」って言ってたら、いつの頃からか「炭治郎の鴉に専念して下さい!」って言われて、今ではこの面々です! 皆さん、柱よりベテランです! 僕が一番の若手です!…とのこと。…確かに、男性陣だけ見たら山崎さん若手なんだよなぁ(笑)。
 石見さんは「チュン太郎のピンズ着けてきました!」、やっぱり鬼滅で舞台挨拶できるなんて思ってなかった、と嬉しげなご様子。
 中尾さんは「どこのコンベンション行っても鬼滅、鬼滅で」「漸く参加できて嬉しい」と仰ってましたねぇ。
 釘宮さん、よもや鬼滅でこういう場に登壇できるとは思わなかった、オファーは実は一年前からあって(…!)、スタッフの方の意気込みを感じました、とのこと。
 堀江さんは今回のイベントに当たって先週の石田さん、中村さん、Lynnさんの舞台挨拶の感想をリサーチされたそうで、「あんなに泣いた舞台挨拶はない」とのコメントをあちこちで見かけ、先週の今週で「…泣かせられるかしら」と思ったとか。それを受けて山崎さん、「笑いを取って行きましょう!」 …力強い先輩ですね(笑)。
 堀内さんも堀江さんのバトンを受ける形で、堀江さんに「ほりほりコンビで行きましょう!」と提案。でも堀江さん「それ、毎回言われるんですけど、実績何もないんですよ」とツッコんでらっしゃいましたっけ。
 速水さん「ドレスコードが黒だと聞いてたんですけど、違う人がいるんですね」「スズメなの?」と石見さんに言及。「僕が一番カラスらしい服を着ていると思います」と席を立ってくるりとターン、「カラスらしく食い散らかしていきたいと思います」

 ここからは各個人への役へのインタビュー。
 まずは立志編から出てらっしゃる山崎さんと石見さんに。
 山崎さん「はじめのうちは一緒に収録してたんですけど、すぐ『山崎さん別録りです』って言われて、後ろでカァカァやってました」
 石見さん「最初はSEっぽく無機質にやってたんですけど、だんだん表情豊かになって行きました」 山崎さん「下野、こら! こいつ!って?(笑)」 石見さん「善逸さんですね、女好きだとかいびきがうるさいとか…」 …そうそう、訴えてましたねぇ。
 柱稽古編からの中尾さん、堀内さん。
 中尾さんは収録10分程度で済んだと仰ってましたね、「さっき言った『お前がな!』を録り終えた後、山崎くんと「ケンカしといて下さい」って言われて、ぎゃあぎゃあ騒いでましたね」。「ね」と山崎さんと頷き合ってらっしゃいました。
 堀内さんは反対に「産屋敷邸襲撃!」の科白を何回も録りなおされたとか。「しまいには普通の声で、と言われるかと思いましたが、それはありませんでしたね」。それを聞いて山崎さん「すみません、僕がデフォルトにしちゃったから」、高橋さんの「状況が動く大事な台詞でしたので」との説明が入りました。どうやら山崎さんが「鴉の声」を作ってしまったので、他の方もちょっと潰したような声にせざるを得なくなって、でもそのコミカルさはあの緊迫した場面にあわず、丁度いい塩梅を探って「何回も録った」状況になったよう。
 刀鍛冶編からの出演、釘宮さんと堀江さんに。
 釘宮さん、台本を読んで「無一郎君が大好きなんだな」って役作りして現場に行ったら、「もっと好きになって下さい!」「もっと、もっと!」って言われて「無一郎は好き、他はキライ!」って感じで汗だくで演りました、とのこと。
 堀江さんはカラスの役は初めてだったそう。どんな感じなのかとまず山崎さんのカラスを見て、女の子のカラスだからと(釘宮)理恵ちゃんのカラスを見て、「案外ちゃんとヒトの言葉を喋るんだな」と確認、あとは「蜜璃ちゃんの鴉ということで、おっとりした雰囲気で」演じたそうです。
 速水さんは速水さんで、「家でカラスの鳴き声を練習していったのに、カァの一言もなく」。テストでは絵に合わせたけれど、本番では坂本真綾さんと「二人の間(ま)で自由にやって下さい」と言われたのだとか。やはり高橋さんの「芝居に合わせて絵を作る手法を取りました」との解説が入りました。

 映画は皆さんご覧になったということで、その感想も。
 山崎さんは「時間が経つのがあっという間で、缶コーヒーを買って入ったのに、一口も飲まずに映画が終わった」とのこと、…私もその昔 同じことを『天空の城ラピュタ』でやりましたっけ;
 石見さんは善逸の成長ぶりに感激し、中尾さんは映像も素晴らしいし演技もそれに負けてない、映画館で見るべき作品だと絶賛。最後にぼそっと「人間やりたいです」と仰って、会場に笑いが起きました。
 釘宮さんも映像も音楽も素晴らしい、総合芸術だとコメント。堀江さんは原作漫画を17~18巻くらいで読むのをやめていたそうで(アニメの進行に合わせてたのかしら)、「みんな「猗窩座が、猗窩座が」って騒いでるなぁ、と思ってて」「そしたら狛治が短髪でまつ毛ビシバシで、イケメン、カッコいいと思って」「…そういう見方はしちゃダメですかね?」 すかさず高橋さん「堀江さんは猗窩座推しということですね、どういう入り方して頂いても大丈夫ですよ」。…力強く肯定、流石です(笑)。
 堀内さんは今回の映画を見て、映像に圧倒されたとか。アニメシリーズ全部 一から見直したそう。何が正義で何が悪か考えさせられました、と仰ってましたっけ。
 速水さん、いつも映画はワインかビールを片手に見るそうなんですが、今回上映時間2時間半ということで「アイスコーヒーにしました」。ちびちび飲みながら鑑賞された、とのことでした。

 山崎さんが「この映画には実は僕しか出ていない、僕が色々ツッコめたらと思ってる」って仰ってたのはどのタイミングだったかな。「最後の科白は僕なんですよ、これは美味しいな、と思って」と嬉しそうでしたねぇ。
 「まだ2回しか鑑賞していない」「まだまだ楽しみたい」とも。最後には鴉の声で、「第二章を座して待つのだ」と挨拶して下さいました。

 記憶だけに頼って書いた記事です、覚え間違い等多々あると思いますが、ご勘弁を。こんな雰囲気だった、ということでご容赦下さい。

 映画の方ですが、まぁ内容盛り沢山! なるべく予備知識を入れないで見に行ったので、驚くこと満載でした。
 お館様、男の子いたんだ…! そういえば黒髪の子、随分前からいたよなぁ…!
 しのぶさん、蜜璃ちゃんのこと羨ましかったろうなぁ。あのぐるぐる音はどうやって録ったんだろう。カナヲちゃんの足腰が結構しっかりしてることにも驚いたんでした、さすが鬼殺隊。
 獪岳の「自分の方が上だ」「お前なんか認めない」の後の、猗窩座の炭治郎への評価「お前は強くなった」には、さすが、器が違う…!と感心しましたし。
 明かされる猗窩座の過去、病人に対し、「一番辛いのは自分だろう」と本当にごく当たり前に言うのが印象的で。そう思えない我が身を一瞬 反省したのですが、いや、あれ、お父さんも恋雪ちゃんも「いい患者さん」だったんだよ、ちゃんと世話しがいのある病人だったんだよ!と思ってしまいましたよ、図らずも自分の性格の悪さを自覚しましたね(苦笑;)。
師範のあっけらかんとした科白「妻も看病疲れから入水自殺して…」には、私 心の中で「えええええーーーー!?」と驚いてたんですが、狛治も同じようにびっくりして毒気抜かれてたんですね。二回目の舞台挨拶でそれを知って、鬼滅特有の説明科白としか受け取ってなかった自分の浅慮を猛省しました、ごめんなさいごめんなさい;
 「弱者は嫌い」の真の意味、反転から来る自滅。凄く納得した展開でした。

 改めて見ると、獪岳の過去ってしっかり言及されてないんだな、と思ったり。私は声オタなので『柱稽古編』で出てきた寺の子供の声で「おや?」と思ったクチなんですが、今回の映画でも回想シーンでそれっぽい情景が一瞬映っただけでしたね。あれ気付いてない人いるんじゃないかなぁ。それにしても、入場特典のキャストインタビューブックに曰く、無限城編の内容わからない頃に獪岳の配役が決まっていたとのこと。…なにその先見の明!? 原作者さんから先々について何か聞いてたのかしら!? 下野紘さんと細谷佳正さんの舞台挨拶とかあったら、もう一回行っちゃうかもしれないなぁ(苦笑;)。

 三回目ともなると鑑賞にも余裕が出て、あのクマどうしたのかな、毛皮は売って肉は家族みんなで美味しく頂いたのかしら、と思ったり(苦笑;)。
 劇場版に出て来る鎹鴉の声も、「あの人じゃないかな」と察しがつく位にはなりました。(小さくガッツポーズ・笑)

 さて、第二章はどうなるのか。しのぶさん、ただ吸収された筈がないと信じてるわよ、「きっと敵わない」と宣告されていたしのぶさんが、負けた時のことを考えていなかったとは思えないから! 
 実は炭治郎の背中を守る禰豆子ちゃんの勇姿も見たかったんですが、そうよね、無惨さま倒す前に人間に戻しとかなきゃダメですもんね。
 座して待ちます(笑)。

珈琲怪談 恩田陸著 幻冬舎 2025年

 連作短編集。

 珈琲怪談Ⅰ
 男四人で、あちこちの喫茶店をまわる。メンバーは作曲家兼スタジオミュージシャンの尾上、外科医の水島、検事の黒田と音楽プロデューサーの塚崎多聞。語るのは怪談、オチのない怖い話。
 京都にて。
 ターコイズを背負った熊のアクセサリーの話、昆虫採集に夢中になっている間に迷い込んだ家の話、学生時代 友人の家で見た軍人の夢の話、キャンプでの就寝中、何かに腕を触られた話、亡くなった叔父のスマホ歩数計の話。多聞が上品な老婦人を見かけた後、尾上の祖母が亡くなったと連絡が入る。

 珈琲怪談Ⅱ
 横浜にて。
 知人の奥さんの突然死の様子、マラソンランナーの肩に顔が見えた話、皇居ランナーに憑く幽霊。そしてその夜 多聞は、遅れてきた黒田がホテルのクローゼットに倒れ込んだ上、顔が歪むという夢を見る。それは、検事という仕事に就いている黒田にとって何かヒントになったらしい。

 珈琲怪談Ⅲ
 東京にて。
 絶対に見た覚えがあるのに存在しない漫画のラストシーン、中古の楽譜『悲劇的スコア』、父親とチェスをしていたら必ず現れる老人、自殺をした飼い主の元に案内した犬、中古レコードのリフレイン、とある小劇場に棲む何か、焼夷弾やナパーム弾の目的。そして、多聞にかかってきた電話。

 珈琲怪談Ⅳ
 神戸にて。
 深夜のタクシーから見かけた男の話、必ず手元に戻ってくる折り畳み傘、『幸運の像』の思いがけないご利益、亡くなった父親の遺品の木刀の行方、自分だけに聞こえる「空耳」の正体。黒田は、菓子を買いながらもそれを食べない女の解答らしきものを得、多聞はまた古びた折り畳み傘を見つける。

 珈琲怪談Ⅴ
 大阪にて。
 「見える」妹から離婚した兄への忠告、黒いゴミ袋でいっぱいのOLの部屋、大きな人形を抱きかかえて電車に乗っている女性、赤い紐がぶら下がっていたエレベーター、母の死と同時に落ちたブレーカー。作曲家兼スタジオミュージシャンの尾上は、自分にドッペルゲンガーがいるらしいと話す。その分身は、忙しい自分が行きたくても行けない所を訪れているようだ。

 珈琲怪談Ⅵ
 再び京都にて。
 通学路の途中で消えてしまった女の人の話、坪庭に指が生えていたという目撃談、駐車場にぽつんと残されていたスーツケース。実家にある赤絵の鉢は、料理を盛って出すと何故か誰か具合が悪くなる。二人同時に感じたデジャ・ビュ、あるホテルのロビーに飾ってある 現代アートを模したお札、誰も通っていないのに開く自動ドア。その屋の猫は時折そのドアの開閉に反応していた。
 そしてまた、多聞は小さな男の子を見かける。あれは多分…。

 ああ、好きだなぁ。そうそう、恩田さんのこういう会話劇、大好きなんだよ。
 怪談は勿論なんですが、間に挟まる「そうそう、あるある!」な感じの日常会話、それに豆知識。横浜が無理やり拓けた居留地だったなんて初めて知りました。なるほど、そりゃ神戸の中華街が小さい筈だわ。「左向きの顔が描き易い」「裏から見る」とか、懐かしすぎて…!
 そしてちゃんとオチらしきものが着く。何て素敵!(笑)
 登場する喫茶店も魅力的で、行ってみたくなりましたねぇ。大阪梅田で最初に出てきた喫茶店はかなりの有名店で、難波から黒門市場の方まで行ってる…となると、「一日でこの距離を??」とちょっとびっくりしましたっけ。神戸の店は特定できませんでしたが、それでもかなりの距離を移動してるのは分かりましたので、きっと横浜や東京の喫茶店もかなり離れてるんだろうなぁ。贅沢な時間の使い方だ(笑)。
 シリーズ前作『不連続の世界』は正直、すっかり忘れてまして(←おい:)かろうじて多聞さんの名前を憶えていた程度なのですが、もう一度読み返そうと思いました。

土師孝也さん

 ネットで訃報を知りました。

 大きく紹介されてたのは『北斗の拳』のトキ、確かにそうですね。
 『銀河英雄伝説』のメックリンガー提督、新作『ダイの大冒険』の魔王バーン。
 あと、何といってもハリーポッターシリーズのスネイプ先生。

 少しくぐもった深みのある声、時に陰を、時に優しさを含む。威厳、狂気、自由自在。ユーモアにも溢れて。

 そんなお年ではなかったのに。残念です。
 ご冥福をお祈り致します。

後宮の烏 2 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2018年

 シリーズ2冊目。ネタバレあります、すません;

 青燕
 反魂を求める女を「できない」と追い返した同じ夜。衣斯哈(イシハ)と名乗る少年宦官が、やはり少年の幽鬼が立っているのが見えると訴えて来た。その場所 飛燕宮にはかつて、妃に青燕の羽を贈ろうとして青燕を死なせてしまった少年宦官がいたのだとか。

 水の聲
 寿雪の元に訪れた老女の幽鬼は、先々帝の頃の鵲妃 婉林に仕えていたという。幼い頃からお妃教育を施した婉林は、なのにいざ後宮入りすると入水自殺してしまった。身投げした池から今でも婉林の声が聞こえると言う老女。だが寿雪には婉林の声は聞こえない。寿雪は老女をその池へ封じ込める。

 仮面の男
 楽人が着ける布作面、古いそれを覗くと、項垂れた男が見えるという。琵琶の音に反応した、しかも五弦の特殊な琵琶、と聞いて年老いた琵琶弾きが「心当たりがある」と語り始める。傑出した腕を持つ故に、楽人たちから爪弾きにされた男の話を。

 相夫香
 鵲妃 恵瑤の体調がすぐれないらしい。実家の兄を亡くして以来だという。寿雪は反魂を求めてきた女官が、鵲巣宮ゆかりの者だと気が付いた。果たして、恵瑤は宦官の宵月の言のまま、兄を蘇らせていた。だがその兄は血を欲し、事件を起こすこととなる。
 宵月とは何者なのか。宵月は自身を烏の兄と名乗り、烏を、引いては烏妃を葬りに来たという。
 一方高峻は、宵月を後宮に引き入れたとして魚泳を追及、魚泳は全てを肯定して後宮から去り、自害した。…

 エピソードを挟みながら、メインの話も進んでいきます。
 細かい言葉使いが微笑ましい。噂好きでお喋りな九九を「物見高い」と表現する宦官の品の良さ、それをよしとする寿雪の優しさ。先代烏妃の命とはそぐわなくなって仲間が増えていく寿雪、それを苦々しく思う魚泳。烏漣娘々を狙う刺客も出てきました。どんな背景があるのか。
 次巻に続きます。