植田仁@人と人を繋ぐ熱血経営者 キャリア形成のための読書術

1000冊以上の読書がキャリア形成を支えてくれた植田仁がお送りするブログ

『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』

 

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

この本を読み終えたとき、胸の奥に静かに残ったのは

「人との出会いは、偶然のようでいて、実は必然なのかもしれない」

という感覚だった。

派手な展開や劇的な事件があるわけではない。

しかし、だからこそ一つひとつの言葉や出来事が、

まるで自分自身の人生をなぞるように心に染み込んでくる。

 

物語の中心にあるのは、「出会い」と「別れ」、そして「再会」だ。

私たちは日々、多くの人と出会い、そして別れていく。

そのたびに「また会おう」と言葉を交わすが、

その約束が本当に果たされることは、実はそう多くない。

 

時間が経ち、環境が変わり、

気づけば連絡すら取らなくなってしまう人もいる。

それでも、この作品は問いかけてくる。

「それでも、その出会いは無意味だったのか?」と。

 

登場人物たちは、それぞれが不完全で、迷いを抱えながら生きている。

だからこそ、彼らの言葉や選択にリアリティがあり、

読者である自分自身を重ねずにはいられない。

特に印象的だったのは、人は誰かと関わることで、

自分でも気づいていなかった価値観や可能性に出会っていく、

という描写だ。

人生を大きく変えるのは、必ずしも大きな成功や失敗ではない。

ふとした会話や、何気ない一言が、

その後の生き方を左右することがあるのだと気づかされる。

 

また、本作は「今この瞬間をどう生きるか」というテーマを、

静かに、しかし力強く伝えてくる。

未来のために今を犠牲にするのではなく、

今を真剣に生きることが、結果として未来を形作っていく。

 

人との縁も同じで、その場しのぎの付き合いではなく、

目の前の相手に誠実に向き合うことが、

たとえ別れが訪れたとしても、後悔のない関係を残してくれるのだと感じた。

 

「また、必ず会おう」という言葉は、

約束であると同時に祈りでもあるのだと思う。

 

本当に再会できるかどうかは分からない。

それでも、その人との時間が確かに自分の人生の一部だったと

胸を張って言えるなら、その言葉は嘘にはならない。

この作品は、再会の有無ではなく、

出会った瞬間にどれだけ本気で向き合えたかが大切なのだと教えてくれる。

読み終えた後、過去に出会い、別れていった人たちの顔が自然と浮かんできた。

もう二度と会えないかもしれない人もいる。

それでも、その出会いが自分を形作っている事実は変わらない。

そう思えたとき、不思議と心が軽くなった。

人生は直線ではなく、点と点が後から線になるものなのだろう。

 

この本は、前向きな言葉で無理に背中を押すタイプの自己啓発ではない。

むしろ、立ち止まり、自分の歩んできた道を振り返らせてくれる作品だ。

人との縁を大切にしたい人、今の人間関係に少し迷いを感じている人にこそ、

静かに読んでほしい一冊だと思う。

読み終えた後、きっと誰かに「また、必ず会おう」

と言いたくなる。」

その言葉の重みを、少しだけ深く理解できるようになるはずだから。

 

評価に振り回される20代会社員が読むべき「心の筋トレ」

『メンタルモンスターになる。』

― 折れない心は、生まれつきではなく「鍛えた結果」だった

この本を読んでまず感じたのは、「メンタルが強い人は、特別な人間ではない」という事実です。
世界最高峰の舞台で戦い続けてきた長友佑都選手の言葉は、華やかな成功談よりも、泥臭い思考と習慣の積み重ねで満ちていました。

 

20代会社員として働いていると、成果が出ない時期、評価されない不安、周囲との比較に心が削られる瞬間があります。


本書は、そんな“普通の社会人の弱さ”に対して、「それでも前に進むための考え方」を具体的に示してくれます。

気づき①

メンタルは才能ではなく「技術」である

本書を通じて繰り返し語られるのが、「メンタルは鍛えられる」というメッセージです。
長友選手は、落ち込まない人間ではありません。むしろ、不安や恐怖を誰よりも感じてきたと語ります。

 

それでも折れなかった理由は、感情に支配されないための思考トレーニンを積み重ねてきたから。


会社員の仕事も同じで、メンタルが強いか弱いかではなく、
「落ち込んだときにどう立て直すか」を知っているかどうかが分かれ道になるのだと気づかされました。

気づき②

他人との比較をやめた瞬間、成長が始まる

20代で最も消耗する原因の一つが「比較」です。
同期、SNS、評価、年収…。気づけば常に誰かと自分を比べています。

長友選手は、世界トップレベルの選手たちに囲まれる中で、
「他人と比べても何も生まれない」と悟ったと書いています。
比べるべき相手は“過去の自分”だけ。

会社員として働く中でも、周囲と比べて焦るより、
「昨日の自分より一歩前に進めたか」を基準にする方が、心は安定し、結果も出やすくなると感じました。

気づき③

調子が悪い時こそ、基本に立ち返る

メンタルが崩れる時ほど、人は特別な解決策を探しがちです。
しかし長友選手が徹底しているのは、睡眠・食事・準備・継続といった当たり前のこと。

 

派手さはありませんが、「調子が悪い時にこそ基本を守る人間が、最後に勝つ」という言葉には重みがあります。

仕事でも、成果が出ない時ほど焦って空回りしがちですが、
やるべきことを淡々と積み重ねる姿勢こそが、メンタルを支えてくれるのだと再認識しました。

気づき④

自分を信じるとは、「行動を裏切らない」こと

本書で印象的だったのは、「自信は、行動の積み重ねからしか生まれない」という考え方です。
ポジティブな言葉を唱えるだけでは、心は強くならない。

 

小さな約束を守る。
今日やると決めたことをやり切る。
その積み重ねが、「自分は大丈夫だ」という確信につながる。

 

20代会社員にとって、自信のなさは自然なものです。
だからこそ、根拠のない自信ではなく、行動に裏打ちされた自信を育てることの大切さを、この本は教えてくれます。

まとめ

メンタルモンスターとは、感情を否定しない人

この本を読んで分かったのは、
メンタルモンスターとは「落ち込まない人」ではなく、
落ち込んでも、正しい思考で立て直せる人だということです。

 

不安になる自分も、弱い自分も否定せず、
それでも前に進む選択をし続ける。

 

20代会社員として、仕事や人生に迷う時期だからこそ、
この本は「心の筋トレメニュー」として、何度も読み返したくなる一冊だと感じました。

 

『超筋トレが最強のソリューションである』

『超筋トレが最強のソリューションである』を読んで

筋肉は“努力が報われる世界”を創ってくれる

TESTOSTERONE氏の著書『超筋トレが最強のソリューションである』は、筋トレを単なる運動ではなく、「人生を好転させるための最強ツール」と位置づけ、その理由を科学的かつ情熱的に語り尽くした一冊だ。読み進めながら何度も頷き、時に笑い、そして最後には無性にジムへ行きたくなる。そんな本だ。

本書が響く理由は、単なる精神論でも、体育会系の根性論でもなく、「科学的エビデンスに裏付けられた事実」を、圧倒的にポジティブな言語で噛み砕いてくれる点にある。筋トレがメンタルを強くし、幸福度を高め、仕事の生産性を上げ、人生を安定させるその“仕組み”を理解すると、筋トレをやらない理由が急激に消えていく。

■筋トレは「再現性のある成功体験」を提供してくれる

人生では、自分の努力が報われない場面は多い。仕事で結果が出ない、人間関係で苦労する、思い通りにいかない。しかし、筋トレの世界には違う法則がある。

「努力が必ず結果に反映される世界」

重さは裏切らない。やった分だけ伸びる。昨日の自分より今日の自分を強くできる。この“再現性の高さ”は、現代のストレス社会で失われがちな自己効力感を取り戻す最高の手段だと、改めて実感させられた。

特に印象に残ったのは、「筋トレは人生の縮図」という一節。正しく積み重ねれば必ず前に進む。逆に、やめれば衰える。これはビジネス、学習、キャリア形成でも同じ構造だ。本書は、筋トレという行為を通じて、人生の原理原則を身体に刻むことの重要性を説いている。

■メンタルは“化学物質”で動く。だから筋トレは心も救う

筋トレをすると、ドーパミンセロトニン、テストステロンなどの「幸福・意欲ホルモン」が分泌される。気分が明るくなり、ストレスが減り、自己肯定感が高まる。これは単なる気持ちの問題ではなく、明確な科学的反応だ。

本書の中で特に刺さったのは、

  • 不安:運動が最も有効な軽減手段の1つ

  • うつ症状:軽度なら薬と同等の改善効果がある研究結果

  • 自信:筋トレによる姿勢改善が心理状態を左右する

という点。

心の問題を「気持ちの強さ」で片付けず、生理学的な仕組みで説明してくれる。この説明があるからこそ、筋トレが精神安定に役立つという言葉が“本気で信じられる”。

最近では、メンタルヘルスに悩む人も多い。しかし本書は、筋トレが「自己治癒力」を高める最強のセルフケアだと再定義してくれる。

■仕事の成果も筋肉で変わる

本書は、筋トレが仕事のパフォーマンスにも直結すると語る。
その理由は明快だ。

  • 集中力の向上

  • 意志力の強化

  • 睡眠の質の改善

  • 長期目標へのコミットメント能力の向上

筋トレの継続には計画性が必要で、自分を律する力が磨かれる。これはそのまま仕事の能力に転換される。とくに、「筋トレは意思決定の質を高める」という部分には深く共感した。

“筋トレする時間がない人ほど筋トレをすべき”という言葉の意味が、読んでいくと完全に腑に落ちる。忙しい人はストレスも多く、意思決定の回数も多い。だからこそ、筋トレの「効果の波及」が仕事全体を底上げするのだ。

■筋トレの価値は「身体以上のもの」をくれる

体が変わるのはもちろん嬉しい。しかし本書が繰り返し強調するのは、「筋肉は身体的メリット以上のものをもたらす」という点だ。

  1. 自己肯定感の向上

  2. 人生への主導権を取り戻す感覚

  3. モチベーションの自動生成

  4. 習慣化スキルの獲得

  5. 他者比較ではなく“自分との勝負”へシフトする思考

これらは、筋トレを継続している人ほど実感する。特に、人生のステージが変わり、仕事、恋愛、人間関係で悩みや不安を抱えやすい20〜30代には響く内容だ。

■“やる気”はいらない。必要なのは「やる環境」

TESTOSTERONE氏が断言するように、筋トレは「やる気がある人だけができるもの」ではない。むしろ、

やる気がなくても出来る仕組みを作ることが最強

という思想が本書の随所にある。
筋トレを「努力しないといけない特別な行為」にせず、歯磨きのように習慣にしてしまう。その結果、心身が自動で整う。この“仕組み作りの哲学”は、ビジネス書として読んでも非常に価値が高い。

■まとめ:筋トレは「人生を再構築する最強の投資」

本書を読み終えると、筋トレは健康でも美容でもなく、「人生の土台を作る行為」だと理解できる。

  • 努力が反映される世界が欲しい

  • 自己肯定感を上げたい

  • メンタルを安定させたい

  • 仕事のパフォーマンスを上げたい

  • 人生の主導権を取り戻したい

こうした悩みのすべてに、“筋トレ”という一つの行動が解決の糸口を与えてくれる。
筋肉は裏切らない。
科学もそれを証明している。

そして何より、筋トレには
「今日から人生を変えられる即効性」
がある。

この本は、ただの筋トレ指南ではなく、“自分を取り戻すための哲学書”でもある。読後、強くそう感じた。

『いただきます。人生が変わる「守衛室の師匠」の教え』

『いただきます。人生が変わる「守衛室の師匠」の教え』を読んで

この本を読んで最も心に残ったのは、「当たり前の日常の中にこそ、人生を変える学びがある」ということでした。
物語の舞台は、会社の守衛室という、一見地味で目立たない場所。そこにいる“守衛室の師匠”と呼ばれる老人が、若手社員たちに静かに語りかける言葉が、どれも深く、人生の本質を突いています。主人公がその言葉を通じて変化していく過程は、まるで私たち自身の成長の縮図のようです。

まず印象的だったのは、「仕事は誰かの役に立つことが目的であり、自分が楽をするためではない」という教えです。
現代社会では効率や成果が重視されるあまり、「どうすれば早く終わるか」「どうすれば楽に稼げるか」という発想になりがちです。しかし、師匠は言います。

「誰かが喜ぶことを考えながら働いている人は、どんな職業でも幸せになれる」

この言葉を読んだとき、自分の働き方を見つめ直さずにはいられませんでした。
“自分のため”に頑張るより、“誰かのため”に頑張る方が、結果的に自分を豊かにする。この逆説のような真理が、心に刺さりました。

次に、日常の中の「感謝の習慣」が人生を豊かにするという教え。
タイトルの「いただきます。」には、単なる食事の挨拶以上の意味が込められています。「誰かが自分のために動いてくれた」「自分がここにいられるのは多くの人のおかげ」そのことを“感じ取る力”こそが、幸せを育てるのです。

師匠は言います。

「幸せは、感謝できる心の広さに比例する」

この言葉を読んでハッとしました。
私たちは、何かを“得たとき”に感謝しようとしますが、本当の感謝とは“あること”に気づく心のこと。
朝、家を出るときの天気、電車が時間通りに来ること、誰かが笑顔で挨拶してくれること——その一つひとつに「ありがたい」と思えたら、人生の景色は一変します。

さらに大切な気づきとして、「成功とは結果ではなく、生き方の姿勢である」という点があります。
物語の中で、守衛室の師匠は出世やお金を否定しません。むしろ、それらを追いかける人間のエネルギーを理解しています。
しかし、そのうえでこう語ります。

「人としての成長が止まったとき、成功は失敗に変わる」

つまり、どんなに地位や名声を得ても、自分を磨く努力をやめた瞬間に、人生は鈍化してしまうのです。
「成功してから何をするか」ではなく、「成功するまでにどう生きるか」が問われている。
この視点の転換が、私にとって大きな学びでした。

また、守衛室という“通過点”のような場所にも象徴があります。
そこは、誰もが一度は通るが、あまり意識しない場所。
まるで、私たちが人生の中で見過ごしている“日常の入口”のようです。
この本を通して、「何気ない時間や人との出会いを、軽く扱ってはいけない」と強く感じました。
どんな小さな出来事にも、成長のタネがある。
それを拾えるかどうかが、人生の豊かさを決める——この気づきは、本書の最大のメッセージだと思います。

最後に心に残ったのは、「人は他人の人生を変える力を持っている」ということ。
師匠の一言一言が、主人公だけでなく、読者の人生にも静かに影響を与えます。
その優しさと真剣さは、決して押しつけではなく、相手を信じているからこその言葉です。
私も、日々の中で出会う人に、少しでも良い影響を与えられる存在でありたい。そう思わせてくれました。

この本を読み終えたとき、心の中で自然と「いただきます」とつぶやいていました。
それは、食事への感謝だけでなく、「今を生きること」「人と関わること」「働けること」すべてに対する感謝の言葉。
“守衛室の師匠”が教えてくれるのは、特別な成功哲学ではなく、「日常をどう受け取るか」という人生の原点です。
見慣れた景色の中に、幸せはもうすでにある。そのことに気づかせてくれる一冊でした。

 

仕事を減らせ。限られた「人・モノ・金・時間」を最大化する戦略書 

残業より余白が武器になる。Z世代のためのシンプル戦略

 

小田島春樹さんの『仕事を減らせ。限られた「人・モノ・金・時間」を最大化する戦略書』を読み、強く印象に残ったのは「削ることこそ、最大化につながる」という逆説的な視点でした。ビジネスの現場では、どうしても「もっとやる」「さらに増やす」方向に思考が偏りがちです。人材を増やし、予算を拡大し、案件を抱え込み、結果的に首が回らなくなる。それに対し著者は「減らす」ことを戦略の核心に据えています。この切り口は、多忙を美徳としがちな日本の職場文化にとって大きな問いかけとなります。

 

第一に、著者が強調するのは「限界を知る」ことです。人・モノ・金・時間の資源は有限であり、そこを無視して「根性で突破しよう」としても持続不可能になります。むしろ自分たちが保有する資源の量と質を正しく見極め、その中で成果を最大化するために「何をやらないか」を決める。これは経営だけでなく、個人のキャリアや日々のタスク管理にも直結する教えです。私自身も、やるべきことを並べては「とにかく全部やろう」とする癖があります。しかし本書を読んで、「やらないと決める」ことこそ戦略の第一歩だと痛感しました。

 

第二に響いたのは、「減らすことは手抜きではなく集中である」という点です。仕事を減らすと聞くと怠惰のように思われがちですが、著者の主張は真逆です。むしろ本当に価値のある仕事だけを厳選し、そこに徹底的にリソースを投下することで生産性は飛躍的に高まります。これはイーロン・マスクスティーブ・ジョブズといった世界的な起業家も実践してきた原理に近いものがあります。「シンプルにする」「優先度を絞る」ことが、成果を出す人や組織の共通項であることを改めて確認できました。

 

第三に注目すべきは、著者が提案する「減らすための具体的なフレームワーク」です。ただ抽象的に「仕事を減らせ」と言うのではなく、優先順位のつけ方や、会議・メール・資料作成といった日常業務の削減法にまで踏み込んでいます。特に「会議の時間を半分にする」「資料は完成度60%でまず出す」などの実践例は、現場ですぐに取り入れられるリアルさがあります。これらは単なる効率化のテクニックにとどまらず、組織文化そのものを変えるきっかけになり得ると感じました。

 

第四に、本書は「経営資源の最大化」という視点を個人の働き方にも広げています。限られた時間や体力をどう投資するか。誰と仕事をするか、どの市場を狙うか、どのように自己研鑽するか。すべては「選択と集中」の問題です。特に印象的だったのは、「時間は唯一、絶対に取り戻せない資源だ」という一節。お金や人は増やせても、時間だけは不可逆です。その意識を持つだけで、日々の過ごし方や意思決定の基準が大きく変わると思います。

 

また、本書のメッセージは「個人の働き方改革」にも直結しています。日本では「残業=努力」という古い価値観が根強く残っていますが、著者は明確にそれを否定します。長時間労働で疲弊した先には創造性も革新も生まれない。むしろ、しっかり休み、余白を確保することで新しい発想や挑戦が可能になる。この考え方はZ世代やミレニアル世代の価値観とも強く響き合う部分です。つまり、本書は単なるビジネス書にとどまらず、働き方の新しい指針でもあるのです。

 

私自身、この本を通じて「減らす」ことに罪悪感を抱く必要はないのだと再認識しました。むしろ「減らす=逃げ」ではなく「減らす=攻め」なのだと。無駄を削ぎ落とすことは、より遠くまで進むための前提条件です。たとえば野球でバットを短く持ち、確実に芯に当てる練習を重ねた上で、フルスイングに挑むのと似ています。基盤を固めるための「減らす」があってこそ、飛躍のための「増やす」が可能になるのです。

 

最後に、本書の核心メッセージを一言で表すなら「減らす勇気を持て」ということになるでしょう。人は「やらないこと」を決めるときに強い不安を感じます。しかし、その不安を乗り越えてこそ、本当に価値のある仕事に専念でき、人生の成果も豊かになる。これは組織経営だけでなく、私たち一人ひとりの人生戦略にも応用できる普遍的な真理だと思います。

 

総じて『仕事を減らせ』は、単なる効率化マニュアルではなく、「有限の資源をどう生きるか」という人生論にまで踏み込んだ一冊でした。読み終えてから、自分のタスク管理表を見直し、「これは本当にやるべきことか?」と問い直すようになりました。そのプロセス自体がすでに、本書の価値を証明していると感じます。

 

『法則』舩井幸雄〜植田仁のキャリアのための読書術〜 

舩井幸雄さんは「経営コンサルタントの神様」とも呼ばれ、日本のビジネス界に大きな足跡を残した人物です。その舩井さんが晩年にまとめた思想や人生哲学を凝縮したのが『法則』です。本書は単なる経営書や自己啓発書ではなく、人間としてどう生きるか、社会や時代をどう受け止めるかにまで踏み込んでいます。読後感はまるで「人生の羅針盤をもらったような感覚」であり、現代を生きる私たちに多くの気づきを与えてくれました。


1. 「法則」とは、宇宙や自然の摂理に従うこと

まず印象的だったのは、「法則」とは人間が作ったルールではなく、宇宙や自然に備わっている摂理である、という定義です。
「良いことをすれば良い結果が返ってくる」「調和を乱せば不調和が生じる」。これは古来から宗教や哲学でも語られてきた因果応報の考え方ですが、舩井さんはこれを経営や人生の実践に落とし込んでいます。

特に「素直でプラス発想で勉強好きな人は必ずうまくいく」という有名な言葉。これは舩井さんが一貫して唱えてきた成功法則であり、人の本質に沿ったシンプルで強力な指針だと感じました。現代のように不確実性の高い時代においても、この「素直・プラス思考・学び続ける姿勢」は普遍的な力を持つのだと改めて実感しました。


2. 経営と人生の共通項

本書は「経営の原理原則」と「人間としての生き方」が地続きであることを教えてくれます。舩井さんは「経営とは人を幸せにするための仕組みづくり」と定義します。つまり、会社の利益や拡大は目的ではなく、あくまで社会や人々を幸せにする手段である。

この考え方は現代の「SDGs」や「サステナビリティ経営」とも重なりますが、舩井さんはすでに数十年前からそのビジョンを語っていました。短期的な利益に惑わされず、人や自然との調和を優先すること。これはまさに宇宙の「法則」に合致する経営であり、長期的には必ず繁栄につながる、と説いています。

この部分を読んで、仕事に追われる自分自身を振り返らされました。数字や成果にこだわるあまり、「人を喜ばせる」という根本を忘れていないか。経営者でなくとも、会社員一人ひとりが「誰を幸せにするために働くのか」を考えることこそ、仕事の本質だと強く感じました。


3. 「見えないもの」を信じる勇気

舩井さんは物質的なもの以上に、「見えない力」を重視しています。愛や感謝、信頼といった目に見えないエネルギーが、人や組織を動かし、結果を生むと繰り返し強調しています。

現代社会は合理性やデータを重視するあまり、この「見えないもの」を軽視しがちです。しかし、人間関係において本当に人を動かすのは「数字」ではなく「信頼」や「心」です。

僕自身も会社員時代の営業職として働く中や、起業してサービスを提供する中で、数字や商品スペックだけでなく「この人から買いたい」と思っていただける信頼関係こそが成果につながると痛感してきました。本書はその直感を裏付けてくれるようで、改めて「見えないものを大切にする勇気」を持ちたいと感じました。


4. 逆境にこそ「法則」が働く

本書の中で特に心に残ったのは、「逆境や困難は必ず意味がある」という言葉です。舩井さんは「人間に起こることはすべて必然で、必要で、ベストである」と断言します。これはまるでスピリチュアルな響きもありますが、読み進めると非常に現実的な指針でもあることに気づきました。

失敗や困難は、自分に何かを学ばせるための「法則」に基づいた出来事だと捉えれば、そこから立ち直る力が湧いてくる。事実、歴史に名を残す多くの経営者やリーダーも、大きな挫折をきっかけに飛躍しています。

僕自身も仕事で大きな失敗を経験したとき、「なぜ自分だけ…」と悩んだことがあります。しかし振り返れば、その経験が後のキャリアに大きく役立ちました。本書を読み、「逆境の意味」を信じることで未来に前向きに進めるのだと勇気づけられました。


5. 舩井幸雄が残した希望

『法則』全体を通して感じたのは、舩井幸雄さんが未来世代に向けて「希望」を残してくれているということです。彼は時代の変化を冷静に見つめつつも、「人間は必ず良い方向に進む」という楽観を持ち続けています。その根拠は、人間や宇宙が本来持っている「法則」への信頼です。

これは単なるポジティブシンキングではなく、自然や歴史の流れを深く観察したうえでの確信です。僕たちも、この「法則」に沿って生きる限り、必ず未来は開ける。だからこそ、焦らず、恐れず、一歩を踏み出すことが大切なのだと改めて教わりました。


まとめ

『法則』は、経営者だけでなく、すべての人が人生の指針として読める本です。そこに書かれていることは、実にシンプルです。

  • 素直に生きる

  • プラス思考で物事を見る

  • 学び続ける

  • 見えないものを大切にする

  • 困難には意味があると信じる

これらは当たり前のように聞こえますが、日々の生活の中で意識するのは容易ではありません。だからこそ「法則」という形で言葉にされ、僕たちの心に刻み込まれるのだと思います。

読了後、僕は「今日からどう生きるか」を強く意識するようになりました。仕事においても人生においても、「これは法則に沿っているだろうか?」と自問することで、より良い選択ができそうです。

舩井幸雄さんが残した「法則」は、今を生きる僕らにとっての確かな灯台です。困難や迷いの多い時代だからこそ、この本が伝える普遍のメッセージに立ち返ることで、前向きに未来を歩んでいけると感じました。

許成準著『超訳 孫子の兵法』

植田仁です。人と人を繋ぐ熱血経営者として日々精進しています。

超訳 孫子の兵法』を読んで得た5つの気づき

孫子の兵法」と聞くと、戦国の将軍たちが戦場で活用した古典という印象を持つ人が多いかもしれません。しかし許成準氏の『超訳 孫子の兵法』は、その叡智を現代社会やビジネス、日常生活にまで引き寄せて解説してくれる一冊です。

読んでいく中で、「戦い」とは必ずしも武力だけを指すのではなく、人間関係や仕事、人生のあらゆる局面における「駆け引き」「選択」の比喩でもあると強く感じました。以下では、本書から得た5つの気づきを整理していきます。


1. 「戦わずして勝つ」戦略思考の重要性

孫子のもっとも有名な教えのひとつが「百戦百勝は善の善なる者に非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」です。これは「勝つために戦う」のではなく、「戦わずに勝つ道を探す」ことの大切さを説いています。

現代に置き換えれば、これは無駄な争いや消耗戦を避け、交渉・関係性・仕組み作りで成果を得ることに通じます。会社の競争、営業の駆け引き、人間関係の摩擦においても、「真正面から衝突すること」が必ずしも正解ではありません。むしろ、相手の欲求や状況を理解し、調和をつくり出すことで摩擦を最小限にしながら望む結果を得る。これこそが「戦わずして勝つ」現代版の戦略だと学びました。


2. 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」

もう一つの有名な言葉は、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」。つまり「相手を理解し、自分を理解すれば、いかなる戦いでも危険は少ない」という教えです。

現代では、これは「情報収集」と「自己分析」に置き換えられます。ビジネスであれば、市場や競合の動向を徹底的に調べ、自社の強みと弱みを冷静に把握すること。就職や転職の場面であれば、自分の適性や強みを把握し、企業の文化やニーズを理解すること。恋愛や人間関係でさえ、相手を知る努力と自分を知る努力がなければ、関係はすれ違ってしまうでしょう。

「勝敗は戦う前に決まっている」という孫子の視点は、事前準備の重要性を強調しています。勢い任せに挑むのではなく、冷静に「勝てる土俵」を選ぶ力こそが、現代人に求められる戦略的思考だと気づかされました。


3. 「勢い」をつくり、活かす力

孫子はしばしば「勢」という言葉を使います。勢いとは、自然に流れるエネルギーを意味し、これを活用すれば少ない力で大きな成果を上げられる、と説きます。

現代で言えば、これは「トレンド」や「流れ」に乗ること。個人でも企業でも、時代の潮流を見抜き、その波を活かせば、少ない労力で最大の効果を生み出せます。逆に、時代に逆らって戦えば、どれほど努力しても空回りします。

例えばSNSの発展、AIの普及、サステナブル消費の拡大といった流れは、まさに現代の「勢」です。この勢いを活かす人は短期間で大きな成果を出し、見誤る人は衰退していく。本書を通じて、「努力だけでなく、勢いを読む眼を養うこと」が現代人に不可欠であると気づきました。


4. 「用兵の妙」は柔軟性にある

孫子は「水の如くあれ」とも説きます。水は高きから低きに流れ、障害物にぶつかれば形を変え、容器に入ればその形に従います。つまり、強さの本質は「柔軟さ」にあるのです。

現代社会でも、硬直した思考や方針に固執すれば、変化に対応できずに敗北します。リーダーやビジネスパーソンに必要なのは、時に戦略を変え、時に撤退し、時に大胆に打って出る柔軟性です。

また、人間関係でも同じです。自分の意見を押し通すばかりでは摩擦を生みます。相手や状況に応じて対応を変える「しなやかさ」こそが、長期的に信頼を築く鍵になります。「水のように柔軟であること」は、現代社会を生き抜く普遍的な知恵だと感じました。


5. 「勝ち続けるために撤退を恐れない」

孫子は「勝てる戦いだけをせよ」と繰り返します。これは裏を返せば、「勝てない戦いは避けよ」という教えでもあります。つまり「撤退」を恥じるのではなく、戦略的に選ぶことが重要なのです。

ビジネスでも人生でも、撤退や方向転換はしばしば「失敗」と捉えられます。しかし孫子は、それをむしろ「次の勝利への布石」と考えます。例えば赤字事業からの撤退、新しい市場へのシフト、職場や環境の見直し。これらは短期的には痛みを伴いますが、長期的には生き残るための必須条件です。

現代は変化が早く、昨日の成功法則が今日には通用しないことも珍しくありません。その中で「勝ち続ける人」は、勝負勘だけでなく、潔く撤退できる冷静さを持っている。孫子の教えは「勇気とは戦うことだけではなく、引く決断をすることでもある」と教えてくれました。


まとめ

許成準『超訳 孫子の兵法』は、古典を現代語でわかりやすく解きほぐし、私たちの生活や仕事に直結する実践的な知恵を授けてくれる一冊でした。

  • 戦わずして勝つ発想

  • 相手と自分を知る情報戦

  • 勢い(流れ)を読む眼

  • 水のような柔軟性

  • 撤退を恐れない戦略

これらは「勝利のための原則」であると同時に、「人生をより良く生きるための知恵」でもあります。

孫子が二千年以上前に残した言葉が、今もなお現代社会で鮮烈に響くのは、人間社会の本質が変わっていないからでしょう。本書を通じて、私たち一人ひとりもまた「戦場」に立っているのだと実感しました。そして、その戦場で勝ち続けるためにこそ、孫子の兵法は生きた指針となるのだと確信しました。