★★★☆☆
あらすじ
厳格な親元を離れ一人暮らしを始めた女子大生は、発作で倒れたことがきっかけで、同じ大学に通う女性と仲良くなる。
ヨアキム・トリアー監督。116分。
感想
一人暮らしの女子大生が主人公だ。お酒も飲まない真面目なキリスト教徒で、両親からは毎日のように電話がかかってくる。映画冒頭の幼少期のショッキングな回想シーンと合わせて考えると、なにやらワケありの女性らしい。
主人公はある日突然発作で倒れ、そのことがきっかけでひとりの女性と知り合う。 2人は次第に仲良くなっていくが、主人公が彼女を見る目は友達以上の何かがある。蛇がベッドに忍び込む夢は、主人公の罪の意識が現れているのだろう。
彼女はタブーを犯す不安から信仰にすがるも、教えに背く感情は止められず、罪悪感からますます苦しむことになった。そして追い詰められて現れたのが発作なのかもしれない。宗教は多くの人に救いをもたらすが、彼女のような人にとっては、負のスパイラルを生むだけの苦しみでしかないこともある。宗教に苦しめられる主人公は、だから神と悪魔は似たようなものだと語ったのだろう。
しかし現在はまだいいが、宗教が支配的だった中世のマイノリティたちは、それこそ地獄のような日々だったに違いない。何とか教義に従い生きようとしてもつらく、それでも耐え続けた結果発作でも起きようものなら、魔女だと袋叩きに遭うこともあったかもしれない。
やがて主人公に不思議なことが起き始める。これらは彼女の抑圧のメタファーなのかと思っていたのだが、どうやらガチでリアルなものらしいとわかってくる。確かにそれ以外では説明できないことが多かったのは事実だが、まさかそんな展開になるとは思わなかった。ヒューマンドラマではなかった。
家族の過去が明らかになり、主人公が両親に対してその力を見せつける終盤の展開は引き込まれる。水の中から戻ってきた主人公が、まるで古い自分を洗い流し、生まれ変わったかのように新しい自分を見せるラストも爽快だ。
意味深で示唆的なシーンが散りばめられ、じっくり丁寧に描かれた映画だ。だが丁寧すぎたきらいはあり、途中で冗長さを感じてしまう場面も多かった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作総指揮 ヨアキム・トリアー
脚本 エスキル・フォクト
出演 エイリ・ハーボー/カヤ・ウィルキンス
