★★★☆☆
あらすじ
父親が偽札事件の犯人だと知ったジャーナリストの女性は、幼少期からの父親との想い出を振り返る。
ショーン・ペンが監督・出演し、実子のディラン・ペン、ホッパー・ペンと共演している。事実を基にした作品。112分。
感想
ジャーナリストの主人公が、犯罪者の父親との思い出を振り返る物語だ。父親は夢見がちな男で、子供を楽しませるのが得意だった。幼い主人公は大好きだったが、生活力がなかった。事業に手を出しては失敗し、やがて妻と険悪になって無責任に家を出て行ってしまった。
彼は父親にはいいが、夫としては最悪のタイプだろう。そして借金を残して去ることで、結果的には父親としても最低になってしまった。フラッグ・デイ(祝日)に生まれたことで自分を特別だと思い込み、常に夢を追う生き方しか出来ない。ほぼロクな人生にはならないが、それでも成功して金持ちになり、家族もハッピーとなる可能性もないわけではないので人生は難しい。
主人公は父親のダメさ加減に気付いていながらも、過去の楽しかった思い出が忘れられず、彼に対する好感度は高いままだ。幼い子供たちを育てながら、苦労して夫の尻ぬぐいをしている母親にしてみれば、たまったものではないだろう。その点でも父親はズルい。
やがて成長し、義父と暮らす家にいられなくなった主人公は家出し、父親に会いに行く。相変わらず夢を追い、苦しい生活を送っている父親の姿を目の当たりにするのだが、それで幻滅すのではなく、彼の人生を立て直そうとするのがすごい。他に行き場がないこともあるのだろうが、やはり愛情があるからこそだろう。
娘にそんなことをされたら父親は嬉しいに決まっている。思うようにいかないながらも、彼なりに必死に頑張った。だがそれでも簡単に生き方は変えられない。夢見がちな性格が再び頭をもたげる。娘の応援が心理的なプレッシャーにもなっていたのだろう。ついには犯罪に手を染め、収監されてしまう。
一生懸命背中を押したのに、裏切られてしまった主人公はさすがに愛想が尽きた。父親の元を離れて、夢だったジャーナリストを目指すようになる。この時点で彼女は家出をして放浪してと、人生のレールを外れてしまっていたのだが、簡単に元のレールに戻ることが出来た。再チャレンジが出来るアメリカの社会システムの寛容さに感心してしまう。日本ならその後一生、レールを外れたままでなかなか戻ることは出来ないだろう。
望んだ人生を歩み始めた主人公の前に突然、出所した父親が十何年ぶりに現れる。当然ではあるのだが、もはや手放しでは喜べず、戸惑っているのが切ない。そして、それでもまだどこかで喜び、期待してしまっていることが分かるのが、なお切なかった。
エモーショナルな映像と心に響く音楽で雰囲気溢れる映画だ。ただ主人公と父親、どちらの側も掘り下げが足りず、物足りなさが残る。夢に生きて現実に生きることが出来なかった男の悲哀も、そんな男を父親にもった主人公の複雑な感情も、そこまで伝わってこなかった。
スタッフ/キャスト
監督/出演 ショーン・ペン
脚本 ジェズ・バターワース/ジョン=ヘンリー・バターワース
原作 Flim-Flam Man: A True Family History (English Edition)
出演 ディラン・ペン/ジョシュ・ブローリン/キャサリン・ウィニック/エディ・マーサン/レジーナ・キング/ノーバート・レオ・バッツ/デイル・ディッキー/ベイリー・ノーブル/ホッパー・ペン
音楽 ジョセフ・ヴィタレッリ
撮影 ダニー・モダー
編集 ヴァルディス・オスカードゥティル/ミシェル・テゾーロ

