BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「シラノ・ド・ベルジュラック」 1990

シラノ・ド・ベルジュラック ジェラール・ドパルデュー [HDマスター] [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 詩人でもあり剣豪でもある男、シラノ・ド・ベルジュラックは、醜い顔にコンプレックスを持ち、思いを寄せる女性に告白できずにいた。

www.youtube.com

 

 ジェラール・ドパルデュー主演。実在した剣豪作家を描いた同名舞台が原作。フランス映画。137分。

 

感想

 上演時間が迫る劇場から物語は始まる。徐々に観客が集まり、熱気は高まっていく。会場にいる主要人物を紹介しながら進行する演出は巧い。そして、最後に登場するのが主人公、シラノ・ド・ベルジュラックだ。始まった舞台の役者をいきなり大声で罵倒し、上演を止めてしまう。そして高らかに詩を吟じながら、絡んできた男と剣術で戦い圧勝する。舞台が目当ての観客たちも大喝采だ。

 

 いかにも豪胆な男で、まさか彼が自分のルックスを気に病んでいるなんて思いもしなかった。それに幼い頃から悩んでいたのなら、引っ込み思案になって剣術も文学的才能も上達しないような気がするが、コンプレックスをバネにしたということなのかもしれない。

 

 そして大勢の前で演説をぶつほどになったのだから、コンプレックスは解消したのかと思いきや、結局いまだにウジウジしているのもよく分からない。劣等感とは、本人にしか分からない根深いものであることが伝わってくる。

 

 主人公は、意中の女性が他の男に想いを寄せていることを知る。そしてその男も彼女に好意を持ち、両想いであることが判明して落胆する。だが、その男は不器用で詩的な才能はなく、主人公に恋文の代筆を頼んでくる。彼はそれを喜んで引き受けてしまうのだが、その心境がよく分からなかった。

 

 付き合えないと分かっていても想いだけは伝えたいという気持ちは理解できなくもないが、その場合はせめて匿名だろう。他人の恋愛成就のためにやろうとする気持ちがしれない。

 

 

 彼女に思いを伝えて、その心が動いたのならそれで満足だ、という気持ちだったのかもしれない。恋愛シミュレーションゲームをやっているような感覚だろうか。男と二人三脚で女性に言い寄る様子は、時にコミカルで面白い。

ときめきメモリアル forever with you エモーショナル 通常版

ときめきメモリアル forever with you エモーショナル 通常版

  • コナミデジタルエンタテインメント(Konami Digital Entertainment)
Amazon

 

 中でも主人公が代書した情熱的な手紙に感激していた女性が、実際に会うと全く美しい言葉をかけてこない男に不満を示すシーンは可笑しかった。男が何度「愛している」と囁いても陳腐だと許してくれず、「『愛している』は分かった。からのー?」と何度も聞いてくる。ひな壇芸人泣かせの追いつめてくる司会者みたいだった。

 

 時にコミカル、時に愉快なやり取りを楽しく見ていたのだが、終盤の戦争のシークエンスになると、上映時間の長さもあって失速してしまった印象だ。戦争の状況がよく分からないし、テンポも落ちた。ラストは感動的な場面ではあったがやや冗長で、長丁場の疲れもあって少し苛立ってしまった。

 

 剣に優れ、詩才があっても人生がうまくいくとは限らない。女性と結ばれることはないと思い込んでしまった男の切ない物語だ。人間はなんて繊細な生き物なのだろうとしみじみしてしまう。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジャン=ポール・ラプノー

 

脚本 ジャン=クロード・カリエール

 

原作 シラノ・ド・ベルジュラック (岩波文庫)

 

出演 ジェラール・ドパルデュー/アンヌ・ブロシェ/ヴァンサン・ペレーズ

 

シラノ・ド・ベルジュラック (1990年の映画) - Wikipedia

 

 

登場する人物

シラノ・ド・ベルジュラック/アントワーヌ・ド・ギーシュ伯爵(アントワーヌ3世)

 

 

関連する作品

同じ原作の作品

愛しのロクサーヌ (字幕版)

愛しのロクサーヌ (字幕版)

  • スティーヴ・マーティン
Amazon

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com