「吉備大臣入唐絵巻の謎」読んだよ~
▼
ボストン美術館に収蔵されている『吉備大臣入唐絵巻』。
上の絵が一番有名。鬼(実は阿倍仲麻呂)と一緒に空を飛んでるやつ。
12世紀末~13世紀ごろに作られたとされる絵巻です。
この絵巻、冒頭や結末部分は消失していて完全な形ではないそうなのですが・・・。
絵巻の内容は、
遣唐使として唐に渡った吉備真備が、現地で数々の難題を吹っ掛けられるも、
鬼となった阿倍仲麻呂の霊(唐で客死した無念で鬼になった)の助けを借りてことごとく退け、
みごと難題を解いて勝利し帰国する・・・というストーリー。
吉備真備は奈良時代の人で時代設定もあわないし、
鬼が出たり空を飛んだりと、超自然的な要素を含む創作話です。
その点では都市伝説界隈にも人気の絵巻だったりしますw
実はこの絵巻、かつては日本美術界で「凡庸な作品」なんて言われていたそうなんです。
現在国内じゃなくてボストン美術館にあるのは、結局はそういう理由らしい。
え、凡庸~~!?って思いますよね。少なくともわたしにはその観点はなかった。
なぜ有名絵巻「伴大納言絵巻」や「信貴山縁起絵巻」などに比べ
格が一段落ちるとされているのか。
欠落部分がもし残ってたら、
本当は同じくらい素晴らしい絵巻だったのでは?
この本は「絵画史料論」の方法で分析して、この絵巻を再評価してみよう、という本になります。
(絵画史料論については正直よくわからない・・・)
まず著者の黒田日出男先生の観察眼。
絵巻に描かれた登場人物の服装や持ち物、背景の細部に至るまで、まるで事件現場をくまなく調べる鑑識のように、一点一点じっくりとチェックしていく。
そうやって細部を丹念に見ていくうちに、先生は発見する。
なんと、この絵巻、単に後半部分が失われているだけでなく、
現在残されている部分にも「順序が入れ替わっている(錯簡)」疑いがあるという。
これって、パズルのピースが間違った場所にはめ込まれているようなもの。
そのあたりにも、この絵巻が低評価だった理由があるのかも。
もし本来の正しい順番に絵巻が復元できたら・・・?
黒田先生の推測によると、もし絵巻本来の構成が復元されたら、この『吉備大臣入唐絵巻』は、あの有名な『伴大納言絵巻』にだって決して劣らない、日本美術史における「超一流の作品」として再評価される可能性があるかもしれないと。
もし最初から完璧な状態だったら、低評価のために海外へ売り飛ばされることも無かったかも。(そして似たようなケースは他の絵巻でもあるかもしれない・・・)
さらにこの本、本文で取り上げている絵巻の登場人物などのポイントの部分を、現代の日本画家の先生が線画で模写した絵が各ページにたくさん添えられている。実際の絵巻の絵は色が褪せてたりして素人には見にくいけど、輪郭のハッキリした線画になると持ち物なども判別しやすくて読んでてかなり助かりました。そして、本の最後にその画家の先生が寄せた文章が載っているんですが、「実際に模写してみると、この絵巻の絵のレベルは本当に高いと感じました」と書かれていて、プロの画家さんがそう言うなら間違いない!と、「実はこの絵巻は一流作品だった説」への信憑性がさらに高まったような気がしました。
この本は、単なる美術史の本でもないし、歴史・・・というのも微妙に違うし(独特な説だし)、ちょっとジャンルを決めきれない本。しかもこの説が学会とかでコンセンサスを得られてるかというとそんなこともなさそう?だし。でも、絵画にまつわるミステリーって面白いんだよね。誰かこのネタで「ダヴィンチ・コード」みたいな小説書いてくれないかな。
まあわたし、そもそも絵の「格」とかよく分かんないんですけどね・・・(^^;)
↻


Re: 「吉備大臣入唐絵巻の謎」読んだよ~
玉さん、( ´∀`)ゞ イラッシャーイキビノマキビも声に出して読みたい。古代には声に出して読みたい名前がけっこう多い気がする。
それはそうと、わたしは「その姿勢しか描けなかった」に1票!w
[ 返信 ]▼ ▲