ぼくとー旅行記

どんなに些細な距離であっても、非日常がそこにあるならそれは旅行である。

ゆふいんの森4号

初稿: 2025/11/1

 いや忘れていたわけではないんです…ご無沙汰しております、ぼくとうです。酷い有様ですね…(前回も見た)。というわけで、「観光列車」という新しいカテゴリーを作成したので、こちらの乗車記も書いていきたいと思います。記念すべき第一弾は、観光列車のレジェンド

原点にして頂点

言わずと知れた名列車「ゆふいんの森」です。その名の通り、九州一の大都会「福岡」と有数の観光地「由布院」とを結ぶ観光特急…なのですが、一日一往復だけ何故か足を伸ばして別府までやって来るので、そちらに乗車しました。というわけで旅は別府駅からスタート。

2025年3月26日

大分といえばとり天

 列車の発車は14:43。まずはその前に大分名物「とり天」で腹ごしらえです。駅前の「まやかしや」さんにちょうど運良く並ばずに入店できたので入ってみると、残り一人前で終了とのこと。あわてて注文して揚げたてのとり天に舌鼓を打ちます。唐揚げともまた違った、「鶏の味」がしますよね……。そうえば大分県は(中津)唐揚げも有名だったか。美味しゅうございました。

へー博多行きの特急は二系統あるんだなあ(棒)

 満腹になったところで、「JR九州インターネット列車予約」で予約した指定券を発券します。これJR九州内でしか発券できないのがちょっと不便ですよね…。特に博多の券売機とか混雑してて発券が間に合わないこともあるらしいですし、早めに発券しとかないと不安です。なら他社で予約すればいいのでは?という話ですが、e5489だと別府~博多はソニックしか出てこないんですよね。それもそのはず、ゆふいんの森4号はいったん大分に出てから久大本線回りで博多へ向かうルート。別府~博多の移動目的で使うような列車ではないのです。もちろん王道は日豊本線回りで音速で駆け抜ける特急ソニックですよ。そのため先発のソニック36号は16:28に博多に着くところ、ゆふいんの森4号の博多到着は18:10となんと3時間半もかけた贅沢な遠回りを満喫できます。あ、ですから、乗車券はちゃんと久大本線経由で買わないといけません。

別府に眠るエメラルド

 さて発車1時間ほど前ですが、待ちきれずにホームに上がるとすでにゆふいんの森は入線しており、入念に発車準備を行っていました。さすがのおもてなし精神です。早く乗りたいけど。

こちらは先に博多へ向かう(白い)ソニック

 そんなこんなでホームから車体を観察。見るからに「普通の列車とは違う」と分かる、これから始まる非日常感あふれる旅路を予期させる秀逸なデザインです。展望窓を備え丸みを帯びた先頭部に、上品なオリーブグリーンと金を配したこの見た目は、さながら欧州の王家のイースターエッグのよう。デビュー後35年と年季の入った車体ですが、その古さがいぶし銀の風格を与えています。

平成を走り抜けた名車

 その気品あふれる車体の名は「キハ71系」。通称「ゆふいんの森Ⅰ世」です。主に博多~別府便の3・4号を担当し、後輩のⅢ世が博多~由布院便を担当します。後輩の方が距離が短い?まあ2往復あるから……。じゃあⅡ世はいるのかって?君のような勘のいいガキお子様専用列車こと「あそぼ~い」に改造されました。そんな中、無改造で(機器更新はありますが)専属し続けているゆふいんの森の完成度の高さが窺えますね。

いざ車内へ

 発車10分ほど前になって、いよいよ客扱い開始です。アテンダントさんのお出迎えを受け、期待を胸にハイデッカーの階段を登ると、そこには重厚感あふれる内装が。最近の車両のようなスタイリッシュさはありませんが、大人な落ち着いた空間が広がります。石油香るディーゼルエンジンに、落ち着いた豪華な内装。客船に乗っているような錯覚を感じるほど。

最前列

 さて今回はネットで10時打ちしたので、13番D席、すなわち最前列の座席です。そう、あの大窓からの前面展望を存分に味わえるお席。まあずっっっとアレな客が正面ガラスに貼りついてたり他の乗客の席に勝手に座って揉めたりしてましたけど…。いやー最近はネットでも10時打ちできるようになって、ハードルが大分下がりましたね。

ハイデッカー前面展望

 早速運転士さんの真後ろに着席して、いざ出発。大窓に別府湾を望みながら、日豊本線を大分方面へ下っていきます。この海岸線沿いに国道と併走するのが、鉄道の風景って感じですよね。客席はハイデッカーなものの運転士は1階部なので、視界を遮られずに前面展望を楽しめるのもgoodです。まあ運転する手元ばっか見ちゃうんですが。最近はバリアフリーの観点からハイデッカーは衰退しているのが悲しいところです。

2号車ラウンジ

 大分を出発して落ち着いたところで、車内を散策。2号車にはこのようなビュッフェが設けられており、お弁当やおつまみ、グッズの購入や、記念撮影ができるなど、既に「観光列車」の定番スタイルが確立しています。

生ビールをいただきます

 そしてなんとゆふいんの森Ⅰ世限定で生ビールサーバーが設置されており、車内でヱビス生ビールを頂けてしまいます。というわけで早速購入し、お席で頂くことに。流れる雄大な景色の中いただくビールはたまりません。

由布の高原を抜け

 観光列車らしく右に左に車窓の紹介を受けながら、由布の高原を走りゆふいんの森Ⅲ世と交換。お互いの乗客が手を振り合うのも、こうした列車ならではです。

新幹線が見える都会の景色

 やがて西日が射す中、久大本線を走りきると、鹿児島本線へ。今や頭上を九州新幹線が走り、文字通り過去と未来が交差する光景です。ここまで来ると複線の大幹線。優雅な走りから一変し、かつての特急街道*1ディーゼル震わせ爆走していきます。

非日常が都会を駆け抜ける

 帰宅ラッシュを横目に、列車は終点博多駅へ。随分と都会的な駅舎に、レトロな4両編成が滑り込むのが、また非日常感をくすぐります。博多まで3時間半、あっという間の旅でした。

そんなどう森みたいな…

おわりに

博多の重鎮

 観光列車天国のJR九州。その原点たる列車は、今なお後発の星々に埋もれることなく輝き続ける名列車でした。終始ほぼ満席でしたし、外国人観光客の姿も多く、変わりゆく時代の中でも万人に愛される列車なのだなと改めて感じた次第です。この「ゆふいんの森」ブランドを落とさぬよう努める乗務員の方々のホスピタリティも素晴らしく、流石はJR九州の十八番といったところで35年経った今も古さを感じさせない列車でした。……いや流石にキハ71系の老朽化は誤魔化せず、走行音も「ガタンゴトン」ではなく「ガコッ…ゴガガガッ」といった様子で、老兵も時間には抗えないのだなと感じてしまいます。いや、久大本線の保線の問題もあるかもしれませんが、日豊本線鹿児島本線でもこんな感じでしたし……。

 というわけでこの歴史に残るであろう名列車、まだ現在形のうちに皆様も一度乗られては如何でしょうか?JR九州一の観光列車は伊達じゃない、素敵な時間が待っていることでしょう。

*1:鳥栖からは佐賀方面の特急が合流しますが