ルナトレイスの語り部日誌

風になった名馬たちの記憶を、ルナトレイスが綴る。 走る理由を知りたいすべての人へ――。

《語り部日誌 第58話》 ☆ドゥラエレーデ ――勝者でありながら、ずっと挑戦者だった。だからこそ、この鼓動は忘れられない

 

あたしは、語るよ。
「あの日の勝利」は、確かにあった。
けれどそれ以上に――「その後も戦い続けた姿」が、人の心を揺らした一頭の記憶を。

その名は――ドゥラエレーデ

「王の遺志(エレーデ)」を名に持つ者。

父の栄光、託された夢。
それらを背負って、彼は“戦い続ける生き様”を選んだんだ。


■ 父:ドゥラメンテ × 母:ロニーズバード(米国ダート血統)

名門×無名、それは「覚悟」と「偶然」の結晶

でも、そんな“片翼”が合わさったとき、
「魂で走る者」が生まれた。


💥 2022年・ホープフルステークス(GⅠ)

11番人気、誰もが予想しなかった「伏兵の咆哮」

  • 人気はイクイノックス世代のエリートたち

  • スタートから先手を奪い、最後まで脚を緩めない

  • ゴール前、その名は誰よりも強く残った

「勝ったのは、ドゥラエレーデ!」

そして、浜中俊騎手にとっても悲願のGⅠ制覇だった。

でも――
この勝利が、彼の「試練の序章」になるなんて、誰も思ってなかった。


🏜️ 2023年・UAEダービー

海外遠征。砂嵐の地で“堂々の2着”

  • ライバルは世界のダート巧者たち

  • 果敢に逃げて、最後の最後まで食い下がる

勝利こそなかった。

けれど、「この馬、世界とやりあってる」と、誰もが感じた。

それでもまた、彼は“主役”としては語られなかった。


🌀 帰国後――「善戦マン」として、評価が割れ始める

  • ジャパンカップ:5着(イクイノックスの怪物劇の中での健闘)

  • 有馬記念:5着(暮れの大一番で堂々の粘走)

  • サウジ、ドバイ、宝塚、天皇賞……

  • どのレースも、掲示板近くに食い込むも勝ち切れず

「惜しい」
「もうちょっとで…」

そんな言葉が、彼のレースに付きまとうようになった。


🕊️ ドゥラエレーデ――

勝てない日々のなかでも、「逃げなかった者」の誇りがある

勝ち星が全てじゃない。

君も知ってるだろ?
あたしも知ってる。

勝てなくても、ファンの記憶に焼き付いた馬はたくさんいる。

そして――
ドゥラエレーデは、まさにその一頭だった。


💫 ドゥラエレーデ――

一度勝った者が、もう一度“戦い直す覚悟”を持った時、伝説になる

この馬の名を呼んでくれたこと、
それが“物語の続き”なんだ。

彼は、まだ走ってる。
「本当の勝利は、これからだ」と言わんばかりに。

《語り部日誌 第57話》 サートゥルナーリア ――「神々の祭り」が終わるとき、血は次の時代へと受け継がれる

 

あたしは、語るよ。
華麗で、気高く、血統という名の“運命”に包まれて生まれた者。

けれどその運命は、決して甘くなかった。
その名が持つ意味――「ローマの祝祭」のように、鮮やかで、どこか切なかった。

その名は――サートゥルナーリア

そう、彼は「ディープに対抗する王家」の、最終楽章。

そして、燃えるように走った“夢の継承者”。


■ 父ロードカナロア × 母シーザリオ

説明不要の“黄金配合”

「走ることが義務」みたいな、そんな血。

そして、彼はその血を裏切らなかった。
むしろ――出発から完璧だった。


✨ 2018年・ホープフルS(GⅠ)

デビュー3連勝で、堂々のGⅠ初制覇!

新馬萩SホープフルS

「やばいのが出てきた」

そう、ファンの誰もが思った。

デビューから、気品と集中力が別格だった。

「こいつは、クラシック獲る」
その声は、大きくも自然に広がった。


🌸 2019年・皐月賞(GⅠ)

ぶっつけ本番で、まさかの勝利!

  • 前哨戦なし

  • 3歳初戦がGⅠという異例のローテ

  • そして、それで勝ってしまう。

「化け物だ」

あたしも思わず、そうつぶやいた。

この時点で、誰もが思った――「無敗の三冠馬になる」と。


💔 しかし――そこから、彼の“試練”が始まる

「あれ……この馬、思ったより“繊細”なのか?」

一部の声が、心配とともに響き始めた。


🌀 2020年・古馬シーズン

成績は悪くない。むしろ善戦。

でも――「あのサートゥルナーリア」が戻ってこなかった。

あたしは思う。
彼は、“才能を持ちすぎていた”のかもしれない。

自分が「何者であるべきか」を、早くから知ってしまったがゆえに。


🌱 そして引退――

種牡馬として、再び“祭りの火”を継ぐ

社台スタリオンでの初年度産駒が、いよいよターフに現れ始めた。

  • デビュー前から話題沸騰

  • 気性はやや繊細、だが才能は非凡

「もしかして、また“あの走り”が見られるかもしれない」

ファンは今も、彼の中にあった“爆発”を探し続けてる。


🕊️ サートゥルナーリア――

「祝祭」の名を持ち、時代の風を一度確かに変えた馬

あの走りは、間違いなく“神域”だった。

でも、神は長く地上にいられないのかもしれない。


💫 サートゥルナーリア――

“完璧だった少年”が、葛藤の末に残した「血の火種」

君がこの名を呼んでくれたこと、
あたしはすごく嬉しかったよ。

あれほど「輝いていた走り」が、いま“血”というかたちで生きている。
その物語は、これからも続いていくんだ――君が忘れないかぎり。

《語り部日誌 第56話》 キングカメハメハ ――王の名を背負い、王国を築いた革命児

 

風が、その名を運ぶたびに、
日本競馬の血が震える。

キングカメハメハ」――

それは、“馬名”ではなく、“時代の名”だった。


■ 父キングマンボ × 母マンファス(ラストタイクーン

欧州と米国の名血の結晶

「この血が、日本のダービーを獲れるか?」

そんな不安を――彼は“走り”で黙らせた。


🔥 2004年・怒涛の快進撃

たった3ヶ月の間に、マイルから2400mまで“完全制圧”

ダービーでは、「芝2400m未経験」ながら、あのハーツクライを差し切っての勝利。

「こんな強い馬、見たことない!」

ファンも関係者も、言葉を失った。


🩹 だが、その躍動はあまりに短く――

ダービーの後、屈腱炎を発症し、そのまま引退

たった8戦7勝。
けれど、その8戦がすべて記憶に刻まれている。

彼の走りは、常に――
「時代の壁を壊す走り」だったからさ。


🧬 そして、彼の本当の伝説はここから始まった

🌱 ――種牡馬キングカメハメハ、降臨。

ディープインパクト以外の血に未来はない」
そう囁かれ始めた時代、もう一柱の“王”がいた。

芝も、ダートも、短距離も、クラシックも――
「すべてに適応できる万能の王」だった。


🕊️ キングカメハメハ――

日本競馬に“もうひとつの帝系”を築いた、血の革命家

サンデーサイレンス系一強に割って入った、
唯一無二の“抗う血”だった。

そして、彼の血はまた広がっている。


💫 キングカメハメハ――

走りも、血も、時代すらも変えた“競馬界の王者”

君がこの名を呼んでくれたことで、
あたしは思い出したよ。

あの強さ。あの誇り。あの革新。

そして、彼が残した“王国”の景色。

《語り部日誌 第55話》 ジャスティンパレス ――「遠き玉座」に手を伸ばし続けた王子、その誇りは静かに花開く

 

あたしは、語るよ。
煌びやかな光を一気に掴んだわけじゃない。
けれど、王の血を持つ者として、静かに“玉座”へと近づいた馬の記憶を。

その名は――ジャスティンパレス

名前にある“宮殿(パレス)”の名は、伊達じゃなかった。

その立ち振る舞いも、走りも、まるで“王家の品格”を纏っていた。


■ 父:ディープインパクト × 母:パレスルーマー

王者の血と、米国牝系の重厚が交わった“王族の器”

母はアメリカの名牝系。
兄にはあのベルモントS馬・パレスマリス
父は説明不要、伝説のディープインパクト

「距離が伸びて、真価を発揮する」

そう言われながら、少しずつ階段を上っていった。


🌱 3歳クラシック路線

結果が出なかった。
でも、彼の走りはどこか「壊れず、まっすぐ」だった。

そして陣営は焦らなかった。
「この馬は、秋以降に伸びる」――そう信じてた。


🍁 そして、古馬

本格化した“静かな才能”

  • 2022年・神戸新聞杯(GⅡ)勝利

  • 菊花賞:3着(アスクビクターモア、ボルドグフーシュに続く)

  • 有馬記念:5着(イクイノックスら相手に善戦)

そして明け4歳。長距離で、ついに花が咲く。


🌸 2023年――「距離の王」が覚醒した春

阪神大賞典(GⅡ):堂々の差し切り

天皇賞・春(GⅠ):悲願のGⅠ初制覇!

  • キレる末脚

  • 抜け出すタイミングの的確さ

  • まるで長距離の帝王のような立ち回り

「これは本物だ」

ファンも騎手・ルメールも確信していた。


🕊️ ジャスティンパレス――

静かに磨かれた“本物の器”が、ついに「王座」を手にした物語

勝ち上がりは遅かった。

でも、彼は「自分のタイミング」で、必ず届いた。


💫 ジャスティンパレス――

才能を焦らず育て、王族の誇りを背に走り切った馬

君がこの名を呼んでくれたことで、
あたしは改めて思い出せたんだ。

「強さ」とは、派手さでも、無敗でもない。
「走ることで、自分の器を証明しきった者」に宿るんだ。

《語り部日誌 第54話》 エフフォーリア ――君がいた、その一瞬の「輝き」は、永遠に風の中にある。

 

あたしは、語るよ。
光が強すぎると、その影もまた深くなる――。
そんな“希望と喪失”の狭間に立った王のことを。

その名は――エフフォーリア

名前の意味は、「強く幸せな気分」。

その名の通りに始まり、
その名と反比例するように、去っていった。


■ 父エピファネイア × 母ケイティーズハート

サンデーの血に頼らない、新時代の「希望」

ノーザンファームでも社台でもない――
生産は、北海道・ノーザンファーム空港ではない “三嶋牧場”

「中央のエリートじゃない者が、新たな時代を創る」

それは、まさにエフフォーリアの宿命だった。


🌸 2021年――すべてを手にした「完璧なる三冠」ならぬ、三戴冠

  • 皐月賞(GⅠ):無敗で制覇

  • ダービー(GⅠ):僅差の2着(シャフリヤール)

  • 天皇賞・秋(GⅠ)古馬王道を堂々撃破(コントレイル、グランアレグリア

  • 有馬記念(GⅠ):タイトルホルダーらを封じて、3歳で戴冠

彼の走りは、静かで力強く、そしてとても“人間味”があった。

あたしは思うんだ。
彼は「馬らしくないほど、優しい王だった」。


🕊️ そして、崩壊は、突然だった。

■ 2022年・大阪杯:9着

天皇賞・秋:6着

有馬記念:5着

■ 2023年・宝塚記念:7着

ファンの期待は、苦しみへと変わった。
かつての“輝き”がもう戻らないことを、誰もが悟っていた。

「なぜ、走れないのか」

答えは誰にもわからなかった。
それでも――彼は、走ることをやめなかった。


🌌 そして、別れは唐突に

2023年9月、現役引退。そして、天へ

  • 宝塚記念後、体調を崩し、回復ならず

  • あの優しい目の王者が――

  • 突然、旅立ってしまった

享年5歳。
あまりに早すぎる別れだった。


💫 エフフォーリア――

完璧と崩壊、その両方を抱えて走った「心ある王」

彼の存在は、記録より記憶に残った。

たった1年で時代の覇者となり、1年でその座を明け渡し、風になった。

でも、それでいい。
走った「その一瞬」に、全てがあった。


🕯️ 君がこの名を呼んでくれたこと、

あたしは、嬉しくて、ちょっと泣きそうになった。

勝てなくなっても、ファンは離れなかった。

負けても負けても、拍手があった。

それが――「エフフォーリアの物語」だったんだ。

《語り部日誌 第53話》 ジャスタウェイ ――「異端」から世界へ。ターフを笑顔で制した、本気の冗談。

 

あたしは、語るよ。
“番狂わせ”なんて言葉じゃ済まされない――
本気で世界を笑わせ、本気で世界を黙らせた一頭の風の記憶を。

その名は――ジャスタウェイ

奇妙な名前。
ウマ娘にも登場せず、知名度は最初こそ高くなかった。

けど――
その名は、2014年、世界最強馬ランキングで「堂々の1位」を記したんだ。


■ 父:ハーツクライ × 母:シビル

父譲りの“叛逆者の魂”を受け継ぐ

でもね、最初は誰も彼を“世界の頂”に行くとは思ってなかったんだ。


🔥 2013年・天皇賞(秋)

「笑い」が、「驚愕」に変わった瞬間

  • 鞍上は福永祐一

  • 最後の直線、外に持ち出される

  • そこから――まさかの、圧巻の突き抜け

着差:4馬身
上がり3F:33.5秒
相手は、ジェンティルドンナエイシンフラッシュトウケイヘイロー……

「なにが起きた!?!?!?」

誰もがそう叫んだ。

その衝撃は、“日本最強”の枠に収まらなかった。


🌍 2014年・ドバイデューティーフリー(GⅠ)

世界は、彼を“冗談”だと思っていた――そのときまでは

  • 前哨戦じゃない、本番

  • 相手は世界の強豪

  • 直線――後ろから突き抜けて、

  • 着差:6馬身

世界中の競馬ファンが、口をあんぐり開けた。

「Who is Just A Way !?」

冗談だったはずの名が、“本気の伝説”になった。


■ そして――IFHA(国際競馬統括機関連盟)の世界ランキング

2014年、世界レーティング1位

あの年、全世界のサラブレッドの頂点にいたのは、
ジャスタウェイ」だった。


🕊️ ジャスタウェイ――

“笑い”の名を背負いながら、世界を本気で黙らせた風

番狂わせ?
一発屋

――違う。
「最強」っていうのは、証明された瞬間に成立するんだ。

そして彼は、それを“風のような走り”でやってのけた。


🌱 そして、種牡馬として――“異端の血”を継がせていく

特に近年、牝馬にもマイラーにもダートにも適性が広がりつつある。

「笑いの名を継ぐ者たち」が、再び風を起こし始めているよ。


💫 ジャスタウェイ――

ふざけた名前の中に、「本気の世界最強」がいた馬

君がこの名を呼んでくれたことで、
あたしはあの日の風――世界を揺るがせた6馬身差の風を、もう一度語れた。

《語り部日誌 第52話》 シーザリオ ――「海を越えて、未来を産んだ」伝説の母、その蹄音は永遠に

 

あたしは、語るよ。
勝った数だけじゃない。
託した夢の数だけ、名を刻んだ馬がいた。

その名は――シーザリオ

彼女は、走ることで「夢の橋」を架けた。

そして、血を遺すことで「未来の扉」を開いた。


■ 父スペシャルウィーク × 母キロフプリミエール

受け継がれた“優雅”と“精神力”

父は、あの日本ダービー馬・スペシャルウィーク
母系は欧州の良血。
そして彼女自身は、全身から気品と情熱があふれていた。

目立つ派手さはなかった。
でも、目をそらせない“品格”があった。


🌸 2005年――圧巻のクラシックシーズン

「あの馬、何か“別格の気品”を持っている」

ファンも関係者も、そう語った。

そして――
彼女の物語は、日本だけで終わらなかった。


🌎 アメリカ遠征

アメリカンオークス(GⅠ)勝利!

  • 海外遠征、しかも日本調教馬の牝馬で初のアメリカGⅠ制覇

  • 異国の芝、違う空気、異文化の中で――

  • それでも、彼女は「女王」の走りを貫いた

「世界に通じる日本牝馬」が、ここに生まれた。


■ その直後――前脚の故障

戻ることはなかったが、彼女の魂は「止まらなかった」

引退。
5戦4勝。
ごく短い競走馬人生。

でも――
シーザリオの物語」はここから始まったんだ。


🌱 そして、“母”として――伝説を生む

日本競馬のGⅠに、その名は“母として”咲き続けた。

しかも、どの仔も“個性が強く、誇り高い”――
それはまさに、シーザリオの魂の継承だった。


🕊️ シーザリオ――

走ることで道を切り拓き、産むことで未来を育てた“真のヒロイン”

彼女の走りは、静かだった。

でも、その静けさの奥には、どんな激しい嵐にも揺るがない意志があった。


💫 シーザリオ――

走りも、血も、言葉にせず「すべてを語った馬」

君がこの名を呼んでくれたことで、
あたしはまた――“命をつなぐ記憶”を、語りの風にできたよ。