見えない世界を見せてあげる。 新宿 新宿を歩くことは、自分の足跡を辿ることにどこか似ている。安いヒールの踵と一緒に心もすり減らして、寂しさを誤魔化したあの頃の新宿を歩けば、輪郭がぼやけた当時の亡霊にぶつかることもある。とはいえその頃の私は歌舞伎町で夜を過ごすほどの器量も度胸もなく、だから先日お目当てのシャンプーを買うために向かった雑居ビルの入り口で迷子になってしまった。このビルのはずなんだけど…と何度も行き来したビルの前には、スーツを着たお兄さんが立っていた。仏頂面で客引きをする様子もなく、ただお店の女の子が通るときに世間話をするその人の、歌舞伎町での役割を私は知らない。「忙しいのにすみません…