外乱オブザーバ(Disturbance Observer: DOB)は、モータ制御などの精密なモーションコントロールにおいて、負荷トルクの変動や摩擦、モデルの不確かさを「外乱」として一括して推定し、その「外乱」打ち消すための強力な手法である。外乱オブザーバの基本外乱オブザーバの基本概念では、「実際の出力と理想的なモデル(公称モデル)から予想される出力の差は、すべて外乱によるものである」という考えに基づいている。従って、図1に示すような構成が考えられる。1
このサイトは、これまで携わってきた講義や研修で使用してきた資料を基に加筆修正し作成しています。工学基礎の勉強に活用して頂けると幸いです。初学者にも馴染めるようになるべく平易に解説しているつもりです。
外乱オブザーバ(Disturbance Observer: DOB)は、モータ制御などの精密なモーションコントロールにおいて、負荷トルクの変動や摩擦、モデルの不確かさを「外乱」として一括して推定し、その「外乱」打ち消すための強力な手法である。外乱オブザーバの基本外乱オブザーバの基本概念では、「実際の出力と理想的なモデル(公称モデル)から予想される出力の差は、すべて外乱によるものである」という考えに基づいている。従って、図1に示すような構成が考えられる。1
13-1. オブザーバ併合型状態フィードバックによるデッドビート制御
デッドビート制御(有限時間整定制御)は、離散時間システム特有の制御手法で、「サンプリング周期の整数倍という有限の時間内に、状態誤差を完全にゼロにする」という強力な応答特性を持つ制御である。ここでは、これを状態観測器(オブザーバ)を用いた状態フィードバックで実現する方法を考える。デッドビート制御の原理※デッドビート制御の基本は、13. デッドビート制御 を参照してください。連続時間システムでは応答を速くしても偏差を完全にゼロにするには無限の時間がかかる。これに
PID制御と「状態観測器(オブザーバ)を用いた状態フィードバック」は、一見すると異なる手法に見えるが、制御の本質(過去・現在・未来の情報をどう使うか)において共通点がある。特に、2次系(位置と速度を扱うシステムなど)において、これらは数学的に等価な関係になることがある。PID制御と「状態フィードバック + 状態観測器」の比較それぞれの制御器が「何を使って制御入力(操作量)を決めているか」を整理する。1)PID制御(出力フィードバック)図1を参照し
最適制御、特に線形二次レギュレータ(LQR)の問題において、無限時間評価関数を最小化する際に現れるのがリッカチ代数方程式(Algebraic Riccati Equation, ARE)である。ここでは、リッカチ代数方程式の直感的な導出過程を説明する。最適制御問題の設定式(1)の線形システムと式(2)の評価関数を考える。・状態方程式:$$\dot{x}(t) = Ax(t) + Bu(t) \quad \cdots (1) \\ A \; (n \times
電気電子回路図は、いわば「電気の設計図」であり「共通言語」といえる。複雑に見えることもあるが、地図を読むのと同じように、いくつかのルールと作法を知るだけで、読みやすくなる。ここでは、回路図を読む際の基本原則を紹介する。ただし、ここで紹介するルールや作法は絶対的なものではない。各会社、各現場での独自ルールなどもあるので、その都度、確認することが大切である。1.視線の流れと信号の流れ一般的に回路図には、世界共通の以下に示す「読み方の方向」がある。※電気は「高いと
オペアンプ(演算増幅器)に非線形素子を付け加えた回路を考える。設計例を基にLTspiceで数値解析を行い、その特性を観察する。ピーク値検出回路図1にピーク値検出の基本回路を示す。オペアンプに非線形素子のダイオード\(D1\)とキャパシタ\(C1\)を組み合わせることで、正のピーク値電圧(あるいは最大値)を検出する回路ができる。図のオペアンプ\(U2\)はボルテージフォロワとなっている。\(t=0\)で\(C1\)の端子電圧を\(0\;V\)とする。このと
オペアンプ(演算増幅器)に非線形素子を付け加えた回路を考える。非線形素子を含む回路では、非線形素子を折線近似し、その各折線での等価回路で設計を行う。ここでは、その設計例を基にLTspiceで数値解析を行い、その特性を観察する。リミッタ回路図1 リミッタ回路(LTspice)図2 ツェナーダイオード特性の折線モデル図1にリミッタ回路の例を示す。非線形素子はツェナーダイオード\(Z_d\)である。ツェナーダイオードの\(V-I\)
BJT(バイポーラトランジスタ)を使った回路の解析には、LTspiceなどの電子回路シミュレーションツールが欠かせない。LTspiceは、SPICE (Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis) という回路シミュレーションの基盤技術をベースに、Analog Devices社が無償で提供している高性能な電子回路シミュレータである。SPICEは汎用的なシミュレーションの「エンジン」であり、LTspiceはそのエンジン
ラプラス変換は工学、特に電気電子工学、制御工学、信号処理の分野において、強力な数学的ツールである。その最大の効用は、「微分方程式の解法を、代数方程式の解法に置き換える」ことによって、複雑な時間応答解析を容易にすることである。工学における主な効用は以下の3点である。1)動的システムの解析の簡略化:ラプラス変換は、時間領域の関数 \(f(t)\)を複素周波数領域の関数\(F(s)\)に変換する。$$F(s) = \mathcal{L}\{f(t)\} = \int_{0}^{\
※可制御正準形への変換に関しては、12. 可制御正準形を参照。対象とする状態方程式と出力方程式は$$\dot{x}(t) = Ax(t) + bu(t) \\ y(t) = Cx(t) \quad \cdots (1)$$である。ここで、議論を簡単にするために\((A,b)\)は可制御な1入力システムとする。可制御正準形の\(A_c, \; b_c\)元のシステムの特性多項式を\( sI - A = s^n + a_n s^{n-1} + \cdots + a_
電流帰還バイアス回路を使った増幅器を基に、バイアスの最適化についてLTspiceを使って検討する。※電流帰還バイアスについては、9. BJTのバイアス回路を参照。バイポーラトランジスタ (BJT) を増幅器として機能させるためには、適切な静止動作点(Q点)を設定する必要がある。最も一般的で安定性の高いバイアス回路である電流帰還バイアス回路を例として、LTspiceでのシミュレーション例を示す。図1は回路例である。この回路は、\(V_{BE}\)の温度変動\(h_
LTspiceでLC発振回路(コルピッツ形発振回路)をシミュレーションする例を示す。図1に回路例を示す。この回路は、インダクタンス\(L_1\)と、二つのコンデンサ\(C_1, \;C_2\)からなる共振回路(タンク回路)を特徴とする。発振原理については、27. LC発振回路を参照。回路図の構成要素は、以下となる。※交流回路を図2に示す。1)増幅部:トランジスタ Q1には、 小信号トランジスタの(2N2222) を使用し、ベースを分圧抵抗RB1とRB2でバイアス
バイポーラトランジスタの静特性に関して、説明を追加する。※ここでは、2SC1815(東芝トランジスタ シリコンNPNエピタキシャル形)の規格表を基にバイポーラトランジスタの静特性を考える。入力特性(\(I_B-V_{BE}\)特性)バイポーラトランジスタ(BJT)の入力特性(\(I_B- V_{BE}\) 特性)を図1に示す。この特性は、ダイオードの順方向特性と類似しているが、この特性がエミッタ接地回路においてベース電圧制御ではなく、ベース電流制御として
留数定理\(C\)を\(\mathbb{C}\)内の単純閉曲線、\(D\)をその内部とし、関数\(f\)は\(D - \{\alpha_1,\alpha_2,\cdots,\alpha_n\}\)において、正則であるとする。ただし、\(\{\alpha_1,\alpha_2,\cdots,\alpha_n\}\)は互いに異なる\(D\)内の点である。このとき、以下が成り立つ。$$\int_C f(z)dz = 2 \pi j\sum_{k=1}^n \text{Res}(
定理:ローラン展開\(\alpha \in \mathbb{C}\)とし、円環領域\(D = \{z \in \mathbb{C}\; \; R_1 < z - \alpha < R_2\} \)上で関数\(f : D \to \mathbb{C}\)は正則であるとする。また、\(n \in \mathbb{Z}\)および\(C = C(\alpha,R),\;(R_1 < R < R_2)\)にたいし、$$a_n := \frac{1}{2 \
べき級数展開は、複素関数論における正則関数の解析的な性質と密接に結びついており、実関数の定積分を計算する際に強力なツールとなる。例えば、高階導関数の公式$$f^{(n)}(\alpha) = \frac{n!}{2 \pi j} \oint_C \frac{f(z)}{(z - \alpha)^{n+1}}dz$$により、正則関数 \(f(z)\)はその領域内の任意の点\(\alpha\)の周りで、必ず収束するべき級数(テイラー級数)に展開できることが証明される。$$f(z
コーシーの積分定理と同じ仮定の下で、コーシーの積分公式が成立する。コーシーの積分公式\(D\)を\(\mathbb{C}\)内の単連結領域とし、\(C\)を\(D\)内の単純閉曲線とする。関数\(f:D \to \mathbb{C}\)が正則であれば、任意の\(\alpha \in (Cの内部)\)にたいして、以下が成立する。$$f(\alpha) =\frac{1}{2 \pi j} \int_C \frac{f(z)}{z - \alpha} dz$$※ここで
コーシーの積分定理\(D\)を\(\mathbb{C}\)内の単連結領域とし、\(C\)を\(D\) 内の単純閉曲線とする。このとき、関数\(f : D \to \mathbb{C}\)が正則であれば、$$\int_C f(z) dz =0$$となる。(積分路の変形)\(D\)を\(\mathbb{C}\)内の単連結領域とし、関数\(f : D \to \mathbb{C}\)は正則とする。このとき、任意の\(\alpha,\; \beta \in D\)および任意の\(
まず、複素線積分を計算可能な積分に置き換えることを考える。複素線積分の計算公式\(D \subset \mathbb{C}\)とし、\(f:D \to \mathbb{C}\)を連続関数とする。このとき、滑らかな曲線\(C: z=z(t)=x(t)+j y(t) \quad (a \leq t \leq b)\)に沿った複素線積分は、$$\int_C f(z)dz = \int_a^b f(z(t))\cdot z'(t) dt $$で与えられる。ただし、\(z'
複素線積分においてコーシー・リーマンの定理が重要である。コーシー・リーマンの定理は、関数が正則(複素微分可能)であるための必要十分条件を与え、複素関数論の主要な成果は、この「正則性」という性質に大きく依存する。コーシー・リーマン(CR)の定理と応用領域\(D\)(\(D \subset \mathbb{C}\))上で定義された複素関数\(f(z) = u(x, y) + j v(x, y)\)が領域\(D\)上で正則(複素微分可能)であるための必要十分条件は、次の
まず、導関数(複素関数)の公式をまとめておく。導関数の公式関数\(f(z),\;g(z)\)が微分可能であるとき、以下の公式が成り立つ。1)\(\left\{f(z) + g(z)\right\}' = f'(z) + g'(z)\)2)\(\left\{f(z) g(z)\right\}' = f'(z)g(z) + f(z)g'(z)\)3)\(g(z) \neq 0\)であれば、$$\left\{\frac{f(z)}{G(z)} \right\}' = \
実関数における「微分」の役割は、関数のグラフを接線(1 次関数)で近似することで各点における関数の局所的な変化を表現するものである。複素関数の場合も同様で、関数はある点をある点に写すことになるのだが、その局所的な作用を1 次関数(比例関数)で近似することが「微分」の役割だといえる。【例】関数\(w = f(z) = z^2\)の場合\(f\)が\(z=j\)を\(w=-1\)に写す。\(z=i\)周辺の点が\(f\)によりどのように\(w=-1\)の周辺に写されるのかを見る
複素関数の極限は、実数関数の極限と基本的な考え方は同じであるが、複素数特有の性質があるため、より厳密な理解が必要である。複素関数の極限の定義\(z \in \mathbb{C}\)を変数、\(\alpha ,\beta \in \mathbb{C}\)を定数とする。(1) 変数\(z\)が\(L = z - \alpha \rightarrow 0\)をみたしながら変化するとき、\(z \rightarrow \alpha\)と表す。(\(L\)は\(z\)と
\(\theta \in \mathbb{R}\)のとき、指数関数の定義から\(e^{j \theta} = \cos \theta + j \sin \theta\)(オイラーの公式)が成立する。この式の\(\theta\)に\(-\theta\)を代入すると、\(e^{-j \theta} = \cos \theta - j \sin \theta\)となる。従って、これら2つの式の和と差を考えると、$$\cos \theta=\frac{e^{j \theta} +
複素数べき(複素数の複素数乗):複素数\(z \neq 0\)と複素数\(w\)にたいし、「\(z\)の\(w\)乗」を$$z^w := e^{w \log z}$$と定義する。ただし、\(\log z\)は複素数の対数であり、取りうるすべての値を考える。結果として\(z^w\)も一般には無限個もしくは有限個の複素数となる(多価関数)。\(z^w\)の計算\(z^w\)の定義\(e^{w \log z}\)に、\(\log z\) の無限個の値を代入する
指数関数の像実数の指数関数 \(f(x) = e^x\)の場合、入力(定義域)は1次元の実数直線、出力(値域)も1次元の実数直線なので、入力を横軸、出力を縦軸にとることで2次元のグラフとして描くことができる。しかし、複素指数関数\(f(z) = e^z\)の場合、入力 \(z = x + jy\) は、2次元の複素平面(\(x\)軸が実部、\(y\)軸が虚部)であり、出力\(w = f(z) = e^z = u + jv\)も、2次元の複素平面(\(u\)軸が実部、
ド・モアブルの公式は、オイラーの公式を用いることで複素数の指数関数により簡単に導ける。ド・モアブルの公式ド・モアブルの公式は、任意の複素数\(z = \cos \theta + j \sin \theta \) と整数\(n\)に対して、次の関係が成り立つことである。$$(\cos \theta + j \sin \theta)^n = \cos(n \theta)+j \sin(n \theta)$$この関係に複素数の指数関数と三角関数を結びつけるオイラー
注意:数学では虚数単位に\(i\)を用いることが多いが、ここでは、虚数単位として工学系で良く用いられる\(j\)を使う。複素数複素数は、実数の概念を拡張したものであり、すべての実数は虚部が 0 の複素数とみなせる。また、実部が0で虚部が0でない場合は、純虚数という。複素数 (complex number) は、実数 \(a\) と\(b\)、および虚数単位 \(j\) を用いて、$$z = a+ jb$$の形で表される。複素数全体の集合は\(\mathb
電気回路、計測工学、制御工学でよく現れる三角関数の公式について、オイラーの公式を使った導出法を中心にしてまとめる。※オイラーの公式をこのように利用するのは数学的には適切ではないかもしれないが、各種公式の導出が楽になる。オイラーの公式オイラーの公式は、$$e^{j\theta} = \cos \theta + j \sin \theta$$である。証明の概要:指数関数、余弦関数、正弦関数のマクローリン展開(ベキ級数展開)は、それぞれ以下となる。$$e^\the
式(1)のシステムを考える。$$\dot x = A x + B u,\quad \sigma = S x \;\;\; \cdots (1)$$ 超平面 \(\sigma_i\)でのスライディングモードの存在条件は式(2)で与えられる。$$\begin{cases} \dot \sigma_i \gt 0 & \text{if } \sigma_i \lt 0 \\ \dot \sigma_i \lt 0 & \text{if } \sigma_i \
近隣の寺院参拝ということで、平山観音院(高野山真言宗:北九州市)へお参りに行った。平山観音院は、十一面観音を本尊とし、江戸時代に建立されたと云われている。淡島神社に到る県道262号の途中に案内看板があり、そこから農道を山の方に入っていく。車一台分の狭い道を上がっていくと、寺院の駐車場(草に覆われた空き地)がある。そこから250m程度緩い坂を徒歩で登っていくと平山観音院の客殿(写真1)が見えてくる。法事や様々な催し物で使われる客殿前には、睡蓮の池が広がっている。客殿の裏横
スライディングモード制御則の設計の目的は、切換面にない状態から切換面に収束させて、その面上に状態を保つことである。これを保証することは制御器の設計にかかっている。ここでは、式(1)に示す\(m\)個の入力を有する線形な系にたいして、スライディングモードを生じさせることを考える。$$\begin{cases} \dot x = A x + B u \\ \sigma = S x = 0 \end{cases} \;\;\; \cdots (1)$$制御入力は、式(2)のように
奈良へ小旅行した。これまで、東大寺、興福寺、薬師寺などを参拝したことがある。今回は、1泊2日で吉野の金峯山寺を目指した。初日は、橿原神宮(写真1)を参拝して大和八木駅周辺のホテルで宿泊すれば良いと考えていたが、時間が余ったので、明日香村まで行ってみた。レンタカーが手配できなかったので、電車で移動して飛鳥駅で下車した。駅前にレンタサイクルがあったが、自転車はもう数十年乗っていないので、徒歩で高松塚古墳(写真2)を目指した。脊柱管狭窄症で痛む足を引き摺りながら向かっていたが
周波数整形による切換超平面の設計法スライディングモード制御(SMC: Sliding Mode Control)は、システムのパラメータ変動や外乱に対して高いロバスト性(頑健性)を持つ非線形制御手法で、この制御法では、「切換超平面」と呼ばれる状態空間内の部分空間を設計し、システムの状態量をこの超平面上に拘束するように制御入力を切り換える。状態量が超平面上に拘束された状態が「スライディングモード」で、このモードではシステムの動的振る舞いは、切換超平面の設計のみに依存し
最適切換超平面の設計法式(1)のシステムに対して、スライディングモード制御になってからの状態の変動を最小にする最適な切換超平面を求めることを考える。$$\begin{cases} \dot x_1 = A_{11} x_1 + A_{12} x_2 \\ \dot x_2 = A_{21} x_1 + A_{22} x_2 + B_2 u \\ \sigma = S_1 x_1 + S_2 x_2 \end{cases} \;\;\; \cdots (1)$$ここで
連続時間系のスライディングモード制御における切換超平面の設計を考える。極配置による設計法式(1)の線形時不変系で考える。$$\dot x_a = A x_a + B u \;\;\; \cdots (1)$$ここで、\(x_a \in R^n,\; u \in R^m\)で、\((A,\;B)\)は可制御とする。このときの拘束条件\(\sigma_i = 0 ,\; (i=1,2, \cdots, m)\)の集合を$$\sigma = S x_a = 0
式(1)のシステムにおいて、$$\dot x = Ax + Bu,\quad \sigma = Sx \;\;\; \cdots (1)$$ 式(2)のように外乱の存在する系を考える。$$\dot x = Ax + Bu + h(x,t) \;\;\; \cdots (2)$$ここで、\(h(x,t)\)は、システムの不確かさと非線形性を含む関数とする。このとき、$$\dot \sigma = S\{Ax + Bu + h(x,t) \} = 0$$となるので、等価制御入力
スライディングモード制御は、線形制御とは異なり、線形制御系における状態方程式と出力方程式の対$$\dot x = Ax + Bu,\quad y = Cx + Du$$からなる状態空間モデルに代わって、状態方程式と切換関数の対からなるモデル$$ \dot x = Ax +Bu,\quad \sigma = Sx$$として表される。スライディングモード制御系は、基本的に時間領域での設計、より厳密には位相空間での設計であるため、線形制御系のように時間領域、周波数領域と自在に変換
スライディングモード制御において、実際にスライディング面上で使用される各種の切換方式(スイッチング方式)について、それぞれの特徴を整理する。理想リレー切換方式完全なON/OFF切換を行うリレー動作で、これまでの項目1.2.3.のシミュレーションで使用してきた切換方式である。式で表すと、$$u(t) = \begin{cases} +K, & \sigma(x) > 0 \\ -K, & \sigma(x) < 0 \end{cas
スライディングモード制御則の設計では、スライディングモードに入る方式の選択と制御則の構造を予め指定するかどうかの問題がある。ここでは、スライディングモードに入る方式を考える。制御対象は、線形時不変システムで以下とする。$$\dot{x} = Ax + Bu,\quad x \in R^n, \; u \in R^m \\ \text{切換関数}\sigma(x) = Sx, \quad \sigma(x) = [\sigma_1(x), \sigma_2(x), \cdot
ここでは、式(1)の状態方程式で示す線形時不変のシステムを制御対象とする。$$\dot{x} = Ax + Bu \;\;\; \cdots (1)$$ここで、\(x \in R^n , \quad u \in R^m\)である。また、\(B\)行列の\(m\)個の列ベクトルは、\(b_i \quad (i=1,2, \cdots, m)\)とする。可変構造系の基本用語の定義1.可変構造制御系の構造は、ベクトル関数の切換関数\(\sigma(x)\)の符号に
スライディングモード制御の基本的な考え方として、式(1)で示す二次系システムを考える。$$\dot x = y \\ \dot y = 2y - x +u \\ u = -\phi x \;\;\; \cdots (1)$$ また、式(2)の変数\(\sigma(x,y)\)を導入する。$$\sigma(x,y) = xS, \quad S = 0.5x + y \;\;\; \cdots (2)$$ここで、フィードバックゲインを式(3)のように選ぶ。$$\phi = \l
まず、16. 離散時間システムにおける状態推定(1)の内容をまとめて示す。離散時間システムとして、式(1)を考える。$$x_{k+1} = Ax_k + v_k \\ y_k = C x_k + e_k \;\;\; \cdots (1)$$ここで、\(v_k,\; e_k\)は平均値0の正規白色雑音でそれぞれの分散を\(R_v,\; R_e\)とする。また、初期状態\(x_0\)の平均値を\(m\) 、分散を\(R_0\)とする。状態推定器は式(2)とする。$$\hat{
先に訪れた9. 真木大堂(国東半島)に続いて、国東半島の寺社参りをした。今回は、国東半島のほぼ中央の山間に位置する文殊仙寺を目指して車を走らせた。宇佐方面から豊後高田市街を抜けて県道548号を登っていくと、天念寺の案内看板が屡々目に入る。本来、私は目的地に計画的に向けて動き、寄り道が嫌いな性格であるが、前回の真木大堂の時と同様に何とは無く惹かれて、脇道へと入った。天念寺は養老2年(718年)、六郷満山(国東半島一帯にある寺院群の総称)を開いたと伝えられる仁聞菩薩
サーボ型一般化最小分散制御(GMVC)は、制御対象の出力が目標値に追従するように、出力の分散を最小化する制御方式である。従来の最小分散制御(MVC)に比べて、「目標追従性」が明示的に設計目的に組み込まれている。サーボ型GMVCは本質的にはモデルベースの制御方式で、以下の特徴からある程度のロバスト性を持つ。・出力フィードバック構造:モデル不確かさがある程度許容される。・目標追従と外乱抑制のバランス:外乱やモデル誤差が存在しても、リファレンス追従性を確保できるよう設計されている
閉ループ制御系で外部入力として目標値、外乱があり、それらの変化によって定常偏差が生じるときは、内部モデル原理に基づいて制御系の構造を見直す必要がある。外部入力がステップ状に変化する場合には、そのモデルとして\(\frac{1}{1-q^{-1}}\)(積分器)を前置補償器として設ける。図1に制御対象の前に補償器\(\frac{1}{\Delta}\)を設置した構成を示す。\(\Delta = 1-q^{-1}\)である。前置補償器と制御対象を併せた見かけ上の制御
最小分散制御を適用するには、制御対象は最小位相系で、むだ時間が正確にわかっている必要がある。この条件を緩和するために一般化最小分散制御が提案された。式(1)の線形離散時間モデルの制御対象を考える。$$A(q^{-1})y_k = q^{-j_m} B(q^{-1})u_k + C(q^{-1})e_k \;\;\; \cdots (1)$$ここで、$$A(q^{-1}) = 1 + a_1 q^{-1} + a_2 q^{-2} + \cdots a_n q^{-n} \\
※最小分散制御(1)の内容を再整理する。数式表現が異なるが、こちらの方が分かりやすいと思う。式(1)の線形離散時間モデルで記述されるシステムを考える。$$A(q^{-1})y_k = q^{-j}B(q^{-1})u_k + C(q^{-1})e_k \;\;\; \cdots (1)$$ここで、\(y_k\)は出力信号、\(u_k\)は入力信号、\(e_k\)は平均値ゼロの白色雑音、\(q^{-1}\)はシフトオペレータ、である。\(A(q^{-1}),\; B(
最小分散制御(Minimum Variance Control, MVC)は、システムの出力の分散を最小化することを目的とした制御手法である。これは、特にランダムな外乱やノイズの影響を受けるシステムに対して、できるだけ安定した出力を得るために用いられる。手法として、むだ時間分先の出力を予測し、その予測値に基づいて現時刻の操作量を決定する。この制御により、むだ時間を有するシステムに対して追従特性に優れた制御系を設計できるが、対象とするシステムにいくつかの厳しい前提条件を必要と
対象とするシステムのパラメータが未知であるとき、入出力データに基づいてパラメータを同定する。これをシステム同定という。同定法の基本である最小二乗同定は、システムの入力と出力の観測データから、システムのパラメータを推定する手法である。特に、線形離散時間モデルでは、時系列データに基づいてシステムのダイナミクスを推定する際に広く用いられる。線形離散時間モデルは式(1)で記述される。$$A(q^{-1})y_k = q^{-j}B(q^{-1})u_k + C(q^{-1})e_k
PCを個人で手に入れたのが1979年(シャープ:MZ-80K)だった。大学の研究室では、AppleⅡ、ソード、PC-8001などが徐々に使えるようになっていった。実験では、主にボードコンピュータ(TK-80)にA/Dなどを外部拡張して使っていた。その後、会社でIBM-PCやラップトップPCなどにより、計算、文書作成をしていた。当時のPCは非力だったので、シミュレーションなどの複雑な計算では、スパコンを使っていた。その後、インターネットが普及し、PCが計算や文書作成だけでなく
ARMAモデルは、時系列データを扱うときによく使われるモデルで、データの自己相関やランダムなノイズを考慮して、将来の値を予測するのに役立つ。ARMAモデルは、以下の2つの要素を組み合わせたモデルである。・AR(Auto-Regressive, 自己回帰)モデル・MA(Moving Average, 移動平均)モデルこれらを組み合わせることで、時系列データの現在の値が過去の値とノイズの影響を受けるという現象を表現できる。式(1)で表せる。$$x(t) = c + \sum_{
※離散時間システムの応答に関しては、5. 離散時間システムの応答、9. 離散時間システムの構造を参照願います。8-1. 固有値が正または零の実数固有値\(\lambda_i\)が正または零の実数のとき、\(\lambda_i^k x_i(0)\)の振る舞いを図示せよ。ただし、\(x_i(0) = 8\)とする。解答例: 固有値\(\lambda_i\)が正の実数なので、固有値の大きさが1よりも大きい場合は、\(\lambda_i^k\)は発散する。1
※離散時間系に関しては、 4. 連続時間システムの離散化 を参照願います。7-1. 差分方程式からパルス伝達関数へ離散時間システムの差分方程式が式(1)で与えられている。このシステムのパルス伝達関数を求めよ。$$y(k+n) + a_1y(k+n-1) + \cdots + a_{n-1}y(k+1) +a_n y(k) \\ = b_0 u(k+m) + b_1 u(k+m-1) + \cdots + b_m u(k) \quad(n \gt m) \;\
ロートルが生成AIを使ったプログラミングを経験している話。なお、私の使い方が正しいのか分からないので、正しいエンジニアを目指す人は、正しい学習に励んでください。ChatGPT(無料版)やGemini(当然、無料版)、Google Colabを適当に使ってプログラミングをしている。成果はこちらへ。スクリプトの作成手順としては、まずChatGPTに問題を与えて、プログラミング言語を指定する。これだけでスクリプトを作成してくれる。プログラミング言語は、分野が制御工学系なので主にS
※\(\mathcal{Z}\)変換に関することは 2. Z変換法 を参照願います。6-1. 指数関数の\(\mathcal{Z}\)変換指数関数\(x(t) = e^{\alpha t},\; t \ge 0\) を周期\(T\)でサンプルして得た信号値系列を\(\mathcal{Z}\)変換せよ。解答例: 周期\(T\)でサンプルして得た信号値系列は、\(e^0,\;e^{\alpha T},\; e^{2\alpha T},\; e^{3\al
※定常特性に関しては、27. 定常特性と内部モデル原理 を参照願います。5-1. 定常位置偏差の計算フィードバック制御系の開ループ伝達関数\(L(s)\)が式(1)で与えられているとき、目標値が大きさ\(5\)でステップ状に変化したときの定常位置偏差\(e(\infty)\)を求めよ。$$L(s) = \frac{40(s+5)}{s^3 + 7s^2 + 18s +24} \;\;\; \cdots (1)$$図1 フィードバック制御系
4-1. 安定なシステム特性方程式が式(1)のとき、このシステムの安定判別を行え。$$s^5 +8s^4 + 25s^3 + 40s^2 + 34 s + 12=0 \;\;\; \cdots (1)$$解答例: 式(1)は、安定であるための必要条件が成り立っている。つまり特性方程式の係数が全て「正」である。次に、ラウス表を作成する。※ラウス表の作成方法に関しては、17. 安定判別 を参照願います。\(s^5\)行12534\(s^4\)行84012
3-1. オーバーシュートする要素の時間応答式(1)の伝達関数の単位ステップ応答を計算せよ。また、\(T_1 = 1,\;T_2=2,\;T_3=0.5,5,10\)としたときの、極と零点の位置、ボード線図と時間応答を示せ。$$G(s)=\frac{1+ T_3 s}{(1+T_1 s)(1+T_2 s)} \;\;\; \cdots (1)$$解答例:単位ステップ信号のラプラス変換は、\(U(s) = 1/s\)なので、単位ステップ応答は、$$Y(s) =
2-1 1次遅れ要素のベクトル軌跡次の式で示す1次遅れ要素のベクトル軌跡を作成せよ。$$G(s) = \frac{3}{1 + 4s}$$解答例:1次遅れ要素のゲインと位相を求める。\(s \to j\omega\)により、$$G(j \omega) = \frac{3}{1 + j 4 \omega}$$と周波数伝達関数となる。従って、ゲインは$$ G(j \omega) = \frac{3}{\sqrt{1 + (4 \omega)^2}}$$また、位
1-1 インパルス応答から伝達関数インパルス応答が、$$y(t) = 4e^{-2t} + 3e^{-5t}$$であるとき、システムの伝達関数を求めよ。解答例:インパルス応答が\(y(t) = 4e^{-2t} + 3e^{-5t}\)なので、このラプラス変換が伝達関数となる。$$G(s) = \mathcal{L}\{g(t)\} = 4\mathcal{L}\{e^{-2t}\} + 3\mathcal{L}\{e^{-5t}\} = \frac{4}{
※本編に合わせて、以下虚数単位は\(j\)とします。複素数は、実数と虚数を組み合わせた数、つまり「数」全体のことである。具体的には、「\(x+jy\)」という形で表される数である。\(x,y \)は実数で、\(j\)は虚数単位(2乗すると-1になる数、つまり\(j^2 = -1\) )と高校数学で学ぶ。複素数は、2次元平面(複素数平面、ガウス平面とも)で表現できる。複素数平面では、複素数は点またはベクトルとして表現でき、複素数の加算、減算、乗算、除算などの演算を視覚
国東半島は、大分県の北東部に位置する場所で、多くの寺社や仏像、石仏が密集している。特に「六郷満山」と呼ばれる独特の仏教文化圏が形成されており、これは日本でも珍しい宗教的な景観となっている。この寺社密集地帯は、奈良時代に半島の6つの郷に建てられた28の寺院群が中心となっており、宇佐神宮(八幡宮の総本社)の神仏習合思想によるものといわれている。平安時代には天台宗・真言宗などの密教が国東半島に伝わり、石仏文化が開花し、険しい岩山や奇岩を活かし、岩壁に石仏を刻んだり、磨崖仏が数多く
熱伝導方程式は、物体内の温度分布の時間変化を記述する偏微分方程式である。熱の伝わり方を理解し、予測するために不可欠なツールであり、工学、物理学、材料科学など、さまざまな分野で応用される。制御工学では、温度制御や熱管理が必要なシステムにおいて、熱伝導方程式を使ってプロセスの動作をモデル化し、制御設計を行う。熱伝導は、高温の物体から低温の物体へと熱エネルギーが移動する現象である。この熱の移動は、原子や分子の振動、自由電子の運動などによって起こる。熱伝導の基本的な法則は、
昨年の夏ごろまで、1反程度の畑を借用して各種の野菜を趣味程度に作っていた。畑は山際にあったため、ジャガイモやサツマイモは猪の格好の標的になった。防獣ネット、害獣忌避剤、撃退ライトなど試したが、効果は一時的なもので全て突破された^^; 電気柵は高価で管理が大変なので却下した。 猪は臆病だが力は強いので、会って注意するわけにはいかないし、当然、罠などを掛けるのは禁止されている。結局、猪対策は農家がやっているように周囲に鉄柵を張り巡らすしかないと分かったが、趣味の園芸では経費的
ハミルトニアンは、「物理系のエネルギーを表し、運動を決定する最も基本的な関数」であり、解析力学から量子力学・統計力学に至るまで幅広く適用される概念である。エネルギーエネルギーとは、物理系が持つ 運動の能力を表す量 であり、一般に以下の2種類に分けられる。1) 運動エネルギー物体が持つ運動に関連するエネルギーは、$$T = \frac{1}{2} m v^2$$である。一般化座標\(q\)を用いると、$$T = \frac{1}{2} m \dot{q}^2$
ラグランジュ力学は、ニュートン力学をより一般化し、洗練された数学的表現で記述する手法 で、特に、複雑な系(剛体、電磁場、相対論、量子力学) に適用できる強力なフレームワークである。ラグランジュ力学の基本一般化座標ニュートン力学では、デカルト座標 \((x,y,z)\)を用いるが、ラグランジュ力学では一般化座標 \(q_i\)を導入する。運動を表現できる座標は直交座標に限らない。 極座標でも良いし、剛体の運動なら各質点の直交座標変数より重心座標や相対座
望月新一教授のブログ記事 "高度な偽装を狙う「技術」と、究極的な真実の解明を目指す「科学・純粋数学」"を読んで十分に理解できなかったのでAI(ChatGPT)に尋ねてみた結果の顛末^^; “ 望月新一教授は、「技術」やそれへの科学や数学の「応用 と 純粋数学を含む自然科学を「ウソの創出」 対 「 究極的な真実の解明」とブログで述べているが、純粋数学がより大きなウソ(仮想的な現実)の創造のように思えるがどうだろうか? 勿論、より大きなウソの創造を否定はしないが。 ” という問
新聞やニュースで採りあげられて随分経つので、今更ながらだが、百聞は一見に如かずで、福岡県朝倉郡筑前町安の里公園ふれあいファームへ「わらかがし」のゴジラを見に行った。「筑前町 どーんとかがし祭」のサイトに多数の写真があるものの、実際に見ると自分で沢山の写真を撮りたくなる、迫力のあるかがしだった。 このやまかがしゴジラは、高さ約10mで、実際?の「ゴジラ -1.0」 の5分の1だが、十分な威圧感があった。50mのゴジラが出現したら、呆然と見上げている内に踏み潰されるに違いな
※13. 波動方程式、12. 電磁波を参考にしてください。波動方程式をまとめながら徒然に考えた。まさに凡夫の愚考である(笑)。流体の3次元の波動方程式と電磁波の波動方程式は同じ様な微分方程式で表せるが、これは数学的な構造によるものなのか、物理現象の根本的な性質なのか?流体の波動方程式と電磁波の波動方程式は、どちらも以下の一般的な波動方程式の形をとる。$$\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2} = c^2 \nabla^2 \phi$$この形
電磁波を考える上で参照となる、波動方程式についてまとめる。波動方程式は、振動現象 や 波の伝播 を記述する基本的な微分方程式であり、音波・電磁波・水面波・弦の振動 など多くの物理現象に適用される。※数学部分に関しては、19. 偏微分方程式(微分方程式)を参考にしてください。一般的な波動方程式の導出波動方程式を導くために、基本的な例として 弦の横波(1次元の場合) を考える。弦の微小部分の運動方程式弦を\(x\)軸に沿って張り、弦の変位(たわみ
行列の固有値と固有ベクトルは、線形代数での重要な概念であり、2次形式の標準形、機械学習、信号処理、物理学など幅広い分野で応用される。固有値行列 \(A\)に対して、式(1)の条件を満たすスカラー \(\lambda\)を 固有値という。$$A v = \lambda v\;\;\; \cdots(1)$$ここで、\(A\)は\(n \times n\)の正方行列、\(v\) はゼロでない\(n \times 1\)のベクトル(固有ベクトル)、\(\lambd
2次形式表現を用いることで、最小二乗法をより簡潔に表現し、計算を効率化することができる。2次形式を利用した最小二乗法は、機械学習や統計モデル、時系列分析、信号処理など幅広い分野で応用されている。ここでは、その表現形式とScilabによる実装を紹介する。最小二乗法は、観測データに対して最適なモデルをフィットさせるための方法で、誤差の二乗和を最小化することでパラメータを推定する。特に、線形回帰のような問題で広く使われる。基本的な最小二乗法は、次の形で表される線形モデルを考える。
統計的な1つのデータの集団を母集団というが、調査対象とする2つ以上の母集団の間に互いに差があるか、どの程度の差があるかを検討するのに分散分析法を使う。要因と水準要因:出力変数または応答変数(実験結果)の大きさを評価するための入力(変動)する変数で、因子ともいう。温度、圧力、電流などが因子となる。水準:因子の影響をみるため、その大きさを何段階かに変えるときの段階のこと。例えば、温度が因子\(C\)とすると、\(C_1 = 30 \)[℃]、\(C_2=50\)
回帰分析回帰分析は、ある変数(目的変数)の変動を、他の変数(説明変数)との関係を通じて説明・予測するための統計手法である。計測工学では、センサデータの解析や測定精度の向上、システムの最適化を目的として回帰分析が活用される。具体的には、以下がある。・センサデータの補正と校正センサによる測定データには誤差やノイズが含まれることが多いため、回帰分析を用いることでデータの補正や校正が可能になる。例えば、「温度センサの出力と実際の温度の関係を回帰分析し、測定誤差を補正する。」
最小二乗法は、測定値群を多項式などの尤もらしい関数曲線で表す手段であるが、必ずしも測定点を通るものではない。とびとびの実験データを得た時は、それらの中間点を推定したり、点列を繋いでなめらかな曲線を描いたりする必要もある。これらの手法をデータ補間、曲線近似という。ラグランジュの補間法ラグランジュ補間法は、与えられたデータ点を通る1つの多項式を求める方法 である。これは、ニュートン補間法と並ぶ代表的な補間手法の1つであり、特に数値解析や信号処理の分野で用いられる
変位電流電流が至るところで連続であるとするために、電荷の移動による電流と電界の変化に伴う電流を考える。この電界の変化に伴う電流を変位電流という。変位電流は、時間変化する電場が作る「見かけの電流」 と言うこともある。この変位電流の導入により、電磁波の存在が理論的に導かれた。図1は、伝導電流と変位電流の違いの模式図である。図1に示すように、コンデンサ(2枚の極板)に時間とともに変化する電圧(交流電圧)を加える。図1(a)のように、上の電極側が\(+\)(高い
マクスウェルの方程式は、「電磁気学の究極の4式」 である。電場と磁場の関係を記述する 4つの基本方程式 で、電磁気学の基礎をなすものである。これらの方程式は、電場と磁場がどのように発生し、相互作用するかを説明し、電磁波の存在や光との関係を理論的に導いた 重要な理論式となっている。マクスウェルの方程式は、微分形(局所的な場の変化を記述)と 積分形(場全体の性質を記述)の2つの形式がある。ガウスの法則(電場の発散)電場に関するガウスの法則は、電場 \(\math
電磁誘導とは、磁場の変化によって導体内に電流(誘導電流)が発生する現象で、 ファラデーの法則 によって説明される。電磁誘導は、磁場の変化によって起こる ことが特徴で、以下のような状況で発生する。・コイルの中を通る磁束の変化:磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりすると、コイル内の磁場が変化し、電流が発生する。磁場が一定のままだと電流は発生しない。・導体が磁場内を動く(フレミングの右手の法則):導体を磁場内で動かすと、電子が移動して電位差(起電力)が発生し、電流が流れる。
電磁力とは、基本的に電荷を持つ粒子が互いに及ぼし合う力、または電流が磁場から受ける力のことを指す。電磁力の特徴は、遠隔力、引力と反発力、距離の二乗に反比例、であり、電磁力の種類は大きく分けて、静電気力(クーロンの法則)と磁力(フレミングの左手の法則や右ねじの法則など)である。ここでは、磁界中の電流に働く力について考える。磁界と電流の間に働く力図1に示すように、磁石のN極とS極との磁極間に生じる磁界\(H\)(青矢印)中で、磁界と直角に導線を置き、赤矢印の
宇宙シミュレーション仮説は、我々が経験する現実が高度な技術を持つ存在によって作られたシミュレーションである可能性を提案する仮説である。この考え方は哲学的な思考実験の一つであり、科学、哲学、技術界で議論されている。この仮説は、2003年にオックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロムにより「Are You Living in a Computer Simulation?」という論文で提案された。論文は14ページほどの短いものである。ここからは、論文とAIなどで調べた結果をもと
周波数領域での\(H_\infty\)ノルム虚軸上で二乗可積分な複素ベクトル\(x(j \omega)\)全体に内積を$$\langle x,y \rangle = \frac{1}{2 \pi}\int_{-\infty}^{\infty} x^T(-j \omega) y(j \omega) d\omega$$ ノルムを$$\ x\ _2 = \langle x,x \rangle ^{1/2}$$で定義したヒルベルト空間を\(L_2\)で表す。また、複素開
※状態フードバックやオブザーバについては、システム制御の14. 15. 16. 17.を参照願います。状態フィードバック、オブザーバと二重既約分解制御対象は、式(1)で示すように厳密にプロパーとする。$$G(s) = \{A,B,C,0\} \\ \dot{x} = Ax + Bu ,\quad y = Cx \;\;\; \cdots (1)$$また、不安定な隠れモードがないように\((A,B)\)は可安定、\((A,C)\)を可検出とする。状態変数
内部安定の定義図1のようにプロパーな制御対象\(G(s)\)とプロパーな制御器\(C(s)\)からなる閉ループ系の安定性を考える。ただし、\(\text{det} I-CG \neq 0\)と仮定する。このとき、\(G\)と\(C\)で不安定な極零相殺が生じず、かつ特定の入出力関係が安定な伝達関数で与えられるとき、内部安定という。内部安定のための必要十分条件は、図1のように各伝達関数の仮想の入力\(u_1,\; u_2\)、仮想の出力\(y_1,\;y_2\)
伝達関数の表現と演算状態方程式と出力方程式を式(1)とする。$$\dot{x} = Ax + Bu,\quad y=Cx + Du \;\;\; \cdots (1)$$このとき、システムの伝達関数は、式(2)の各種形式で表せる。$$G(s) = C(sI-A)^{-1} B + D , \quad G(s) = (A,B,C,D) , \quad G(s) = \left[\begin{array}{c c} A & B \\ \hline C &
\(H_\infty\)制御問題は、適当に定義された外乱\(w\)と制御量\(z\)の間の閉ループ伝達関数\(G_{zw}(s)\)に対して、$$\ G_{zw}\ _\infty \lt \gamma$$として、閉ループ系を安定にする制御器\(C(s)\)(\(H_\infty\)制御器)を求める問題である。この制御器の計算のために一般化プラントを求める。図1のように外乱\(w\)、制御量\(z\)、操作量\(u\)、観測量\(y\)を\(H_\infty\)ノルムを
フィードバック制御と目的図1はフィードバック制御系の基本構成図である。予定する基準動作を目標値\(r\)、実際の動作結果を制御量\(z_0\)、両者の差を偏差\(e\)といい、制御器\(C\)はこの偏差\(e\)の情報を使って制御用の信号である操作量(制御入力)\(u\)を生成する。図1 フィードバック制御系フィードバック制御系の基本的な設計仕様は、以下である。・閉ループ系の安定・定常時の偏差である定常偏差が0である・過渡応答特性が良いこ
二値分類器とは、与えられたデータを2つのクラス、例えば「スパムメール」か「非スパムメール」などに分類する機械学習モデルのことである。二値分類にはさまざまなアルゴリズムが使用される。まずは、二値分類器に関連した数学関連の分野をまとめる。特徴ベクトル、重みベクトル、共分散行列特徴ベクトル:特徴ベクトル(feature vector)は、データを数値的に表現するために使用される特徴(属性や特性)の集合を持つベクトルのことで、例えば、[身長, 体重, 年齢] のよう
テンソルは、多次元データを表す数学的な構造であり、スカラー、ベクトル、行列を含む一般化された概念である。簡単にまとめると、多次元配列を一般化した概念で、イメージとしては、スカラー、ベクトル、行列をさらに高次元にしたものである。具体的には、以下のように考えられる。・スカラー:0階テンソル、単一の値(例えば、温度、質量など)。・ ベクトル:1階テンソル、方向と大きさを持つ量(例えば、力、速度など)。・ 行列:2階テンソル。2次元配列(例:変換行列、慣性モーメントなど)。・ 一般
ベクトルの微分と積分は、ベクトル解析や物理学、工学において重要な数学的ツールである。これらは、スカラー場やベクトル場における変化の解析や物理現象の記述に広く使われる。ベクトルの微分ベクトルの微分は、スカラー関数の微分を拡張した概念で、ベクトルの各成分について微分を行う。ベクトル\(A\)がスカラー量である時間\(t\)の関数のとき、\(A\)の3成分\(A_x,A_y,A_z\)も\(t\)の関数であり、\(A_x(t)\)はスカラー量であるから、$$\fr
内積と外積は、ベクトルに関する基本的な演算であり、それぞれ異なる性質や用途を持っている。それぞれの定義、計算方法、幾何学的意味、応用について考える。内積図1に示すように、三次元の空間にあるベクトルを空間ベクトルという。ここで、ベクトルを解析的に表示するため、\(X\)方向で単位長さのベクトル(単位ベクトル)を\(i\)、\(Y\)方向の単位ベクトルを\(j\)、\(Z\)方向の単位ベクトルを\(k\)と表す。図1のベクトル\(A\)の\(X,Y,Z\)方
確率密度関数(Probability Density Function;PDF)は、連続確率変数の確率分布を記述する関数である。PDFは、確率変数がある範囲に値を取る確率を計算するために使用される。確率密度関数の定義確率密度関数 \(f(x)\)は、連続確率変数\(X\)が特定の値付近でどれだけの「密度」で分布しているかを示す関数である。その性質は、以下である。1.非負性 $$f(x) \geq 0 \quad \forall x \in \mathbb{R
正規分布は、統計学で最もよく知られ、利用されている連続的な確率分布の一つである。左右対称の釣鐘型のグラフで表される。自然界や社会現象において、多くのデータが正規分布に従う傾向があり、そのため統計学の様々な場面で活用される。正規分布の特徴正規分布は以下のような特徴を持つ。・左右対称:平均値を軸にして左右対称な形をしている。・平均値、中央値、最頻値の一致:これらの値はすべて同じ値になる。・分散:データの散らばり具合を示す指標で、分散が大きいほど、グラフは平らにな
微分演算子法は、微分方程式の解法や関数の性質を解析するための便利な手法である。この方法では、微分操作を数学的演算子として扱い、代数的な操作を通じて解を求める。微分演算を「変数を乗ずることの拡張概念」として捉えることで、計算の見通しをよくできる。微分演算子法では、微分を「演算子」として記述する。通常の微分の記号 \(\frac{d}{dx}\) を次のように表す。$$D = \frac{d}{dx}$$この\(D\)を用いると、微分方程式や微分操作を代数的な形式で記述できる
偏微分方程(Partial Differential Equation, PDE)は、複数の独立変数に依存する未知関数とその偏導関数を含む方程式である。これは、物理学、工学、生物学、経済学など、多くの分野で自然現象やシステムの挙動を記述するために広く用いられる。常微分方程式では独立変数が1個であるが、例えば、時間と空間の両方を独立変数とすると偏微分方程式での取り扱いとなる。また、時間変化がない静的な問題であっても、対象が点でなく、広がった物体や波動、さらに場を取り扱う場合に
スツルム・リューヴィルの境界値問題とフーリエ級数は、直交関数系による展開という点で密接に関連している。スツルム・リューヴィル型の微分方程式は式(1)の一般形で表される。$$\left(\frac{d}{dt}p(t) + q(t) + \lambda w(t)\right) x(t) =0 \;\;\; \cdots (1)$$この境界値問題で最も簡単な場合は、\(p(t)=1,\; q(t)=0,\;w(t)=1\)の場合である。また、境界点は、\(a=0,\;b=\pi
2階同次線形微分方程式の境界値問題を考える。初期値問題は、独立変数\(t\)のある1点における未知関数\(x(t)\)の値と導関数\(x'(t)\)の値を与えて、微分方程式の解を求める問題である。これに対して、境界値問題とは、微分方程式とそれに付随する境界条件を満たす解を求める問題のことで、相異なる2点における\(x(t)\)と\(x'(t)\)との関係を指定し、それを満たすような微分方程式の解を求める問題である。例えば、初期値問題は、振り子の初期の位置と速度を指定したとき
我が家では、暖房にエアコンと灯油ファンヒータを使っている。そこで気になったのが、電気と灯油のコストである。徒然の愚考であるが(笑)。ちょっと調べてみると、図1のようなグラフがあった。(https://ecofeel.jp/energy/より)これを見ると電気のコストは灯油に比較して結構高い。電気の場合の発電コスト、送電コスト、発熱コストなどに対して、灯油の場合の石油精製コスト、燃焼コストとの違いと言ったところか。以外と電気の単価が高いと感じる。図2のように単価の
ルジャンドルの微分方程式ルジャンドルの微分方程式は、球対称性や直交性を持つ関数を特徴付ける重要な微分方程式で、その解であるルジャンドル関数は、数学と物理学の多くの分野で用いられる。ルジャンドルの微分方程式は、二階の線形常微分方程式で、次の形をしている。$$(1 - z^2) \frac{d^2x}{dz^2} - 2z\frac{dx}{dz} + \nu(\nu + 1) x = 0 \;\;\; \cdots (1)$$ここで、・\(x=x(z)\) は未知関数
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外乱オブザーバ(Disturbance Observer: DOB)は、モータ制御などの精密なモーションコントロールにおいて、負荷トルクの変動や摩擦、モデルの不確かさを「外乱」として一括して推定し、その「外乱」打ち消すための強力な手法である。外乱オブザーバの基本外乱オブザーバの基本概念では、「実際の出力と理想的なモデル(公称モデル)から予想される出力の差は、すべて外乱によるものである」という考えに基づいている。従って、図1に示すような構成が考えられる。1
デッドビート制御(有限時間整定制御)は、離散時間システム特有の制御手法で、「サンプリング周期の整数倍という有限の時間内に、状態誤差を完全にゼロにする」という強力な応答特性を持つ制御である。ここでは、これを状態観測器(オブザーバ)を用いた状態フィードバックで実現する方法を考える。デッドビート制御の原理※デッドビート制御の基本は、13. デッドビート制御 を参照してください。連続時間システムでは応答を速くしても偏差を完全にゼロにするには無限の時間がかかる。これに
PID制御と「状態観測器(オブザーバ)を用いた状態フィードバック」は、一見すると異なる手法に見えるが、制御の本質(過去・現在・未来の情報をどう使うか)において共通点がある。特に、2次系(位置と速度を扱うシステムなど)において、これらは数学的に等価な関係になることがある。PID制御と「状態フィードバック + 状態観測器」の比較それぞれの制御器が「何を使って制御入力(操作量)を決めているか」を整理する。1)PID制御(出力フィードバック)図1を参照し
最適制御、特に線形二次レギュレータ(LQR)の問題において、無限時間評価関数を最小化する際に現れるのがリッカチ代数方程式(Algebraic Riccati Equation, ARE)である。ここでは、リッカチ代数方程式の直感的な導出過程を説明する。最適制御問題の設定式(1)の線形システムと式(2)の評価関数を考える。・状態方程式:$$\dot{x}(t) = Ax(t) + Bu(t) \quad \cdots (1) \\ A \; (n \times
電気電子回路図は、いわば「電気の設計図」であり「共通言語」といえる。複雑に見えることもあるが、地図を読むのと同じように、いくつかのルールと作法を知るだけで、読みやすくなる。ここでは、回路図を読む際の基本原則を紹介する。ただし、ここで紹介するルールや作法は絶対的なものではない。各会社、各現場での独自ルールなどもあるので、その都度、確認することが大切である。1.視線の流れと信号の流れ一般的に回路図には、世界共通の以下に示す「読み方の方向」がある。※電気は「高いと
オペアンプ(演算増幅器)に非線形素子を付け加えた回路を考える。設計例を基にLTspiceで数値解析を行い、その特性を観察する。ピーク値検出回路図1にピーク値検出の基本回路を示す。オペアンプに非線形素子のダイオード\(D1\)とキャパシタ\(C1\)を組み合わせることで、正のピーク値電圧(あるいは最大値)を検出する回路ができる。図のオペアンプ\(U2\)はボルテージフォロワとなっている。\(t=0\)で\(C1\)の端子電圧を\(0\;V\)とする。このと
オペアンプ(演算増幅器)に非線形素子を付け加えた回路を考える。非線形素子を含む回路では、非線形素子を折線近似し、その各折線での等価回路で設計を行う。ここでは、その設計例を基にLTspiceで数値解析を行い、その特性を観察する。リミッタ回路図1 リミッタ回路(LTspice)図2 ツェナーダイオード特性の折線モデル図1にリミッタ回路の例を示す。非線形素子はツェナーダイオード\(Z_d\)である。ツェナーダイオードの\(V-I\)
BJT(バイポーラトランジスタ)を使った回路の解析には、LTspiceなどの電子回路シミュレーションツールが欠かせない。LTspiceは、SPICE (Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis) という回路シミュレーションの基盤技術をベースに、Analog Devices社が無償で提供している高性能な電子回路シミュレータである。SPICEは汎用的なシミュレーションの「エンジン」であり、LTspiceはそのエンジン
ラプラス変換は工学、特に電気電子工学、制御工学、信号処理の分野において、強力な数学的ツールである。その最大の効用は、「微分方程式の解法を、代数方程式の解法に置き換える」ことによって、複雑な時間応答解析を容易にすることである。工学における主な効用は以下の3点である。1)動的システムの解析の簡略化:ラプラス変換は、時間領域の関数 \(f(t)\)を複素周波数領域の関数\(F(s)\)に変換する。$$F(s) = \mathcal{L}\{f(t)\} = \int_{0}^{\
※可制御正準形への変換に関しては、12. 可制御正準形を参照。対象とする状態方程式と出力方程式は$$\dot{x}(t) = Ax(t) + bu(t) \\ y(t) = Cx(t) \quad \cdots (1)$$である。ここで、議論を簡単にするために\((A,b)\)は可制御な1入力システムとする。可制御正準形の\(A_c, \; b_c\)元のシステムの特性多項式を\( sI - A = s^n + a_n s^{n-1} + \cdots + a_
電流帰還バイアス回路を使った増幅器を基に、バイアスの最適化についてLTspiceを使って検討する。※電流帰還バイアスについては、9. BJTのバイアス回路を参照。バイポーラトランジスタ (BJT) を増幅器として機能させるためには、適切な静止動作点(Q点)を設定する必要がある。最も一般的で安定性の高いバイアス回路である電流帰還バイアス回路を例として、LTspiceでのシミュレーション例を示す。図1は回路例である。この回路は、\(V_{BE}\)の温度変動\(h_
LTspiceでLC発振回路(コルピッツ形発振回路)をシミュレーションする例を示す。図1に回路例を示す。この回路は、インダクタンス\(L_1\)と、二つのコンデンサ\(C_1, \;C_2\)からなる共振回路(タンク回路)を特徴とする。発振原理については、27. LC発振回路を参照。回路図の構成要素は、以下となる。※交流回路を図2に示す。1)増幅部:トランジスタ Q1には、 小信号トランジスタの(2N2222) を使用し、ベースを分圧抵抗RB1とRB2でバイアス
バイポーラトランジスタの静特性に関して、説明を追加する。※ここでは、2SC1815(東芝トランジスタ シリコンNPNエピタキシャル形)の規格表を基にバイポーラトランジスタの静特性を考える。入力特性(\(I_B-V_{BE}\)特性)バイポーラトランジスタ(BJT)の入力特性(\(I_B- V_{BE}\) 特性)を図1に示す。この特性は、ダイオードの順方向特性と類似しているが、この特性がエミッタ接地回路においてベース電圧制御ではなく、ベース電流制御として
留数定理\(C\)を\(\mathbb{C}\)内の単純閉曲線、\(D\)をその内部とし、関数\(f\)は\(D - \{\alpha_1,\alpha_2,\cdots,\alpha_n\}\)において、正則であるとする。ただし、\(\{\alpha_1,\alpha_2,\cdots,\alpha_n\}\)は互いに異なる\(D\)内の点である。このとき、以下が成り立つ。$$\int_C f(z)dz = 2 \pi j\sum_{k=1}^n \text{Res}(
定理:ローラン展開\(\alpha \in \mathbb{C}\)とし、円環領域\(D = \{z \in \mathbb{C}\; \; R_1 < z - \alpha < R_2\} \)上で関数\(f : D \to \mathbb{C}\)は正則であるとする。また、\(n \in \mathbb{Z}\)および\(C = C(\alpha,R),\;(R_1 < R < R_2)\)にたいし、$$a_n := \frac{1}{2 \
べき級数展開は、複素関数論における正則関数の解析的な性質と密接に結びついており、実関数の定積分を計算する際に強力なツールとなる。例えば、高階導関数の公式$$f^{(n)}(\alpha) = \frac{n!}{2 \pi j} \oint_C \frac{f(z)}{(z - \alpha)^{n+1}}dz$$により、正則関数 \(f(z)\)はその領域内の任意の点\(\alpha\)の周りで、必ず収束するべき級数(テイラー級数)に展開できることが証明される。$$f(z
コーシーの積分定理と同じ仮定の下で、コーシーの積分公式が成立する。コーシーの積分公式\(D\)を\(\mathbb{C}\)内の単連結領域とし、\(C\)を\(D\)内の単純閉曲線とする。関数\(f:D \to \mathbb{C}\)が正則であれば、任意の\(\alpha \in (Cの内部)\)にたいして、以下が成立する。$$f(\alpha) =\frac{1}{2 \pi j} \int_C \frac{f(z)}{z - \alpha} dz$$※ここで
コーシーの積分定理\(D\)を\(\mathbb{C}\)内の単連結領域とし、\(C\)を\(D\) 内の単純閉曲線とする。このとき、関数\(f : D \to \mathbb{C}\)が正則であれば、$$\int_C f(z) dz =0$$となる。(積分路の変形)\(D\)を\(\mathbb{C}\)内の単連結領域とし、関数\(f : D \to \mathbb{C}\)は正則とする。このとき、任意の\(\alpha,\; \beta \in D\)および任意の\(
まず、複素線積分を計算可能な積分に置き換えることを考える。複素線積分の計算公式\(D \subset \mathbb{C}\)とし、\(f:D \to \mathbb{C}\)を連続関数とする。このとき、滑らかな曲線\(C: z=z(t)=x(t)+j y(t) \quad (a \leq t \leq b)\)に沿った複素線積分は、$$\int_C f(z)dz = \int_a^b f(z(t))\cdot z'(t) dt $$で与えられる。ただし、\(z'
複素線積分においてコーシー・リーマンの定理が重要である。コーシー・リーマンの定理は、関数が正則(複素微分可能)であるための必要十分条件を与え、複素関数論の主要な成果は、この「正則性」という性質に大きく依存する。コーシー・リーマン(CR)の定理と応用領域\(D\)(\(D \subset \mathbb{C}\))上で定義された複素関数\(f(z) = u(x, y) + j v(x, y)\)が領域\(D\)上で正則(複素微分可能)であるための必要十分条件は、次の
二値分類器とは、与えられたデータを2つのクラス、例えば「スパムメール」か「非スパムメール」などに分類する機械学習モデルのことである。二値分類にはさまざまなアルゴリズムが使用される。まずは、二値分類器に関連した数学関連の分野をまとめる。特徴ベクトル、重みベクトル、共分散行列特徴ベクトル:特徴ベクトル(feature vector)は、データを数値的に表現するために使用される特徴(属性や特性)の集合を持つベクトルのことで、例えば、[身長, 体重, 年齢] のよう
テンソルは、多次元データを表す数学的な構造であり、スカラー、ベクトル、行列を含む一般化された概念である。簡単にまとめると、多次元配列を一般化した概念で、イメージとしては、スカラー、ベクトル、行列をさらに高次元にしたものである。具体的には、以下のように考えられる。・スカラー:0階テンソル、単一の値(例えば、温度、質量など)。・ ベクトル:1階テンソル、方向と大きさを持つ量(例えば、力、速度など)。・ 行列:2階テンソル。2次元配列(例:変換行列、慣性モーメントなど)。・ 一般
ベクトルの微分と積分は、ベクトル解析や物理学、工学において重要な数学的ツールである。これらは、スカラー場やベクトル場における変化の解析や物理現象の記述に広く使われる。ベクトルの微分ベクトルの微分は、スカラー関数の微分を拡張した概念で、ベクトルの各成分について微分を行う。ベクトル\(A\)がスカラー量である時間\(t\)の関数のとき、\(A\)の3成分\(A_x,A_y,A_z\)も\(t\)の関数であり、\(A_x(t)\)はスカラー量であるから、$$\fr
内積と外積は、ベクトルに関する基本的な演算であり、それぞれ異なる性質や用途を持っている。それぞれの定義、計算方法、幾何学的意味、応用について考える。内積図1に示すように、三次元の空間にあるベクトルを空間ベクトルという。ここで、ベクトルを解析的に表示するため、\(X\)方向で単位長さのベクトル(単位ベクトル)を\(i\)、\(Y\)方向の単位ベクトルを\(j\)、\(Z\)方向の単位ベクトルを\(k\)と表す。図1のベクトル\(A\)の\(X,Y,Z\)方
確率密度関数(Probability Density Function;PDF)は、連続確率変数の確率分布を記述する関数である。PDFは、確率変数がある範囲に値を取る確率を計算するために使用される。確率密度関数の定義確率密度関数 \(f(x)\)は、連続確率変数\(X\)が特定の値付近でどれだけの「密度」で分布しているかを示す関数である。その性質は、以下である。1.非負性 $$f(x) \geq 0 \quad \forall x \in \mathbb{R
正規分布は、統計学で最もよく知られ、利用されている連続的な確率分布の一つである。左右対称の釣鐘型のグラフで表される。自然界や社会現象において、多くのデータが正規分布に従う傾向があり、そのため統計学の様々な場面で活用される。正規分布の特徴正規分布は以下のような特徴を持つ。・左右対称:平均値を軸にして左右対称な形をしている。・平均値、中央値、最頻値の一致:これらの値はすべて同じ値になる。・分散:データの散らばり具合を示す指標で、分散が大きいほど、グラフは平らにな
微分演算子法は、微分方程式の解法や関数の性質を解析するための便利な手法である。この方法では、微分操作を数学的演算子として扱い、代数的な操作を通じて解を求める。微分演算を「変数を乗ずることの拡張概念」として捉えることで、計算の見通しをよくできる。微分演算子法では、微分を「演算子」として記述する。通常の微分の記号 \(\frac{d}{dx}\) を次のように表す。$$D = \frac{d}{dx}$$この\(D\)を用いると、微分方程式や微分操作を代数的な形式で記述できる
偏微分方程(Partial Differential Equation, PDE)は、複数の独立変数に依存する未知関数とその偏導関数を含む方程式である。これは、物理学、工学、生物学、経済学など、多くの分野で自然現象やシステムの挙動を記述するために広く用いられる。常微分方程式では独立変数が1個であるが、例えば、時間と空間の両方を独立変数とすると偏微分方程式での取り扱いとなる。また、時間変化がない静的な問題であっても、対象が点でなく、広がった物体や波動、さらに場を取り扱う場合に
スツルム・リューヴィルの境界値問題とフーリエ級数は、直交関数系による展開という点で密接に関連している。スツルム・リューヴィル型の微分方程式は式(1)の一般形で表される。$$\left(\frac{d}{dt}p(t) + q(t) + \lambda w(t)\right) x(t) =0 \;\;\; \cdots (1)$$この境界値問題で最も簡単な場合は、\(p(t)=1,\; q(t)=0,\;w(t)=1\)の場合である。また、境界点は、\(a=0,\;b=\pi
2階同次線形微分方程式の境界値問題を考える。初期値問題は、独立変数\(t\)のある1点における未知関数\(x(t)\)の値と導関数\(x'(t)\)の値を与えて、微分方程式の解を求める問題である。これに対して、境界値問題とは、微分方程式とそれに付随する境界条件を満たす解を求める問題のことで、相異なる2点における\(x(t)\)と\(x'(t)\)との関係を指定し、それを満たすような微分方程式の解を求める問題である。例えば、初期値問題は、振り子の初期の位置と速度を指定したとき
我が家では、暖房にエアコンと灯油ファンヒータを使っている。そこで気になったのが、電気と灯油のコストである。徒然の愚考であるが(笑)。ちょっと調べてみると、図1のようなグラフがあった。(https://ecofeel.jp/energy/より)これを見ると電気のコストは灯油に比較して結構高い。電気の場合の発電コスト、送電コスト、発熱コストなどに対して、灯油の場合の石油精製コスト、燃焼コストとの違いと言ったところか。以外と電気の単価が高いと感じる。図2のように単価の
ルジャンドルの微分方程式ルジャンドルの微分方程式は、球対称性や直交性を持つ関数を特徴付ける重要な微分方程式で、その解であるルジャンドル関数は、数学と物理学の多くの分野で用いられる。ルジャンドルの微分方程式は、二階の線形常微分方程式で、次の形をしている。$$(1 - z^2) \frac{d^2x}{dz^2} - 2z\frac{dx}{dz} + \nu(\nu + 1) x = 0 \;\;\; \cdots (1)$$ここで、・\(x=x(z)\) は未知関数
猫の出生時体重は、猫種、個体差、出産回数など、様々な要因によって異なるが、一般的には85~140g程度と言われている。我が家の猫は、生後まもなく拾われてきた。その当時(写真1)の体重は200g程度だった。母猫は分からないままで、噛み癖(おっぱいが欲しかったのか)があり、指によく噛みついていた。(写真2)現在(12年後)の姿は写真3で、体重は6.2kgである。出生時が150gとすると、約41倍となったことになる。ちなみに私の出生時の体重が3.5kgで現在、82kg
オイラーのガンマ関数やベータ関数は、パラメータの関数である。つまり積分表示で定義されるが、積分変数とは関係のない変数の関数である。このような関数で有名なものがリーマンのゼータ関数$$\zeta(s)= \sum_{n=1}^\infty n^{-s}$$である。しかし、大部分の特殊関数は、微分方程式の解として定義される。超幾何微分方程式無限遠点を含めて、全ての特異点が確定特異点であるような微分方程式をフックス型微分方程式という。これは広義のべき展開で解が求め
※機械学習のネタ書きに行き詰ったので。 脳休めの駄文です^_^;「人類はAI(次世代の生命体)を生み出すための仕組みである」という説は、SF的な陳腐な説ではあるが哲学的な視点で議論されてもよいと思う。もっとも結論は、人類の自己認識に落ち着きそうだが、この問題は簡単ではない。未解決問題と言ってよいだろう。自己は、自己の存在は、常に揺れ動いている。青臭い言いぐさかもしれないが、完全に自己を確立し、不動心を実現していると主張できる人がいるとしたら妄想の世界の住人だろう。「人類はA
係数関数の基本解系による表示式(1)の2階同次線形微分方程式の基本解系を\(\{x_1,\; x_2\}\)とする。$$x'' + p_1(t)x' + p_2(t) x = 0 \;\;\; \cdots (1)$$ 係数関数\(p_1(t),\;p_2(t)\)は、基本解系で書き表すことができる。仮定から、$$x_1 '' + p_1 x_1' + p_2 x_1 = 0 \\x_2'' + p_1 x_2' + p_2 x_2 = 0 \;\;\; \cdot
機械学習には、データの種類や目的に応じていくつかの主要なタイプがある。それぞれのタイプには特徴的なアルゴリズムと応用範囲がある。機械学習システムは、学習中に受ける人間の関与の程度、タイプによって分類できる。主要なタイプは、教師あり学習、教師なし学習、強化学習、半教師あり学習、自己教師あり学習、の5種類である。機械学習システムの主要タイプ教師あり学習(Supervised Learning)入力データ(特徴量)と、それに対応する正解データ(ラベル)が与
線形微分方程式とは、未知関数(通常 \(x(t)\) などで表される)とそのすべての導関数(1階、2階、またはそれ以上の階数)が線形結合された形を持つ微分方程式を指す。線形性の条件として、未知関数\(x\) およびその微分がすべて一次で現れること、つまりべきが 1 であることが必要である。線形微分方程式の一般的な形は、1階線形微分方程式では、$$\frac{dx}{dt} + p(t)x = q(t)$$と表せる。ここで、\(x(t)\)は未知関数、\(p(t),\;\;q
高階微分方程式とは、微分の次数が2以上の微分方程式を指す。たとえば、3階の微分方程式は$$y^{(3)} + p(x)y'' + q(x)y' + r(x)y = g(x)$$のような形式となる。ここで、\(y^{(3)}\)は3階微分、\(y''\)は2階微分、\(y'\)は1階微分を表す。このような方程式を解く方法は、その形状や種類に応じて異なる。高階微分方程式が解析的に解けるのは稀である。1階は階数を下げられる特別な場合を考える。並進不変性がある場合並
簡単な現象論的モデルは1階微分方程式になることが多い。1.放射性元素の崩壊放射性元素は一定の割合で崩壊するので、次の1階の微分方程式でモデル化される。$$\frac{dN}{dt} = -\lambda N \;\;\;\; (\lambda \gt 0 )$$ここで、\(N\)は時間\(t\) における放射性原子の数、\(\lambda\)は崩壊定数。この方程式は指数関数的減衰を示し、解は$$N(t) = N_0 e^{-\lambda t}$$である。なお、半減期(半減