「見もの・読みもの日記」は、以下に引っ越しました。【https://mimono.hatenablog.jp/】よろしくお願いいたします。本日10月1日はブログ開設から7803日目でした。以後、こちらの更新はありません。また、gooブログサービスの完全終了は11月18日だそうです。関係者の皆様、長年お世話になり、ありがとうございました。引越し先で会いましょう!
興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。 <br>
「見もの・読みもの日記」は、以下に引っ越しました。【https://mimono.hatenablog.jp/】よろしくお願いいたします。本日10月1日はブログ開設から7803日目でした。以後、こちらの更新はありません。また、gooブログサービスの完全終了は11月18日だそうです。関係者の皆様、長年お世話になり、ありがとうございました。引越し先で会いましょう!
■黎明アートルーム特別展『柴田是真-対柳居から世界へ-』(2025年9月15日~10月31日)柴田是真(1807-1891)の漆芸と絵画作品を、同館所蔵品と個人コレクションから初公開約30点を含む約100点を選んで展観する。特に「対柳居」(浅草橋にあった是真の住居兼仕事場)伝来とみられる新出の写生・粉本類によって、その制作の真の姿に迫るとともに、下積み時代の作品にも光を当てる。同館の展覧会には何度か足を運んでいるが、今回は「特別展」にふさわしく、質量ともに圧倒的だった。参観者は、ほぼ全作品の写真図版と解説を掲載したカラー図録(22頁)が無料でいただけるのもうれしい。私は是真の名前を蒔絵師として覚えた。その後に絵画作品も見るようになったが、さほど感心したことはなかった。それが今回、粉本(画稿)の山を見て、す...2025年9月展覧会拾遺
金沢出張の前に出かけた関西旅行のレポートをまだ書き終わっていなかった。2日目の土曜日は京都で2つ展覧会を見てから、大阪で文楽公演を見てきた。■京都国立博物館特別展『宋元仏画-蒼海(うみ)を越えたほとけたち』(2025年9月20日~11月16日)国内に所蔵され宋元仏画(中国の宋と元の時代に制作された仏教絵画)を集め、制作された当地の文脈に照らしながら、それぞれの特色を紹介する。このテーマなら、そんなにお客さんは来ないだろう…と思いながら、朝イチの京博に出かけたら、やっぱり数十人が並んでいた。9:30開館だと思って30分前に到着したのだが、特別展は9:00開館で、すぐに列が動き出した。冒頭の3階展示室は、『仏日庵公物目録』『君台観左右帳記』などの文書類や、天目茶碗・青磁瓶などに混じって絵画が展示されていたので...2025年9月関西旅行:京博、龍谷ミュージアム
2泊3日の金沢出張に行ってきた。最初の2日間は仕事、後泊をつけてもらえたので、土曜日はひとりでぶらぶら散歩してきた。■石川県立歴史博物館令和7年度秋季特別展『花開く九谷-19世紀加賀藩のやきもの生産ブーム-』(2025年9月27日~11月9日)まず、この日から始まった特別展を参観。江戸時代前期から中期にかけて、日本列島における陶磁器の生産は限られた地域にとどまっていた(九谷古窯はこの時期)。江戸時代後期には、技術の広がりや諸藩の産業振興策の影響により列島各地で数多くの窯が成立し、加賀藩や支藩の富山藩・大聖寺藩でも多くの窯が築かれる。本展は、江戸時代後期の加賀・能登での陶磁器生産の実態を明らかする。加賀!九谷!やきもの!と聞いて、もっと華やかな展示をイメージしていたのだが、歴史博物館らしく、出土資料の陶器片...2025年9月金沢散歩:石川県立歴史博物館など
gooブログのサービス終了が迫っている。移行先は以下に決めて、先日、ようやく全データ(たぶん)の移行を終えた。★(名称は同じ)見もの読みもの日記【https://mimono.hatenablog.jp/】移行作業完了を祝して、ひといき(スタバのチーズケーキとコーヒー)新規投稿サービスが終了する10月1日までは、このgooブログを更新しつつ、はてなブログにも同じ記事を貼り付けていく予定。とは言え、今日から土曜まで金沢出張なので、あと何回更新できるか分からない。私が、主に読書や展覧会参観の記録を残すためにgooブログの利用を始めたのは、2004年5月。それ以前に、海外旅行の旅行記をgeocitiesサービスで公開していたので、のちにそれらもgooブログに統合した。それから20年余り、個人的な生活記録はあまり...終了間近gooブログの思い出
今年の夏は猛暑に負けて自宅に籠っていたのだが、涼しくなったのを幸い、久々の関西旅行に出かけてきた。まずは奈良から。■大和文華館特別企画展『くらべて楽しむ琳派作品』(2025年8月22日~9月28日)様々な時代のバリエーション豊かな琳派の作品を、古典作品や他派の作品と共に展示する。という本展の趣旨を、実はあまり理解しないで見に行ってしまった。冒頭の展示ケース、右端には鎌倉時代と室町時代の古典的な蒔絵の小物が出ていた。『蒔絵歌絵鏡巣』(室町時代)には鉛板の月が見えるが全体に地味。中央、光悦の『沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒』は鉛板を大胆に用いる。鹿の形象が「文様と絵画のあわい」であるという解説にうなずく。左端は神坂雪佳の『螺鈿金貝蒔絵田家人物文硯蓋』(個人蔵)で、田家の屋根が鉛板。家の本体は鈍い金色で、細く切っ...2025年9月関西旅行:大和文華館、奈良博
〇家近亮子『蒋介石:「中華の復興」を実現した男』(ちくま新書)筑摩書房2025.8蒋介石(1887-1975)には、特に関心を持っていたわけではない。大陸中国のドラマでは悪役側だし、台湾史でも民主化を阻んだ独裁者の印象が強い。それが、ちょっとした気の迷いで472ページもある極厚の新書に手を出してしまい、最後まで読み切った。家庭生活など、初めて知ることが多かったのと、政治家としては、あらためてその評価について考える機会となって、面白かった。はじめに生涯の概略をまとめておく。蒋介石は1887年(清朝の洋務運動期)浙江省奉化県渓口鎮の生まれ。実家は塩舗を経営していた。青年時代、日本に留学して東京振武学校で学び、陸軍高田連隊に入隊する。この間、辛亥革命が勃発し、帰国。いろいろあって、孫文の中華革命党に入党。192...政治家として、家庭人として/蒋介石(家近亮子)
〇国立文楽劇場令和7年爽秋文楽特別公演第2部・第3部(2025年9月20日、14:00~・18:00~)例年のスケジュールだと9月は東京公演なのだが、今年は「大阪・関西万博開催記念」ということで、9月6日~10月14日まで長期にわたり、大阪で文楽公演が打たれている。しかも人気の『心中天網島』と『曽根崎心中』が見られると分かったので、週末、見に行ってきた。・第2部『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)・北新地河庄の段/天満紙屋内の段/大和屋の段/道行名残の橋づくし』『網島』は2019年に見て以来なので、かなり久しぶりだ。自分のブログを検索して、前回は大和屋が咲太夫さんだったか、と懐かしく思い出した。名作と分かっていても、治兵衛が絵に描いたようなダメ男でイライラする。これに対して、大人の器量を見せる遊女の小...大阪で近松三昧/文楽・心中天網島と曽根崎心中
〇根津美術館企画展『焼き締め陶:土を感じる』(2025年9月13日~10月19日)ありそうでなかった展覧会のような気がして、とても面白かった。「焼き締め陶」とは、釉薬を掛けずに高温で焼くことで素地を固めた陶磁器をいう。日本の焼き締め陶は、5世紀頃(古墳時代)朝鮮半島に学んだ須恵器に遡るが、8世紀に施釉陶器が登場すると、過去の技術と見做されるようになる。しかし、15世紀末から16世紀初め、茶の湯の世界では、この素朴な美しさを、中国の青磁などと取り合わせて愛でることが始まった。という解説を読んで頭に浮かんだのは、伊賀や信楽、備前のやきものだったが、最初に並んでいたのは、東南アジアや中国南部で作られた「南蛮物」だった。砂糖や香辛料の容器を、水指・花入・建水など、水まわりの道具に転用したものが多い。蓋つきの『南蛮...南蛮から始まる/焼き締め陶(根津美術館)
〇神奈川県立金沢文庫開館95周年特別展『金沢八景みほとけ巡礼-仏像からよみとく金沢の歴史-』(2025年9月5日~11月9日)神奈川県横浜市金沢区は、かつて「武蔵国六浦荘金沢」と呼ばれ、中世には都市・鎌倉の外港として栄えた。本展は、金沢の内海周辺に建立された由緒ある寺院と、そこに安置された仏像を通して、中世金沢に展開した寺院の実態や、その後の金沢八景を中心とした巡礼寺院としての位置づけなどを明らかにする。特別展の始まり、1階入ってすぐの展示ケースには、小さな神像が複数出ていて目を引いた。いずれもキャプションには「瀬戸・瀬戸神社」の文字。解説によれば、古代・中世においては瀬戸神社の位置した瀬戸、粟津として物資が集積した六浦が、金沢の中心地だったという。彩色のよく残る女神坐像は唐衣・裳を着け、潔斎掛帯の紐を肩...運慶流強め/金沢八景みほとけ巡礼(金沢文庫)
〇『華山論剣』全30集(騰訊視頻他、2025年)「九陰真経」「東邪西毒」「南帝北丐」の感想は別稿にまとめたので、ここでは最後の「五絶争鋒」について紹介する。■「五絶争鋒」全6集「東邪西毒」「南帝北丐」の物語から10年くらい先になるのだろうか。ある晩、仮面の集団に両親を殺された少女・葭蘭は、武功の奥義書「九陰真経」の在り処を知る雄一の証人「活地図」となる。葭蘭を助けたのは黄薬師。妻の病を治療するため「九陰真経」の「療傷篇」を必要とする黄薬師は葭蘭を連れて桃花島に向かう。その途中、古い友人・欧陽鋒を石羊寨に訪ねた黄薬師は、その葬儀の場に行き当たる。欧陽鋒の兄の白駝山荘荘主・欧陽錯は、邪教の明教に帰順し、欧陽鋒を死んだと偽って地下牢に幽閉していた。黄薬師は欧陽鋒を救出し、葭蘭の保護を託す。欧陽錯は確保した葭蘭を...武侠迷から金庸先生に捧ぐ/中華ドラマ『華山論剣』(2)
〇『華山論剣』全30集(騰訊視頻他、2025年)評価は分かれるかもしれないが、個人的には、かなり好きなタイプの作品だった。確か初期の情報では『金庸武侠世界』という総合タイトルで全5ユニットが制作される、という話だったように思う。2024年に原作の『射鵰英雄伝』のストーリーにほぼ準拠した(かなり端折ってはいたが)『金庸武侠世界・鉄血丹心』全30集が公開された後、残りはどうなるんだろう?と思っていたら、この夏、めでたく『華山論剣』のタイトルで「九陰真経」「東邪西毒」「南帝北丐」「五絶争鋒」の4ユニットが連続公開された。■「九陰真経」全8集『射鵰英雄伝』前夜の物語。豊かな商人の家庭で幸せに育った梅若華は悪人・邱雲海に両親を惨殺されてしまう。たまたま遊歴の途中だった黄薬師に助けられ、武効を修得して復讐をするため、...武侠迷から金庸先生に捧ぐ/中華ドラマ『華山論剣』(1)
〇板橋区立美術館館蔵品展『狩野派の中の人絵師たちのエピソード』(2025年8月23日~9月28日)江戸狩野派には、最も格式の高い奥絵師、それらを補佐する表絵師、さらに町狩野と呼ばれる人々など、膨大な数の絵師が属していた。本展は、絵師の人柄が伝わるエピソードやそれぞれの関係性の紹介とあわせて作品を展観する。むかしは狩野派なんて似たり寄ったりでつまらない絵師の集団だと思っていた。それが、こういう展覧会のタイトルを聞いて、わくわくと足を運んでしまうようになったのは、かなりのところ、同館のおかげである。今回、1階ホールに過去の狩野派展のポスターがずらりと展示してあるのだが、どれもちょっとテンションがおかしい。「これであなたも狩野派通」とか「狩野派SAIKO!」とか(笑)、参観者を狩野派ファンに引きずり込んでやろう...大河ドラマの同時代/狩野派の中の人(板橋区立美術館)
■東京国立博物館特別展「江戸☆大奥」(2025年7月19日~9月21日)娯楽小説や芝居、ドラマなどで描かれてきた想像の世界とは異なる、知られざる大奥の真実を、遺された歴史資料やゆかりの品を通してご覧いただきます――というのが、公式のうたい文句だが、最初の展示室(いつもと逆回り)には、NHKドラマ10の男女逆転版『大奥』の衣装を展示。展示室の奥には実物大の橋の入口のセット、スクリーンには江戸城が映るので、大手門橋のイメージか(でもこれ、春の『蔦屋重三郎』展の日本橋の使いまわしだと思う)。続く見ものは、楊洲周延『千代田の大奥』のほぼ全面展示。私は町田市立国際版画美術館の『楊洲周延』展で見て、大奥って女子校みたいで意外と楽しそう、と思った作品である。御台所や側室など、実在した女性たちに関係する多数出ていた。私は...2025年8月展覧会拾遺(2)
〇笠原十九司『南京事件新版』(岩波新書)岩波書店2025.7著者の旧版『南京事件』は1997年刊行だが、私は読んでいない。新版には新たな史料発見や研究の発展が取り込まれているが、旧版が日本軍史料を多用し「殺す側の論理・作戦」に従って叙述したのに対して、新版は、被害者である南京市民・難民の実態を、日記や証言から明らかにすることを重視したという。この説明を読んで、私は旧版も読んでみたくなった。記述は1937年7月7日の盧溝橋事件と日中戦争の勃発から始まる。8月、上海では現地海軍の謀略による大山事件をきっかけに、大規模な武力衝突(第二次上海事変)が起き、8月15日以降、首都南京への戦略爆撃が繰り返される(宣戦布告なし)。この時期の参謀本部は、石原莞爾をはじめとする不拡大派が主流で、南京攻略に反対していた。11月...戦後80年に読む/南京事件新版(笠原十九司)
〇全生庵『谷中圓朝まつり幽霊画展』(2023年8月1日~8月31日)今年も谷中の全生庵に幽霊画展を見に行ってきた。展示作品は、毎年おなじみのものも、入れ替わるものもある。毎年見ているのに、新しい発見をすることもある。高橋月庵『海上幽霊図』は、嵐の海の上に巨大な黒い影がぼんやり浮かんでいて、幽霊というより妖怪だなと思っていたのだが、よく見ると波間に多数の遭難者なのか、その亡霊なのか、形の定かでない人影が漂っていた。渡辺省亭『幽女図』、鏑木清方『幽霊図』など、顔を見せない女性の幽霊(?)は、恐ろしくも魅力的。鰭崎英朋『蚊帳の前の幽霊』は、いつもながら美人さんだと思う。飯島光峨『幽霊図』は、性別も分からないほど痩せこけて、薄い髪をざんばらにし、お歯黒をつけた歯をむき出しにする、凄まじい女性の幽霊なのだが、見てい...涼を求めて幽霊画/2025幽霊画展(全生庵)
〇根津美術館企画展『唐絵:中国絵画と日本中世の水墨画』(2025年7月19日~8月24日)日中間の交流は中世に入ると再び盛んとなり、院体画や水墨画の名品が日本にもたらされた。「唐絵」と呼ばれたこれらの作品は、足利将軍家をはじめとする武家の間で尊ばれ、やがてそれらに倣った和製の唐絵も多数制作されることとなる。館蔵コレクションの中から、中国画や日本中世の水墨画といった唐絵の名品をまとめて紹介する。冒頭には「『唐絵』の源流」と題して、伝・李安忠筆『鶉図』、伝・銭選筆『梨花小禽図』など華やかな作品が並んでいた。馬麟筆・理宗賛『夕陽山水図』も。理宗の文字はあまり巧くないなあと思う。伝・夏珪筆『風雨山水図』は、遠景の山も、傘を差した人物が渡ろうとする近景の橋も、ぼんやり墨がにじむような筆遣いで、雨中の景色なんだなあと...日本中世に根づく/唐絵(根津美術館)
毎日、暑いのでぐったりしている。職場は涼しいのだけれど、帰宅すると、もう何もする気力が起こらない感じ。気がつけば8月も終わるので、あれこれ行ったものから。■文化学園服飾博物館戦後80年企画『衣服が語る戦争』(2025年7月16日~9月20日)戦勝への期待の中で作られた着物、物資不足の節約生活の中で着られたもんぺや国民服、同時期の欧米のドレスやファッション誌を展示し、戦争が衣服や人々の生活に及ぼした影響を考える。いわゆる「戦争柄」の着物も出ていた。私が「戦争柄」の存在を知ったのは、2007年刊行・乾淑子さんの『図説・着物柄にみる戦争』である。そして、すっかり忘れていたが、2015年にも同館で『衣服が語る戦争』を見ている。戦争柄の着物は、主に子供に、特に晴着として用いられたと思っていたが、大人用の襦袢もあって...2025年8月展覧会拾遺
〇董成鵬監督『長安の荔枝(ライチ)』(グランドシネマサンシャイン池袋)先日、ドラマ版を見終わった『長安的荔枝』、実は映画版も作られていて、この夏、中国でヒットしたらしい。そして、なんと中国語字幕・英語字幕版(日本語字幕なし)が期間限定で日本で上映されるというので見てきた。中国語字幕で映画を見るのは初めての経験だが、ふだんからネットで中国ドラマを中国語字幕で見ているので特に問題はなかった。主人公・李善徳(董成鵬、監督と主演)は、大唐・長安の上林署に勤める下級役人。気の強い奥さん(楊冪)と幼い娘の幸せな家庭のためにコツコツ働き続ける日々。あるとき「嶺南からライチを輸送するライチ使」の勅命が下り、上林署の上司と同僚たちは、これを体よく李善徳に押しつける。ひとり嶺南・高州に下った李善徳は、ライチ園や胡人の商人・蘇...ドラマ版と見比べ/映画・長安のライチ
〇深川江戸資料館『お化けの棲家』(2025年8月15日~8月17日)写真を主にしたイベント報告が続く。「お化けの棲家」は、毎年お盆の3日間に行われる深川江戸資料館の夏の風物詩らしいが、私は初めて行ってみた。江戸末期の深川の町並みをリアルに再現した常設展示室は、いつもより暗めの照明。入口に用意された「お化けマップ」によると、全部で24体のお化けが隠れているという。たとえば大店の門口には傘お化け。川岸の柳の下には、女性ののっぺらぼう。米蔵を覗くと「蔵の大足」。あとで調べたら「本所七不思議」に、毎晩「足を洗え」という声とともに、天井から巨大な足が降りてくる話があるそうだ。迷惑な妖怪である。「稲生物怪録」にもなかったかしら?これは「五徳猫」。人がいない間に火吹竹を使って囲炉裏に火を起こす猫の妖怪だそうで、いいやつ...お化けの棲家2025(深川江戸資料館)と深川七不思議
富岡八幡宮の例祭「深川八幡祭り」、8月17日(日)は丸一日かけて「御本社二の宮神輿渡御」が行われた。二の宮神輿は重さ2トンを誇る日本最大級の神輿。本来、3年ごとに渡御が行われるが、2022年は新型コロナの影響下でトラックに載せた「御車渡御」巡行となった。担ぎ手による渡御は7年ぶりというから、前回は2018年である。2018年8月のブログを確認したら、私は2泊3日で北海道に遊びに出かけていたらしい。この日は朝7:00宮出と聞いていたので、早起きをして、7:00少し前には富岡八幡宮の門前(道路の反対側)に行った。7:00には打ち上げ花火(音だけ)が上る。例大祭のときは両車線とも通行止めになるが、二の宮渡御の場合は、八幡宮側の片側車線だけ封鎖されていた。まもなく、神輿が運び出される。宮出の担ぎ手は青地に鳩のマー...深川八幡祭り2025:二の宮神輿渡御
富岡八幡宮の例祭「深川八幡祭り」、8月16日(土)は夕方6時から石見神楽の公演があった。後半だけでいいかなと思ったので、6時半頃から出かけたら「塵輪(じんりん)」という演目を上演中だった。仲哀天皇(帯中津日子/たらしなかつひこ)とその臣下・高麻呂が、異国より日本に攻め来る数万騎の軍勢を迎え撃ち、塵輪という悪鬼(赤鬼・白鬼)を退治する。神2人鬼2人が速いテンポで激しく舞う、代表的な鬼舞だという。勇壮で楽しかった。次いで、おめでたい「恵比寿」。さらにヤマトタケルノミコトを主人公にした「東大和(ひがしやまと)」。東国平定のため、英雄ヤマトタケルがやってくると知った、駿河の兄ぎし・弟ぎしの兄弟は大弱り。何とか追い返す方法はないものかと賊首(うちのだんさん)に相談する。松明と刀を授かり、抵抗しようとするが、ヤマトタ...深川八幡祭り2025:石見神楽
富岡八幡宮の例祭「深川八幡祭り」、2025年は「二の宮神輿渡御」が行われる蔭祭りの年である。私は門前仲町で暮らし始めて9年目、毎年この時期はお盆休みを利用して旅行などに出かけていたのだが、今年は(あまりに暑すぎるので)遠出を止めて、地元のイベントを楽しむことにした。8月15日(金)は夜8時から、富岡八幡宮の境内でガムランの奉納があると聞いたので行ってみた。本殿・拝殿に続く参道が舞台、参道の左右(東西)が見物席になっており、参道の西側に演奏者席の一角が設けられている。時間になると、聞き覚えのあるガムランの演奏が始まり、すっかり南国の夜の雰囲気。拝殿の反対側、社務所の方角から、高張提灯を捧げ持つ法被姿の男衆に先導されて、獅子(聖獣)バロンが登場する。威風堂々、歩みを進め、拝殿の奥に消えていくバロン。次いで、こ...深川八幡祭り2025:ガムラン演奏と舞踊
〇柿沼陽平『古代中国の裏社会:伝説の任侠と路地裏の物語』(平凡社新書)平凡社2025.3『史記』遊侠列伝にも取り上げられた大侠・郭解(前漢時代、紀元前170年頃~)の生涯をたどりながら、古代中国の裏社会を多面的に描き出す。著者は、前著『古代中国の24時間』では、古代中国の「ふつうの人々」が、どこに住み、何時に起き、何を食べていたかを、よくできた再現ドラマのように詳述してくれたが、今度は「裏社会の人々」である。「プロローグ」は例によって小説仕立て。闇夜の晩、ひそかに貧民街を訪ねた県令は、ある男に殺しを依頼し、男は迷いもなく引き受ける――。謎の男の正体は郭解。『史記』によれば、許負という女性の人相見の外孫だという。字は翁伯(おやじ、おやぶん)。若い頃から殺人・刃傷沙汰のほか、強盗、ニセガネづくり、墓泥棒にかか...『史記』と任侠的心性/古代中国の裏社会(柿沼陽平)
〇塩出浩之『琉球処分:「沖縄問題」の原点』(中公新書)中央公論新社2025.6「琉球処分」とは、日中の両属国家だった琉球王国を日本が強制併合した過程をいう。これは本書のカバーの袖(折り返し)や帯に記載された説明であるが、著者は「まえがき」で、この簡潔な説明を導くまでの、いろいろな難しさを語って、本論に入っていく。はじめに前近代の琉球について。14世紀半ば、沖縄島には山北、中山、山南の3つの王権があり、それぞれが明に朝貢していた。1420年代に中山王が琉球を統一し、明は中山王権を琉球の統一王権として認めた。16世紀末に日本を統一した秀吉、次いで家康も島津氏を通じて琉球に服属を求め、1609年、島津氏は琉球に侵攻する。以後、琉球は、幕府・島津氏の支配を受けるようになるが、日本の一部になったわけではない。東アジ...日本支配への抵抗/琉球処分(塩出浩之)
〇観世能楽堂能狂言『日出処の天子』(2025年8月10日、17:30~)古典芸能の中で、能・狂言にはあまり縁がなく過ごしてきたのだが、今年は3月にアイスショー"nottesterrata"でMASAIボレロを見たのを皮切りに、4月に大阪で祝祭大狂言会を見て、6月に宝生会の能公演を見て、この日に至ることになった。ものすごい競争率だったチケットを獲得できたのは、ビギナーズラックだろうと思っている。GINZASIXビルの地下にある観世能楽堂に入るのは初めてで、銀座という土地柄にも不慣れなので、緊張しながら会場に赴いた。観客は9割5分くらいが女性で、年齢層はさまざま。私自身は原作が1980~84年に雑誌『LaLa』に連載されていた当時(1980~84年)の読者だが、もっとずっと若いお客さんもたくさん見かけた。舞台...あの頃の少女たち/能狂言・日出処の天子
三連休に続いて、今日と明日は勤め先の夏季休業でお休みをいただいている。この機に片付けたいと思っている個人的なタスクがいくつかあって、最重要の1つがブログの引越し作業である。長年、お世話になってきたgooブログサービスが、本年11月18日で終了することになった。新規投稿は10月1日までだというので、それまでに引越し先を決めなければならない。今のところ、はてなブログに移る予定。8月10日投稿分までのアーカイブデータを全てダウンロードして、引越し先にインポートする作業は、どうやら上手くいった模様。過去にいただいたコメントも移設できたようでホッとひといき。画像は移行継続中だが、大きな問題はなさそう。引越し先は、追ってお知らせします。gooブログ引越し作業中
〇『長安的荔枝』全35集(騰訊視頻他、2025年)ヒットメーカーの馬伯庸原作。しかも2019年にドラマ化された『長安十二時辰』と同じ曹盾監督にして雷佳音主演と聞いていたので楽しみにしていた。『長安十二時辰』とはずいぶんテイストの異なる仕上がりだったが、満足している。唐の天宝13年(754)春、玄宗皇帝は政治に倦み、楊貴妃を寵愛していた(翌年には安禄山の乱が起きる)。6月1日の楊貴妃の誕生日の祝宴に合わせ、嶺南産の荔枝(ライチ)を取り寄せるようにという勅命が下る。嶺南と長安の間は五千里、どう急いでも10日以上かかる。ライチは腐りやすく、3日と持たない。宮廷の園林を管轄し、野菜や果物を育てる上林署の役人たちは大弱り。日頃から煙たく思っていた李善徳にこの難題を押し付けてしまう。李善徳は妻を亡くし、幼い娘の袖児と...権力の都を離れて/中華ドラマ『長安的荔枝』
〇新潮劇院京劇公演『穆桂英洪州の戦い』(成城ホール、2025年8月9日18:00~)久しぶりに京劇のナマの舞台を見てきた。最近、映画『さらば、わが愛』を見直したり、中国の古装ドラマ『蔵海伝』を見たりで、京劇への憧れが募っていたところ、この公演の情報を得たので、さっそく申し込んだのである。会場となった成城ホールは定員397名とのことだが、チケットは完売だった。京劇って、そんなにファンがいたのかと思うと嬉しい。演目『穆桂英洪州の戦い』は『楊家将演義』の一部。冒頭に加藤徹先生のスライドレクチャーがあり、加藤先生によれば、主人公の穆桂英は、今でいえば男顔負けのバリキャリ、かつ、愛されるよりは、自分が愛した男性のために突っ走る(今の中国人女性にもありがちな)タイプ。しかし国家の正義と家庭の正義の矛盾に苦しめられる。...武将一家の嫁として/京劇・穆桂英、洪州の戦い(新潮劇院)
〇東北歴史博物館夏季特別展『世界遺産縄文』(2025年7月12日~9月15日)金曜に仕事で仙台に出張したので、自費で1泊付け加えて、この展覧会を見てきた。チラシの謳い文句は「遮光器土偶が見ていた世界」。2021年に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の出土品や、東北の縄文文化圏の象徴である「遮光器土偶」、さらに「国宝土偶」などを通して、世界に認められた縄文文化と1万年以上も続いた持続可能な社会とはどのようなものであったのか、「北の縄文人」のすがた、暮らしを紹介する。私は、近年、縄文時代に関心を向けているが、その一方、「縄文」を語る本や展覧会には警戒してしまう。ときどき、縄文時代をパラダイスみたいに捉えた誇大妄想に出会うからである。しかし、幸い、本展にはそうした要素は感じられなかった。はじ...郷土のむかしむかし/世界遺産縄文(東北歴史博物館)
金曜は仕事で仙台出張だったので、自費で1泊付け足して、土曜日は東北歴史博物館を訪ねた。前回と同じで、開館時間の少し前に国府多賀城駅に着いたので、まず多賀城碑(壺の碑)と多賀城政庁跡を見てきた。前回というのは2023年、FaOI(ファンタジー・オン・アイス)2023宮城公演のついでに寄ったのである。当時、多賀城創建から1300年を迎える2024年の完成を目指して南門(楼門)復元が行われていたので、どうなったのか、工事の成果を確かめに来た。完成した南門には、駐車場とガイダンス施設の横から正面に出られるのだが、そこを通りすぎるとアプローチがなくて、ぐるりと北側に回ってしまった。壺の碑の覆屋越しに、南門の北側が「見える。門を潜り抜けて、南側に出たところ。ちょうど、大きなゴールデンレトリバーを連れたご夫婦が南側から...復元・多賀城南門を訪ねる
■太田記念美術館『鰭崎英朋』(2025年5月31日~7月21日)月岡芳年の孫弟子であり、明治末から昭和にかけて、小説の単行本や雑誌の口絵に美しい女性たちを描いた鰭崎英朋(1880-1968)の作品を展示する。木版画、石版画、オフセット印刷など、さまざまな印刷技術も見どころ。私のブログにこのひとの名前が登場するのは、2016年の全生庵の幽霊画展が最初で、2020年に弥生美術館の展示を見て、しっかり覚えた。展示作品は、明治の小説や雑誌の口絵や表紙がほとんど。作者名は泉鏡花や柳川春葉、後藤宙外など、読んではいないけど文学史で習ったので、なんとなく懐かしい感じがする。そして英朋の描く女性の、苦しそうに寄せた眉根、自然とため息が漏れそうな口元は、文句なく色っぽい。■府中市美術館『橋口五葉のデザイン世界』(2025年...2025年7月展覧会拾遺
■藤田美術館『酔』(2025年7月1日~9月30日)『雨』(2025年6月1日~8月31日)『鳥』(2025年5月1日~7月31日)「酔」には菱川師宣筆『大江山酒吞童子絵巻』あり。全体にパステルカラー系の色合い。鬼たちも頼光一行も、あまり強そうでない。『饕餮禽獣文兕觥(とうてつきんじゅうもんじこう)』という古代中国の青銅器の酒器が出ていて、学芸員の方が「これから直接飲んだわけではありません」と説明していたが、そりゃそうだろと思った。「雨」に出ていた『伊賀青蛙形手焙』(初公開)は可愛かった。「鳥」に出ていた『ゴブラン色糸毛織山水人物図』には、画面上部に端午の節句の薬玉みたいに植物を束ねて丸くしたものが描かれていて、興味深かった。■大阪歴史博物館特別展『正倉院THESHOW-感じる。いま、ここにある奇跡-』(...2025年7月関西旅行:藤田美術館、大阪歴史博物館など
門前仲町の深川伊勢屋で、この夏初のかき氷(イチゴ、練乳添え)+ソフトクリームトッピングをいただく。昨年よりソフトクリームの盛りがよくなったように思ったのは気のせいかな。例年、かき氷を食べたあとは、身体の中からクールダウンされる感覚があったのだが、今日は店の外に出るとすぐ、暑さが戻ってきてしまった。今年の暑さは異常。見たもの・読んだものも溜まっているのだが、部屋に帰ると、冷房を入れてぐったり、ぼんやりしている。困ったものだ。門前仲町グルメ散歩:2025夏・初かき氷
2025年7月関西旅行:日本美術の鉱脈展(大阪中之島美術館)
〇大阪中之島美術館『日本美術の鉱脈展:未来の国宝を探せ!』(2025年6月21日~8月31日)縄文から近現代まで、日本美術のいまだ知られざる鉱脈を掘り起こし、美しい宝石として今後の日本美術史に定着していくことを目標とする展覧会。山下裕二先生の監修である。冒頭は蕭白の『柳下鬼女図屏風』で、蘆雪、若冲など「奇想の画家」の作品が並ぶ。いきなり伝・岩佐又兵衛筆『妖怪退治図屏風』があって、しかも撮影可なのに歓喜。この展覧会、けっこう写真の撮れるものが多かった。若冲は『乗興舟』も(今年はすでに3回くらい見ているが、何度も見ても好き)。次のコーナーには、なんだかカラフルで巨大な屏風(八曲一双)があってびっくりしながら近づいたら、若冲『釈迦十六羅漢図屏風』のデジタル推定復元作品だという。昭和8年(1933)に府立大阪博物...2025年7月関西旅行:日本美術の鉱脈展(大阪中之島美術館)
〇国立文楽劇場令和7年夏休み文楽特別公演第3部・サマーレイトショーWelcometoBUNRAKU!(2025年7月19日、18:15~)三連休は土日1吐泊だけ関西で遊んできた。目的の一つは夏休み文楽公演。あまり考えずに第3部を選んだら、外国人向け特別企画で、いつもの日本語字幕の代わりに英語字幕が表示される公演だった。お客さんは日本人と外国人が半々か、やや日本人が多いくらい。制服姿の高校生(たぶん)グループが前方左右のブロックを占めていた。幕が開くと、徳田久さん(プログラムの表記は有限会社アートリンガル)が登場して、文楽および今日の演目について英語で紹介。さらにスペシャル企画で、オンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」から生まれた刀剣男士・小狐丸が文楽人形となって舞台に登場する。動画・写真撮影OKのフォト...夏は納涼血みどろホラー/文楽・伊勢音頭恋寝刃ほか
本郷三丁目で友人たちと会うことになり、夕食に選んだのが、マレーシア料理のTheKopitiamHongo(ザ・コピティアム・ホンゴウ)。駅前を少し離れた住宅街の小さなレストランだが、さまざまな言葉を話すお客さんでにぎわっていた。コースメニューの最後に出てきたのが、看板メニューの1つ、カリーラクサ。辛くて美味しい。帰宅してから見つけた『さんたつ(散歩の達人)』の記事:本郷三丁目で絶品!海南鶏飯のランチ。『TheKopitiamHongo』でマレーシアの家庭の味を楽しもういつかランチも行ってみたい。本郷三丁目でマレーシア家庭料理
■上野の森美術館『五大浮世絵師展-歌麿、写楽、北斎、広重、国芳』(2025年5月27日~7月6日)大河ドラマ『べらぼう』の影響か、今年は浮世絵展が大流行りである。私は東京近郊の展覧会は全て見に行こうと決めている。この展覧会は、閉幕1週間前に出かけたら、ものすごい行列だったので、閉幕直前の土曜日に出直した。10時開館だったので、1時間は並ぶつもりで9時近くに到着したら、なんとすぐに開館して中に入れてくれた。館内は、五大浮世絵師のセクションがそれぞれ区切られている。最初の歌麿、写楽はもう観客でいっぱいだったので、先に北斎を見て、写楽に戻り、歌麿はお客さんの頭越しに眺め、2階に上がって、広重、国芳を見た。分量的には、歌麿、写楽は少なめ。絵師ごとにテーマカラーが決められているのが面白かった。歌麿:茶色、写楽:ピン...浮世絵見て歩き/上野の森、千葉市美、慶応義塾
〇山種美術館特別展・生誕150周年記念『上村松園と麗しき女性たち』(2025年5月17日~7月27日)2025年、上村松園(1875-1949)が誕生して150年を迎えることを記念し、数々の名品を取り揃えてその画業をたどるとともに、松園と同時代の画家から現在活躍中の若手作家にいたるまで、女性の姿を描いた作品を紹介する特別展。むかしは日本画の美人画というのは、何がよいのか分からなくて敬遠していたのだが、最近少し親しみを感じるようになってきた。松園には『蛍』『新蛍』『夕べ』など、蚊帳や簾を効果的に用いた美人画があり、美人画の先達である歌麿をしっかり学んでいることを感じさせる。しかし同時に松園は「近松式でもなく歌麿式でもなく」崇高で森厳とした女性美を描きたいと言っている。見ている人に邪念を起こさせない、邪な心も...さまざまな美女/上村松園と麗しき女性たち(山種美術館)
○三井記念美術館美術の遊びとこころIX『花と鳥』(2025年7月1日~9月7日)この「美術と遊びとこころ」というシリーズ、私のメモでは2013年のVI(第6回)まで遡ってしまうのだが、最近も使われていたのかな。気づいていなかった。第9弾の今回のテーマは花と鳥で、絵画・茶道具・工芸品など美術の中の花と鳥が織りなす多彩な表現や奥深い美の世界を紹介する。ときどき、選りすぐりの名品展には出てこないような珍しい作品が混じっていて、面白かった。展示室1は「花」から。冒頭の『政治浮牡丹文不遊環耳付花入』(南宋~元時代)は、時代から見て名品のひとつだろうけれど、仏前が似合いそうながっちりした形式ではなく、丸く膨らんだ胴が優雅。仏器でない日常の調度品として使われたのだろうか。仁清作『色絵蓬菖蒲文茶碗』に菖蒲の花はなく、長く...自然観察と書画工芸/花と鳥(三井記念美術館)
〇泉屋博古館東京企画展『死と再生の物語(ナラティヴ)-中国古代の神話とデザイン』(2025年6月7日~7月27日)京都の泉屋博古館所蔵の青銅鏡の名品を中心として、中国古代の洗練されたデザイン感覚、その背景となった神話や世界観を紹介する企画展。「動物/植物」「天文」「七夕」「神仙への憧れ」という4つの観点から、デザインの背景を読み解き、日本美術に与えた影響についても紹介する。京都の泉屋博古館が世界有数の青銅器コレクションを所蔵していることはよく知っている。先月、リニューアル開館した京都の本館を訪ねて、刷新された青銅器館(展示ケースや内装を新調)を見てきたばかりである。いま、京都では『ブロンズギャラリー中国青銅器の時代』(2025年4月26日~8月17日)を開催中なので、ん?東京でも青銅器展で大丈夫なのかな?...青銅器と青銅鏡の宇宙/死と再生の物語(泉屋博古館東京)
〇『蔵海伝』全40集(優酷、2025年)人気俳優・肖戦(シャオ・ジャン)主演の復讐古装劇ということで注目を集めていたドラマだが、私はあまり感心しなかった。舞台は架空の王朝・大雍(雰囲気は明代)。欽天監監正・蒯鐸の幼い息子・稚奴は、ある晩、辺境に派遣されていたはずの父親が、突然帰宅したことを知る。蒯鐸は妻と子供たちを集めて、ともに旅立とうとするが、武装した一団に踏み込まれ、一家は殺害される。ただ地下室に隠れていた稚奴だけが生き残り、仮面の人物・恩公に助けられる。稚奴は都を離れた土地でさまざまな教育を受けて育つ。10年後、青年となった稚奴は蔵海という名前を得て、師父のひとり高明とともに、両親の仇である平津侯・荘蘆隠を討つために都に戻ってくる。蔵海は風水や土木・木工の知識で平津侯に気に入られ、その食客となる。平...育てられた復讐者/中華ドラマ『蔵海伝』
〇新関公子『東京美術学校物語:国粋と国際のはざまに揺れて』(岩波新書)岩波書店2025.3東京美術学校(東京芸術大学の前身)は、1887(明治20)年10月に創立が決定し、明治22(1889)年2月に最初の学生を受け入れた。芸大では明治20年を起点に創立何周年を数えることが習慣になっているそうだ。私はもともと日本の近代化をめぐるゴタゴタ話が好きなのだが、本書「まえがき」で、著者が2002年から2008年まで芸大美術館教授として数々の展覧会に携わってきたこと、その際『東京大学百年史』のお世話になったこと、この書籍が、実際は吉田千鶴子という女性がほぼひとりで編集著述した労作であることなどを知って、冒頭からブーストがかかった状態で読み進んだ。1876(明治9)年、唐突に工部美術学校が設置される。工部卿の伊藤博文...美術の近代を目指して/東京美術学校物語(新関公子)
〇五島美術館平安書道研究会900回記念特別展『極上の仮名王朝貴族の教養と美意識』(2025年6月25日~8月3日)あ、次の展覧会は古筆ね、というくらいの軽い気持ちで見に行ったら、とんでもない特別展だった。仮名関係の展示は前後期併せて106件、そのうち70件以上が書芸文化院の所蔵なのである。今日はちょうど平安書道研究会が美術館の講堂で行われる日で、朝からプロ級に熱心な参観者で展示室が埋まっていた。混雑していた冒頭を避けて、目についた作品に近寄ってみた。濃い青と薄い青の料紙を継いだ『関戸本和漢朗詠集切』で、高野切第2種と同筆、源兼行説が有力と説明されていた。かなり横長の大きめの断簡で、漢詩が幅の3分の2、和歌が3分の1程度を占める。色付きの料紙なので墨の線がはっきり見えて、連綿の美しさがよくわかるような気がし...比べて味わう高野切/極上の仮名(五島美術館)
先週末、上野の森美術館の『五大浮世絵師展』を目指して上野に行ったら、開館前からものすごい行列だったので、予定を変更して東博に足を向けた。■東京国立博物館・東洋館8室(中国の絵画)橋本コレクション受贈記念『明代文人文化の華やぎ』(2025年6月3日~7月13日)橋本コレクションは、橋本末吉氏(1902-1991)の蒐集した中国書画コレクションである。東博は、2023年にも同コレクションから明代絵画の優品15件の寄贈を受け、翌年『明時代の宮廷画家と浙派』(2024年7月17日~8月18日)の展示をおこなっているが、2024年、再び明代絵画38件の寄贈を受けたことを記念し、寄贈作品を中心に、明代の文人文化の魅力を紹介する。小品あり大作あり、どれも楽しいのだが、これは見上げるような巨幅。いつものピクチャーレールの...常設展の楽しみ/明代文人文化の華やぎ(東博)他
5月の連休頃、2021年2月から使っていたノートパソコンが、とうとう起動しなくなってしまった。実は何度か同じ事象が起きたり、一部のキーが効かなくなったりしていたのを、だましだまし使っていたが、さすがにあきらめて新しい機種を購入した。ASUSが二代続いたが、今回はThinkPad。職場で支給されているのがThinkPadX1で、キーボードが打ちやすくて気に入ったのである。価格帯はやや下げた。見た目はごついが軽量級で、家庭用に適している。ついでに、電気スタンドも壊れてしまったので、安物を購入した。これは先週の窓の外。私の家側の護岸工事が終わったと思ったら、対岸の工事が始まったようだ。対岸も桜並木なのだが、来年のサクラの季節までに終わるかしら。2025パソコン買い換え+大横川工事風景
■すみだ北斎美術館企画展『北斎×プロデューサーズ蔦屋重三郎から現代まで』(2025年3月18日〜5月25日)大河ドラマ『べらぼう』人気を当て込んでか、今年は浮世絵や江戸文化をテーマにした展覧会が多い。私は、もともと浮世絵にあまり関心はないのだが、今年だけはぜんぶ見てやろう!とひそかに決めている。本展は、江戸のメディア王と評され、北斎の才能に早くから目をつけていた蔦屋重三郎をはじめ、浮世絵師と版元の関係を取り上げる。蔦屋重三郎には、初代没後に婿養子になって店を継いだ二代目がいたことを詳しく知る。北斎とのかかわりは二代目のほうが強いそうだ。ドラマでおなじみ、鶴屋、西村屋も詳しく紹介されていた。■東京都立中央図書館企画展示『情報、江戸を駆ける!蔦屋重三郎が生きた時代の出版文化』(2025年1月24日~5月25日...2025年5-6月展覧会拾遺
〇陳凱歌監督『さらば、わが愛/覇王別姫』(Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下)映画『国宝』ブームの影響か否か知らないが、『さらば、わが愛/覇王別姫』の再上映があると聞いて、慌ててチケットを取って見て来た。私は1994年の日本初上映、2007年の特集上映「中国映画の全貌」でも見ているので三度目になる。同じ映画を三度も劇場で見たことは、この作品しかない。冒頭、無人の劇場(体育館みたいな無機質な空間)に、項羽と虞姫の扮装をした二人が稽古のために入ってくる。照明係の老人(たぶん)の声が「四人組がいなくなって、ずいぶんよくなった」と語りかけ、これが文化大革命終結後の場面であることを伝える。それから、物語は過去へ。1924年の北京、女郎の私生児である小豆子(字幕では小豆)は、母親によって京劇の劇団に預けられる。実質...歳を重ねて見えるもの/映画・さらば、わが愛覇王別姫
〇須田努『幕末社会』(岩波新書)岩波書店2022.1幕末、すなわち西暦でいうと19世紀前半の日本社会について、まず前提となる江戸時代の社会枠組みを確認したのち、「天保期(1830-1844)」「弘化から安政期(1845-1860)」「万延から文久期(1860-1864)」「元治から慶応期(1864-1868)」の順に語っていく。このように時代を小さく刻んだ解説は初めてで、ちょっと面白かった。江戸時代、治者となった武士は平和をつくり出し、百姓の生命と家の存続を保障する役割を担った(仁政)。また武士は武力を独占したが、これを行使するのではなく畏怖させることで民衆を支配した(武威)。この考え方は元禄期頃から浄瑠璃や歌舞伎を通じて民衆に共有され、社会の安定を生んでいたが、幕末には揺らぎ始める。享保期(18世紀前半...在地に生きた人々の記録/幕末社会(須田努)
〇根津美術館企画展『はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-』(2025年5月31日~7月6日)「はじめての古美術鑑賞」シリーズ。2019年の「絵画のテーマ」以来の開催という認識で合っているだろうか?それにしても「写経と墨蹟」って渋すぎるだろ!と思いながら見に行った。開催趣旨では「確かに、その内容は決して易しくありません」と認めつつ、「一点一点を丁寧にみてゆくと、どこかに『推せる』ポイントが見つかるのではないでしょうか」と述べる。展示室の前半は写経。冒頭は、我が国最古の大般若経『和銅経』で「写経は1行17文字が基本です」という基本情報から教えてくれる。『和銅経』が標準的な料紙を使用しているのに対して、次の『神亀経(大般若経)』は、通常の3~4紙に相当する「長麻紙」を用いている。へえ~知らなかった。『聖武天皇勅願...「推し」は天平写経と元代墨蹟/写経と墨蹟(根津美術館)
〇宝生能楽堂六月宝生会定期公演・午後の部(6月21日、15:30~)3月に野村萬斎さんの「MANSAIボレロ」を見て以来、能狂言への関心が高まっている。さらに先日、サントリー美術館の展覧会『酒呑童子ビギンズ』を見て、「酒呑童子絵巻」と影響関係のある演目「大江山」を、ぜひ見てみたいと思うようになった。試しに検索してみたら、この宝生会定期公演で「大江山」が掛かることを発見した。迷った末に前日の金曜日、オンラインでチケットを取って、行ってみることにした。私の母は狂言が好きで、その影響で私も中学生~大学生くらいまで、ときどき狂言を見に行っていた。しかし能はほとんど見たことがない。当日まで「人生初」だと思っていたが、ブログを検索したら、2008年に奈良の興福寺で薪能を見ていた。しかしこれは旅先のついでで、能公演その...能公演を初鑑賞/大江山ほか(宝生能楽堂)
〇李双日監督『国宝』(TOHOシネマズ日本橋)原作は全く知らなかったが、出演者もいいし、題材にも興味があるので、公開されたら必ず見に行こうと決めていた。そして比較的早めに見に行ったのだが、作品の重量に圧倒されて、なかなか感想をまとめられなかった。物語の始まりは1964年(これはネットで調べた)、上方の歌舞伎役者の花井半二郎は、興行先の長崎で、地域の顔役・立花組の宴会に顔を出し、座興の舞台に立った女形の少年に魅了される。少年・喜久雄は立花組の組長の息子だった。しかし、その日、武装した敵対勢力の襲撃を受けて喜久雄の父親は命を落とす。天涯孤独となった喜久雄は父親の仇を討とうとするが失敗。半二郎は喜久雄を引き取り、部屋子として育てることに決める。半二郎には喜久雄と同い年の息子・俊介がいた。二人は競い合いながら成長...恋の手本となりにけり/映画・国宝
先週は職場がイベントウイークで、落ち着いた時間が全く取れなかった。年寄りをあまり働かせないでもらいたい。。。さて、私のマンションの窓の下を通る大横川岸の遊歩道は、護岸工事のため、昨年夏頃からずっと通行止めだった。サクラの季節に一時的に立ち入りが許可されたが、サクラが終わると、また通行止めになっていた。それが、最近ようやく完全解除されたようである。嬉しかったのは、遊歩道の入口に、新たなサクラ(?)が植樹されたこと。奥に続くのが、ピンク色のソメイヨシノの桜並木であるのに対して、この位置には、真っ白な花をつける別種の桜の木があったのだ。品種が受け継がれているかは、来春にならないと分からない。受け継がれているといいな。かつての大木とは比べようもない若木だが、育っていくのを見守りたい。なお、川面には相変わらず工事船...大横川岸遊歩道のサクラ
〇荏原畠山美術館開館記念展III(急)『花ひらく茶と庭園文化-即翁と、二万坪松平不昧夢の茶苑』(2025年4月12日~6月15日)リニューアル開館記念展の第3部は、畠山即翁をはじめ、近代茶人の憧れの存在だった大名茶人・松平不昧の茶の湯と庭園づくりに着目する。第1展示室、この日は曇り空で室内が暗かったので、天井の金の波模様が目立って美しかった。『古瀬戸肩衝茶入(銘:円乗坊)』は、不昧にも評価された大名物。円筒形の無骨な姿だが、本能寺の変で被災したという由緒に心惹かれる。即翁の茶道具コレクションは、全体にシンプルで自然志向で好き。特に模様も色変わりもない『備前八角水差』や無文で筒形の『東陽坊釜』(辻与次郎作)も気に入った。不昧公遺愛の品だという『唐物籐組茶籠』は、女性持ちの巾着袋くらいの小さなバスケットで、ち...不昧公との縁/花ひらく茶と庭園文化(荏原畠山美術館)
暴力と差別の由来/イスラエルについて知っておきたい30のこと(早尾貴紀)
〇早尾貴紀『イスラエルについて知っておきたい30のこと』平凡社2025.2パレスチナ・ガザ地区の状況は、断片的なニュースから推測しても本当に惨いらしい。しかし私はイスラエル・パレスチナ問題について、きちんと思考できるほどの知識がないので、一から勉強するつもりで読んでみた。本書は30の疑問と回答を通じて、十字軍とレコンキスタから今日に至るユダヤ人の歴史が分かるようになっている。十字軍は、イスラーム統治下のエルサレムを奪回するための運動だったが、ヨーロッパでは、イスラーム教徒だけでなくユダヤ教徒への攻撃・迫害も強まった。1492年、グラナダが陥落し、レコンキスタが完成する。直後にスペインでは、ユダヤ教徒にキリスト教への改宗を迫る追放令が出された。同年8月に出港したコロンブス船団の乗組員の大半は、改宗と追放を逃...暴力と差別の由来/イスラエルについて知っておきたい30のこと(早尾貴紀)
〇『異人之下』全27集(優酷、2023年)見たい新作ドラマが途切れていたので、2023年公開で気になっていた本作を見てみた。原作は『一人之下』というウェブ漫画で、2018年には日中合作のアニメにもなっているらしい。へえ、全く知らなかった。ストーリーは、漫画原作らしく速いテンポでどんどん進む。平凡な大学生の張楚嵐は、ただ一人の家族だった祖父を幼い頃に失っていた。祖父の張懐義は、常人にない能力を持つ「異人(アウトサイダー)」の一人で、張楚嵐はその能力を受け継ぐとともに、成長するまで封印することを言い渡されていた。大人になった張楚嵐は、異人の一味に次々に襲われ、祖父から受け継いだ「炁体源流」の秘術を解禁する。この世界には、多くの異人が存在じており、いくつかの勢力グループがあった。張楚嵐を助けてくれたのは、表向き...マンガ原作の武侠SF/中華ドラマ『異人之下』
■MIHOミュージアム春季特別展『うつくしきかな-平安の美と王朝文化へのあこがれ-』(2025年3月15日~6月8日)先週末の関西旅行の記録、ようやく最終日に到達である。日曜は朝イチ、石山駅から路線バスに乗ってMIHOミュージアムに向かった。本展は、古筆をはじめ、工芸品や仏教美術、琳派の源氏物語図屏風、歌仙絵など、貴族文化の誕生から桃山初期に興る王朝文化への憧れがこめられた作品を織り交ぜて展観する。冒頭は二月堂焼経、賢愚経断簡(大聖武)などの古経と小さな誕生仏(飛鳥時代)、迦楼羅の伎楽面(奈良時代)など、大陸文化の香り高い「王朝前史」から始まる。そして王朝文化のあゆみが始まるのだが、『宝相華鳳凰文平胡籙』は初めて見たような気がする。ニワトリのような鳳凰が2羽ずつ対面で4羽、螺鈿で描かれている。宝相華には青...2025年5月関西旅行:MIHOミュージアム、細見美術館
〇国立文楽劇場令和7年5月特別企画公演・第29回特別企画公演『悠久なる雅楽-天王寺楽所の楽統』(2025年5月31日、14:00~)先週末、関西旅行2日目の続き。土曜の午後は、奈良から大阪に移動して、雅楽公演を見た。開場してすぐ2階に上がると、ロビーに長い列ができていた。なんだろう?と思って「最後尾」の札を持っているお姉さんに聞いたら、ステージ見学の列だという。「申し込んでいないんですけど…」と躊躇していたら「どうぞ、どうぞ」と並ばせてくれた。しかし私から数人後ろのお客さんで「終了」になってしまったので、運がよかったというべきかもしれない。ステージ上には、朱塗の高欄で囲われた四角い舞台がしつらえてあり、舞台上には鞨鼓や鼓、琵琶や筝などの楽器が展示されていた。また舞台後方には、楽人・舞人の衣装も並んでいた(...2025年5月関西旅行:悠久なる雅楽(国立文楽劇場)
2025年5月関西旅行:龍谷ミュージアム、京都文化博物館など
■龍谷ミュージアム春季企画展『大谷探検隊吉川小一郎-探究と忍耐その人間像に迫る-』(2025年4月19日~6月22日)関西旅行初日に訪ねた展覧会をあと2つ。明治時代後期、大谷探検隊の隊員として中国や中央アジアに赴いた吉川小一郎(よしかわこいちろう、1885-1978)の人間像に迫る。大谷探検隊が将来し、龍谷大学図書館に入った西域の文物や古文書、吉川家が所蔵する写真帖や現地から送られた書簡などが展示されていた。加えて、吉川が16歳で、同い年の大谷尊重(光明。光瑞の弟)の「相談役」になったというのが、ちょっと庶民には窺い知ることのできない世界で、興味深かった。■京都文化博物館特別展『和食〜日本の自然、人々の知恵〜』(2025年4月26日~7月6日)科博での開催を見逃していたので、巡回先の京都で見ることにした。...2025年5月関西旅行:龍谷ミュージアム、京都文化博物館など
2025年5月関西旅行:帰ってきた泉屋博古館(リニューアル)
〇泉屋博古館リニューアル記念名品展I『帰ってきた泉屋博古館いにしえの至宝たち』(2025年4月26日~6月8日)関西旅行初日。京博のあとは、見たかった展覧会を順番に訪ねた。まずは1年の改修工事を経て再開した同館へ。建物へのアプローチがちょっときれいになった感じがした。玄関を入ると、新しいチケット売り場のカウンターができ、グッズ売り場が広くなるなど、細やかな改修が施されている。しかし基本構造は変わっていないのかな、と思いながら、企画展示室のある2号館に向かったら「←(左向きの矢印)」が表示されていて戸惑った。今まで企画展示室の入口は右手の奥だったのだ。左手に進むと、遮光性の高い黒い扉が開いて、初めて見る空間が現れた。なるほど、以前の展示室の突き当りに(狭いながらも)新しい展示室を設けたわけだ。冒頭には能面の...2025年5月関西旅行:帰ってきた泉屋博古館(リニューアル)
〇京都国立博物館大阪・関西万博開催記念・特別展『日本、美のるつぼ-異文化交流の軌跡-』(2025年4月19日~6月15日)5月最後の金曜に年休を取って、2泊3日で関西で遊んできた。最大の目的はこの展覧会、「大阪・関西万博開催記念」の3企画のうち、最後に残していた展示である。10:30頃に京博に到着して、入場待ちの列がないことにほっとする。会場内は、まあまあ我慢できる程度の混み具合だった。最初の展示室に入ったとたん、名前を呼ばれて振り向いたら、三重県在住の友人だった。お互い仕事持ちなので「金曜に、なんでいるの」と笑い合ってしまった。展示は、開催中の大阪万博に敬意を表して(?)明治政府が当時、欧米各地で開催された万博に出品した美術品から始まる。この場合、やっぱり薩摩焼だよね。そして江之島を描いた蒔絵額。「世界...2025年5月関西旅行:美のるつぼ(京都国立博物館)
〇東京建築祭2025(2025年5月24日~25日)そういえば、昨年、初めて東京建築祭に参加したのは今頃だったなと思い出して検索してみたら、今年も開催されることが分かって大喜びした。今年は5月17~18日の週末から特別公開が始まっていたが、17日は大雨だったこともあって、私は先週末の土日で、見たいところを見てきた。24日(土)は慶応大学へ。図書館旧館と演説館が公開されていた。ぼんやりした気持ちで見学に来たのだが、階段踊り場のステンドグラスを見て、あ、ここには来たことがある、というのを思い出した。斯道文庫の展示会を見に来たのである。ブログ内で検索したら、2010年のことだった。たぶん、かつて展示会場だったスペースには「福澤諭吉記念慶應義塾史展示館」の常設展示が入っていた。福沢先生に関する展示がとても面白かっ...東京建築祭2025:慶応大学、旧近衛師団司令部庁舎、他
〇岡本隆司『二十四史:『史記』に始まる中国の正史』(中公新書)中央公論新社2025.4「二十四史」とは、中国の史書の系列(シリーズ)の総称である。おおむね歴代王朝を単位(ユニット)にして編纂を重ねた書物群で、合計24部が「正史」と見做されている。ということくらいは知っていたが、あらためて24部の書名の一覧表を見て、半分くらいは、へえ、こんな史書があったのか、と驚いてしまった。本書は、これら「正史」の成立を時代順に追いながら、中国における「史学」の起源と発展を考える。はじめに紀伝体を生み出した『史記』。列伝は司馬遷の独創であったけれど、主たる叙述の対象とした「春秋戦国」の時代は、生まれに依らず、一個人の才覚のみで功名を立てることができた時代だった。逆にいえば、個人の事蹟を書くことで社会のありようを書くことが...史書への向き合い方/二十四史(岡本隆司)
代々木上原のモスク「東京ジャーミー」のイベント「パレスチナデイ・チャリティーバザー」に行ってきた(昨年までは「パレスチナデー」だったので、表記がちょっと変わった)。午前中に行ったせいかもしれないが、1階(室内)のお店は食べ物は少なめ。小物やアクセサリーが中心だった。ハンドメイドのポシェットが可愛かったので買ってしまった。携帯電話だけ身に着けておきたいときに使えそう。バンドはもう少し長いとうれしいので付け替えるかもしれない。これで1,100円って、材料費だけの値段じゃないかな。2階のバルコニーのフードマーケットは今回も楽しかった。早めのランチに選んだのは、ハワウシというエジプトのファーストフード。薄いパンに、ひき肉と玉ねぎを挟んで、アツアツに焼き上げる。香辛料が効いていて、羊肉?と思ったら牛肉だった。ココナ...2025年5月パレスチナデイ@東京ジャーミー
〇静嘉堂文庫美術館『黒の奇跡・曜変天目の秘密』(2025年4月5日~6月22日)工芸の黒い色彩をテーマとして、刀剣や鉄鐔など「黒鉄」とよばれる鉄の工芸品や「漆黒」の漆芸品を紹介するととも、中国と日本の黒いやきものの歴史をたどり、東洋陶磁の至宝、曜変天目が秘めるさまざまな謎と秘密にせまる。はじめに「天目のいろいろ」から。天目茶碗は、中国の天目山(浙江省)一帯の寺院において用いられた天目山産の茶道具で、天目釉と呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた陶器製の茶碗のこと(Wiki)。例外もあるが、基本的には黒っぽい。展示室の壁には、室町時代の『君台観左右帳記』による評価の文言が引用されていた。「天目」は「常のごとし」で、ほとんど評価の対象になっていない。続けて「灰被(はいかつぎ)を上とする也。上には御用なき物にて候間、不及...唯一無二の茶碗/黒の奇跡・曜変天目の秘密(静嘉堂文庫)
〇三井記念美術館『国宝の名刀と甲冑・武者絵、特集展示三井家の五月人形』(2025年4月12日~6月15日)国宝の短刀2点『名物日向正宗』と『名物徳善院貞宗』をはじめ、重要文化財7点を含む刀剣、および蒔絵の拵などを一挙に公開する。と聞いても、私はあまり刀剣に興味がないので、今回の展覧会は行かなくてもいいかな、くらいに考えていた。しかし武者絵やら五月人形やら、いろいろまとめて出ているらしいと分かったので、見に行った。展示室1~2は刀剣と刀装具。5振出ていた刀剣は、すべて短刀だった。国宝の短刀『日向正宗』は、飾りもなく反りもなく、金属そのものを投げ出したような造りで、かえってその無機質な美しさに引き付けられた。スケート靴のブレードを連想した。象彦製『宇治川先陣蒔絵硯箱』(深い)と『宇治川先陣蒔絵両紙箱』(やや浅...武士のイメージ/国宝の名刀と甲冑・武者絵(三井記念美術館)
絵巻と能の異類退治物語/酒呑童子ビギンズ(サントリー美術館)
〇サントリー美術館『酒呑童子ビギンズ』(2025年4月29日~6月15日)週末に見に行った展覧会、順番が前後するが、こちらから紹介する。実は前日、三井記念美術館の『国宝の名刀と甲冑・武者絵』を見に行ったら、同館所蔵の『酒呑童子絵巻』(根津美術館本に近いとの説明あり)が出ていて、あ、早くサントリーに行かなくちゃと思い立ったのである。本展は、2020年に解体修理を終えた『酒伝童子絵巻』(狩野元信筆、サントリー本、伊吹山系最古の絵巻)を大公開し(図録解説によれば「当館史上最大限に広げて展示」だそうだ)、酒呑童子にまつわる二つの《はじまり》を紹介する。すなわち、このサントリー本が《図様のはじまり》となり、江戸時代を通して何百という模本や類本が作られたこと。さらにサントリー本とほぼ同じ内容を含みながら、酒呑童子の生...絵巻と能の異類退治物語/酒呑童子ビギンズ(サントリー美術館)
仙台銘菓、小豆餡にバターを加えた最中といえば、メゾンシーラカンスの「シーラカンスモナカ」。1回だけ頑張って行列に並んで購入したことがあるが、なかなか2回目の機会がない。そう思っていたら、栄泉堂(伊具郡丸森町)の「バター最中」なら、茅場町にある宮城県のアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」に月曜、水曜、土曜の週3回入荷していることを、最近知った。栄泉堂は、メゾンシーラカンスのパティスリー、カズノリイケダさんの実家なのである。今日は散歩のついでに買ってきてみた。これは美味しい。シーラカンスモナカより塩味がひかえめ、という評判を聞いていたが、しばらく持ち歩いて、バターが溶けかかっていたせいか、しっかり塩味が感じられて、私の好みだった。リピート確定!栄泉堂のほかのお菓子も食べてみたいが、仙台から遠いんだなあ。栄泉堂のバター最中@宮城県銘菓
■山種美術館特別展『桜さくらSAKURA2025-美術館でお花見!-』(2025年3月8日~5月11日)毎年楽しんでいる「桜」展。今年は会期ギリギリの5月の連休中に訪ねた。冒頭には松岡映丘の『春光春衣』。川合玉堂、小野竹喬、山本丘人など、比較的写実的な春の風景画が続き、それから名所の桜や詩歌・物語の桜が登場する。今年も土牛の『醍醐』『吉野』を見ることができてうれしい。誰の作品の解説だったか、『枕草子』は「絵に描き劣りするもの」に「桜」を挙げていることが紹介されていた。ふうむ、分からないでもない。■太田記念美術館没後80年『小原古邨-鳥たちの楽園』(2025年4月3日~5月25日)鳥や花、獣たちを、江戸時代から受け継がれた伝統的な浮世絵版画の技法によって描いた小原古邨(1877-1945)は、明治末から昭和...2025年4-5月展覧会拾遺(2)
■東京藝術大学大学美術館相国寺承天閣美術館開館40周年記念『相国寺展-金閣・銀閣鳳凰がみつめた美の歴史』(2025年3月29日~5月25日)確か4月29日に訪問したのだが、めちゃくちゃ混んでいた。私は年に数回京都に行くと、ほぼ必ず承天閣美術館に寄っているので、旧知の作品が多かったのだが、ふつうの東京人には珍しいのかもしれない。鹿苑寺大書院の障壁画は『葡萄小禽図』『松鶴図』『双鶴図』9面が出ており、人の動線に従って大書院の全貌を見せる大画面の動画がとても興味深かった。若冲は『竹虎図』『厖児戯帚図』なども。応挙は『七難七福図巻』(そんなに酷くない場面)『大瀑布』など。伝・宗達『蔦の細道図屏風』は久しぶりに見た。あとは『永楽帝勅書』があったり、『異国通船朱印状』(西笑承兌筆)があったり、外交現場における相国寺僧...2025年4-5月展覧会拾遺(1)
〇『小巷人家』全40集(正午陽光、湖南衛視、2024年)新作ドラマをいくつか挫折した後、半年前の公開である本作を探し当てて完走した。やっぱり正午陽光作品の安定感は抜群である。舞台は蘇州、1970年代末。紡績工場の女工の黄玲は、成績優秀と認められて住宅を給付され、夫である高校教師の荘超英、幼い息子の図南、娘の篠婷とともに新居に引っ越す。新居と言っても、庭と台所は隣家と共有、トイレはさらに周辺の住民と共有する、伝統的な「小巷」の住まいである。隣家の住人となったのは、工場の同僚の宋莹。夫の林武峰は、この界隈にはめずらしい大卒で、圧縮機工場の技師をしていた。息子の棟哲は父親に似ず、勉強嫌いのやんちゃ坊主。この2つの家族を軸に、90年代末まで、20年間にわたる中国庶民の暮らしぶりを描いていく。80年代はじめ、庶民の...家族と幸せのかたち/中華ドラマ『小巷人家』
〇東京国立博物館特別展『蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児』(2025年4月22日~6月15日)2025年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)との連携展。江戸時代の傑出した出版業者である蔦重こと蔦屋重三郎(1750-1797)の活動をつぶさにみつめながら、天明、寛政(1781-1801)期を中心に江戸の多彩な文化を紹介する。私はこの大河ドラマ連携展が好きで、ドラマ自体が気に入らないときでも、展覧会だけは見に行ってしまう。今年はドラマそのものが面白いので、展覧会もたっぷり楽しめた。会場へは、ドラマの撮影で使われた吉原の大門を潜って入る。すると(夜の吉原のように)薄暗い第1展示室の中央には、毎年、開花時期にあわせて人工的にしつらえられたという桜の植え込み。2024年の藝大『大吉原展』の会場の...大河ドラマともに楽しむ/蔦屋重三郎(東博)
三屏風揃い踏み/国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図(根津美術館)
〇根津美術館財団創立85周年記念特別展『国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図:光琳・応挙・其一をめぐる3章』(2025年4月12日~5月11日)毎年、この時期に公開される光琳の国宝『燕子花図屏風』に加えて、今年は応挙『藤花図屏風』、其一『夏秋渓流図屏風』が贅沢に揃い踏みなのは、タイトルに控えめに添えられた「財団創立85周年記念」の祝意も含んでいるのだろうか。見どころの3屏風だけでなく、取り合わせの作品も魅力的な内容だった。はじめに「藤花屏風の章」では、同時代の画家の作品と比較することで、応挙の「写生」の革新性を称揚する。しかし比較対象にされていた呉春の『南天双鳩図』も私は気に入った。南天の枝には白い花が咲いている。応挙の『藤花図屏風』は、細かく色を塗り重ねた藤の花房と、太い筆で一筆書きしたような枝の対比が見...三屏風揃い踏み/国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図(根津美術館)
〇木村幹『国立大学教授のお仕事:とある部局長のホンネ』(ちくま新書)筑摩書房2025.4韓国政治を専門とする木村幹先生の著作は『韓国現代史』『全斗煥』など、何冊か読んでいるが、今度は「大学教授という仕事」について書いたというので、へえ~(物好きな)と驚きながら読んでみた。著者は、1993年に愛媛大学に助手として採用され、1994年に講師に昇任、1997年に神戸大学大学院国際協力研究科に助教授として赴任し、教授に昇任、2023年から研究科長をつとめている。本書は「国立大学教授のお仕事」と題してはいるが、著者の個人的な経験に基づくものであり、大学の規模や所在地域、研究分野や世代によって、その経験は、かなり違ったものになるだろう。そして、大学教授は互いの仕事について実はよく知らない、という著者の言葉にもうなずけ...次代を育てる/国立大学教授のお仕事(木村幹)
〇エドワード・ベルガー監督『教皇選挙』(TOHOシネマズ日本橋)ゴールデンウィークなので、話題の映画を見てきた。非アジア系の映画を見るのはむちゃくちゃ久しぶりだったが、評判に違わず、面白かった。ある日、カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇が心臓発作で急死してしまう。首席枢機卿のトマス・ローレンスは、悲嘆にくれる暇もなく、次の教皇を決める教皇選挙(コンクラーベ)を執行することになった。選挙の参加資格を持つ枢機卿たちが、世界中からバチカンに集結する。選挙の秘密を守るため、彼らは外界から完全に隔離される。そこに1名の名簿に記載のない枢機卿が現れる。アフガニスタン・カブール教区所属のベニテスはメキシコ出身、多くの紛争地域で活動してきた人物で、前教皇が密かに枢機卿に任命していた。ローレンスは任命状を確認し、ベ...バチカンのミステリー/映画・教皇選挙
〇黒田明伸『歴史のなかの貨幣:銅銭がつないだ東アジア』(岩波新書)岩波書店2025.3経済史というのは、私にはやや苦手な分野なのだが、現代人の常識をくつがえす話がたくさんあって、たいへん面白かった。人類の歴史を振り返ると、政府が通貨供給を独占するようになったのも、通貨がつねに額面通りに使われるようになったのも、つい最近の話なのである。7世紀に唐が発行した開元通宝は、その後の中華王朝の銅銭のモデルになった。しかし鋳造や輸送に費用がかかり、滞留(畜銭)を抑止できなかったため、供給不足を解消することができなかった。中国古代は酸化銅鉱石が用いられていたが、北宋時代の11世紀、硫化銅の精錬が可能になり、銅産が急増する。12世紀には再び銅産が減少し、南宋政府は紙幣の発行に頼ろうとした。次代の元も同様である。その結果、...国境を超える銅銭/歴史のなかの貨幣(黒田明伸)
今日は1日、コタツを仕舞って、冬物のカーテンや毛布の洗濯、部屋の掃除に明け暮れた。これは門前仲町の深川伊勢屋で買ってきた柏餅。こしあんとみそあん。餡も餅も、かなりボリュームがあるのだが、肉体労働の後だったので、一気に2つ食べてしまった。ちょうど今日、伊勢屋本店ビルが建て替えになるという情報をネットで見た。着工は今年12月、取り壊しは2026年2月からで、新ビル竣工は2029年予定とのこと。次の正月の伸し餅は伊勢屋さんで買えるだろうか?!そして、夏のお楽しみのかき氷、今年は味わって食べておかないと…。2025深川伊勢屋の柏餅
■大和文華館特別展・没後50年『矢代幸雄と大和文華館-芸術を愛する喜び-』(2025年4月12日~5月25日)観劇と展覧会めぐりを目的にした2泊3日の関西旅行。初日は同館を訪ねた。本展は、初代館長・矢代幸雄(1890-1975)の没後50年を記念し、矢代が蒐集した初期のコレクションと関連する諸作品を展示し、その足跡をたどる。冒頭には伝・趙令穣筆『秋塘図』(北宋時代)。やさしい雰囲気の小品で、モノクロだと思ったら、夕靄(?)にかすかな赤みが差している。隣りの『饕餮文方盉』は、どこかで見たことがあると思ったら、根津美術館の所蔵だった。『源氏物語浮舟帖』(鎌倉時代)は、三人の女性が描かれ、うち一人の前に硯が置かれている。硯の蓋に点々とにじむ水玉模様は、匂宮の文を見て落涙する浮舟を描いているのではないかという解説...2025年4月関西旅行:大和文華館、大阪市立美術館など
〇奈良国立博物館開館130年記念特別展『超国宝-祈りのかがやき-』(2025年4月19日~6月15日)2泊3日の関西旅行で展覧会もいくつか回ってきたのだが、本展のクオリティと満足度はずば抜けていた。奈良国立博物館は明治28年(1895)4月29日に開館し、2025年に130周年を迎える。これを記念し、同館は「これまでで最大規模となる国宝展」を開催し、国宝約110件、重要文化財約20件を含む約140件の仏教・神道美術を展示する。「超国宝」というタイトルには、私たちの歴史・文化を代表する国民の宝という意味の「国宝」を超えて、先人たちから伝えられた祈りやこの国の文化を継承する人々の心もまた、かけがえのない宝であるという思いが込められているという。この説明には納得しつつも、今回「国宝」という名前をどこからか(上の...超未来への祈り/超国宝(奈良国立博物館)
〇大阪フェスティバルホール祝祭大狂言会2025(4月26日、15:00~)野村万作、萬斎、裕基の三代が出演する異色の舞台「祝祭大狂言会」を見てきた。私の場合、亡き母が狂言好きだったので、小学校の高学年から高校生くらいまでは、母にもらったチケットで、よく狂言を見に行った。母(あるいは母の友人)が和泉流の後援会に入っていたらしく、水道橋の宝生能楽堂で行われる、和泉流の公演が多かった。その後、なんとなく狂言を見る習慣が途絶えて40年くらいになるのに、突然、この公演を見ようと思い立ったのは、3月に仙台で開催されたアイスショー「羽生結弦nottestellata2025」で羽生くんと野村萬斎さんの共演を目撃したためである。私は、萬斎さんの狂言の舞台をたぶん一度も見たことがなかったので(万作さんはある)、このまま人生...法螺侍と天上の神/祝祭大狂言会2025
〇国立文楽劇場令和7年4月文楽公演第2部(2025年4月27日、15:00~)大型連休スタートの土日に有休を1日付け足して、関西方面で遊んできた。順不同になるが、まずは文楽公演から。今月は通し狂言『義経千本桜』が掛かっている。私は二段目「渡海屋・大物浦の段」と、四段目「道行初音旅」が大好きなので、どうしてもこの両者を選びがちで、実は文楽ファン歴40年になるのに三段目を見たことがなかった。一度は見ておくほうがいいかもしれない、と思って、いろいろ予定を調整して、今回は第2部を見ることにした。・第2部『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)・椎の木の段/小金吾討死の段/すしやの段』第2部の主人公は、高野山に落ち延びた平維盛。その妻子である若葉の内侍と六代の君は、家臣の主馬小金吾だけを連れて、維盛を探す旅路を続けて...すしやの段を初鑑賞/文楽・義経千本桜
先週末から昨日まで、ずっと仕事に忙殺されていた。やれやれ。もう若くないので、こういう日々は卒業したいと、しみじみ思った。なんとかたどり着いた連休。今年は、ゴールデンウィークと呼ぶほど、うれしいカレンダーではないが、今日から2泊3日、関西方面で遊んでくる。これは、近所で見つけたモッコウバラ。2025連休始まる
ここにも松平定信/書物ハンターの冒険(慶應義塾ミュージアム・コモンズ)
〇慶應義塾ミュージアム・コモンズセンチュリー赤尾コレクション×斯道文庫『書物ハンターの冒険:小松茂美旧蔵資料探査録I』(2025年3月17日~5月16日)年度末でもないのに、この週末は自宅で持ち帰り仕事に忙殺されていた。それでも土曜日は、この展覧会を見るためにちょっとだけ外出した。慶應義塾が運営するこのミュージアム、基本は週末休館で、土曜の特別開館が会期中に2回しかないのである。本展は、2021年に慶應義塾に寄贈されたセンチュリー赤尾コレクションの調査成果を初めて紹介するもの。同コレクションの中核を成すのは、古筆学者・小松茂美(1925-2010)の約15,000冊におよぶ旧蔵書である。小松は、1988年、旺文社の創業者・赤尾好夫のコレクションを保存・管理する財団法人センチュリー文化財団の理事に就任、19...ここにも松平定信/書物ハンターの冒険(慶應義塾ミュージアム・コモンズ)
懐の深いコレクター/1975甦る新橋松岡美術館(松岡美術館)
〇松岡美術館開館50周年記念『1975甦る新橋松岡美術館』(2025年2月25日〜2025年6月1日)1975年11月に新橋で開館した同館が、2025年に50周年をむかえることを記念し、3会期にわたり松岡コレクションを紹介する記念展の第一弾。1975年11月25日から1976年4月24日まで新橋で開催された「開館記念展」を再現する。同館が白金台に移転したのは2000年だそうで、私は現在の建物しか知らない。新橋の美術館は、創立者・松岡清次郎の持ちビルである松岡田村町ビル8階にあり、社員が輪番で宿直を命じられていたそうだ。そしてこのビルは今も現役で、入口に石像彫刻が飾られているみたいなので、今度訪ねてみよう。さて、1階の各展示室では、第1章「50年間いつも傍らに」を開催。1階は基本的に常設展示なので、素通りし...懐の深いコレクター/1975甦る新橋松岡美術館(松岡美術館)
仕事帰りに友人と、淡路町の「カフェ・カプチェットロッソ」で夕ごはん。特別なイベントではないけれど、いつもの日常より、ちょっと美味しいものを食べるお手軽コース。こういう夕ごはんもたまにはいいなと思った。20年以上使ってきたgooblogサービスの終了告知を受け取ったので、引っ越し先を検討中。ChatGPTの意見も参考に考えている。淡路町でカフェごはん
歴聖大儒像もあり/ライトアップ木島櫻谷II(泉屋博古館東京)
〇泉屋博古館企画展『ライトアップ木島櫻谷II-おうこくの線をさがしに・併設四季連作屏風』(2024年3月16日~5月12日)昨年に続き「四季連作屏風」を全点公開し、木島櫻谷の絵画表現の特質をライトアップする展覧会シリーズの第2弾。エントランスホールにも展示ケースを並べ、たくさんの写生帖を展示していた。開いたページには人物画が多く、少ない描線で簡潔に対象の特徴を捉えたものが多かった。「クロッキーふうの」という解説に私は妙ななつかしさを感じてしまった。通っていた小学校では、朝の自習時間の課題のひとつにクロッキーがあり、私はこれが好きだったので。描かれた人物は、いかにも身のまわりにいそうな幼児や農婦もあるけれど、狩衣や水干、本格的な鎧姿の写生もあって(眼鏡をかけた男性が兜をかぶった図も)「〇〇君仮装」などと注記...歴聖大儒像もあり/ライトアップ木島櫻谷II(泉屋博古館東京)
先週(4/5)お花見がてら、東京国立博物館を訪ねた。4月1日から、総合文化展(平常展)が「東博コレクション展」という名称に変わったそうだが、定着するかどうかは分からない。私は結局、どの美術館・博物館でも「常設展」を使ってしまう。本館11室(彫刻)が珍しく展示替えで閉室していた。■東京国立博物館・本館『博物館でお花見を』(2025年3月11日~4月6日)庭園公開と同時に、仁阿弥道八の『色絵桜樹図透鉢』など桜モチーフの作品を各所に展示。住吉具慶筆『観桜図屛風』(江戸時代・17世紀)は、狩衣姿の貴族の若者たちが桜の下に集っている場面で、のんびりした雰囲気が可愛かった。しかし『伊勢物語』の惟喬親王と在原業平の図という解説を読むと、急に哀愁を感じてしまう。■本館14室特集『キリシタン関係遺品の保存と研究』(2025...桜も見頃/博物館でお花見を(東京国立博物館)他
闇夜かお洒落か中国趣味か/エド・イン・ブラック(板橋区立美術館)
〇板橋区立美術館『エド・イン・ブラック:黒からみる江戸絵画』(2025年3月8日~4月13日)本展は、黒に焦点を当て、江戸絵画にみる黒の表現とともに、当時の文化や価値観なども紹介する。江戸時代の人々は「黒」に対して何を見出し、何を感じていたのか、様々なテーマから江戸絵画における「黒」を探究し、その魅力に迫る。江戸絵画展らしからぬ展覧会タイトルは、やっぱり「メン・イン・ブラック」のもじりですかね。はじめに、月や影、夜の暗闇などを描いた絵画を集める。これは「黒」の使い方としては、比較的分かりやすいものだ。大好きな蘆雪の「月」を描いた墨画が2件、『月夜山水図』(兵庫県立美術館)は、前景に黒々と浮かび上がる崖の上の松、そして大きな満月を背景に、中空にぼんやり松の木のシルエットが浮かんでいる。これは靄か霧に映る影な...闇夜かお洒落か中国趣味か/エド・イン・ブラック(板橋区立美術館)
〇府中市美術館春の江戸絵画まつり『司馬江漢と亜欧堂田善:かっこいい油絵』(2025年3月15日~5月11日)会場入口のパネルの冒頭に「近年、江戸時代の絵画の人気が高いと言われますが、ただ一つ取り残された感があるのが『洋風画』かもしれません」とあって、えっそうなの?と驚き、苦笑してしまった。私は「洋風画」が大好物なのだが、そんなに異端だったのか。府中市美術館では、2001年に『司馬江漢の絵画西洋との接触、葛藤と確信』展、2006年に『亜欧堂田善の時代』展を開催したが、近年の「春の江戸絵画まつり」ほど多くのお客様で賑わうこともなかったという。2001年は私がこのブログを書き始める前で、司馬江漢展は見ていないかなあ。2006年の『亜欧堂田善の時代』は、私が「春の江戸絵画まつり」のリピーターになった最初のきっかけ...文人の洋風画/かっこいい油絵(府中市美術館)
〇神奈川県立金沢文庫開館95周年記念特別展『至高の宝蔵-称名寺の国宝開帳-』(2025年3月28日~5月18日)称名寺の宝蔵の品々を開帳する特別展。「開館95周年」と聞いて、改めて調べてみたら、昭和天皇の即位に伴う御大典記念事業の一環で建てられた、鉄筋コンクリート造の施設が竣工したのが昭和4年(1929)12月。そして、昭和5年(1930)8月、図書館令に基づく県立図書館として開館した。ここが起点の年なのだな。その後、図書館から博物館に変わったのは、昭和30年(1955)のことである。展示企画についても調べてみたら、90周年には『東アジア仏教への扉』、80周年には『運慶-中世密教と鎌倉幕府-』が開催されていた。なつかしい。入口を入ってすぐの展示ケースには、金沢文庫の創建と蔵書に縁の深い北条実時・顕時・金沢...文書も彫刻も/至高の宝蔵(神奈川県立金沢文庫)
4月第1週は寒の戻りで冷たい雨続き。昨日もはっきりしない空模様だったが、夕方から友人に門前仲町に来てもらい、大横川岸の桜並木を歩いて、夜桜見物のあと、居酒屋に入った。「日本酒と肴あらばしり」は、お酒も美味しいが、料理も美味しくて、のんべえにも食いしん坊にもおすすめのお店。お腹いっぱい食べたのに、まだ惹かれるメニューがいろいろあった。そして今日は職場の歓迎会で大宴会。明日は定期健診なのに、だいぶ体重が増えていそうである。門前仲町で花見呑み
■荏原畠山美術館開館記念展II(破)『琳派から近代洋画へ-数寄者と芸術パトロン:即翁、酒井億尋』(2025年1月18日~3月16日)開館記念展の第二弾として琳派の歴史を彩る名品が勢ぞろいし、開館記念展Ⅰにつづき、即翁の甥で、荏原製作所社長を継いだ酒井億尋の近代洋画コレクションを紹介する。私は鈴木其一の『向日葵図』が久しぶりに見たかったので、後期を待って出かけた。向日葵は17世紀に日本にもたらされた植物で、絵画化された早い例には抱一の作品があるという。今、ヒマワリを絵に描くなら、花の中心部を茶色で塗ると思うのだが、其一の向日葵は花全体が黄色で、中央は少し緑がかっている。まっすぐな茎と合わせて、可憐で瑞々しい。抱一の『十二ヶ月花鳥図』も堪能した。茶器は光悦の赤楽茶碗『銘:雪峯』と『銘:李白』を見ることができた...2025年3月展覧会拾遺
〇弥生美術館漫画家生活60周年記念『青池保子展Contrail航跡のかがやき』(2025年2月1日~6月1日)1963年、15歳でデビューした青池保子(1948-)の漫画家生活60周年を記念する展覧会。緻密なカラー原画とモノクロ原稿、約300点(前後期の合計点数)を展示する。2023年の秋、神戸市立小磯記念美術館で参観した展覧会だが、東京で開催されるのが嬉しくて、また見てきた。私が少女マンガを熱心に読んでいたのは70年代から80年代前半で、青池先生の作品でいうと「イブの息子たち」「エロイカより愛をこめて」の時代。ただし私は集英社&白泉社びいきだったので、青池先生が執筆していた講談社・秋田書店の雑誌には縁がなかった。けれども、上述の2作品は、マンガ好きの友人の手から手へまわってきたように記憶している。あと「...東京へようこそ/青池保子展(弥生美術館)
おまけに蔦屋重三郎墓碑拓本/豊原国周(太田記念)+歌舞伎を描く(静嘉堂)
■太田記念美術館生誕190年記念『豊原国周』(2025年2月1日~3月26日)終わった展覧会だが書いておく。2025年が豊原国周(とよはらくにちか、1835-1900)の生誕190年となることを記念した回顧展。国周は幕末から明治にかけて役者絵の第一人者として君臨し、月岡芳年や小林清親らと並ぶ人気絵師として活躍した。芳年や清親に比べて紹介される機会の少なかった知られざる巨匠・国周の画業を約210点の作品で紹介する。正直、私は名前を聞いてもピンと来なかったが、作品を見ていくと、ああこの絵柄の人か、と分かるものも多かった。やっぱり魅力的なのは役者絵である。細い眉、切れ長の釣り目に小さすぎる瞳、高い鷲鼻、唇の薄いへの字口。こう並べると、国周以外の役者絵にもだいたい当てはまってしまうのだが、最も特徴的なのは極端な三...おまけに蔦屋重三郎墓碑拓本/豊原国周(太田記念)+歌舞伎を描く(静嘉堂)
昨日、3月26日(火)の朝、ようやく窓の外の桜の木に白い花が認識できるようになった。そして、昨日は1日初夏のように暖かかったので、今日27日(水)の桜はこんな感じ。窓の外の遊歩道は、大横川の護岸工事のため、昨年夏頃からずっと通行止めだったが、サクラの季節だけは通行止めが解除されたので、久しぶりに人の姿がある。今日は在宅勤務だったので、私も昼時に桜の下を歩いてきた。ひとつ残念なのは、遊歩道の入口(茶色いビルの前)にソメイヨシノとは別種の、緑の葉に白い花を咲かせる桜の樹があって、薄ピンクのソメイヨシノと競い合うような美しさが好きだったのだが、護岸工事が始まったと思ったら、いつの間にか跡形もなく撤去されてしまった。かなりの大木だったのに。もう戻ってはこないのだろうな。「年々歳々花相似たり」というけれど、今年の花...2025桜咲く
〇満薗勇『消費者と日本経済の歴史:高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中公新書)中央公論新社2024.8本書は戦後日本の社会と経済の変化を消費者の姿から読み解いていく。「消費者」という言葉が学問の議論を超えて使われ始めるのは1920年代、さらに一般化するのは1960年代以降だという。1946年に創立された経済同友会は少壮の進歩的な経済人から成る団体で(占領政策で大企業経営者が追放された影響)、修正資本主義の構想を持ち、消費者に強い関心を寄せた。大塚萬丈は「そもそも社会構成員は一人残らず消費者である。従って社会における最も普遍的・包括的の利益は消費者の利益である」と述べ、資本家中心の資本主義と労働者中心の社会主義の双方を批判し、消費者の利益を実現する主体=専門経営者の正統性を主張した。この発想は生産向...権利と責任の主体/消費者と日本経済の歴史(満薗勇)
今年の2月~3月は旅行と出張続きで、梅も桃も、おかめ桜も河津桜も見逃してしまった。そして、ソメイヨシノは例年より遅いような気がする。我が家の窓の下の大横川では、お江戸深川さくらまつりの遊覧船の運航が始まったが、まだ全く花は咲いていない。それでも昨日から少し暖かくなったので、清澄庭園を覗いてきた。ちょうど見頃だったのは、梅に似ているが、アンズの花とのこと。5~6月には実が成るらしいので、また見に行こう。早咲きの寒緋桜(カンヒザクラ)はもう散り始めだった。かなり気温が上がっていたので、大泉水を渡ってくる風が、笹や竹の葉をそよがせるのが気持ちよかった。我が家の前のソメイヨシノ、夕方に見たら、糠星のように小さな花が、わずかに1つ2つ開いていた。2025桜を待つ
出会い、包み込まれるまで/アメリカ・イン・ジャパン(吉見俊哉)
〇吉見俊哉『アメリカ・イン・ジャパン:ハーバード講義録』(岩波新書)岩波書店2025.1本書は、著者がハーバード大学の客員教授として2018年春学期に行った講義「日本の中のアメリカ」を活字化したものである。ちなみに2018年は最初のトランプ政権の2年目だった。全般的には、日本という小国が、海の向こうの大国に出会い、包み込まれてしまう歴史だが、そこに抗った人々の存在が印象的である。講義は、日本がアメリカに出会う「ぺリー来航」の前史から始まる。18世紀半ば、対仏戦争に勝利したアメリカでは「西漸運動」と呼ばれる西への不可逆的拡張が始まる。西谷修は「アメリカ」とは「ヨーロッパ国際秩序」の外部の「無主の地」にもたらされた、〈自由〉の制度空間の名前であると論じているという。そして大陸西岸に行き着いた西漸運動は、さらに...出会い、包み込まれるまで/アメリカ・イン・ジャパン(吉見俊哉)
〇東京国立博物館開創1150年記念特別展『旧嵯峨御所大覚寺-百花繚乱御所ゆかりの絵画-」(2025年1月21日~3月16日)平安時代初期、嵯峨天皇は嵯峨に離宮・嵯峨院を造営し、空海の勧めで持仏堂に五大明王像(現存せず)を安置した。貞観18年(876)、皇女・正子内親王の願いにより寺に改められ、開創されたのが大覚寺である。来たる2026年に開創1150年を迎えるのに先立ち、優れた寺宝の数々を一挙に紹介する。昨年3月の今頃、関西の桜を見に行ったついでに、久しぶりに大覚寺を訪ねてみたら、大変魅力的な仏像(平安時代の五大明王像)があったりして、この展覧会を楽しみにしていたのだが、結局、最終日の駆け込み鑑賞になってしまった。しかし、見逃さなくてよかった。展示室の冒頭には、嵯峨天皇像(江戸時代、画幅)と弘法大師像(鎌...五大明王と襖絵の寺/大覚寺(東京国立博物館)
■大阪市立美術館リニューアルオープン記念特別展『What’sNew!大阪市立美術館名品珍品大公開!!』(2025年3月1日~3月30日)2022年春の『華風到来』展から、2年半に及ぶ休館期間を経て、リニューアルオープンを記念する特別展。施設の印象は既に書いたので、本稿は展覧会そのものについて書く。会場は1階に2つ、2階に2つ。各会場がさらに複数の展示室の連なりになっており、考古から近代絵画まで、幅広い分野の作品約250件を一堂に展観する。ボリュームとクオリティは、国立博物館の常設展示並みかそれ以上だと思う。第1会場は近世の風俗画から。田万コレクションの『洛中洛外図屏風』(江戸時代17世紀)、こんなのも持っていたんだっけと驚く。そのほかにも『寛文美人図』『舞妓図』『扇屋軒先図屏風』など。江戸初期の風俗図が好...2025年3月関西:大阪市立美術館、大和文華館
「見もの・読みもの日記」は、以下に引っ越しました。【https://mimono.hatenablog.jp/】よろしくお願いいたします。本日10月1日はブログ開設から7803日目でした。以後、こちらの更新はありません。また、gooブログサービスの完全終了は11月18日だそうです。関係者の皆様、長年お世話になり、ありがとうございました。引越し先で会いましょう!
■黎明アートルーム特別展『柴田是真-対柳居から世界へ-』(2025年9月15日~10月31日)柴田是真(1807-1891)の漆芸と絵画作品を、同館所蔵品と個人コレクションから初公開約30点を含む約100点を選んで展観する。特に「対柳居」(浅草橋にあった是真の住居兼仕事場)伝来とみられる新出の写生・粉本類によって、その制作の真の姿に迫るとともに、下積み時代の作品にも光を当てる。同館の展覧会には何度か足を運んでいるが、今回は「特別展」にふさわしく、質量ともに圧倒的だった。参観者は、ほぼ全作品の写真図版と解説を掲載したカラー図録(22頁)が無料でいただけるのもうれしい。私は是真の名前を蒔絵師として覚えた。その後に絵画作品も見るようになったが、さほど感心したことはなかった。それが今回、粉本(画稿)の山を見て、す...2025年9月展覧会拾遺
金沢出張の前に出かけた関西旅行のレポートをまだ書き終わっていなかった。2日目の土曜日は京都で2つ展覧会を見てから、大阪で文楽公演を見てきた。■京都国立博物館特別展『宋元仏画-蒼海(うみ)を越えたほとけたち』(2025年9月20日~11月16日)国内に所蔵され宋元仏画(中国の宋と元の時代に制作された仏教絵画)を集め、制作された当地の文脈に照らしながら、それぞれの特色を紹介する。このテーマなら、そんなにお客さんは来ないだろう…と思いながら、朝イチの京博に出かけたら、やっぱり数十人が並んでいた。9:30開館だと思って30分前に到着したのだが、特別展は9:00開館で、すぐに列が動き出した。冒頭の3階展示室は、『仏日庵公物目録』『君台観左右帳記』などの文書類や、天目茶碗・青磁瓶などに混じって絵画が展示されていたので...2025年9月関西旅行:京博、龍谷ミュージアム
2泊3日の金沢出張に行ってきた。最初の2日間は仕事、後泊をつけてもらえたので、土曜日はひとりでぶらぶら散歩してきた。■石川県立歴史博物館令和7年度秋季特別展『花開く九谷-19世紀加賀藩のやきもの生産ブーム-』(2025年9月27日~11月9日)まず、この日から始まった特別展を参観。江戸時代前期から中期にかけて、日本列島における陶磁器の生産は限られた地域にとどまっていた(九谷古窯はこの時期)。江戸時代後期には、技術の広がりや諸藩の産業振興策の影響により列島各地で数多くの窯が成立し、加賀藩や支藩の富山藩・大聖寺藩でも多くの窯が築かれる。本展は、江戸時代後期の加賀・能登での陶磁器生産の実態を明らかする。加賀!九谷!やきもの!と聞いて、もっと華やかな展示をイメージしていたのだが、歴史博物館らしく、出土資料の陶器片...2025年9月金沢散歩:石川県立歴史博物館など
gooブログのサービス終了が迫っている。移行先は以下に決めて、先日、ようやく全データ(たぶん)の移行を終えた。★(名称は同じ)見もの読みもの日記【https://mimono.hatenablog.jp/】移行作業完了を祝して、ひといき(スタバのチーズケーキとコーヒー)新規投稿サービスが終了する10月1日までは、このgooブログを更新しつつ、はてなブログにも同じ記事を貼り付けていく予定。とは言え、今日から土曜まで金沢出張なので、あと何回更新できるか分からない。私が、主に読書や展覧会参観の記録を残すためにgooブログの利用を始めたのは、2004年5月。それ以前に、海外旅行の旅行記をgeocitiesサービスで公開していたので、のちにそれらもgooブログに統合した。それから20年余り、個人的な生活記録はあまり...終了間近gooブログの思い出
今年の夏は猛暑に負けて自宅に籠っていたのだが、涼しくなったのを幸い、久々の関西旅行に出かけてきた。まずは奈良から。■大和文華館特別企画展『くらべて楽しむ琳派作品』(2025年8月22日~9月28日)様々な時代のバリエーション豊かな琳派の作品を、古典作品や他派の作品と共に展示する。という本展の趣旨を、実はあまり理解しないで見に行ってしまった。冒頭の展示ケース、右端には鎌倉時代と室町時代の古典的な蒔絵の小物が出ていた。『蒔絵歌絵鏡巣』(室町時代)には鉛板の月が見えるが全体に地味。中央、光悦の『沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒』は鉛板を大胆に用いる。鹿の形象が「文様と絵画のあわい」であるという解説にうなずく。左端は神坂雪佳の『螺鈿金貝蒔絵田家人物文硯蓋』(個人蔵)で、田家の屋根が鉛板。家の本体は鈍い金色で、細く切っ...2025年9月関西旅行:大和文華館、奈良博
〇家近亮子『蒋介石:「中華の復興」を実現した男』(ちくま新書)筑摩書房2025.8蒋介石(1887-1975)には、特に関心を持っていたわけではない。大陸中国のドラマでは悪役側だし、台湾史でも民主化を阻んだ独裁者の印象が強い。それが、ちょっとした気の迷いで472ページもある極厚の新書に手を出してしまい、最後まで読み切った。家庭生活など、初めて知ることが多かったのと、政治家としては、あらためてその評価について考える機会となって、面白かった。はじめに生涯の概略をまとめておく。蒋介石は1887年(清朝の洋務運動期)浙江省奉化県渓口鎮の生まれ。実家は塩舗を経営していた。青年時代、日本に留学して東京振武学校で学び、陸軍高田連隊に入隊する。この間、辛亥革命が勃発し、帰国。いろいろあって、孫文の中華革命党に入党。192...政治家として、家庭人として/蒋介石(家近亮子)
〇国立文楽劇場令和7年爽秋文楽特別公演第2部・第3部(2025年9月20日、14:00~・18:00~)例年のスケジュールだと9月は東京公演なのだが、今年は「大阪・関西万博開催記念」ということで、9月6日~10月14日まで長期にわたり、大阪で文楽公演が打たれている。しかも人気の『心中天網島』と『曽根崎心中』が見られると分かったので、週末、見に行ってきた。・第2部『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)・北新地河庄の段/天満紙屋内の段/大和屋の段/道行名残の橋づくし』『網島』は2019年に見て以来なので、かなり久しぶりだ。自分のブログを検索して、前回は大和屋が咲太夫さんだったか、と懐かしく思い出した。名作と分かっていても、治兵衛が絵に描いたようなダメ男でイライラする。これに対して、大人の器量を見せる遊女の小...大阪で近松三昧/文楽・心中天網島と曽根崎心中
〇根津美術館企画展『焼き締め陶:土を感じる』(2025年9月13日~10月19日)ありそうでなかった展覧会のような気がして、とても面白かった。「焼き締め陶」とは、釉薬を掛けずに高温で焼くことで素地を固めた陶磁器をいう。日本の焼き締め陶は、5世紀頃(古墳時代)朝鮮半島に学んだ須恵器に遡るが、8世紀に施釉陶器が登場すると、過去の技術と見做されるようになる。しかし、15世紀末から16世紀初め、茶の湯の世界では、この素朴な美しさを、中国の青磁などと取り合わせて愛でることが始まった。という解説を読んで頭に浮かんだのは、伊賀や信楽、備前のやきものだったが、最初に並んでいたのは、東南アジアや中国南部で作られた「南蛮物」だった。砂糖や香辛料の容器を、水指・花入・建水など、水まわりの道具に転用したものが多い。蓋つきの『南蛮...南蛮から始まる/焼き締め陶(根津美術館)
〇神奈川県立金沢文庫開館95周年特別展『金沢八景みほとけ巡礼-仏像からよみとく金沢の歴史-』(2025年9月5日~11月9日)神奈川県横浜市金沢区は、かつて「武蔵国六浦荘金沢」と呼ばれ、中世には都市・鎌倉の外港として栄えた。本展は、金沢の内海周辺に建立された由緒ある寺院と、そこに安置された仏像を通して、中世金沢に展開した寺院の実態や、その後の金沢八景を中心とした巡礼寺院としての位置づけなどを明らかにする。特別展の始まり、1階入ってすぐの展示ケースには、小さな神像が複数出ていて目を引いた。いずれもキャプションには「瀬戸・瀬戸神社」の文字。解説によれば、古代・中世においては瀬戸神社の位置した瀬戸、粟津として物資が集積した六浦が、金沢の中心地だったという。彩色のよく残る女神坐像は唐衣・裳を着け、潔斎掛帯の紐を肩...運慶流強め/金沢八景みほとけ巡礼(金沢文庫)
〇『華山論剣』全30集(騰訊視頻他、2025年)「九陰真経」「東邪西毒」「南帝北丐」の感想は別稿にまとめたので、ここでは最後の「五絶争鋒」について紹介する。■「五絶争鋒」全6集「東邪西毒」「南帝北丐」の物語から10年くらい先になるのだろうか。ある晩、仮面の集団に両親を殺された少女・葭蘭は、武功の奥義書「九陰真経」の在り処を知る雄一の証人「活地図」となる。葭蘭を助けたのは黄薬師。妻の病を治療するため「九陰真経」の「療傷篇」を必要とする黄薬師は葭蘭を連れて桃花島に向かう。その途中、古い友人・欧陽鋒を石羊寨に訪ねた黄薬師は、その葬儀の場に行き当たる。欧陽鋒の兄の白駝山荘荘主・欧陽錯は、邪教の明教に帰順し、欧陽鋒を死んだと偽って地下牢に幽閉していた。黄薬師は欧陽鋒を救出し、葭蘭の保護を託す。欧陽錯は確保した葭蘭を...武侠迷から金庸先生に捧ぐ/中華ドラマ『華山論剣』(2)
〇『華山論剣』全30集(騰訊視頻他、2025年)評価は分かれるかもしれないが、個人的には、かなり好きなタイプの作品だった。確か初期の情報では『金庸武侠世界』という総合タイトルで全5ユニットが制作される、という話だったように思う。2024年に原作の『射鵰英雄伝』のストーリーにほぼ準拠した(かなり端折ってはいたが)『金庸武侠世界・鉄血丹心』全30集が公開された後、残りはどうなるんだろう?と思っていたら、この夏、めでたく『華山論剣』のタイトルで「九陰真経」「東邪西毒」「南帝北丐」「五絶争鋒」の4ユニットが連続公開された。■「九陰真経」全8集『射鵰英雄伝』前夜の物語。豊かな商人の家庭で幸せに育った梅若華は悪人・邱雲海に両親を惨殺されてしまう。たまたま遊歴の途中だった黄薬師に助けられ、武効を修得して復讐をするため、...武侠迷から金庸先生に捧ぐ/中華ドラマ『華山論剣』(1)
〇板橋区立美術館館蔵品展『狩野派の中の人絵師たちのエピソード』(2025年8月23日~9月28日)江戸狩野派には、最も格式の高い奥絵師、それらを補佐する表絵師、さらに町狩野と呼ばれる人々など、膨大な数の絵師が属していた。本展は、絵師の人柄が伝わるエピソードやそれぞれの関係性の紹介とあわせて作品を展観する。むかしは狩野派なんて似たり寄ったりでつまらない絵師の集団だと思っていた。それが、こういう展覧会のタイトルを聞いて、わくわくと足を運んでしまうようになったのは、かなりのところ、同館のおかげである。今回、1階ホールに過去の狩野派展のポスターがずらりと展示してあるのだが、どれもちょっとテンションがおかしい。「これであなたも狩野派通」とか「狩野派SAIKO!」とか(笑)、参観者を狩野派ファンに引きずり込んでやろう...大河ドラマの同時代/狩野派の中の人(板橋区立美術館)
■東京国立博物館特別展「江戸☆大奥」(2025年7月19日~9月21日)娯楽小説や芝居、ドラマなどで描かれてきた想像の世界とは異なる、知られざる大奥の真実を、遺された歴史資料やゆかりの品を通してご覧いただきます――というのが、公式のうたい文句だが、最初の展示室(いつもと逆回り)には、NHKドラマ10の男女逆転版『大奥』の衣装を展示。展示室の奥には実物大の橋の入口のセット、スクリーンには江戸城が映るので、大手門橋のイメージか(でもこれ、春の『蔦屋重三郎』展の日本橋の使いまわしだと思う)。続く見ものは、楊洲周延『千代田の大奥』のほぼ全面展示。私は町田市立国際版画美術館の『楊洲周延』展で見て、大奥って女子校みたいで意外と楽しそう、と思った作品である。御台所や側室など、実在した女性たちに関係する多数出ていた。私は...2025年8月展覧会拾遺(2)
〇笠原十九司『南京事件新版』(岩波新書)岩波書店2025.7著者の旧版『南京事件』は1997年刊行だが、私は読んでいない。新版には新たな史料発見や研究の発展が取り込まれているが、旧版が日本軍史料を多用し「殺す側の論理・作戦」に従って叙述したのに対して、新版は、被害者である南京市民・難民の実態を、日記や証言から明らかにすることを重視したという。この説明を読んで、私は旧版も読んでみたくなった。記述は1937年7月7日の盧溝橋事件と日中戦争の勃発から始まる。8月、上海では現地海軍の謀略による大山事件をきっかけに、大規模な武力衝突(第二次上海事変)が起き、8月15日以降、首都南京への戦略爆撃が繰り返される(宣戦布告なし)。この時期の参謀本部は、石原莞爾をはじめとする不拡大派が主流で、南京攻略に反対していた。11月...戦後80年に読む/南京事件新版(笠原十九司)
〇全生庵『谷中圓朝まつり幽霊画展』(2023年8月1日~8月31日)今年も谷中の全生庵に幽霊画展を見に行ってきた。展示作品は、毎年おなじみのものも、入れ替わるものもある。毎年見ているのに、新しい発見をすることもある。高橋月庵『海上幽霊図』は、嵐の海の上に巨大な黒い影がぼんやり浮かんでいて、幽霊というより妖怪だなと思っていたのだが、よく見ると波間に多数の遭難者なのか、その亡霊なのか、形の定かでない人影が漂っていた。渡辺省亭『幽女図』、鏑木清方『幽霊図』など、顔を見せない女性の幽霊(?)は、恐ろしくも魅力的。鰭崎英朋『蚊帳の前の幽霊』は、いつもながら美人さんだと思う。飯島光峨『幽霊図』は、性別も分からないほど痩せこけて、薄い髪をざんばらにし、お歯黒をつけた歯をむき出しにする、凄まじい女性の幽霊なのだが、見てい...涼を求めて幽霊画/2025幽霊画展(全生庵)
〇根津美術館企画展『唐絵:中国絵画と日本中世の水墨画』(2025年7月19日~8月24日)日中間の交流は中世に入ると再び盛んとなり、院体画や水墨画の名品が日本にもたらされた。「唐絵」と呼ばれたこれらの作品は、足利将軍家をはじめとする武家の間で尊ばれ、やがてそれらに倣った和製の唐絵も多数制作されることとなる。館蔵コレクションの中から、中国画や日本中世の水墨画といった唐絵の名品をまとめて紹介する。冒頭には「『唐絵』の源流」と題して、伝・李安忠筆『鶉図』、伝・銭選筆『梨花小禽図』など華やかな作品が並んでいた。馬麟筆・理宗賛『夕陽山水図』も。理宗の文字はあまり巧くないなあと思う。伝・夏珪筆『風雨山水図』は、遠景の山も、傘を差した人物が渡ろうとする近景の橋も、ぼんやり墨がにじむような筆遣いで、雨中の景色なんだなあと...日本中世に根づく/唐絵(根津美術館)
毎日、暑いのでぐったりしている。職場は涼しいのだけれど、帰宅すると、もう何もする気力が起こらない感じ。気がつけば8月も終わるので、あれこれ行ったものから。■文化学園服飾博物館戦後80年企画『衣服が語る戦争』(2025年7月16日~9月20日)戦勝への期待の中で作られた着物、物資不足の節約生活の中で着られたもんぺや国民服、同時期の欧米のドレスやファッション誌を展示し、戦争が衣服や人々の生活に及ぼした影響を考える。いわゆる「戦争柄」の着物も出ていた。私が「戦争柄」の存在を知ったのは、2007年刊行・乾淑子さんの『図説・着物柄にみる戦争』である。そして、すっかり忘れていたが、2015年にも同館で『衣服が語る戦争』を見ている。戦争柄の着物は、主に子供に、特に晴着として用いられたと思っていたが、大人用の襦袢もあって...2025年8月展覧会拾遺
〇董成鵬監督『長安の荔枝(ライチ)』(グランドシネマサンシャイン池袋)先日、ドラマ版を見終わった『長安的荔枝』、実は映画版も作られていて、この夏、中国でヒットしたらしい。そして、なんと中国語字幕・英語字幕版(日本語字幕なし)が期間限定で日本で上映されるというので見てきた。中国語字幕で映画を見るのは初めての経験だが、ふだんからネットで中国ドラマを中国語字幕で見ているので特に問題はなかった。主人公・李善徳(董成鵬、監督と主演)は、大唐・長安の上林署に勤める下級役人。気の強い奥さん(楊冪)と幼い娘の幸せな家庭のためにコツコツ働き続ける日々。あるとき「嶺南からライチを輸送するライチ使」の勅命が下り、上林署の上司と同僚たちは、これを体よく李善徳に押しつける。ひとり嶺南・高州に下った李善徳は、ライチ園や胡人の商人・蘇...ドラマ版と見比べ/映画・長安のライチ
〇深川江戸資料館『お化けの棲家』(2025年8月15日~8月17日)写真を主にしたイベント報告が続く。「お化けの棲家」は、毎年お盆の3日間に行われる深川江戸資料館の夏の風物詩らしいが、私は初めて行ってみた。江戸末期の深川の町並みをリアルに再現した常設展示室は、いつもより暗めの照明。入口に用意された「お化けマップ」によると、全部で24体のお化けが隠れているという。たとえば大店の門口には傘お化け。川岸の柳の下には、女性ののっぺらぼう。米蔵を覗くと「蔵の大足」。あとで調べたら「本所七不思議」に、毎晩「足を洗え」という声とともに、天井から巨大な足が降りてくる話があるそうだ。迷惑な妖怪である。「稲生物怪録」にもなかったかしら?これは「五徳猫」。人がいない間に火吹竹を使って囲炉裏に火を起こす猫の妖怪だそうで、いいやつ...お化けの棲家2025(深川江戸資料館)と深川七不思議
〇亀戸駅~寿老人(常光寺)~弁財天(東覚寺)~恵比寿神・大黒天(香取神社)~毘沙門天(普門院)~福禄寿(天祖神社)~布袋尊(龍眼寺)~亀戸天満宮松の内も今日で終わりだが、今年のお正月は、亀戸七福神を巡ってきた。七福神の寺社の門前には、紫に白抜きの「亀戸七福神」の旗が立っていたが、深川七福神のようにコースの道端にずらりと旗が並ぶ雰囲気はなかった。寿老人の常光寺。本尊は阿弥陀如来で「江戸六阿弥陀詣」の6番目の霊場でもある。弁財天の東覚寺。本尊は大日如来と阿弥陀如来だが、不動尊が有名らしい。亀戸七福神は、どれも大きなお寺や神社の一画に、添え物的な祀られ方をしていた。恵比寿神・大黒天の香取神社。かなり大きな神社で、スポーツ振興や勝負事の神様として人気を集めている。毘沙門天の普門院。伸び放題の草木、積もった落ち葉の...2025初詣・亀戸七福神巡り
〇三井記念美術館『唐(から)ごのみ:国宝雪松図と中国の書画』(2024年11月23日〜2025年1月19日)年末恒例の円山応挙筆『雪松図屏風』公開に加え、三井家歴代にわたり珍重された中国の書画および、それらに倣って日本で描かれた作品を紹介する。という展覧会の趣旨を、だいたい理解して行ったつもりだったが、冒頭が顔真卿筆『多宝塔碑』の拓本で、おお?となってしまった。そのあとも、王羲之や褚遂良の書跡の拓本が続く。新町三井家9代当主の三井高堅(みついたかかた、1867-1945)は中国の古拓本のコレクターで、その収蔵品は、聴氷閣本(ていひょうかくぼん)と呼ばれて世界的に名高い。ネット情報によれば、戦前の旧三井文庫で保管したもののうち大半はカリフォルニア大学バークレー校図書館に「聴氷閣文庫」として収蔵されているが、...憧れの拓本と中国絵画/唐ごのみ(三井記念美術館)
〇静嘉堂文庫美術館『平安文学、いとをかし-国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ』(2024年11月16日~2025年1月13日)新年の展覧会参観は本展から。平安文学を題材とした絵画や書の名品と、静嘉堂文庫が所蔵する古典籍から「いとをかし」な平安文学の魅力を紹介する。と言っても最初の展示室に並んでいた古典籍は、作品時代は平安文学でも、江戸時代の版本や南北朝・室町時代の写本が中心だったので、まあそうだよね~というゆるい気持ちで眺めた。その中で『平中物語(平仲物語)』は静嘉堂文庫本(鎌倉時代写)が現存唯一の伝本だという。『今昔物語集』は享保の版本が出ていて、室町時代には南都周辺で読まれていたらしいと解説にあった。『うつほ物語』『栄花物語』『大鏡』なども版本があって、江戸の出版文化すごいな、と思った。鎌...古籍、絵画、現代工芸/平安文学、いとをかし(静嘉堂文庫美術館)
今年の年末年始のカレンダーは9連休で、さらに私は年休を加えて10連休にした。遠くに出かける予定は入れなかったので、せいぜい近所をぶらぶらして、のんびり過ごしている。今日は、正月特別開館の深川江戸資料館で獅子舞が見られるというので行ってきた。江戸の街並みを復元した常設展示室が会場。時間になると、砂村囃子睦会の獅子舞の一行が現れて、一軒一軒、年賀の詞を添えて訪ね歩く。お囃子に乗って、獅子が首を振ったり背を伸ばしたりの演技を見せたあと、パパパン、パパパン、パパパン、パンの一本絞めで締める。顔役のおじさんが「この家はハワイに行ってて留守だったな」「ここは喪中だ」など小芝居を入れてくるのが楽しい。獅子は、家々だけでなく、井戸や厠や船着き場でも舞う。江戸の獅子舞は一人で演じる「一人立ち」の獅子である。それから火の見櫓...2025新年風景と深川江戸資料館
〇木村幹『韓国現代史:大統領たちの栄光と蹉跌』(中公新書)中央公論新社2008.8戦後、日本の植民地支配からの解放と米国の占領を経て、1948年に大韓民国が建国される。以後、60年間(本書の刊行まで)の韓国現代史を、個性豊かな大統領たちの姿を通じて描く。はじめに終戦の8月15日をどう迎えたかを、金大中、金泳三、尹譜善、李承晩、朴正熙の5人について検証し、以後も「政治的な節目」ごとに、4~5人(大統領就任前だったり、引退後だったり)の動向について語っていく。このほか、70年代以降に登場する李明博、廬武鉉を加え、最終的には7人が本書に取り上げられている。李承晩(1875-1965)は名前しか知らなかったので、1948年の大統領就任時にすでに73歳だったことに単純に驚いた。朝鮮王朝時代に開化派のホープとして期待...七人の大統領で知る/韓国現代史(木村幹)
〇『我是刑警』全38集(愛奇藝、中央電視台、2024年)大晦日に見終わったドラマ。おもしろかった~。ドラマは1990年代から始まる。平凡な若手警官だった秦川(于和偉)は、刑事捜査の資質を認められ、大学で法律を学び、職務に復帰したばかり。1995年1月、西山鉱山の事務所が強盗に襲われ、保安員ら十数名が殺害される事件が起きる。中昌省河昌市の警察隊は、1991年に彼らの同僚が殺害され、銃を奪われた事件との関連を疑う。まだ科学的な捜査設備の整わない中、過去の事件記録の読み直しと論理的な推論で徐々に犯人をあぶり出し、逮捕に至る。大きな功績を上げた秦川は、上司と衝突して、西山分局の預審科長(予審=被告事件を公判に付すべきか否かを決定すること?)で冷や飯を食うことになるが、この間にも大規模な食糧盗賊団を摘発するなど成果...あきらめない刑事たち/中華ドラマ『我是刑警』
〇「YuzuruHanyuICESTORY3rd“EchoesofLife”TOUR」埼玉公演ディレイビューイング(2024年12月14日13:00~、TOHOシネマズ日比谷)遅くなったけど書いておく。羽生結弦くんの単独公演「EchoesofLife」は、いま埼玉→広島→千葉を巡回中だが、埼玉公演の初日をディレイビューイングで見てきた。単独公演シリーズを見ることはちょっと躊躇があったのだが、今年4月にやはりディレイビューイングで見た「RE_PRAY」が文句なく素晴らしかったので、また見に行ってしまった。ストーリーの概要は、どこかで誰かが詳しく書いてると思うが、「人間」と「作られしもの」の戦争によって、生命体が死に絶えた世界。人間なのか非人間なのかよく分からない「NOVA(VGH-257)」という個体が目を...ICESTORY3rd“EchoesofLife”TOURディレイビューイング
年末の休日、友人に我が家の近所まで来てもらって、門前仲町で美味しいものを食べたり、ぶらぶら散歩したりした。ランチに選んだのは、PIZZERIAONDA(ピッツェリアオンダ)。「真のナポリピッツァ協会」の公認店であることを看板にしており、評判は聞いていたけど、期待以上だった。生ハムのサラダもイタリアンオムレツも美味しかったし、窯出しの焼き立てピザは最高。また誰かを誘って食べに来たいな~。それから、初詣の準備に余念がない深川不動堂や富岡八幡宮に参拝。不動堂の2階や4階に上がってみたのは初めて。4階の内仏殿には中島千波(1945-)の巨大な天井画『大日如来蓮池図』が飾られていた。どういうご縁なのか分からないが、中島千波画伯は、深川不動堂の信徒総代でいらっしゃるらしい。少しお腹がこなれたところで「いり江」でひと休...門前仲町でイタリアン&甘味
■サントリー美術館『儒教のかたちこころの鑑-日本美術に見る儒教』(2024年11月27日~2025年1月26日)理想の君主像を表し為政者の空間を飾った豪華な障壁画から、庶民が手にした浮世絵まで、儒教のメッセージを宿した日本美術の名品を紹介する。英一蝶など、主に江戸の絵師が描いた孔子像がいくつか出ていたが、帝王の衣裳をまとった袞冕像など、いずれも華やかで、コスプレ孔子様だな、と苦笑してしまった。足利学校の聖廟に祀られているという彫刻の孔子像は、ちょっと人麻呂像に似ていなくもない。かつて名古屋城の二之丸庭園内の聖廟に祀られていた聖像セットは、祠堂のかたちの厨子の中に、周公旦、孔子、堯、舜、禹の5像を納める。15センチくらいの小像だが、堯は純金、他は青銅に鍍金したものだという。キラキラして美しかった(現在は徳川...2024年12月展覧会拾遺の拾遺
この季節、一般家庭と思われるのに、恐ろしくクリスマスのイルミネーションに力を入れていいる住宅を発見することがある。むかし、通勤先だった武蔵嵐山にもあった。今の住まいの近くにも、住宅街の細い路地を入ったところに、毎晩キラキラ電飾を光らせているお宅がある。その一角に用事がなければ通らないような道なので、見る人が少なくて勿体ないが、そんなことは関係ないのだろうか。毎年、このお宅は、律義に12月25日が過ぎるとイルミネーションを消してしまうのである。今日も覗いたら暗い夜道に戻っていた。さて本格的に年末である。明日は年休を取ったので、今日で仕事納め。今年もよく働きました。2024歳末風景
そろそろ年末の棚卸し。■半蔵門ミュージアム特別展『小川晴暘と飛鳥園100年の旅】(2024年9月11日〜11月24日)今年の春、奈良県立美術館で開催されているのを見逃してしまったなあと思っていたら、東京に巡回してきてくれたので見に行った。飛鳥園の創業者で仏像写真の第一人者・小川晴暘(1894-1960)とその息子光三(1923-2016)の作品、さらに光三に師事し、現在飛鳥園に所属して撮影を続ける若松保広(1956-)の作品を紹介する。彼らの仏像写真が素晴らしいのはもちろんだが、創業当時の飛鳥園の店先など、歴史を伝える記録写真も面白かった。■神奈川県立歴史博物館特別展『仮面絢爛-中世音楽と芸能があらわす世界-』(2024年10月26日~12月8日)神奈川と深く関わる仮面や、中世の武士たちが親しんだ仮面の数...2024年11-12月展覧会拾遺
〇出光美術館日本・トルコ外交関係樹立100周年記念『トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵名宝の競演』(2024年11月2日~12月25日)休館前の最後の展覧会は、日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して100周年を迎えた本年にあたり、両国の友好を記念する特別展。冒頭にはトルコのトプカプ宮殿を彩った工芸品、金銀や宝石をふんだんに使った香炉や水指し、コーヒーカップなどが並ぶ。華麗で愛らしくて、高級チョコレートのパッケージを思わせるものが多かった。驚いたのは水晶製の水指しおよび蓋付きカップ。完全に透き通っているので、どう見てもガラスだろうと思ったら、一塊の水晶を加工したものだという。また乳白色の玉から、複雑な浮彫り・透かし彫りのある鉢や皿を彫り出したものもあって、これは産地が中国になっていた。実はトプカプ宮殿には、...しばらくお別れ/トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵名宝の競演(出光美術館)
〇松岡美術館『中国陶磁展うわぐすりの1500年』『伝統芸能の世界-能楽・歌舞伎・文楽-』(2024年10月29日〜2025年2月9日)この数年、同館には足繫く通っている。特に中国美術関係の展覧会はおもしろいものが多い。本展は、後漢から明までのおよそ1500年間における陶磁器を、うわぐすり、つまり釉薬に着目して展観する。はじめに「低火度釉」と「高火度釉」という分類を紹介し、低火度釉から見ていく。後漢時代の緑釉の壺と酒尊が出ていたが、どちらもあまり緑が鮮明でない。と思ったら、緑釉には、一定の条件の土中で長い年月をかけて風化すると「銀化」という現象が起こるそうで、これが緑釉陶器の見どころの1つなのだという。北斉(6世紀)後期から白釉陶器が登場する。『三彩蓮弁八耳壺』は、背の高い宇宙船みたいなかたちで、白地に茶色...色とかたちの新鮮さ/中国陶磁展(松岡美術館)
中国&中華料理好きの友人と「過橋米線秋葉原店」で食事をしてきた。今年2月にも、同じ友人と同じ店に行っているのだが、寒い日が続くので、雲南伝統の「気鍋鶏」で暖まりたかったのである。メニューでは「スズキの雲南風付け」になっているのだが、いわゆる清蒸かな。大きなスズキを二人で食べて、もうお腹いっぱい。ほかにも素朴で美味しい料理が次々にテーブルに並んだ。仕上げの過橋米線。お店はサラリーマンふうのグループで満員だった。次回はコースでなくて一品も試してみたい。秋葉原で雲南料理2024
〇横須賀美術館企画展『運慶展運慶と三浦一族の信仰』(2024年10月26日〜12月22日)2022年に特別展『運慶鎌倉幕府と三浦一族』を開催した横須賀美術館で、また運慶展が開催されていると聞いたときは、ちょっと戸惑った。しかしまあ。運慶と言われれば、行かないわけにはいかないので、出かけてきた。その前に、12月1日(日)に「ニコニコ美術館」でこの展覧会が取り上げられた。朝8時から横須賀美術館の『運慶展』の紹介があり、夜19時から金沢文庫の『運慶-女人の作善と鎌倉幕府-』(2024年11月29日~2025年2月2日)の紹介があったので、どちらも視聴した。なお今回の運慶展は、鎌倉国宝館の特別展『鎌倉旧国宝展-これまでの国宝、これからの国宝-』に付随する特集展示『鎌倉の伝運慶仏-教恩寺阿弥陀如来及び両脇侍立像修理...浄楽寺の運慶仏出開帳/運慶展(横須賀美術館)
〇『追風者』全38集(愛奇藝、2024年)1930年代の中国、国民党と共産党の抗争を背景に、金融業界に進んだ青年の奮闘と成長を描く。日本でも人気の王一博の主演ドラマなので、すでに日本でも配信・放映されているらしい。会計学校を卒業した苦学生の魏若来(王一博)は、上海で中央銀行への就職を目指していた。試験の成績は抜群だったが、共産党の革命拠点のある江西省出身であることが難点となった。しかし中央銀行の高級顧問である沈図南(王陽)は、若来の才能を惜しみ、私人助理(私設秘書)として身近に置き、金融業を学ばせる。若来もよく期待に応え、二人は師弟の交わりを結ぶ。あるとき、若来の兄・若川が上海に現れるが、彼は共産党の地下党員となっていた。そして共産党員の摘発を任務とする偵緝隊(警察隊)に見つかり、命を落とす。若来は兄がや...193年代の金融抗争/中華ドラマ『追風者』
〇白石典之『元朝秘史:チンギス・カンの一級資料』(中公新書)中央公論新社2024.5『元朝秘史』という書物の存在は知っていたが、具体的な内容は知らなかった。なので「はじめに」と序章の紹介を読みながら、へえ!へえ!と唸ってしまった。この書のおおまかな骨子ができたのは13世紀中頃の可能性が高く、『元朝秘史』は14世紀末の漢訳本に用いられた題名である。本文は漢字音写されたモンゴル語(万葉仮名を思わせる)で、傍らに漢訳が付いている(序章の冒頭に原文の紹介ある)。この「漢字音写モンゴル語」は、モンゴル語独特の発音を表現するため、様々な工夫をしており、言語学的にも興味深い。また、失われた『元朝秘史』のモンゴル語原本が、ウイグル式モンゴル文字とパスパ文字のどちらで書かれていたかには議論があるという。『元朝秘史』の記述は...モンゴルの英雄物語/元朝秘史(白石典之)
3泊4日の奈良出張から帰宅。連日、新大宮駅最寄りの奈良コンベンションセンターに詰めていたので、ほとんど観光はできなかった。この施設は2020年4月開業。エントランスホールで入待ち構えているのは、彩色の巨大な多聞天像。2016年から冬季の観光振興のため、毎年1月、平城宮跡で開催されてきた「奈良大立山まつり」で使用されてきたもので、籔内佐斗司氏のデザインによる。四天王像は、コンベンションセンターのほか、なら歴史芸術文化村(天理市)、道の駅大和路へぐりくまがしステーション(平群町)、橿原文化会館(橿原市)に展示されているという。「奈良大立山まつり」は廃止が決定したというが、この四天王はちゃんと保存されますように。※奈良新聞デジタル:奈良県が「大立山」4基の活用検討へ奈良ちとせ祝ぐ寿ぐ(ほぐほぐ)まつり廃止で(2...2024年12月:奈良出張
土曜日、今年も幡ヶ谷のラベイユ四季という花屋さんで、手作りのクリスマスリースを買ってきた。事前に最近の購入履歴を見て、今年はナチュラルな緑のリースがいいなと思っていたので、これにしたが、かなり小ぶりなタイプで税込み3,080円だった。地味なので、リボンは自分で飾ってみた。この日は吉祥寺に出て、キチジョウジギャラリーで開催中の「さっぽろペンギンコロニーin東京2024」も覗いてきた。主に札幌で活動中のクラフト作家によるペンギンクラフトマーケットである。私は、2018年の東京、2019年の札幌を訪ねてお買いものをしている。2020年の東京は、コロナ禍で途中中止になって、私は行けなかったのだ。あれから4年。小さなギャラリーに入ると、かわいい子たちがわちゃわちゃと目に入るのだが…。結局、最初に目についたこの子をお...クリスマスリース2024とペンコロ東京2024
〇江東区文化センタ-令和6年12月文楽公演第1部(2024年12月8日、11:00~)国立劇場が休館になって以来、さまざまな劇場を代替に継続している東京の文楽公演。今季は、地元の江東区文化センタ-で開催されるというので、喜んで見て来た。私の江東区民歴はもうすぐ8年になるが、江東区役所の裏にある文化センタ-には初訪問である。・『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)・渡し場の段』いわゆる道成寺もの。船頭から安珍の不実を聞かされた清姫は、怒りのあまり、蛇身となって川を泳ぎ渡る。人形ならではの大胆な変身ぶりが見もの。舞踊『京鹿子娘道成寺』の衣裳は赤い着物に黒い帯だが、本作の清姫は黒い着物(下に緋色の襦袢?)に赤い帯。蛇身のときは白一色で長い尾のような布を後ろに翻す。これ、筋書によると、山伏・安珍の正体は桜木...昭和の新作を楽しむ/文楽・瓜子姫とあまんじゃく、金壺親父恋達引など