14. なぜ失敗した
目次

これまでのあらすじ
笑気麻酔を世に広めようとした
歯科医ウェルズは、
ハーバード大学医学部で
公開実験を行った。
しかし、その実験は失敗し、
医学生たちにバカにされながら
故郷に逃げ帰った。


失敗した理由 1
一つ目の理由は
ウェルズが
ボストンという不慣れな地で
公開実験を
しなければならなかったことである。
彼は不安と緊張の中、
自分に疑いの目を向ける
聴衆たちに囲まれて実験をした。

失敗した理由 2


なお、彼の公開実験は
完全に失敗したわけではなかった。
たしかに抜歯を受けた患者は
痛みを感じはしたが、
通常の抜歯ほど痛くはなかったと
のちに証言している。

失敗した理由 3
三つ目の理由は
ウェルズがたった一人で
公開実験に臨んだことである。
後になって分かったことだが、
歯科医が一人で
笑気ガスを操作しながら
抜歯を行うことなど不可能で、
必ず助手が必要だった。
しかし、ウェルズは一人で実験を行い、
ウェルズの弟子だったモートンは
実験を手伝うことはせずに
講堂の片隅で
ウェルズの実験を見学していた。

結論
このような理由から、
ウェルズが公開実験に失敗したのは
むしろ必然だったのかもしれない。
だが、
彼の失敗を見た医学生たちの目には、
ウェルズはインチキをした
「ヤブ医者」として映った。

もはやウェルズに
釈明の余地はなかったのだった。