倖田來未は2000年に「TAKE BACK」でデビューした女性ソロアーティスト。2000年中盤頃にブレイクし、以降2010年代前半にかけてヒット曲を大量輩出した。
倖田來未がブレイクした2000年代後半はダウンロード購入が楽曲視聴方法の主流であったため、楽曲人気は主にダウンロード売上を通じて把握できる。倖田來未の累計フル配信ダウンロード売上は865万となっており、これは歴代9位記録である。*1。
ここではこうしたデジタル指標を参照しながら倖田來未のヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、倖田來未の人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)
2000年-2006年 ~CD売上全盛期~
倖田來未がブレイクした2000年代中盤は、音楽の聴き方がCD購入からダウンロード購入へ徐々に移行していたタイミングで、この時期にブレイクしたアーティストは、売上がCDとダウンロードで票割れするケースが多かった。倖田來未の場合も、CD売上だけでなく、ダウンロード売上でも顕著な実績を残した。
デビューから2006年までに発売された楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

下積み期からブレイクまで
倖田來未はデビュー後数年間ヒット作に恵まれず、下積みを重ねることになる。初のヒット作は、デビューから2年3ヶ月が経過した2003年3月に発売された7thシングル『real Emotion/1000の言葉』。両曲ともにゲーム『FINAL FANTASY X-2』のテーマソングとして起用されたことから楽曲が普及し、両曲がフル配信10万ダウンロードを記録した。
ただ、「real Emotion」のヒットはタイアップに依るところも大きかったほか、本人のTV出演が当時の事務所の方針で抑えられていたこともあって、倖田來未の知名度上昇への寄与度は限定的なものに留まった。
倖田來未の知名度上昇のきっかけとなった曲が「キューティーハニー」である。本曲は前川陽子が歌っていた1970年代の同名アニメ主題歌をカバーしたもので、2004年に公開された実写映画の主題歌に起用された。既に原曲の知名度は広く浸透していたが、TV出演時の露出度の高い衣装などが話題となり、この曲が自らの代名詞「エロかっこいい」のイメージを作り上げることに寄与した。
この曲は2004年5月発売の4曲A面シングル『LOVE & HONEY』の1曲目に収録されているが、初出は2004年2月発売の3rdアルバム『feel my mind』で、実はシングルカットされたナンバーである。シングルのヒットを受けて、2005年2月発売の4thアルバム『secret』に再収録されている。各指標の累計はフル配信10万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを記録した。
倖田來未-KODA KUMI-『キューティーハニー』~ 20th Year Special Full Ver. ~
他に2004年までに発売された楽曲では、9thシングル『Gentle Words』のc/w「最後の雨」(中西保志のヒット曲のカバー)、10thシングル「Crazy 4 U」、3rdアルバム収録曲「Rain」がフル配信10万ダウンロードを記録している。
日本レコード大賞受賞と12週連続リリース
2005年に入ると勢いを増し、1月に発売されたアルバム先行シングル「hands」はフル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録した。
6月には16thシングル「Butterfly」を発売。アルバムのヒットを受けて本作にも注目が集まり、フル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを記録した。また、本曲で2005年の日本レコード大賞を受賞している。他のノミネート作品と売上実績を比べると、必ずしも納得できる結果ではなかった*2が、上記のとおり全くヒットしていないわけではなく、自身の知名度を大きく上昇させた楽曲となった。
倖田來未-KODA KUMI-『Butterfly』~ 20th Year Special Full Ver. ~
なお、本作のc/w「大切な君へ」もライブでよく披露される人気曲となっており、フル配信10万ダウンロードを記録している。
8月には17thシングル「flower」が着うた50万ダウンロードをセールス。
9月にはベストアルバムの先行シングル『Promise/Star』を発売し、1曲目の「Promise」がフル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録した。この2週間後に発売された自身初のベストアルバム『BEST 〜first things〜』は前述のレコード大賞受賞や後述する12週連続リリースなど年末年始にかけて話題が途絶えなかったことからミリオンセラーを記録する大ヒットとなった。
そして2005年12月からは前代未聞の12週連続CDシングルリリースを開始した。その幕開けとなる第一弾シングル「you」はフル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを記録。前述のレコード大賞受賞もあり、年末年始にかけて話題をかっさらうこととなった。
倖田來未-KODA KUMI-『you』~ 20th Year Special Full Ver. ~
実は12週連続リリースのうち9枚は5万枚限定生産盤とされていたため、それらの売上は当然ながら5万枚以内のセールスとなった。これらを全てほぼ完売させたことからは、倖田來未の大きな旋風が感じられた一方、CD売上を見るだけでは9曲のうちどの曲が人気なのか分からないというデメリットもあった。しかし、ダウンロード販売では限定措置は取られなかったため、ダウンロード売上の売れ行きでこれらの楽曲の人気を把握することができる。9曲のうちデジタル人気を示したのは、フル配信10万ダウンロードを記録した「Lies」と、フル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録した「WIND」の2曲であった。
限定とされなかった3枚のシングルのうち「you」以外の売上は、「No Regret」がフル配信25万ダウンロード、着うた50万ダウンロード。連続リリースの最後を飾ったシングル『Someday/Boys♥Girls』からは1曲目の「Someday」がフル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを記録した。
2006年3月には12週連続リリースされた楽曲をまとめたベストアルバム『BEST 〜second session〜』をリリースした。
アルバム『Black Cherry』リリース
12週連続リリースの成功で倖田來未の売上はベースアップし、5月に発売された31stシングル「恋のつぼみ」はフル配信25万ダウンロード、着うた200万ダウンロードを記録した。着うた売上はこれが自身最多記録となるほか、2006年リリース曲で唯一年内にダブルミリオンに到達している。こうした動向から、当ブログではもし総合ヒットチャートが当時存在していれば「恋のつぼみ」が年間1位になっていてもおかしくなかったと推定している。
本曲は片想いの恋心をキュートな関西弁で綴った歌詞が支持された。最高視聴率19%を記録したドラマ『ブスの瞳に恋してる』の主題歌に起用されたことも楽曲の普及を後押しした。
倖田來未-KODA KUMI-『恋のつぼみ』~ 20th Year Special Full Ver. ~
7月には4曲A面シングル『4 hot wave』を発売。本作は全曲タイアップ付きの4曲収録という豪華な内容であったこともあり、サウンドスキャンCDシングルチャートでは1位常連のKinKi Kidsを抑えて週間1位を獲得するほどのCDセールスとなった。
一方で、本作のCD売上を見ても4曲のうちどの楽曲が最も人気なのかが分からない状況となっていた。しかし、単曲ごとの購入が可能なダウンロード売上なら、楽曲ごとの売れ行きで人気を把握することができた。4曲のうちデジタル人気を示したのは、フル配信10万ダウンロードを記録した「人魚姫」と、着うた75万ダウンロードを記録した「I'll be there」であった。
「I'll be there」はエフティ資生堂『2006 SEABREEZE』のCMソングとしても親しまれた爽やかなサマーチューンになっており、オーストラリアの世界遺産に登録されているフレーザー島の美しい海で撮影されたMVも強い印象を残した。
10月には33rdシングル『夢のうた/ふたりで…』を発売。デジタル指標では、「夢のうた」がフル配信25万ダウンロード、着うた100万ダウンロード、「ふたりで...」がフル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録した。
11月にはEXILEとコラボしてバブルガム・ブラザーズの代表曲「WON'T BE LONG」をEXILE & 倖田來未名義でカバーし、フル配信25万ダウンロード、着うた100万ダウンロードをセールスした。
12月にはアルバム先行シングル『Cherry Girl/運命』を発売。デジタル指標では「Cherry Girl」がフル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロード、「運命」がフル配信25万ダウンロード、着うた100万ダウンロードを記録した。
年末には5thオリジナルアルバム『Black Cherry』を発売。収録曲のうち、『ウイダー プロテインバー』のCMソングに起用された「Candle Light」がフル配信10万ダウンロードを記録している。
2007年- ~ダウンロード売上全盛期~
一般的に倖田來未の全盛期は、CD売上がピークになっていた2005年から2006年とされることが多い。確かに2007年以降はCD売上が減少した。しかしこれはCD市場縮小という外的要因も大きく、デジタル市場は逆に拡大の一途を辿っていた。倖田來未のダウンロード売上もCD売上に反比例して上昇し、2006年までの発売曲で達成できていなかった50万以上のフル配信ダウンロード売上を記録する曲が3曲も誕生することとなった。
2007年以降の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

「愛のうた」ミリオンヒット
2007年3月には、アルバム『Black Cherry』大ヒット後初のシングル『BUT/愛証』を発売。デジタル指標では「BUT」がフル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロード、「愛証」がフル配信25万ダウンロードを記録している。
6月には36thシングル「FREAKY」を発売し、フル配信10万ダウンロードを記録。シングルのc/w「girls」もフル配信10万ダウンロードを売り上げた。
そして2007年9月には大ヒット曲が誕生した。37thシングルとして発売された「愛のうた」は、フル配信100万ダウンロード、着うた100万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録。特にフル配信ダウンロード売上は自身最多記録となった。その売上推移は以下のとおりである。
- 配信開始から3週間で早くも25万ダウンロード突破
- 3年4ヶ月後の2011年1月に75万ダウンロード突破
- 5年4ヶ月後の2013年1月に85万ダウンロード突破
- 配信開始から8年後の2015年9月にミリオン達成
見てのとおり、2007年のうちに25万ダウンロードを記録し、その後は非常に長い年月をかけてミリオンに到達した。長きに渡り楽曲を買い求める人が途絶えなかった大人気曲であることが読み取れる。楽曲は女性目線のラブバラードとなっており、愛する人への想いをストレートに表現した歌詞や、それを歌い上げる倖田來未の確かな歌唱表現力などが支持を集めた。
倖田來未-KODA KUMI-『愛のうた(album version)』~ 20th Year Special Full Ver. ~
11月には38thシングル「LAST ANGEL feat.東方神起」がフル配信10万ダウンロードをセールスした。
2008年1月にはアルバム先行シングル「anytime」を発売し、フル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを記録した。
「Moon Crying」75万ヒット
2008年6月には、4曲A面シングル『MOON』を発売。収録曲のうち実質的なリード曲として扱われた「Moon Crying」はフル配信75万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを売り上げた。特にフル配信ダウンロード売上は「愛のうた」に次ぐ自身2位を記録した。その売上推移は以下のとおり。
- CD発売2週間前の5月末からフル配信ダウンロード販売がスタート
- 配信開始から1ヶ月後の2008年6月に10万ダウンロード突破
- 10ヶ月後の2009年4月に50万ダウンロード
- 4年7ヶ月後の2013年1月に60万ダウンロード
- 配信開始から5年7ヶ月後の2014年1月に75万ダウンロード達成
CD販売よりダウンロード販売が先行したものの初動は「愛のうた」と比べ決して多くはない。にもかかわらず、10ヶ月かけて「愛のうた」以来自身2曲目となる50万ダウンロード到達に漕ぎ着け、その後も徐々に売上を伸ばして最終的な売上は75万ダウンロードとなった。
この曲も「愛のうた」と同様の珠玉のラブバラードだが、内容は愛する人との死別で悲しみに暮れるという泣きのナンバーで、持ち前の歌唱力で感情移入させ引き込まれる楽曲に仕上がっている。最高視聴率14%を記録したドラマ『パズル』の主題歌に起用されたことも楽曲の普及を後押しした。
倖田來未-KODA KUMI-『Moon Crying』~ 20th Year Special Full Ver. ~
2008年10月には41stシングル「TABOO」を発売し、フル配信25万ダウンロードを記録。
12月には42ndシングル「stay with me」を発売し、フル配信25万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録した。また、本曲は2008年より発足した新たな音楽チャート『Billboard JAPAN Hot 100』で自身初となる週間1位を獲得している。
3月には、実の妹で、バンドday after tomorrowのボーカルであるmisonoとの姉妹コラボが実現。倖田來未×misono名義でリリースした「It's all Love!」がフル配信25万ダウンロードを記録した。Billboard JAPAN Hot 100でも週間1位を獲得している。
7月には3曲A面シングル『3 SPLASH』を発売。3曲のうち、イントロを除く1曲目に収録された「Lick me ♥」がフル配信25万ダウンロードを記録した。
「好きで、好きで、好きで。」50万ヒット
2010年7月には、毎年夏の発売が半ば恒例と化していた4曲A面シングル『Gossip Candy』を発売。4曲のうち、1曲目に収録されていた「Lollipop」が「Lick me ♥」以来となるフル配信25万ダウンロードを記録した。
9月には、両A面シングル『好きで、好きで、好きで。/あなただけが』を発売。この2曲は目立ったヒットとなり、「好きで、好きで、好きで。」がフル配信50万ダウンロード、「あなただけが」がフル配信25万ダウンロードを達成した。「好きで、好きで、好きで。」の売上推移は以下のとおり。
- CD発売1週間前からフル配信がスタート
- 配信開始から2週間で10万ダウンロード突破
- 1ヶ月後の2010年10月に25万ダウンロード突破
- 配信開始から3年4ヶ月後の2014年1月に50万ダウンロード達成
見てのとおり、発売から僅か1ヶ月で25万ダウンロードを突破する人気ぶりとなり、この勢いが効いて最終的に自身3曲目となる50万ダウンロードを達成した。
楽曲はやはり「愛のうた」「Moon Crying」と同系統の聴かせるラブバラード。本人が出演したKracie『いち髪』のCMソングやAbemaTV配信連続ドラマ『奪い愛、夏』挿入歌など、複数のタイアップが付いたことも楽曲の普及を後押しした。
倖田來未-KODA KUMI-『好きで、好きで、好きで。』~ 20th Year Special Full Ver. ~
「め組のひと」TikTokでブームに
2010年10月には自身初のカバーソング集『ETERNITY〜Love & Songs〜』を発売。収録曲のうち、郷ひろみが1994年に発売したヒット曲「言えないよ」のカバーが発売から6年4ヶ月後の2017年2月にフル配信10万ダウンロードを記録するなど、一部楽曲は人気を得ていた。
そして、2018年になるとこのアルバムのある収録曲が突如脚光を浴びることとなった。ラッツ&スターが1983年に発売したヒット曲「め組のひと」のカバーである。発売から約8年でヒットした理由は、2018年当時台頭してきていたTikTokの存在にある。短時間でインパクトのある振り付けや歌唱パートがある本曲はTikTokとの相性が良く、主に女子高生の間でインフルエンサーの投稿を通じて人気が広がった。売上は2019年2月になってフル配信10万ダウンロードを突破している。
倖田來未-KODA KUMI-『め組のひと』~ 20th Year Special Full Ver. ~
2011年2月にはアルバム先行シングル「POP DIVA」を発売し、フル配信10万ダウンロードを記録。
8月には恒例の夏曲4曲入りシングル『4 TIMES』を発売。収録曲のうち、イントロを除く1曲目に収録されている「Poppin' love cocktail feat.TEEDA」がフル配信10万ダウンロードを記録した。
9月にはこれも毎年秋の発売が恒例となっていたラブバラード「愛を止めないで」を発売し、フル配信25万ダウンロードを記録した。
11月には、最高視聴率18%を記録したドラマ『謎解きはディナーのあとで』の主題歌「Love Me Back」を発売し、フル配信10万ダウンロードを記録。
2012年は産休に入ったが、秋口に復帰。復帰2作目のシングル「恋しくて」は得意のラブバラードだったこともあり、フル配信10万ダウンロードを記録するヒットとなった。
この「恋しくて」が今のところデジタル市場で人気を示した最後のヒット曲となっているが、以降も安定した活動が続いている。前述の「め組のひと」への注目など定期的に過去作品へのスポットも当たっており、今後一層の精力的な活動が期待される。
まとめ
以上まで見てきたとおり、倖田來未は2000年代中盤から2010年代前半にかけてヒット曲を大連発していた。特筆すべきは、「エロかっこいい」が代名詞となってはいるものの、ダウンロード売上の最上位楽曲は歌唱表現力を存分に活かしたラブバラードナンバーとなっていることである。決して見た目のインパクトだけで人気を得ているわけではないことをデジタル人気データは語っている。もちろんダンスナンバーも外せない魅力の一つであり、「め組のひと」が2018年になって支持されたことはその証といえるだろう。
ここで紹介したヒット曲を手元に所有したい場合は、入り口としてベストアルバム『BEST 〜2000-2020〜』がおすすめ。
この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。
