AIは2000年に「Cry, just Cry」でデビューした女性ソロアーティスト。2005年にブレイクし、以降2010年代に入ってもコンスタントにヒット曲を輩出し続けた。
AIがブレイクした2000年代中盤はダウンロード市場が普及し始めていた時期だったため、楽曲人気は主にダウンロード売上を通じて把握できる。AIの累計フル配信ダウンロード売上は395万で歴代28位となっている。また、2020年代以降に新たな楽曲人気指標として台頭したストリーミング再生回数においても一定の規模を記録している。
ここではデジタル指標を参照しながらAIのヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、AIのデジタル人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)
上表をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

-2005年 ~「Story」~
AIは早くから歌手を志し、アメリカのスクールに通いながら実力を蓄え、2000年に日本でデビューを果たした。最初から一気に売れたわけではないが、次第にその実力が認知されるようになっていき、2004年には前年発売のシングル「Thank U」がSPACE SHOWER MUSIC AWARDSのBEST R&B VIDEOを受賞するなどの活躍を見せていた。
特大ヒット曲が誕生したのは2005年。12thシングルとして発売された「Story」である。本曲は大切な人との絆を歌詞に乗せたバラードナンバー。親族や恋人、親友など幅広いシチュエーションの愛に当てはめて「大切な人がいることの心強さ」を感じることができたことや、培われた歌唱力が低中音域に至るまで存分に活かされたバラードだったことから多くの人の心に響いていき、フル配信200万ダウンロード、着うた300万ダウンロード、ストリーミング1.6億再生、MV6,000万再生を記録した。このうちフル配信ダウンロード売上推移は以下のとおり。
- CDリリースから9ヶ月後の2006年2月にフル配信ダウンロード販売開始
- 2006年12月に35万ダウンロード突破
- 2008年4月に60万ダウンロード
- 2008年12月に75万ダウンロード
- 2009年9月にミリオン達成(着うたフル75万+PC配信25万)
- 2011年4月に125万ダウンロード
- 2017年6月にダブルミリオン達成
2008年までは特に追加のタイアップがなかったにも拘わらず、1年25万ペースで売上を重ねていき、2009年9月にはミリオンに到達。背景にはカラオケの定番曲の座を獲得したことも大きいと思われる。
2009年以降はこの息の長い人気が徐々に脚光を浴びるようになり、2009年には本人が出演するレコチョクの部屋『AI』篇のCMソング、翌2010年には浅田真央が出演する森永製菓のゼリー飲料ウイダー『夢をかなえる力・浅田真央』CMソングに起用されるなど、メディアに楽曲が使用される機会が増えていく。2011年には125万ダウンロードに到達した。
その後も楽曲への注目は衰えず、2012年にはニンテンドー3DS用ソフト『リズム怪盗R 皇帝ナポレオンの遺産』のエンディングテーマに、2014年末には映画『ベイマックス』の日本版エンディングテーマに本曲の英詩バージョンが起用された。特に映画は興行収入91億円を記録するヒットになり、この効果によって翌2015年のBillboard JAPAN Hot 100では年間77位にチャートインするリバイバルヒットとなった。ビルボードの指標別順位が分かるChart Insightでは、2014年末から翌年始にかけてダウンロード売上が急回復したことが可視化されている。

このように楽曲人気が非常に長い間に渡って注目を浴び、語り歌い継がれたことで幅広い世代に楽曲が届き、2017年にダブルミリオンを突破するに至った。国内で200万ダウンロード以上を売り上げた楽曲は歴代で9曲しかない。まさに平成を代表するヒット曲である。
2006年-2010年
2006年4月には「Story」に続く13thシングル「Believe」が発売された。この曲は最高視聴率17%を記録したドラマ『医龍-Team Medical Dragon-』の主題歌に起用されたこともあって支持され、フル配信10万ダウンロード、着うた100万ダウンロードを売り上げた。本曲はパワフルでありながらも優しいボーカルと癒やしのメロディーがマッチする楽曲になっている。
2007年は、7月に発売された15thシングル『I'll Remember You/BRAND NEW DAY』の1曲目「I'll Remember You」が『audio-technica』のCMソングに起用され、フル配信10万ダウンロードを記録した。
2008年は、6月に発売された17thシングル「大切なもの」が海外ドラマ『HEROES』の日本版主題歌とAIU保険会社『がんばれ! ニッポン! プロジェクト』CMソングに起用され、フル配信10万ダウンロードを記録した。
2010年は、3月に発売された20thシングル「FAKE feat. 安室奈美恵」がフル配信10万ダウンロードを記録した。安室奈美恵とは以前より交流があり、2003年と2006年に既にコラボレーションが実現していたが、今回初めてAI名義でのコラボとなったことや、安室奈美恵が再ブレイクを果たしていたことから話題を集めた。
2011年-2012年 ~「ハピネス」~
2011年にはEMIミュージック・ジャパンへの移籍があり、12月には移籍第一弾となる24thシングル『ハピネス/Letter In The Sky feat.The Jacksons』をリリースした。この1曲目に収録されている「ハピネス」はコカ・コーラクリスマスキャンペーンCMソングとして普及。自然と元気が出るようなリズムや、人と繋がっていることの幸せを綴った歌詞が支持を受け、フル配信75万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV3,000万再生を記録した。フル配信ダウンロード売上推移は以下のとおり。
- 2011年12月に20万ダウンロード突破
- 2012年2月に35万ダウンロード
- 2012年3月に50万ダウンロード
- 配信開始から1年1ヶ月後の2012年12月に75万ダウンロード達成
見てのとおりリリースから4ヶ月で50万ダウンロードを超える自己最高ペースの初動を見せ、その勢いで2012年の冬に75万ダウンロードに到達した。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2012年の5位を獲得した。
楽曲の普遍性から本曲にスポットが当たる機会は多く、2013年までは毎冬リパッケージされたCDが発売されいたほか、2020年には新型コロナウィルスの拡大で落ち込みがちな世相を励ますべく『COUNT DOWN TV』などで楽曲を披露する機会が増加した。
2013年以降
2013年以降もヒット曲が輩出されている。2013年2月に25thシングルとしてリリースした「VOICE」は最高視聴率13%を記録したドラマ『夜行観覧車』に起用されたこともあり、フル配信25万ダウンロードを記録した。
2013年4月には配信限定シングル「ママへ」をリリース。ロッテ『ガーナミルクチョコレート』のCMソングに起用されたこともあり、フル配信10万ダウンロードを記録した。
2016年には、フォークダンスの定番曲として広く普及している「オクラホマミキサー」に日本語詞をつけてゴスペル調にアレンジした「みんながみんな英雄」を配信限定シングルとして発売。au『三太郎シリーズ』のCMソングに起用されたことで人気となり、フル配信25万ダウンロードを記録した。この曲は当初CM用に制作されたショートバージョンしか存在しなかったが、反響を受けて「みんながみんな英雄 (フルバージョン)」も制作され、こちらもフル配信10万ダウンロードを記録した。
その後も妊娠・出産を経験しながら活動が継続しており、定期的に歌番組にも出演している。2021年には、NHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の主題歌に起用された「アルデバラン」がフル配信10万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録するヒットとなった。
まとめ
AIの楽曲は、人との繋がりがあることの幸せを思い出させてくれる歌詞や卓越した歌唱表現力などによって、多くのリスナーに届き心を動かしていた。その存在感の大きさはデジタル指標が証明しており、CD売上だけを見て人気を過小評価することのないようにしたい。
これらのヒット曲を手元に所有したい場合は、2016年にリリースされた『THE BEST DELUXE EDITION』がおすすめ。
この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。
【参考】AIの人気楽曲ランキング(バージョン違い合算版)
本記事で示したデジタル人気楽曲ランキングには、同一楽曲が複数バージョンでランクインしているケースもあるが、当該売上・再生回数を合算して取り扱った場合の人気楽曲ランキングも、最後に参考として掲載する。

