Adoは2020年に「うっせぇわ」でメジャーデビューした女性ソロアーティスト。この曲でいきなり大ブレイクを果たし、以降もヒット曲を大量輩出している。
本記事では、現代の主要楽曲人気指標であるストリーミング再生回数、MV再生回数、ダウンロード売上の3指標を参照し、Adoのヒット史を追っていく。当ブログ独自の計算式により作成した、Adoの人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)
上記で挙げた楽曲をリリース順で並べた表も以下に示す。

2020年~2021年 -『狂言』-
Adoはデビュー前から歌い手として活動しており、顔出しはしていないながらも、YouTubeにボカロ楽曲の歌ってみた動画を投稿するなどしていた。このうち2020年6月に投稿した柊キライ「ボッカデラベリタ」の歌ってみた動画はMV4,000万再生を突破している。こうした活躍が注目され、2020年10月にメジャーデビューする運びとなった。
そのデビュー曲「うっせぇわ」はボカロPのsyudouが作詞作曲を手掛けた。圧倒的な歌唱表現力やタイトルを連呼するサビ、賛否両論を喚起する歌詞はインパクト抜群であり、アニメ仕様のMVの人気も相まってYouTubeではリリース当初から好調な再生回数を稼いでいた。
本格的に人気に火が付いたのは2021年1月。急逝した人気YouTuberうごくちゃんの遺作として公開された歌ってみた動画が反響を呼んだことでチャートアクションがギアアップし、2021年3月にはBillboard JAPAN Hot 100で自身初の週間1位を獲得するまでに至った。以降も、顔出しをしないスタイルながらも多くの音声インタビューに応じるなど各メディアで特集が組まれたことで話題が持続し、年間でも2021年の7位を記録した。
各指標の累計はストリーミング4.6億再生、MV3.9億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。
「うっせぇわ」が話題を攫う中で発表された楽曲も軒並み人気を集めた。2020年12月に発売された「うっせぇわ」に続く2nd配信シングル「レディメイド」はストリーミング1.3億再生、MV1.2億再生を突破している。本曲はボカロPのすりぃが手掛けたおしゃれでノリの良い楽曲で、既成概念の打破について描いた歌詞も人気となった。
2021年2月に発売された3rd配信シングル「ギラギラ」は容姿コンプレックスに悩む少女がこれを克服しようと決意するさまを描いた楽曲で、ボカロPのてにをはが作詞作曲編曲を手掛けた。その非凡な歌詞表現は大きな話題となったほか、Adoの感情のこもった歌唱表現力の高さを再確認できるミディアムバラードであったことから本曲は多くの支持を集め、ストリーミング3.0億再生、MV2.0億再生、フル配信10万ダウンロードを記録した。
2021年4月に発売された4th配信シングル「踊」はボカロPのGigaと音楽プロデューサーのTeddyLoidが作曲編曲、ボカロPのDECO*27が作詞を担当し制作されたダンスミュージック。非凡な個性が結集して完成された本曲は、複雑な楽曲構成ながらもリズミカルであり、サウンド・メロディー・歌詞の何れも強いインパクトを残すものであった。各指標の累計はストリーミング4.4億再生、MV2.3億再生、フル配信10万ダウンロードを記録した。
2021年6月には5th配信シングル「夜のピエロ」を、8月には同6th「会いたくて」を発売し、それぞれストリーミング5,000万再生を記録した。
2021年10月には7th配信シングル「阿修羅ちゃん」を発売。最高視聴率19.0%を記録した人気ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』第7シリーズの主題歌にも起用された。この曲はボカロPのNeruが作詞作曲を手掛けており、高速なテンポで忙しなく駆け抜けるサウンドと社会風刺的な歌詞が痛快な仕上がりになっている。やはり歌唱難度の高い楽曲だが、それをパワフルに歌いこなすAdoの歌唱も人気となり、各指標の累計はストリーミング2.1億再生、MV1.1億再生、フル配信10万ダウンロードを記録した。
このように、Adoはその圧倒的歌唱表現力を武器として、元々のルーツであるボカロ文化をベースに数多くのボカロPと組んで多数のヒット曲を輩出した。2022年1月にはこれらを収録した1stオリジナルアルバム『狂言』をリリース。収録曲の中では、8th配信シングルとしてデジタル先行リリースした「心という名の不可解」がストリーミング1.2億再生、MV4,000万再生を突破している。
2022年 -『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』-
『狂言』の次に繰り出された展開はまさに一大プロジェクトと言うべきものであった。人気アニメ『ONE PIECE』の2022年8月公開映画作品『ONE PIECE FILM RED』のメインキャラクターであるウタの歌唱をAdoが担当したのである。この映画は歌の力に焦点を当てた作品になっており、ウタが劇中で歌う複数の楽曲は何れも映画のストーリーの構成上重要な立ち位置を占めるものであった。これらの複数の楽曲が、興行収入200億円を突破するほどの規模だった映画の特大ヒットとともにヒットシーンを席巻した。
その中でも特に重要な楽曲は、映画の公開に先行して6月から順次リリースされ、公開前から話題となっていた。まず最初にリリースした曲が、映画の主題歌という最も重要な位置づけとなっていた「新時代」である。作詞作曲は中田ヤスタカが担当しており、海外でザ・ウィークエンドやハリー・スタイルズが取り入れてトレンドになっていたシンセサウンドが印象的な仕上がりの一曲。そこにAdoの伸びやかな歌唱表現が乗ったことで楽曲は多くのリスナーを惹きつけた。
次にリリースした劇中歌が「私は最強」である。Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が作詞作曲したこの曲は大森節全開とも言えるような煌びやかなアッパーチューン。Ado自身も大森元貴の歌い方に似せて歌唱したと公言しており、「新時代」と併せて、これまで「うっせぇわ」等で見せた攻撃的なイメージとは異なる新たなAdoの歌唱表現力の一面を強く印象付けた。
続く第3弾として7月にリリースした劇中歌が「逆光」である。Vaundyが作詞作曲したこの曲は、「うっせぇわ」で印象付けたAdoのパブリックイメージを踏襲するかの如く、怒りを全面に打ち出した攻撃的ロックナンバー。Adoの感情を爆発させたがなり声はウタの劇中の心情とも強くリンクしており、強いインパクトを与えた。
そして第4弾の「ウタカタララバイ」は映画公開初日にリリースとなった。 本曲は新進気鋭の音楽ユニットFAKE TYPE.が作詞作曲を担当した。サウンドや楽曲構成は全く先が読めず、極めて早口なラップは歌詞情報がなければ何を言っているのか全く聴き取れない内容だが、そのアブノーマルさは中毒症状をリスナーに生じさせた。そしてこの高難度楽曲を歌いこなすAdoの縦横無尽に跳ね回るような歌唱は必聴の出来となっていた。
以上の4曲は映画公開を機に一気に人気が普及し、各種ヒットチャートで急上昇を見せた。特にBillboard JAPAN Hot 100の2022/8/17公開週では「新時代」「逆光」「私は最強」がTOP3に入り、チャート発足15年目にして初の同一アーティストによるTOP3独占が達成された。

映画公開翌週には、以上4曲を含む劇中歌7曲を収録したサウンドトラックアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』をリリース。収録曲の各指標累計等は以下のとおりとなる。全ての収録曲がヒットする異次元のコンテンツ人気となっていたことをこれらのデータが表している。
- 「新時代」:ストリーミング6.0億再生、MV1.8億再生、フル配信25万ダウンロードを記録。Billboard JAPAN Hot 100では通算6週1位を獲得し、年間でも2022年7位、2023年6位を記録。
- 「私は最強」:ストリーミング4.0億再生、MV1.0億再生、フル配信10万ダウンロードを記録
- 「逆光」:ストリーミング2.8億再生、MV1.5億再生を記録
- 「ウタカタララバイ」:ストリーミング2.3億再生、MV1.2億再生を記録
- 「Tot Musica」:ストリーミング1.3億再生、MV1.1億再生を記録
- 「風のゆくえ」:ストリーミング1.3億再生、MV3,000万再生を記録
- 「世界のつづき」:ストリーミング1億再生、MV3,000万再生を記録
- 「ビンクスの酒」:ストリーミング5,000万再生を記録
これらの楽曲は、これまでのJ-POPのメジャーシーンを走り続けていたアーティストによる提供が多く、ボカロPによる楽曲提供をメインに据えていた『狂言』とは異なるAdoの新たな魅力を存分に見せつけることとなった。
通常のAdoとしての活動も並行的に行われており、2022年9月にリリースした12thシングル「リベリオン」がストリーミング5,000万再生を突破している。
こうした活躍により、Adoはアーティスト人気チャートBillboard JAPAN Artist 100で2022年の年間1位を獲得した。
2023年以降
2023年には再びAdoとして新たな大人気楽曲を輩出した。9月に発売した18th配信シングル「唱」はユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィンショーイベント「ゾンビ・デ・ダンス」の主題歌に起用されたダンスナンバー。作詞はFAKE TYPE.のTOPHAMHAT-KYO、作曲・編曲はGigaとTeddyLoidが務めており、これまでAdoにしか歌いこなせないような高難度人気曲を輩出してきたクリエイターによる再タッグも話題となった。その期待に違わず本曲はやはり非凡な内容となっており、縦横無尽に飛び跳ねながらも要所を締めるようなメロディーラインとEDMサウンドや、サビのキャッチーな振付けが多くの視聴者を虜にした。
Billboard JAPAN Hot 100では自身最多記録となる通算13週1位を獲得し、年間でも2024年の7位を記録した。各指標の累計はストリーミング5.0億再生、MV2.3億再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。
2023年リリース曲では他にも「向日葵」がストリーミング1.2億再生、MV3,000万再生、「クラクラ」がストリーミング1.0億再生、MV3,000万再生を突破した。
まとめ
以上まで見てきたとおり、Adoは顔出しをしないながらも類稀なる歌唱表現力とそれを引き出す豪華作詞作曲陣のバックアップによって圧倒的な大人気を獲得していた。今後も各指標に重要なアップデートが生じれば、この記事で言及しているデータも適宜最新のものに置き換えていく予定である。
Adoのヒット曲をフィジカルで所有したい場合は、『Adoのベストアドバム』がマストアイテムとなっている。
この記事で紹介したストリーミングやダウンロードのデータはBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。
