仲のよかった二人のすれ違いがなかなか修復できない──映画『佐藤さんと佐藤さん』。
12月6日(土曜日)。
朝一番で、「ららぽーと富士見」へ、Sさんの運転で天野千尋監督の『佐藤さんと佐藤さん』を見にいく。
【予告編】
岸井ゆきのと宮沢氷魚が夫婦役で初共演し、佐藤という同じ苗字を持つ男女が交際・結婚・出産を経て歩む15年間の軌跡をつづったドラマ。「ミセス・ノイズィ」の天野千尋監督が、夫婦をテーマに人と人との関係を丁寧かつリアルに描く。(「「映画.com」より)
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タイトルの『佐藤さんと佐藤さん』から想像したのは夫婦を題材にしたコメディタッチの映画。しかし、「超」のつくリアリズム映画だった。
夫婦で司法試験に挑戦する──そもそもそういう設定に興味がない。だから見るかどうか迷ったのだ。
でも、天野千尋監督は以前見た『ミセス・ノイズィ』(2020年公開)が予想以上におもしろかった。
それと今回の主演女優は、三宅唱監督の傑作『ケイコ目を澄ませて』(2022年公開)で主演した岸井ゆきのだ──見逃すと後悔するかもしれない。
結論からいえば、予想を超えていい映画だった──中盤から、岸井ゆきのと宮沢氷魚(みやざわ・ひお)に目を離せなくなる。
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佐藤さん(宮沢氷魚)と佐藤さん(岸井ゆきの)が司法試験にそろって挑戦する。しかし、男性の佐藤さんは不合格で、付き合いのように受けた女性の佐藤さんが合格する。
この皮肉な結果がふたりの関係をおかしくしていく。
「夫婦(めおと)コメディ」のような映画だろうとのんびり見ていたが、後半からどんどん中身が濃縮する。
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子供ができて結婚。
それでも宮沢氷魚(みやざわ・ひお)演じる佐藤さんはまた試験に落ちてしまう。一方で岸井ゆきのの佐藤さんは、弁護士の仕事が日増しに忙しくなっていく。
「育児」、「家の掃除」、「食事」──をどう分担する?
朝から夜遅くまで仕事に奔走する妻。試験の勉強が思うようにすすまず苛立つ夫。
岸井ゆきの(妻)が何気なく発した「トイレットペーパーないよ」という言葉に、宮沢氷魚(夫)が敏感に反応する。
「おれはトイレットペーパーの係りじゃない。気がついたほうが買ってくればいいだろ」。
「ごめん。そんなつもりでいったんじゃない。ただ補充しなきゃね、といいたかっただけ」と妻は詫びるが、「『ないよ』という言い方はおれに責任がある、という気持ちがはいっている」と夫は怒りがおさまらない。
冷静になれば理解できるのに、感情を抑制できない。「小さなヒビ割れ」が少しずつ拡大していく成り行きを、共同脚本の熊谷まどかと天野千尋は丁寧に描いていく。
後半になって岸井ゆきの演技がますます冴えてくる。すごい女優!!
映画が終わってロビーへ出るなり、Sさんは「わたしは今年一番よかった」といった。