2026年の幕開けとなる1月相場。投資家の間では「1月効果」と呼ばれるアノマリー(経験則)が広く知られています。
統計的に見て1月は株式市場が堅調に推移しやすい特異な月であり、この傾向を理解することは年間の投資パフォーマンスを左右する重要な鍵となります。
本記事では、過去の膨大なデータに基づいた「勝率68%」の根拠や、新NISAを活用した具体的な投資戦略、そして2026年の注目銘柄までを徹底的に解説します。
目次
1. 1月のアノマリーとは何か
2. 2026年1月相場の見通し
3. 1月に上昇しやすい銘柄の特徴
4. 新NISA配当アノマリーに注目
5. 2026年の午年相場を読み解く
6. 実践的な投資戦略のポイント
7. まとめ
1. 1月のアノマリーとは何か
株式市場には、論理的には説明しづらいものの、経験的に観測される規則性である「アノマリー」が数多く存在します。
その中でも特に著名で信頼性が高いとされるのが「1月効果(January Effect)」です。
日経平均の1月勝率は驚異の68%
マネックス証券等の調査によると、戦後(1949年)から2025年までの日経平均株価の月別騰落率を集計した結果、1月の上昇確率は約68%に達しています。
これは1年12ヶ月の中で最も高い勝率であり、統計的に見ても「1月は株価が上がりやすい」と言える強力な根拠となっています。
なぜ1月はこれほどまでに強いのでしょうか。主な要因として以下の点が挙げられます。
- 新たな資金の流入:年が変わるタイミングで、機関投資家や個人投資家が新規の資金を市場に投入する傾向があります。特に近年はNISA(少額投資非課税制度)枠の復活による買い需要が顕著です。
- 節税売りの買い戻し:年末にかけて節税対策(損出し)のために売却された銘柄が、年明けとともに買い戻されることで株価が上昇圧力を受けます。
- ご祝儀相場的な心理:「新年相場」への期待感から、投資家心理が強気に傾きやすい側面もあります。
出典:Bloomo証券 - 米国市場でも1月効果は注目されるアノマリーの一つです。
ジャニュアリー・バロメーター
米国市場には「1月の株式市場がプラスで終われば、その年は上昇する」という「ジャニュアリー・バロメーター」と呼ばれる格言があります。
日本市場においても、1月の相場動向はその年全体の方向性を占う重要な試金石となります。1月が堅調であれば、投資家のリスク許容度が高まり、年間を通じて強気相場が継続する可能性が高まります。
2. 2026年1月相場の見通し
2026年の1月相場を展望する上で、まずは「大発会(だいはっかい)」の傾向を押さえておく必要があります。
1月全体としては強い傾向があるものの、近年、年始の第1営業日である大発会は軟調なスタートとなるケースが目立っています。
大発会は下落傾向?近年のデータ
- 2023年:前年末比 377円安
- 2024年:前年末比 約700円安(能登半島地震等の影響)
- 2025年:前年末比 587円安
このように、年初は海外市場の動向や地政学リスク、あるいは年末休暇中のニュースを織り込む形でボラティリティが高まりやすく、売りが先行する場面が見られます。
しかし、これは絶好の「押し目買い」のチャンスとも捉えられます。大発会での下落を悲観せず、月後半に向けた上昇トレンドを見据えた冷静な対応が求められます。
2026年1月の重要イベントスケジュール
| 日程 | イベント内容 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 1月6日(火) | 大発会 | ご祝儀相場となるか、近年の下落傾向が続くか |
| 1月20日頃 | 米大統領就任式関連 | トランプ政権の政策(関税・財政)の具体化 |
| 1月22-23日 | 日銀金融政策決定会合 | 追加利上げの有無と植田総裁の発言 |
| 1月27-28日 | 米FOMC | FRBの利下げペースとパウエル議長会見 |
| 1月下旬~ | 米ビッグテック決算 | AI投資の収益化進捗、半導体市況への影響 |
アナリストの予測は強気
2026年の相場見通しについて、主要な金融機関やアナリストは概ね強気の見方を崩していません。ダイヤモンド・ザイ等の調査によると、専門家106人のうち約64%が「強気」または「やや強気」と回答しています。
特に野村證券は、2026年末の日経平均株価を55,000円と予想しています。
日本企業のガバナンス改革による資本効率の向上や、デフレからの完全脱却が評価されるとの見立てです。1月相場はこの強気シナリオのスタートダッシュとして重要な位置づけとなります。
3. 1月に上昇しやすい銘柄の特徴
1月相場全体が強いとはいえ、すべての銘柄が一様に上昇するわけではありません。過去のデータから導き出される「1月に特に強い銘柄」の特徴があります。
過去10年で勝率9割!注目銘柄
特筆すべきは、AREホールディングス(5857)です。過去10年(2016年~2025年)の1月相場において、9勝1敗という驚異的な勝率(90%)を記録しています。
出典:かぶまど - 貴金属リサイクル事業を展開するAREホールディングスは1月相場に強い傾向があります。
同社は貴金属リサイクル事業を展開しており、金価格の高騰が業績の追い風となっています。
また、配当を年間80円から120円へ大幅増額するなど株主還元にも積極的です。
高配当かつ業績好調な中小型株は、年末に利益確定売りに押された後、1月にリバウンドしやすい典型的な銘柄と言えます。
中小型株・外食・建設セクターに注目
1月効果は、大型株よりも中小型株に強く現れる傾向があります(スモールキャップ効果)。機関投資家のリバランスや個人の節税売りが一巡した後、値動きの軽い銘柄に資金が還流するためです。
具体的な注目セクターと銘柄は以下の通りです。
- 外食セクター:年末年始の書き入れ時を経て、2月決算に向けた優待・配当取りの動きが活発化します。
- ゼンショーホールディングス(7550)
- FOOD & LIFE COMPANIES(3563)
- コメダホールディングス(3543)
- 建設セクター:年度末に向けて工事の完成・引き渡しが増加し、業績の進捗が確認されやすい時期です。中堅ゼネコンなどは割安感から見直し買いが入りやすい傾向があります。
4. 新NISA配当アノマリーに注目
2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)は、1月相場の需給構造を大きく変えました。それが「新NISA配当アノマリー」です。
1月の高配当株バスケットは勝率100%?
近年のデータ分析によると、1月に「高配当利回り株」のパッケージ(バスケット)に投資した場合、その月間の勝率は極めて高い水準、データによっては過去5年で勝率100%を示しているとの報告もあります。
この背景には明確な理由があります。
- NISA枠の復活:年間240万円(成長投資枠)の非課税枠が1月1日にリセットされます。多くの個人投資家が、年明け早々に高配当株をポートフォリオに組み入れようと動きます。
- 3月決算への先回り:日本企業の多くは3月末決算です。配当権利取りの動きは通常2月〜3月に本格化しますが、賢明な投資家はそれより早い1月のうちに、割安な段階で仕込みを完了させようとします。
- 機関投資家の再投資:機関投資家も年明けに新たな運用計画に基づいて資金配分を行います。安定したインカムゲインが見込める高配当株は、ポートフォリオの核として選好されやすいのです。
具体的には、配当利回りが4%〜5%を超えるような海運、商社、金融、通信などのセクターがターゲットとなりやすいでしょう。1月のうちにこれらの銘柄を確保しておくことは、配当益(インカム)と値上がり益(キャピタル)の両取りを狙う上で合理的な戦略です。
5. 2026年の午年相場を読み解く
相場の世界には、干支にまつわる格言も存在します。2026年は「午(うま)年」です。
「午尻下がり」のジンクスとは
相場格言では「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱」と言われます。これは、辰年(2024年)・巳年(2025年)で相場が天井をつけ、午年(2026年)は後半にかけて調整しやすい(尻下がり)という意味です。
しかし、アノマリーはあくまで過去の傾向に過ぎません。2026年にはこのジンクスを覆す強力なファンダメンタルズ要因が存在します。
ジンクスを覆す「AI投資ブーム」
最大の注目点は、世界的な生成AI(人工知能)投資ブームの継続です。
2025年までに見られた半導体やデータセンターへの投資は、2026年には「AIの実装・収益化」フェーズへと移行すると見られています。
米国ビッグテック企業の設備投資意欲は依然として旺盛であり、これがハイテク株を中心とした相場の下支え要因となるでしょう。
また、日本では高市政権(またはそれに続く政権)による「資産運用立国」政策の推進や、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ是正に向けた企業改革の継続が期待されます。
構造的な変化が起きている現在、過去の「午尻下がり」のジンクスにとらわれすぎる必要はないと言えるでしょう。
6. 実践的な投資戦略のポイント
これまでの分析を踏まえ、2026年1月相場で取るべき具体的な投資戦略をまとめます。
第3四半期決算の「上方修正」を狙う
1月下旬からは、3月期決算企業の第3四半期(4月〜12月)決算発表が始まります。ここで注目すべきは「進捗率」と「上方修正」です。
中間決算(2Q)時点ですでに通期計画に対する進捗率が60〜70%を超えている企業は、3Q決算発表時に通期業績予想を上方修正する可能性が高いです。
特に、円安メリットを享受している輸出企業や、価格転嫁が進んだ内需企業などは要チェックです。
有望銘柄の例(過去の傾向から):
J-POWER(9513)、三谷産業(8285)、関電工(1942)などは、高い進捗率から上方修正が期待されやすい銘柄として知られています。
リスク管理の徹底
強気の見通しが多いとはいえ、リスク管理は不可欠です。トランプ政権の予測不可能な発言や、日銀の利上げペースによっては短期的な急落もあり得ます。
7. まとめ
2026年1月相場は、統計的な「1月効果」の強さに加え、新NISAによる需給改善という強力な追い風が吹くタイミングです。日経平均の勝率68%というデータは、投資家にとって勇気づけられる数字と言えるでしょう。
出典:かぶまど - 1月は個別株物色が活発化しやすい月です。
本記事のポイント:
- 1月は株価が上がりやすい(勝率68%)。
- 大発会の下落は押し目買いの好機となる可能性がある。
- AREホールディングスなど、1月に強い特異な銘柄が存在する。
- 新NISAを活用し、高配当株を先回り買いする戦略が有効。
- 午年のジンクスよりも、AIブームや企業変革のファンダメンタルズを重視。
短期的なアノマリーを活用しつつも、最終的には企業の成長性や業績に基づいた中長期的な視点を持つことが、資産形成の成功への近道です。2026年のスタートダッシュを成功させ、実りある一年にしていきましょう。



