
【アニメーションの仕事 (2)】
最近は『名探偵コナン』(1996)にも参加。「東京婆ールズコレクション」「スマイルの里の陰謀」「天才レストラン」などシュールさで賛否両論を呼んだ。『ルパン三世』(1979)のころからのつき合いの飯岡順一が手がけている。
浦沢「飯岡さんは80歳のおじいさんで(『コナン』の)立ち上げからいる。おれは探偵物が好きじゃない、嫌い。コナン・ドイルとかああいうのダメなんだよ。でも飯岡さんと仕事したかったから。
(『コナン』でも)風景が出てくると大体、下町にしちゃうんだ。飯岡さんもそれを望んだんじゃないかな。下町のことを書いてくれと。
だんだん『コナン』っぽくなくなっちゃったから、みんなが怒ってる(一同笑)。もとに戻そうとは思ってるんだけど。
(「天才レストラン」は)ホンはもっとちゃんと推理っぽいねたなんだけど、演出と絵コンテ描いた人がいい気になって(一同笑)。ちゃんと謎解きになってたはずなんだけど、あんなふうになっちゃった。ホンは推理物じゃないと通らない、局の人がチェックするから。おれが悪い感じになって……いいんだけどさ。呼ばれれば書く。結構ギャラがいいんですよ、アニメの中では。やっぱりさすが『コナン』(一同笑)。
(『コナン』の劇場版の依頼は)ないね。いちばん嫌われてるんだから(一同笑)。『コナン』は劇場版ですごく売り上げるんだから、テレビなくたっていいんじゃない? 原作があるからやってるけど、大した商売になってない。何年かしたら映画だけになるんじゃないかな」
弟子筋の大和屋暁がメイン脚本の作品にも登板。
浦沢「『人造昆虫カブトボーグ V × V』(2006)が大和屋暁が主で書いてる。おれの仕事について行って、暁の仕事が増えたんだよ。おれはそこに乗って、お金の額は同じくらい。気が楽だったね。『To LOVEる』(2008)も覚えてる。原作者が前にいっしょにやってた人だったからよく知ってたし。作家陣は同じで千葉(千葉克彦)さんとか。暁はつるんでやるのが好きなんだよ。いつもみんなといたいって。好き嫌いがあって、嫌いな奴は入れない。
『暴れん坊力士!! 松太郎』(2014)はひどいね。あれはもう企画したほうが悪いよね。ボグダン(ギャルマト・ボグダン)ってすごくいい奴なんだけど、あんな奴に企画を。日本語もあんまり判ってない感じで。松太郎って酒乱で、酒乱の話はいまできるわけがない。主役にいっしょについて来る奴も酒乱で、それもほとんどできない。松平健が声(声優)をっていうのはいいけど。相撲はもともと好きだった。でもあのマンガ(原作)は好きじゃない(一同笑)。
マンガは基本的に大嫌いだから。マンガ自体が、見る機会がなかった。おれが小学3年のときに「少年マガジン」と「少年サンデー」が出たんだよ。うちに送られてきて、そのうち読まなくなった。本を読むのも好きじゃなかった。本を読む習慣もなかった」
【実写映画】
浦沢先生は『結婚』(1993)や『オペレッタ狸御殿』(2005)といった鈴木清順監督作品、『人間失格』(2009)など実写映画の脚本も手がける。
浦沢「(清順監督映画の仕事では)ほとんどお金もらってない。清順さん関係ではただでやるって決めたから、あとはアニメや東映の戦隊とかで稼いで。テレビはお金儲けって決めたから、お金にならないとやらない。
『結婚』はあんまり話したくない、面倒くさい(一同笑)。いちばん想い出があるんだけど、想い出ありすぎてさ」
『オペレッタ狸御殿』は80年代に書かれた脚本で、2005年に映画化された。主役はオダギリジョーとチャン・ツィイー。小説版(河出文庫)も発表している。
浦沢「『オペレッタ狸御殿』は、書いたのが30年ぐらい前。それのときにできればよかった。主演(の予定)が松田優作なんだよ。平幹二朗のやった役が(当初は)松田優作だった、豪華キャストで。プロデューサーも代わって、それまで(企画の再浮上が)何回もあったんですよ。4回ぐらいあった。清順さんは流れちゃうことが多いんですよ。またかと思ってた。このときだけスムーズで(うまくいった要因は)チャン・ツィイーじゃない? 予算の3分の1をチャン・ツィイーが持っていった。オダギリジョーはただ同然(一同笑)。清順さんのに出たいって言ってたから。永瀬(永瀬正敏)くんとかスタジオ来て出たがってたから、化粧してちょい役で。出てもいいですかって人はたくさんいた」
『がんばれいわ!! ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』(2020)はかつての東映不思議コメディーを思わせる雰囲気の短編映画。
浦沢「『がんばれいわ!! ロボコン』は思い出したくない!(一同笑)……別に触れてもいいんだけど、面白くなかった。白倉(白倉伸一郎)プロデューサーとは仲良かったけど仕事は初めて。石田さん(石田秀範監督)のほうが初めてかと思ったけど、前にやってたらしい」
作中では汁なし担々麺など中華料理が活躍する。
浦沢「(中華料理は)白倉くんが言った(提案した)と思うんだけど、気安く。もうちょっと普通の町中華みたいに出てくるのかと思ったら、セット上そうはいかなくてデジタルになってた。あれがどうも好きじゃない。あんまり話したくない(一同笑)」(つづく)



