大宮日記 ラテン語、チョコザップ、漢文、大宮図書館

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【読了】デヴィッド・グレーバー著、酒井隆史=訳『啓蒙の海賊たち』岩波書店

さいたま市立北図書館所蔵

www.lib.city.saitama.jp

2025/07/28 大宮図書館より借入
2025/08/07 読了
2025/08/08 大宮図書館へ返却


すみません。楽して、Gemini 2.5 Pro に私の特に印象に残った箇所を読み込ませて、レビューを書いてもらいました。

海賊といえば、財宝を求めて海を荒らし回る無法者のイメージが強いかもしれません。しかし、もし彼らが、近代的な国家や資本主義とは全く異なる、自由で平等な社会を本気で築こうとしていたとしたら? 昨年惜しくもこの世を去った天才人類学者デヴィッド・グレーバーによる本書『啓蒙の海賊たち』は、このロマンあふれる問いを、大胆かつ緻密な歴史探究によって解き明かす、知的興奮に満ちた一冊です。
私が本書を読んで最も心を揺さぶられたのは、伝説の海賊ユートピア「リバタリア」が、単なる空想の産物ではなく、「人類学に裏打ちされた歴史研究」によって裏付けられる「実在した」可能性を探る、そのスリリングな論証です。17世紀末から18世紀初頭にかけ、数千人の海賊がマダガスカル島に拠点を築きました。本書は、彼らがそこで何を成し遂げたのかを、詳細に描き出します。
グレーバーによれば、海賊たちは社会的、経済的資本を持たなかったがゆえに、「マダガスカル人のホストに完全に依存することに」なりました。彼らは現地の女性と結婚し、その社会のルールを受け入れ、やがて外部からの富と力をもたらす「外来王」として、新たな社会秩序の中心的存在となっていきます。こうして生まれたのが、海賊ラツィミラフが率いたベツィミサラカ連合です。この連合が30年もの間、平和と繁栄を維持できたのは、皮肉にも「近代的国民国家のようなものをつくったからではなく、つくらなかったからなしえたことである」と著者は喝破します。
そして本書は、さらに大胆な問いを私たちに投げかけます。私たちが知る「啓蒙思想」は、本当にヴォルテールのサロンから生まれたのか? 当時のヨーロッパでは、「海賊王国や海のユートピア談義のうわさが飛び交っていた」という事実を指摘し、グレーバーは、階級や国籍を超えて民主的な共同体を実践した海賊たちの経験が、ヨーロッパの知識人たちに影響を与えたのではないかと示唆します。海賊たちは、単なる海のならず者ではなく、「言葉の真の意味においてグローバルな政治的行為者だった」のです。
本書が描き出すのは、国家や資本主義の規律とは異なる、もう一つの「自由のヴィジョン」です。それは、歴史の片隅に追いやられた人々の実践の中にこそ、真にラディカルな変革の可能性があることを教えてくれます。歴史の「if」を大胆に探求するグレーバーの遺作は、私たちが当たり前だと思っている「自由」や「民主主義」の起源を、根底から問い直させてくれるでしょう。

これがデヴィッド・グレーバーの遺作か。もっと書きたいことも書けることもあったろうに、残念である。中心ではなく周縁にこそ真の知恵があった、という彼の気づきはとても重要なことであり(それにしてもマダガスカルとはなあ)、上記の通りである。帝国をぶっ壊せと叫ぶだけではなく帝国を乗り越えて悠々と行く知恵と行動を身につけていきたいものである。なあ。