大宮日記 ラテン語、チョコザップ、漢文、大宮図書館

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【読了】ヘレン・トンプソン著、寺下滝郎=訳『秩序崩壊』東洋経済新報社

さいたま市立中央図書館所蔵

www.lib.city.saitama.jp

2025/05/06 大宮図書館より借入
2025/05/11 読書開始
2025/05/17 読了
2025/05/18 大宮図書館へ返却

すみません。楽して、Gemini 2.5 Pro に私の特に印象に残った箇所を読み込ませて、レビューを書いてもらいました。

ブレグジット、トランプ現象、そしてウクライナ戦争――私たちの目の前で繰り広げられる数々の「混乱」を、私たちはついその場の政治家の言動や、直近の出来事だけで理解しようとしがちだ。しかし、本書『秩序崩壊』は、そうした近視眼的な見方を鋭く退け、現代世界を覆う危機の根源が、はるか過去にまで遡る、巨大で構造的な地殻変動にあることを冷徹に解き明かす。
著者のヘレン・トンプソンは、現在の地政学・経済・民主主義の三重の危機を、一本の補助線、すなわち「エネルギー」を軸に読み解いていく。私が本書を読んで特に衝撃を受けたのは、現代の危機がいかに「遠い過去の亡霊」に憑りつかれているかという指摘だ。「ブレグジット国民投票ドナルド・トランプの大統領当選と、2016年の政治的出来事は、それらが劇的であるがゆえに、近視眼的な政治分析が数多くみられた」が、本当の亀裂は、2005年頃にはすでに生じていたという 。さらに、2008年の世界金融危機の根源でさえ、「その根深い原因の多くが1970年代にあるという事実を表している」のだ 。この時代に始まったアメリカのエネルギー自給体制の崩壊とドルの変質が、半世紀を経てなお私たちを揺さぶり続けている。
本書は、近年のアメリカの復活を支えたとされるシェールオイル革命についても、その神話を剥ぎ取っていく。シェールオイルは一見、アメリカにエネルギー自給をもたらしたかに見えたが、それは同時に「中国の究極的な弱点であるドル不足が世界経済の成長見通しを低下させる」という、極めて不安定な構造を内包していた 。エネルギー価格の変動と金融政策が、アメリカ国内の政治的分断と、米中関係の緊張に直結していく様は、まさに現代史の縮図を見るようだ。
そして、未来の希望とされるグリーンエネルギーが、新たな「秩序崩壊」の火種になりうるという指摘は、本書の最も重要な警告だろう。「社会の分断を深刻化させかねないグリーンエネルギー」という言葉は、気候変動対策がもたらす地政学的なジレンマを的確に表現している 。グリーンエネルギーへの転換は、レアアースなどの資源をめぐって中国への依存を深め、化石燃料からの移行は「神々の黄昏」のような左往右往の末に「絶望的な対応」に終わるかもしれないと著者は示唆する 。その結果、国民に痛みを強いる政策が求められるとき、「気候変動とエネルギー消費をめぐって起こりうる争いが民主主義体制を不安定化させる」未来が、私たちの前に横たわっているのだ 。
本書が描き出す未来は、決して楽観的なものではない。しかし、断片的な情報に振り回されがちな私たちにとって、現代世界を動かす不可逆的な構造を理解するための、これ以上なく信頼できる「地図」を提供してくれる。困難な時代に立ち向かうための必読の書である。

書きっぷりがまわりくどくて読了するまで時間がかかった。要は、エネルギー源を制している(ロケーション、デリバリー、そしてコストパフォーマンスの観点で制している)者が秩序を作る、ということでそれほど難しい話ではない。必読書でもない。