ショートストーリー喫茶

生活の合間にさっと読める短編小説を更新しています。

どこもかしこもおじさん

気づいたら、

どこもかしこもおじさんだった。

 

駅前に立っているのも、

ベンチに座っているのも、

信号待ちで腕を組んでいるのも、

全部、おじさん。

 

若い人もいる。

はずなのに、

目に入ると、

おじさんに見える。

 

背中が丸く、

少し前のめりで、

同じような色の服を着ている。

 

最初は、

自分が年を取ったせいだと思った。

 

視界が、

そういうふうに

補正されているのだと。

 

でも、

ある日、

写真を撮ってみて、

少し変だと気づいた。

 

写っている。

 

本当に、

おじさんばかりなのだ。

 

カフェも、

電車も、

公園も。

 

どこもかしこも、

おじさん。

 

皆、

似たような顔で、

似たような話をしている。

 

「昔はな」

「最近の若いのは」

「まあ、仕方ない」

 

文句というほどでもなく、

希望というほどでもない。

 

ちょうど、

そのあいだ。

 

街は、

静かに回っている。

 

たぶん、

この先も増える。

 

おじさんは、

減らない。

 

どこもかしこも、

おじさん。

 

それが、

世界の完成形なのかもしれない。