前回の駐車場設計に続き、今回は公道から店舗への出入口設計について解説します。
基本原則:左折イン・左折アウト
公道から店舗への出入りは原則として左折イン、左折アウトとなります。
根拠: 「大規模小売店舗を設置するものが配慮すべき事項に関する指針の解説」(平成19年5月 経済産業省)
今回は、この左折イン・左折アウト方式に限定して設計のポイントを解説します。
1. 出入口の配置戦略:1箇所 vs 分離

出入口を1箇所にまとめるメリット
- 利用者の利便性向上:直感的に出入口の位置が把握しやすい
- 運営コスト削減:交通整理が効率的(警備員の配置を最小限に)
- 土地利用の最適化:必要面積を抑制
出入口を分離するメリット
- 歩行者の安全性向上:公道の歩行者が車両出入口を通過する際の距離が短縮され、余裕を持った通行が可能
実際の選択基準
一長一短があるものの、土地取得コストの観点から1箇所集約が採用されることが多い。
ただし、顧客の来店・退店方向や交通流を考慮し、「入口専用」「出口専用」の区分を設けるケースも見られます(実際の運用状況は施設により異なる)。
2. 付加車線の設計検討
交通需要に応じて付加車線の設置検討が必要となります。原則として開発者側負担となるため、利害関係者との調整が複雑化する要因でもあります。

(1) 通常パターン(対策なし)
駐車場需要が限定的な立地では、基本的な左折出入のみで対応可能。
(2) 入口付加車線の設置
目的: 減速・入庫動作および歩行者通過待ちによる後続車への影響を軽減
本線交通を阻害することなく、スムーズな入庫を実現。
(3) 出入口両方への付加車線設置
目的: 出庫時における歩行者通過待ちと車両の隙間待ちを2段階に分離
出庫機会の増加により、駐車場内での滞留を軽減。
(4) 歩行者の立体交差化(歩道橋等)
目的: 歩行者と車両動線の完全分離による安全性の確保
課題: 歩行者動線の延長によるアクセシビリティへの影響、特に住民理解
まとめ
最もシンプルな左折イン・左折アウト方式であっても、これだけ多くの要素を総合的に検討する必要があります。
重要なポイント - 土地利用効率と安全性のバランス - 交通需要予測に基づいた適切な付加車線の選択 - 歩行者と車両の動線分離 - 関係者間の合意形成
店舗出入口の設計は、単なる物理的な構造だけでなく、運営面・コスト面・安全面を総合的に考慮した戦略的判断が求められる領域といえるでしょう。