今年は、横浜パレードが中止になった。東日本大震災のことを考えて自粛する、とあった。少し前は、大変な官能を感じたのだが、最近は、あまり官能を感じなくなった。たいして見たいとも思わなくなった。山下公園から出て、伊勢崎町の先で終わるのだが、伊勢崎町は、去年、行ったら、景気が悪いせいか、ガラガラだった。
ちなみに横浜パレードの起源は古く、松旭斎天勝という日本の女奇術師が参加していた。松旭斎天勝は、谷崎潤一郎の小説「小僧の夢」のモデルと言われている。世間での、谷崎作品の「小僧の夢」の評価はそんなに高くない。前半が、小僧の独白による、芸術論で、後半が、松旭斎天勝の魔術にかけられる日記、という形式をとっていて、まとまりがない、というのが理由だろうか。しかし私は、「小僧の夢」は、素晴らしい作品だと思っている。思いつくのは簡単だが、小説に仕立ててあげるのは難しい。谷崎の筆の力のなせる技である。
谷崎は、自然主義を、音楽を例にして否定している。音楽は人工の物なのに間違いなく芸術ではないかと。確かにその通りである。谷崎はシェークスピアまで持ち出してシェークスピアの良さがわからないと自分の芸術論を述べている。シェークスピアの価値は、古典、第一創作者としての価値が強い。シェークスピアは外的枷なのに対し、谷崎は内的枷である。シェークスピアの作品は、一般的、普遍的で、他の人でも思いつけるのに対し、谷崎の作品は、谷崎潤一郎にしか書けない。